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2010年12月 8日

菅野芳秀:米が安い。絶望的な安さだ。

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 お米が安い。

 今年の生産者の売り渡し価格は1俵(玄米60kg)あたり9,000円で、ついに10,000円を切った。1972年(昭和47年)の米価が1俵9,030円だったから40年前の価格に戻ったことになる。ちなみに40年前の朝日新聞の1ヶ月の購読料はいかほどだったかといえば900 円。それが今日では3,925円となっている。およそ4.36倍だ。それを米の価格にあてはめれば1俵あたり39,370円とならなければならない。それを9,000円で販売しているのだから、つらい。民主党の「戸別補償」を入れても10,500円ほどにしかならない。

 新聞がほぼ毎日のように書いてきた「日本の米は高い」。新聞にそんなこといえるか?今日、1ヶ月の新聞購読料が900円でやれますか?お前たちもそれをやってみたら、農家の気持ちがわかるだろう。それをやった上でなお、「日本の米が高い。」といえば話を聞こうじゃないか...なんてね、だんだんムカムカしてくるのですよ。

 東北農政局の発表したお米1俵あたりの生産原価は昨年産(H21)で14,617円。これが通常栽培の原価だという。実際はもっとかかっているのが実感だが、ま、いい。今年も似たようなものだろう。それを9,000円で農協に売り渡たす。ちなみに生産資材は一切値下がりしてはいない。下がっているのは農家の売り渡し価格だけなのですよ。

 水田とともに、数千年の歴史を刻んできた村はいま、少しづつ崩壊に向かっている。わが村の水田農家の平均年齢はおよそ67歳。日本の農家の平均年齢とほぼ一緒だ。後継者なんて育つわけがない。大規模経営の農家の方が立ち行かない。おそらく後3年ほどこの価格が続けば、都会に大きなスラムが生まれていくだろう。そう思っている。

 我が家の米は無農薬にできるだけ近づけた栽培なので、当然リスクを負っている。春から秋まで決して気を抜けない。それを白米10kgで5,000円、玄米では4,600円で買い求めていただいている。そのおかげでようやく息子の家庭ともども暮らせているわけだけど、その価格は高いのだろうか。ごはん1杯が70gのお米から炊かれるというから、10kg5,000円の1杯の価格は35円ということになる。10kgあたり630円の送料がかかったとしても39円だ。2杯食べても78円。ペットボトル500mlの水の代金 120円にもならない。
  
 こんなことを書かずとも、我が農園のお米をとっていただいている方からの、高いという声は聞こえてこない。支えられているんですね。ありがたいことです。それでもさ、年々安くなっていくお米代金に囲まれていれば...、「高いなぁ。」と思うようになってしまっても無理からぬこと。我が農園としましても申し訳ないなぁという気持ちになっていく。

 でさ、息子と2人、来年は値下げしなければならないだろうなぁと話し合っているわけですが...

 我が家の米の話はさておき、問題はこの国。この先の食と農、この国のかたちはいったいどうなっていくのだろうということなのですよ。

【関連記事】
■《インタビュー》菅野芳秀氏の新刊『玉子と土といのちと』が発売(NewsSpiral)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/09/post_619.html

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【プロフィール】菅野芳秀(かんの・よしひで)
1949年生まれ。養鶏農家を営む一方、山形県長井市の全世帯を巻き込んだ生ゴミ・リサイクルのシステム「レインボー・プラン」を実現。著書に『玉子と土といのちと』(創森社)、『土はいのちのみなもと 生ゴミは よみがえる』(講談社)

Profile

日本語の「ヨロン」という言葉には「世論」と「輿論」という2種類の漢字があります。実は、この2つの言葉は大きく意味が異なっていて、「世論(セロンとも読みます)」とは「感情的な世間の空気」のことで、「輿論」とは「議論を積み重ねてできあがった公的意見」のことを指します。《よろんず》が目指すものは後者の「ヨロン=輿論」をつくることであり、そのために、《よろんず》では情報のプロ・アマに関係なく自由闊達に議論を交わすための場所を提供します。メディアの調査で発表される「ヨロン=世論」とは違う真の「ヨロン」をつくるため、執筆者・出演者・読者のみなさんに、この新しい“知の共有空間”に参加いただけるよう呼びかけます。

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