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染谷正圀:「25条問題」に関する補論

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日本一新の会・染谷正圀 

 6年前まで吉岡吉典参議院議員室の相棒であった同志から、政治資金規正法第12条は、政治資金収支報告書に記載すべき事項をこと細かく規定しているところであり、この規定に反するものを虚偽記載とするのであれば、第25条を白地刑法と断ずるには無理がある旨の指摘を受けた。

 しかしながら、政治資金規正法は、第25条で虚偽記載の要件を定めずにこれを処罰するとし、これによって記載の誤り一般を処罰対象としていることは厳然たる事実である。

 他方、同法補則第31条「監督上の措置」は、「総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、この法律の規定により提出された届出書類、報告書若しくはこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面(以下この条において「報告書等」という。)に形式上の不備があり、又はこれらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書等の訂正を命ずることができる。」として、同法第12条に係る形式的誤記載についての是正措置を規定しているのである。

 そしてこのことこそが、先に私が指摘した「政治資金収支報告書の虚偽記載とは、それを疑った捜査機関が捕まえて調べただけでは判然とせず、裁判によらなければ、犯罪か否かそのものが定まらない仕組みになっている、つまり、捜査機関の嫌疑そのものの是非が裁判によらなければ判明しない構造」の問題点なのである。

 すなわち、政治資金収支報告書に係る「誤った記載」とは、総務大臣又は都道府県選挙管理委員会の職務懈怠による過誤記載の放置の結果であるのか、それとも犯罪としての虚偽記載であるのかの判断を裁判所に委ねなければならないことこそが、罪刑法定主義に悖る条規が招く深刻な事態なのである。

 この点に関し、平野貞夫代表が森英介法相の指揮権発動で始まったと指摘している小沢一郎氏の民主党代表辞任に通じた2009年9月の第一次陸山会「国策捜査」に連座させられた西松建設元社長が、不当逮捕と断乎闘うのではなく、「倒産価格」に近い水準までに下落した株価問題を抱えた中での株主総会対策のために「検察の描いた筋書き」に沿うことで早期決着の道を選んだ政治資金規正法上の虚偽記載を巡る裁判について、郷原信郎弁護士は、著書「検察が危ない」(KKベストセラーズ刊「ベスト新書」)の中で、「検察の敗北」との見出しの下に次のように述べている。

 「西松建設側が『全面降伏状態』であるにもかかわらず、寄附の背景についての検察側の主張が、裁判所に全面的に排斥されるという異例の判決となった。地裁判決は、政治団体名義での寄附を西松建設による『第三者名義の寄附』と認め、政治資金規正法違反が成立するとしたが、寄附の動機については、『公共工事の受注業者の決定に強い影響力を持っていた岩手県選出の衆議院議員の秘書らの良好な関係を築こうとして平成9年ころから行ってきた寄附の一環である』と認定するにとどめた。また、判決は、量刑面で被告人に有利な事情として、寄附は、特定の公共工事を受注できたことの見返りとして行われたものではない」と認定し、検察の主張を正面から否定した」(67ページ)と指摘し、「検察官が公訴権を独占し、訴追裁量権を持っている現行法制の下では、検察の起訴は『有罪の確信』に基づいて行われることが事実上前提となっている。被告人が事実関係を全面的に認め、まったく争っていない事件で裁判所が独自の判断で無罪判決を出すことは、起訴を行った検察の判断そのものを正面から否定することになる。被告・弁護人側が事実を認めている場合、有罪判決は当然のことであり、事実を争っている公判で『弁護人の主張』に対する判断を示して有罪判決を出すのとはまったく意味が異なる」(68〜69ページ)としている。

 ここで地裁判決が虚偽記載の実質行為と認定し、西松側の有罪の根拠とした「『西松建設のダミー』による寄附」について、大久保氏の公判に検察側証人と出廷した西松建設の元総務部長は、陸山会に寄附をした団体職員の給与は会社とは別に独自に支給されており、政治団体としての実体がある」とする敵性証言をして検察側を狼狽させ、大久保氏が無罪となる可能性が高くなった、と報じられているところであり、地裁が、政治資金規正法「25条問題」の深刻さへの洞察力を有してさえいれば、西松建設事件においても郷原弁護士が指摘する、被告が有罪を認めている以上裁判所は無罪判決を出さない、という法曹有資格者の社会で通ずる一般的訴訟論の域を超える判決を下さなければならなったはずである。

 「中央公論」を治安維持法で弾圧した「横浜事件」被告への国家賠償を命じた横浜地裁判決は、「有罪判決は、特高警察による思い込みの捜査から始まり、司法関係者による事件の追認によって完結したと評価でき、警察、検察、裁判の各機関の故意・過失は重大だったと言わざるを得ない」と判示している。

 政治資金収支報告書に「借入金」を記載したことを以て、ヤミ献金のロンダリングを疑う検察の信じがたい「思い込みの捜査」に始まった第二次陸山会事件での「故意・過失」を許すことなど断じてあってはならない。

 そして、その根底に横たわる「25条」問題の抱える深刻な隘路を克服するため、平野代表の言によれば、小沢一郎氏は、政治資金収支報告書の「誤った記載」について一義的に処理するため公正取引委員会のような準司法機関を組織し、犯罪性の強いものに関してのみを告発する仕組みをつくることを考えているとのことであることを付言しておきたい。

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身体の自由を奪い拘束する権利を要する検察という機関があることで推定無罪に成ろう資格者についても逮捕し拘束出来ることが間違っている。検察審査会も「逮捕不当」「不起訴相当」の議決が出来るようにし、検察、警察、国税庁等国民に対して強制捜査が許される機関について同じ税金で飯を食っている裁判所にやらせるのではなく税金で飯を食っていない者も参入する審査会で評決すべきである。この様な法律を一刻も早く成立させるべきである。

ネット情報の反響は凄いですね。Googleで、森英介法相の指揮権発動を索引すると、5月22日平野貞夫氏爆弾発言に関する「小沢一郎・西松事件」の詳細が出てきます。また、日刊ゲンダイ5・22号掲載の記事もありますのでご覧下さい。   ところで、平野発言を受けた民主党「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」の、その後の対応はどうなっているのでしょうか。

 検察、裁判所、警察等の司法関係を監査する機関を独立で国会内に創るべきである。司法試験を合格することは必要であるが、他の司法機関との交流は一切無くして国民の代表機関である国会に所属し、議員に対してのみ説明責任を負う形にすれば良いのである。
 勿論、警視総監であろうが、検事総長であろうが彼らの不正に関しては逮捕、起訴する権利を持たせて国会内にて裁判をすれば国民も納得するはずである。

女の子とムフフなことができるとういことでしょうか?(*´ω`)ω http://hemn.me/bigsns/

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