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赤虎頭巾:タイについて(2)── タイの人々と日本の人々 ありとキリギリス

 広く平坦な国土と、灼熱の太陽、豊富な水という自然条件のタイ国は、「微笑みの国」と呼ばれる、タイを生み出したのですが、この条件はタイの人々の、我々北の国々の人間とはかなり異なる特徴も生み出したようです。

 我が社の顧客で、在タイ5年という、若い課長さんのところにお邪魔した際、「私は、5年いますが、最初の1年はタイが大好きになりました、しかし、本格的に仕事をしだした2年目からタイが大嫌いになりました」という話しが出ました。

 小生も、5年目ですが、お気持ちは分かりますので、その話に大分花が咲きました。

 内容は次ぎのようなものでした。

1)タイ人は、時間を守らない。
2)タイ人は、勉強しない。
3)タイ人は、厭なことが有るとすぐ会社を辞めてしまう。
4)タイ人は、タイ人同士で協調して仕事が出来ない。
5)タイ人は、仕事の決められた手順が守れない。

 勿論タイの人の中にも、勤勉で時間厳守、協調性に富み、仕事の手順がきちんと守れる人も居るのですが、確かに、上にあげたような観点から見ると、余り芳しくない人々が多いようです。

 何故そうなのか、小生は、前回に上げた「仏に愛された国」というタイの生存条件が、他の国とは違うところからきているのではないかと思います。

 タイも日本も、長らく農業の国として生存を確保してきたわけですが、その条件はえらく違います。

 先ず日本の農業には、四季が有り、時間が非常に重要な役割を果たします。田植え、種まきにしても、刈り取りにしても、何時でもいいというわけには行きません。
 四季の移り変わりにより、それを実行しなければならない時節は制限されます、ある期間の内に済ませなければ、一年の収穫はふいになり、寒い冬がくれば、収穫を得られなかった家族は場合によっては、死と向かい合わなければなりません。

 一方タイでは、その辺はルーズです、季節はありますが、日本の夏と冬の違いはなくいわば一年中が常夏の国で、今でも田舎に行くと、たわわに実った田んぼのとなりに、青々とした田植えがすんだばかりの田んぼが並んでいます。日本のような、時間厳守という、習慣がなかなか身につかないのも当然かと思います。

 勉強が嫌い、或いは勉強する習慣がないというのは、このようなルーズな生存条件からも来るのでしょうが、前回上げた、熱さということにもよるのかと思います。乾季は特に暑いのですが、とにかく一年中熱いので、一つのことを長時間考えるのは先ず無理です。

 人間は元々、ひとつのことを継続して考えられるのは15分までという話を聞いたことがありますが、タイでは恐らく5分間熟考することすら難しいのではないでしょうか、これではややこしい勉強ができるはずがありません。

 ちなみに、私の秘書は、一応高校卒業生なのですが、通分計算は出来ません。タイの高校卒業生の割合は、約13%で、タイでは高学歴です。また商工会議所大学の優等生の女の子に、損益計算書と対貸借対照表について質問したところ言葉自体を知りませんでした。

 協調性ですが、これも恐らくタイの農業の特性からきているのでしょう、日本では、コメ作りは単一の農家だけでできるものではなく、稲刈りにしても、田植えにしても制限された時間内に済ませなければならない作業、或いは、水の管理のための水路や貯水池の管理は共同作業です。隣近所で協調できない家族は、村八分となり生きていけません。

 タイの農業は、前述したとおり、時間の制限がありません。水は、放って措いても天から充分振ってきます。共同作業の必要性は、極めて低く、協調性がなくても生きていけないことはありません。どうしてもイヤになったら、村を飛び出て新しい田んぼを開拓すれば良いのです。日本と違って、山奥に行かなくても、人の居ない、耕作されていない平坦な土地がまだまだ十分あるのです。このことは、タイの人の会社が厭になったら直ぐ出て行く、という性格にも反映しているのでしょう。

 手順が守れない、というのも恐らく同じだと思います。日本の農業は、人口に比して極めて少ない土地を、大変な努力と工夫をしてぎりぎりまで生産性を上げるように使い込んできた農業です。細かい手順と、改良、改善を積み重ねて日本のコメ作りは面積あたりで今でもタイの3倍の収量を確保しています。そこでは、手順を覚え、手順を守るということが家族の生死に直結してきたのでしょう。

 一方タイでは、熱い中で、面倒な手順を考えるのも、覚えるのも大変です、とにかく楽をして過ごせればそれで良いわけで、上手くいかなかったら、別のところに行けば飯は食っていけるのです。

 タイの人の良く使う言葉に、マイペンライ、サバイサバイという言葉があります。マペンライはなにか問題が起こった際に使う、「大丈夫」という意味の言葉で、少々問題が起こっても、ほっぽらかして出て行けば何とかなるよという性格を反映しているようです。サバイ、サバイは、「気持ちにこだわりがなく、気分が良い」という意味です。深刻に物事を考えたり、面倒な問題に陥ったりしていない場合に使うことばですが、これは彼らにとっては最も重要な精神状態です。お金が儲かっても、気苦労するのは真っ平ごめんなのです。

 「一所懸命」、一生懸命の元々の言葉で、中世の武士が自己の領地を守ることに命を賭けたところから来た言葉と聞いたことがありますが、タイには一所懸命(一生懸命)に相当する言葉はないようです。

 日本人とタイ人を比較すると、ありとキリギリスの童話を思い出します。ただこのキリギリスには、寒い冬が来ず、一生歌って過ごせるところがえらい違いですが。

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日本のぐうたらぽんつく大学生達は、タイで農業生活をしたら、いいんじゃないでしょうかね。でも、このタイ便りは本当に面白い。続けて読ませてください。

九州の南国で育ったからでしょうか、湿度が高いあの夏のけだるい気候が大好きです。昔、梅雨といえば1週間も雨が降り続き、縁側からただぼんやりと飽きもせず外を眺めておりました。だからでしょうか、怠惰でのんびり屋でストレスに弱いです。

人は自然に囲まれて食べては寝の生活ができればHappyなのでしょうが、出稼ぎにきた都会では生き苦しく、、ア~田舎が恋しい、隣の神社の秋祭りを知らせるタイコのドンドンが、この季節に聞こえてきそうだ。

しかし、その古里も過疎化して昔の面影はないようだ。そんな田舎に誰がした?

そういうわけでタイは天国のように感じます。次回の第3回はどう展開するのでしょうか、ワクワク、、期待大です。

いや~考えさせられます。
交通が整備されいまや
田舎は、虫の息
わが町も町をあげて都市化に勤しんで
気がつけば何の魅力も無い町に・・・
平成の大合併で規模は大きくなっても
毎年人口は減り続けています。
何でこうなってしまったのか?
それはやはり
気軽に都市に行けるからでしょうね?
そうして、みんな町に出て行けば
田舎自体がなくなってしまうのは
当然です。

私も含め、個人主義という名のエゴが、こんな田舎にしてしまったのでしょうね。
そうしてみると、タイは自然と言う名の大きな壁が、防波堤の役割をしているのかもしれませんね?

しかし交通が発達してグローバル化は地球規模で起きています。

いつの日か、気がつけばタイも都市化というチキンレースにどっぷり浸かっているかもしれません

はたまた、独自の価値観で
グローバル化のマイナス面を克服して自然の恵みを享受した
未来を作り上げているのかもしれませんね?

>この移動距離の制限と思考時間の制限は、国内での経済交流の停滞、経済競争の不活発さを生み、発展の遅さと、人口増加率の低さを生んだのではないでしょうか

熱帯地域の労働意欲の継続の難しさはよく言われますが、実際厳しいでしょうねぇ。これはタイのみならず世界的にでしょう。個人的には真夏の猛暑は大嫌いですし、本当にうんざりして何もしたくなくなり、どっかへ逃げ出したくなる・・・(笑)子供の頃から苦手で北の方で住みたいと真剣に考えていたり・・・。

環境は個人へも民族へも強く影響しますからね。それと地理的条件と天災の度合いで、特に昔は多くの事が決まってしまってたんでしょう・・・。世界的に産業が発達し、屋内でも出来る仕事が多くなったのは、熱い地域にとっては福音では。パソコンなんてほんと従来考えられなかった方面で、途上国や熱帯地域の役に立つと思います。フィリピンでもIT系が伸びてると聞きます。

マンペンライは非常に有名ですね、ルクトゥーンの節回しや手を合わせての挨拶など、おっとりした民族的気質が端々から滲み出てるような(笑)

例に漏れずタイでも日本文化は人気で、女子高生はセーラー服着用という学校が増えているそうです。人気アイドルグループの名前はKamikaze、心理的に近いんでしょう。

内政は長らく政治不安が続いてますね。もう彼らは慣れっこだそうですが。あまりにいつもデモや首相障解任や政党の離合集散をやってるので、こちらも慣れっこに・・・。嘗ては東南アジアではシンガポールを除いては、一番経済優等生でしたが、地域全体が活性化してるので埋没しつつある感じです。いい加減混乱もストップしないと、長期的影響が出てくるでしょう。プミポン国王の健康状態もニュースになっており、数年はまだ混乱が続きそうな感じです。

しかし埋没とは言っても地域の発展が著しいので、タイもアジア以外に比べたら成長率は高いですね。東南アジア全般へですが日本企業の進出が続いてます。製造業の海外進出や輸出先としては当然ですが、内需企業もかなり進出している。内需から外需へ一気に拡大している農機具は特に売れてるそうで、クボタは13年度に1800億円の売り上げを目指してると、凄いですね。ここに来て一気に農業革命の様な物が起きて来ているのででしょう。

農機具は日本が圧倒的に高性能で、後はコピー品の中国が続くといった程度で、中国へも含め売り上げ拡大が非常に多いそうです。Youtubeで農機具のビデオが幾つもありますが、東南アジア、特にタイの視聴数が多いです(笑)日本がこれから強く連帯すべきは東南アジアだと考えていて、成長も著しいし、もっと交流が増えてほしい物です。

クボタ、13年末めどタイの農機販社100社に
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0120091030bcac.html

「我々北半球の人間とはかなり異なる特徴も生み出したようです」とありますが、タイも北半球にあるので、どういうことを意味しているのでしょうか。

sumitaka さま

 小生のミスです、お詫びして「北の国々の人間」と訂正させていただきます。
 ご指摘ありがとうございました。

赤虎頭巾さま
細かい指摘ですみません。でも、あなたの報告が、北海道に住む私としてはとても新鮮に読ませていただいていたので、あえてさせていただきました。ところで、今朝私の家の裏の公園はうっすらと雪化粧です。タイの常夏と比べると、ここ北海道は常に秋冬かも知れませんね。時間の流れに任せて生きているようなタイの人たち(悪い意味ではありません)を思うと、そんな文化もあるのかと、ゴーギャンが晩年南国(タイではなくタヒチ)へ移住した意味を改めて考えて見たくなりました。続き楽しみです。

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