Calendar

2009年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

« 元株や:報道機関の劣化
メイン
赤虎頭巾:タイについて(6)── タイの歴史2 スコ-タイ王朝 »

赤虎頭巾:タイについて(5)── タイの歴史1 タイ国の成立まで

──────────────────
【読者投稿募集中!】
──────────────────

 東南アジアはジャワ原人の発祥の地であり、人類の居住地としては50万年前にさかのぼると言われています。

 インドシナ半島では、BC2000年~3000年頃のバーンチェン(タイ東北部の遺跡)で、既に、稲作、養豚が行われ、ガラスや、青銅器、土器などが使用されていたようで、恐らく現在のタイのテリトリーとなっている、インドシナ半島の中部地域には、そのころから人々が居住、生活していたものと思われます。

 その時点での東南アジアは、中国、インド、エジプト等の古代文明とそれほど差の無い段階にあったのでしょうが、これらの文明がそれぞれ急速に発達し、BC2000-1000年ごろには巨大な王朝を生み出し、文字をつかい、部族単位を越えた国家を形成していったのに対し、この地域の変化は緩やかだったようです。

 インドシナ半島で最も早く、国らしきものが出来たのは、紀元前6世紀、ベトナムの紅河流域のデルタ地帯で、青銅器の文化を持つ文郎国とされています。

 しかし、この国については全く資料が残っておらず、その後3世紀末の中国秦王朝の支配を跳ね除けて前207年?に同じくベトナムのこの地域にできた南越国が最初ともされています。

 ベトナムには、その後いくつかの王朝が興亡しますがその歴史は、次々に来襲する、中国の諸王朝更には植民地帝国フランス、冷戦下での米国との独立をめぐる戦いの連続です。

 カンボジアは、インドと中国の2大文明を結ぶ海の道の中間にあり、比較的早く紀元前1世紀頃、ベトナム南部からカンボジア南部のメコンデルタの地域に扶南という王国が成立したようです。
 6世紀ごろ扶南を滅ぼして、メコン川沿いに勢力を伸ばした真臘は、クメール人の国として、クメール文字を用い、現在のカンボジアの国の起源とされています。
 その後真臘は、北と南に分裂して弱体化し、8世紀ごろ滅ぼされてインドネシアのジャワ王国の支配下に入りますが、9世紀には、ジャワ王国を排除して、クメール帝国の基礎となるアンコール王朝が立てられます。
 この王朝は12世紀初頭には、現在のカンボジア全土、ベトナムの南部、タイの東北部、中部、南部に及ぶ、アンコールワットを王都とする大クメール帝国を作り上げています。

 ミャンマーは、古くからモン族、或いはピュー族が住み着き都市国家、部族国家を形成していたようですが、国の成立は遅れて、7世紀ごろに、北部にピュー族による驃国という国が出来ています。
 しかしこの国は、8世紀ごろ中国の南西部(今の雲南地方)に起こった、チベット・ビルマ語族の南詔国に9世紀には滅ぼされ、モン族、ピュー族はタイ方面に逃れ、無人となったイラワジ川平野にビルマ族が住み着きビルマ人の王朝であるパガン王国が成立します。

 マレーシアは、長く、海を越えた、スマトラ島のシュリービジャヤ王国(3世紀-14世紀)の支配を受けており、現在のインドネシア半島南部に、独立した王国が成立するのは、1402年のマラッカ王国のようです。

 国が生まれる条件は何か、国家論の最初に来るテーマで、プラトンや、エンゲルス、ホッブス、カール・ドィッチェなどにより様々に論じられていますが、インドネシア半島の中部の地域(現在のタイ国の地域)については、前述したように、人々の居住と生活はかなり古くから始まっていたにもかかわらず、独自のこの地域の人々自身による歴史に残るような広域的な国家は、最後まで成立していません。

 タイについて(1)、(2)で見たような、広い平坦な国土、豊かな水、年間を通しての強烈な太陽光、人の移動距離と思考活動を制限する酷熱という自然条件の下で、部族社会の段階を超えて人々がある程度の領域を支配する国の成立に必要な、いくつかの条件が満たされなかったのではないでしょうか。

 例えば、治山、治水の協同作業の実施による人々の間の協調性の発達。自然条件の変化に応じて発生する剰余生産物或いは生産物の偏在に応じた商業、交通の発達。あるいは、それらの相互に関係を取り結ぶことから発生する利害関係を調整するための法規範の成立。侵攻・支配を含めた他部族との接触、交流。

 キリギリスであるタイ地域の人々は、原初的な部族社会或いは、都市国家の段階に長くとどまり、独自の言語、法律、広域の国土と、軍隊、政府を持つ国へと展開することは無かったようです。先行して国を形成した、カンボジアのクメール人のクメール帝国(タイ中部から東部、東北部)、ミャンマーからのモン族が形成したハリプンチャイ王国(タイ北部)、マレーシアを形成するマレー人によるランカスカ王国(タイ南部、マレーシア北部)、6世紀ごろ中国南部の雲南省あたりから移動してきたと言われているタイ族などと混住し、支配を受け、同化しながら、のどかに暮らしていたのではないでしょうか。

 現在のタイでは、タイ国の始まりは、AD1238年スコータイで、クメールの大君主を倒して創設したスコータイ王国とされていますが、この中心となったのは、上述の中国から移住してきたとされるタイ族の指導者であり、この地域の先住者ではありません。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/6295

コメント (4)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

しろうと考えですが、タイのような豊かな土地では、国が支配しようとしても、被支配者が支配地域から逃げてしまう、ということが簡単に起こりそうです。

支配のコストの方が支配の収益よりも大きかったとしたら、国家が誕生するのは難しいのではないでしょうか。

うさきち様
 コメント有難うございます。
 仰るとおり、大きなポイントだと思います。タイの農業の場合、日本のような田作り(農閑期に、山から、枯葉を集め、草を切ってきて、人と動物の排泄物を混ぜて堆肥を作り、田を掘り返して埋め、土地に力をつける)の必要性がありません、雨季になれば、栄養分をたっぷり含んだ水が流れてきて、田に力を取り戻してくれます。
 従って、生産手段に投資をしないわけですから、厭になったらさっさと別のところに行けばいい訳です。
 移動に対して、国が罰則を科するのは、時代が下がり(アユタヤ王朝)、サクディナー(タイ版の封建制)の制度ができてからのようです。

赤虎頭巾様

若い頃はバックパックを背負って、さんざんコ・サムイに通いましたが、今は仕事でたまにバンコクを訪れるだけ。
仕事での滞在ですので、あの気温の中で体力を温存しなければならない為、行動範囲はスクムビット辺りの、所謂、外国人向けに整った場所しか知らない私ですので、こんな長編の「生のタイ情報」を、思わぬここで知ることが出来、本当に面白く読ませて頂いています。

胸の前で手を合わせ「コックンカー」と微笑み合うタイ社会を見ていると、本当にのどかに時が流れたんだなぁと思います。あの挨拶は本当にいいですね。
部族間の多少の問題はあったとはいえ、あんなたおやかな人達の住む彼等の地に、インドシナ紛争の様な出来事が現実にあった事が信じられません。

話は記事から逸れますが、赤虎頭巾さんの他のコラムへの投稿も読ませて頂いていると、私も幸い機会あって海外滞在経験が多いのでよく判るのですが、「国家って一体何だろう?」と、考える時間が増えますよね。
例えばアラビア半島やアフリカ大陸に見られる無造作な「直線」の国境線が、ものすごく醜く、且つ、乱暴に見えてきます。  

「サワディーカー」と笑顔で迎え入れてくれるタイの人達に見習いたい事が本当に多くあります。

色々話が逸れまくりましたが、またお話楽しみにしています。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

日本語の「ヨロン」という言葉には「世論」と「輿論」という2種類の漢字があります。実は、この2つの言葉は大きく意味が異なっていて、「世論(セロンとも読みます)」とは「感情的な世間の空気」のことで、「輿論」とは「議論を積み重ねてできあがった公的意見」のことを指します。《よろんず》が目指すものは後者の「ヨロン=輿論」をつくることであり、そのために、《よろんず》では情報のプロ・アマに関係なく自由闊達に議論を交わすための場所を提供します。メディアの調査で発表される「ヨロン=世論」とは違う真の「ヨロン」をつくるため、執筆者・出演者・読者のみなさんに、この新しい“知の共有空間”に参加いただけるよう呼びかけます。

読者投稿募集中!
↓ ↓ ↓
《よろんず》への投稿はコチラから

必ずお読みください!
↓ ↓ ↓
コメント投稿についてのお願い

BookMarks

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.