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赤虎頭巾:タイについて(4)── タイの日本食

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 振り返れば、16年ほど前のことですが、当時務めていた会社の人事で希望を海外勤務と出しましたら、なんとOKが出てタイに赴任となりました。
 学校を卒業して会社に入り20年近くたっていたのですが、国内一本、それも殆ど本社の間接部門で仕事をしていましたので、海外についての経験は出張で行った欧米を除いては全く無く、タイと言われても、ベトナムの近くだなと言う程度の認識しか有りませんでした。
英語も、卒業以来、読むことも、書くことも、ましてや話すことも聞くことも殆ど無くあわてて語学の学校に通って準備するというような状態で、ばたばたとタイに着きました。

 ついた時の印象としては、飛行機の窓から見た、広い田んぼが何処までも広がっていたことなどしか残っていませんが、着任後、事務所のあるビルで結成されていた日本企業の会の宴席での話は今でも時々思い出します。

 丁度各社人事の入れ替わりの時期で、歓送迎会をかねてという趣旨で開かれた席だったのですが、在タイ10年という方から、次のような話を聞きました。「○○さん、タイでは帰国の発令が来ると、赤紙=召集令状が来たと言うんですよ、ほかの国では日本に帰れると言うことでみんな喜ぶんですが、この国ではおおっぴらではありませんが、大方の人が泣くんです。能力のある人は、会社を辞めてこちらで就職する人も一杯います。」

 私の場合は、3年後の発令で、日本に帰りましたが、確かに帰らず、タイで起業する人、他の日系企業或いは、タイの企業に就職する人が沢山いました。

 それはさておき、当時のタイは、97年の通貨危機の前で、毎年前年比10%アップの経済成長の真っ只中、私の仕事も一通りのことをやっておけば、毎年売上20%増と好調でした。
 プライベートの時間は、ゴルフを楽しみ、夜になればタイのクラブで、日本の居酒屋並みのお値段で
 お酒を飲んで、銀座の女性に負けず劣らずの美しいお姉さん方にタイ語を教わり、会社勤めをして初めて良い思いをさせていただいたわけですが、一点だけ日本が恋しくなることがありました。

 それは食べ物です。勿論、郷に行っては郷に従えで、タイの地元料理を食べている分には何の不満もありません。
 タイスキという鍋料理、海老、蟹をふんだんに使った海鮮料理、さらに豊富で新鮮な野菜と質の高い豚肉、鶏肉を使うタイ料理どれも、極めて結構な美味しさでした。
 また、通り沿いにいたるところにある屋台もしくはオープンエヤーのレストランで食べる、タイラーメン、台風カツどんともいうべき豚足を甘く煮込んでご飯に乗せて食べるカオカムー、蒸した鶏肉を辛味の聞いたソースをかけて同じくご飯に乗せて食べるカオマンカイなどもなかなかいけました。

 味付けに使う唐辛子の辛さと、食中りよけに使うと言うパクチー(コリアンダー)の匂いが駄目な人には、いささかつらいものがあるのですが、私は最初からさほどの抵抗感はありませんでした。

 そんな中で、参ったのは、時に食べたくなる日本食でした。当時のタイ在住の日本人は、たしか住居届けを出している人が約1万7千人、住居届けを出していない長期滞在者を含めると約3万人というレベルで、日本食レストランも大小合わせて2百軒ほどありました。殆どが、日本人が集中して住んでいた、シーロム、スクンビット界隈に有りましたのでお店には不自由はしなかったのですが、問題は食材です。

 目の玉が飛び出るほど高い、一流ホテルの日本食レストランに行けば、肉も魚も、持ち込みの食材があり全く日本と同様でしたが、一般の定食5百円程度の日本レストランではそうは行きません。

 まずお米ですが、当時日本米は輸入禁止で、またその価格ではとても使えません、タイ米を一日水に浸してやわらかく炊き、出してくれるのですが、ご飯とおかずを別々に食べる日本食では美味しさが半減です。

 豚肉、鶏肉、海老、蟹の類は既に相当量日本に輸出していましたので、日本のものと遜色ない材料があり味もOKでしたが、折角のしょうが焼き定食がご飯で台無しでした。 
 特にどうにもならないのは、魚を中心に使う、刺身と寿司です。日本在住当時は基本的に肉食で、刺身、寿司の類を好んで食べると言うことは無かったのですが、在タイ3年でくるりと変わり、帰った当初は、回転寿司の常連となりました。

 果物については、ご存知の果物の女王マンゴスチン、果物の王様ドリアン(これは、日本の方には匂いが不評ですが、タイの人は市場に赴き売り子さんに選別してもらい、食べごろのものを買います。持ち帰って言われた日付で硬い、棘だらけの皮を剥いてすぐ食べるのですが、あの独特の匂いはしません)、をはじめ、多種多様にあったのですが、残念ながら、林檎と梨についてはどちらも日本の戦後すぐのレベルで石のように硬いものしか在りませんでした。

 更に桃も全く駄目で、当時お付き合いした、タイ人のお金持ちは年に一回東京に旅行し、帝国ホテルに止まり、千疋屋で桃を買って食べるのが楽しみと言っていましたが、そうだろうなというレベルのものでした。

 今回5年前に、再度タイに来て一番驚いたのは、日本食の変化でした。前回は、日本食屋は、一定の地域に限られていたのですが、今回は、バンコク以外の地方でも、大手スーパー内には日本資本とタイ資本の日本食のレストランチェーンが展開し鎬を削っていました。

 前回は、お客は殆ど日本人もしくは日本人と連れ立ったタイ人でしたが、今回は殆どがタイ人客で日本人は一握り、更に、欧米人も多数見かけるという状態です。

 売れ筋は、タイの人は、豚肉、鶏肉の料理が多いのですが、日本人は殆どが、刺身、寿司系です。

 米は、正真正銘の日本米で、聞いたところによると、気温が比較的に下がるタイの北部で日本の農家の方が、ササニシキを栽培されており、寿司米もひろまっているとのことでした。 

 魚については、前回と違い、蟹、海老に合わせて、鯖、鯛の現地産と、鮪、鮭の輸入物という刺身、寿司に十分対応できる食材で組み立てられており、一寸種類は少ないのですが満足できる水準のものとなっていました。

 更に果物については、林檎、梨のレベルが大幅に上がっており、柿なども充分日本で通用するレベルのものが売られていました。

 現在の、タイの長期滞在日本人は今回の不況前で約7万人、現在は2万人ほど日本に帰国命令が出て約5万人と言われています。

 これらの人々の需要にこたえるだけではなく、日本の高い食のレベルが、タイの農業にも浸透し、タイの人々の食生活を変えつつあるのでしょう。

 小生も、今回は、ホームシックにかかることなく長期滞在を楽しめるかと思っております。

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<赤虎頭巾様>
いつも楽しいタイのお話ありがとうございます。
私がタイを訪問した時、東急ストアの一階にあるこジャレたレストランでパスタを食べた時の事です。スパゲティが良く茹でグズグスだったのはご愛嬌なですが、問題はパスタに万遍なく絡まったみじん切りの葉物野菜でした。
日本なら当然バジルなのですが、それはパクチーだったのです(涙)
私も少量のパクチーは全然大丈夫なのですが、「みじん切りで万遍なく」ですので、パスタ全体がパクチー味・・・(笑)
そういえば、日本もバジルが一般的ではなかった時代には、紫蘇が使われていた記憶があり、タイの食については発展途上なのだと理解しました。
留学している友人の為、タイの日本料理店に繰り出し、ご馳走したのですが、目が飛び出る位、高かったと記憶しています。
つらつらと、くだらない書き込みをしてすみません。
また、楽しいタイ情報をお待ちしています。

こと恵美様
 何時も、示唆に富んだコメント有難う御座います。
 タイを訪問されたのは、かなり昔のことだと思います。
 15年程前は、ご指摘のとおりで、スパゲッティは食べられたものではありませんでした。 しかし現在では、一変しています。しっかりしたアルデンテのスパゲッティが大方のレストランで提供されています。
 バジルについてはチェックしたことがありませんが、少なくともパックチーをまぶすというのは見かけません。
 日本料理店も、ご紹介したとおりで、特上の寿司定食が600円程度で提供されています(タイの人にとっては、通常の屋台で食べる食事の7食分ですが)。

 グローバル化により、食材も、コックの調理法も、急速に国際レベルに近づきつつあるな、というのが小生の感想です。
 この意味は、国などというややこしくて無意味なものがなくなれば、人々の居住と移動の自由が、実生活のレベルでは、担保されつつあるということではないでしょうか。
 

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