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2012年7月24日

星英雄:オスプレイ配備でアメリカは日本を守るのか 野田政権の倒錯

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 アメリカは「日米安保条約上の権利」を振りかざして、垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄への配備を強行する構えだ。野田佳彦首相は「米政府の方針にどうのこうの言う話ではない」と、アメリカに追従して受け入れる。しかし、考えてみてほしい。アメリカが日本に基地を置き米軍を配備できるのは、「日本防衛」の義務を果たすことが条件のはず。だが、アメリカは日米安保条約の根幹をなす「日本防衛」の義務を果たさない、と森本敏防衛大臣はかねてから公言してきている。
 3月下旬、東京・秋葉原で防衛省主催による日米同盟に関するシンポジウムがあった。長島昭久・野田首相補佐官がアメリカの新国防戦略指針について講演し、アメリカと日本の安全保障問題専門家4人のパネリストが討論した。見逃せない場面はシンポジウムの終盤に訪れた。
 「アメリカは日米安保条約でどれほどの義務感を日本に感じているのか」。シンポジウム会場内から、鋭い質問が出た。日米安保条約に基づいて、いざというときアメリカは「日本防衛の義務」を遂行するのかという問いである。

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2012年4月27日

佐藤優:裁判で明らかになった特捜部の「デートバック」疑惑

 作家の佐藤優氏は27日、小沢一郎民主党代表の無罪判決を受けて都内で自由報道協会主催の記者会見を行った。佐藤氏は、公判の過程で明らかになった田代政弘検事による捜査報告書偽装問題について、偶発的な事故のか組織的な改ざんだったのかについて解明すべきと述べた。会見の冒頭で語った内容は下記の通り。

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佐藤優氏(作家)
(※下記の記事は記者会見の内容を編集部が再構成したものです)

 佐藤優です。雨の中、足を運んでいただき感謝します。昨日の小沢さんの無罪判決なんですけれども、これ、面白いですよね。鈴木宗男さんの有罪が確定して収監が決まった時、テレビで放送された街の声はだいたい半々ぐらいでしたよね。新聞の論調も両論併記でした。ところが、今回は小沢さんは無罪であるにもかかわらず、朝日、読売、毎日、日経、産経の社説はいずれも非常に厳しい社説を立てています。

 ただ、ここでちょっと違う社説を一つ見つけました。私がいろいろしゃべるよりも、こういう社説があるということで、読み上げたいと思います。沖縄の琉球新報の社説です。


■「小沢判決/検察の「闇」が裁かれた 全面可視化しか道はない」

 裁かれたのは検察の深い闇だ。そう受け止めざるを得ない。政治資金規正法違反罪で強制起訴された小沢一郎民主党元代表への判決で、東京地裁は無罪を言い渡し、検察の手法を厳しく批判した。

 供述を検察が「ねつ造」したことが明らかになったからだ。大阪地検の証拠改ざんもあった。断罪されたのは検察の体質そのものと言える。もはや検察の調書は信頼できない。取り調べを全面可視化するほか信頼回復の道はない、と法務当局は認識すべきだ。

 今回、「ねつ造」された供述はそのまま検察審査会に送られ、強制起訴の根拠になった。検察審査会の在り方も議論すべきだろう。

(※編集部注:引用ここまで。続きは下記URLからお読みください)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-190529-storytopic-11.html


 こういう社説をたてているわけで、記事もこの社論にのっとった組立になるわけです。だから、沖縄に行って日常的に沖縄の県紙を読んでいる人たちと話をすると、ベースがここなので本質的な議論ができるんです。

 たとえば、こんな議論ができます。

 田代検事は(偽造された捜査報告書について)記憶が混同したと言っています。混同した原因として、石川さんの著書を読んだことを理由の一つとしてあげています。この捜査報告書は5月につくられています。ところが、石川さんの著書は8月に出てるんです。G2に魚住昭さんが書いた論考に石川さんの手記が出てるんですが、これが6月なんです。そうすると、(田代検事は捜査報告書を)5月の取り調べから数日以内につくったと説明していますが、ありえないことになるわけです。

 昨日、新党大地・真民主の勉強会で魚住昭さんが説明していましが、「デートバック疑惑」(※報告書作成の日付を偽造すること)が出てくるわけです。捜査報告書自体が、実は5月につくられたものではなく、それ以降につくられたものであってデートバックしているのではないか。こうなると、また深刻な話です。

 ですので、今回の小沢判決で、これが政局になるかどうかというのは本質からずれていて、むしろ問題は捜査報告書には虚偽があった。違法で不正なことが行われたことについて、それをどういう風に是正するのか。なぜこれが起きたのか。これは一人の検事の偶発的な事態なのか。それとも組織的な関与があるものなのか。この辺を明らかにすることだと思うんです。

 それから、今回の判決要旨を読みましたら、私は良識が働いた判決だと思います。というのは、「無罪推定の原則」「疑わしきは被告人の利益に」というのは、民主主義社会を守る最期の砦なんです。この良識も今の世の中では守れないことが多いのですが、"そこを守った"という一点での良識です。

 ただ、内容については、私が理解している限りにおいては事実と相当違うのではないか。"秘書たちの犯罪"というのが前提で、小沢さんの関与を切っている。ようするに(判決要旨は)共謀を切っているというだけの話で、判決自体は問題がある。

 しかし、司法というのは「まあ、そんなものだな」ということで、別に驚きもしないです。問題は、本件をきっかけとして日本の民主主義をどうやって強化していけるのか。あるいは民主主義的な秩序というのがどんどん崩れていくのを、どうやって阻止するか。そのあたりに置くべきでないかと思います。

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2012年4月26日

新しい政策研究会:陸山会事件は捜査当局の犯罪

民主党の小沢一郎元代表が会長をつとめる「新しい政策研究会」は26日、小沢氏の無罪判決を受け「我が国の検察・司法そのものの在り方について根本から検証し、必要な改革を断行するべき」との声明を発表した。詳細は下記の通り。

■新しい政策研究会ホームページ
http://www.shinseiken.jp/index.html

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鳩山由紀夫:小沢一郎は日本に不可欠な政治家

民主党の鳩山由紀夫元首相は26日、小沢一郎民主党元代表に無罪判決が出たことを受けて記者団からのぶら下がり会見に応じ、「日本の政治にとって不可欠な政治家」と述べた。コメントの詳細は下記の通り。

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鳩山由紀夫氏(元総理大臣)

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2011年5月21日

菅野芳秀:都会の植民地ではなく、循環型自給圏の形成を

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 どのような原発肯定の意見も、未来世代に放射性廃棄物を押し付けることには目をつぶっている。
 どのような原発肯定の意見も我が地元にそのリスクを引き受けようとは言わない。そのように働きかけようとも言わない。
 いずれも果実のうまさ、必要性、不可避性を語るがそのリスクを引き受けるとは言わない。その果実ゆえに、ひとえにリスクを負わせられている地域がある。負うことになる世代がある。環境への取り組みの原動力は他者と未来(世代)への想像力・共感ではなかったか。

 東北の地に住む"百姓"として、これほど重い気持ちで種を播く春は、経験したことがない。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故は広い範囲で自然資源を汚し、甚大な風評被害をもたらしている。この原発事故は、まちがいなく避けることができた人災だ。自然を基盤とする農民や漁民の痛手は計り知れず、汚染はこの先何年続くか検討もつかない。同じ農民として心が痛む。まず因果関係がはっきりしている以上、東電とその原発を容認してきた国が、被災したすべての野菜、家畜、魚を速やかに買い取るべきだ。その上での補償であって、どのような意味でもこれ以上生産者に負担を負わせてはならない。地方に建設された原発は、地方の貧しさに付け入った政治の醜い姿をあらわしている。その上での今回の放射能被害。地方は息の根が止められる事態に追い込まれている。

 先日「朝まで生テレビ」で東京都の副知事は「原発を都心からもっと遠くにもって行く必要があった。それが失敗だ」と話していた。
 原発が必要だという人たちに共通しているのはその果実だけを求め、生まれるリスクを遠く離れた地方に押し付けようとすることだ。今もなお必要というならば自分の暮らしの場に原発を誘致するよう働きかけるべきだ。さらに放射線の汚染水も小分けしてそれぞれの地元や企業、家庭で引き受けるべきだろう。そのように働きかけとセットにして原発必要論を語るならば認めよう。果実とリスクを併せ呑むよう足元を説得してみればいい。それ以外のどのような必要論も詭弁である。地方を利用しようとするな。地方は都会に奉仕する家来ではない。
 同じような都会中心の考え方は菅政権の復興計画にも出てきている。東北地方を新たな「食糧供給基地」と位置づけ、津波被害を受けた各地の農地を集約して大規模化を進めるよう国会に提出するという。あくまでも都会に供給する地方という位置づけだ。しかしその被災地は八郎潟などと違い人々の暮らしを刻んできた場だ。何よりも大切なのはそこに住んでいた方々の立ち上がりではないのか。

 以前あった地域コミュニティを活かす計画をつくらないと、住んでいる人が立ち上がっていけないというのがこれまでの災害の教訓である。「食料供給基地」の前に現地の方々の意見を充分に聞きながら、それらを活かす復興計画こそが必要なのではないのか。生産より生存、生活だ。地方は都会の植民地ではない。
 都会の家来でなく、植民地でもなく、エネルギーから食料まで、小さくてもしっかり地域に根を下ろした自給圏の形成を目指す。農業を基礎にした脱原発、脱成長の循環型社会を目指すこと。
その余剰を他の地域に回す。地方も都会もなく、一様に自立する。日本の社会をこのように構成しなおすことが求められている。

 「3・11」以後、少なくとも意識レベルでは生き方、暮らし方を変えようと考える人たちも多くなっていると聞く。不幸な中にも希望はある。この機を逃すことなく、エネルギー政策も食糧政策も新しく組み替えることが大事ではないかと思う。

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2011年3月14日

東日本大震災 参考情報一覧

 ※このページは新情報が入り次第、随時更新します(3/14 14:38 Updated)

 東日本大震災を受け、インターネットではたくさんの情報が発信されていますので、まとめページをつくります。読者の方でも有益な情報ページがありましたらコメント欄にてご連絡下さい。

 また、被災された方からの現地情報も受け付けます。情報発信する余裕のある方だけでかまいませんので、こちらもコメント欄にて状況をお伝え下さい。

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2011年2月18日

天明伸浩:ムラからのTPP反対論──まず百姓が声をあげるぞ

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TPP問題が農村を直撃している。

「農業保護のために日本がたち行かなくなってもいいのか」マスコミから聞こえてくる言葉に、農家もたじろいでいる。

 「TPPを受け入れて、農業を強くするべきだ」「TPPに参加せずに国力が落ちたら農家もやっていけない」という言葉が、村の中でさえ発せられることもある。若い元気のいい農家からは「TPPが来ても自分の農場はしっかりとした経営基盤があるから大丈夫」「農産物を輸出しているからTPP賛成」と威勢のいい発言を聞くことも度々だ。財界やマスコミによって洪水のように流されるTPP推進論の前に、大きな声で反対を唱えることをためらう雰囲気が、農村に広がっている。

◆農業は、先頭を切って海外と戦い続けてきた

 戦後農業は不足する食料の増産を第一の目標にスタートした。朝鮮戦争の特需から経済的に立ち直った日本は、工業製品を輸出するのと引き替えに農産物の輸入量を増大させた。
 農村に大きな影響を与えたのは昭和36年に制定された農業基本法による選択的規模拡大だ。都会に若者を送り出し、村でも金になる作物を推奨され、大豆や小麦は駆逐され、アメリカからの輸入が増大。そして昭和45年からの減反は米増産に励んできた村に大きな衝撃を与えた。米が余る時代が来ると、米の値段は低迷するようになった。平成に入ると牛肉やオレンジも自由化されて国内の生産量は大きく減少。その頃から東南アジアや中国の低賃金労働者によって栽培された野菜の輸入も増えた。
 原住民を追い出した大平原で作られる農産物。日本人の労賃を遙かにしのぐ安さで働く人々によって作られる野菜。低コストの海外の農業との戦いを強いられ続けながらも、日本の村で踏ん張り、百姓は田や畑を守り続けていると言える。日本の山野が美しいのはそんな百姓の働きがあったからだ。

 財界は円高が進み日本の製造業地としての条件が悪化すると、安い労働力や土地を求めて海外に工場を移転した。移転しない企業では、終身雇用から派遣労働へと労働条件を悪化させ、労賃を下げた中で人を働かせている。
 賃金は増えず、労働条件は悪化、職場が減り、同業者も減っていく。昭和30年頃から農業者が体験してきた悲哀を、今では労働者も味わうことになったのである。

◆自由貿易は、民主主義を破壊する 

 ソ連の崩壊や、アメリカの凋落を予想したフランスの学者・エマニュエル・トッド氏は著書の中で「自由貿易は不平等、格差を増大させ、非常に優遇された超富裕層が社会を支配して、民主主義を崩壊させる」「この状況下で問題を解決するのは、協調的な保護主義である」と述べている。

 この10年、新自由主義での自由貿易や規制緩和策で社会の安定感は大きく壊された。特に地方はひどいことになっている。まだ県庁所在地はましだが、それよりも小さな地方都市はなすすべもなく活力が低下している。実際、私が暮らす上越市の山間地では農協の支店、ガソリンスタンドが閉店され、保育園や小学校などの公的な施設の閉鎖が続いている。子どもを育てたり買い物をする、当たり前の暮らしを営むことが難しくなった。 
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妻・香織さんと3人の子どもと住む川谷地区は全人口21人、平均年齢70歳以上の集落。毎年3メートルの雪が降る豪雪地帯だ

 各面で格差が増大している日本において、TPPは民主主義を破壊する最後の一撃を加えるのではないだろうか。
 トッド氏の「自由貿易は、民主主義を滅ぼす」、「デモクラシー以後―協調的「保護主義」の提唱」などはぜひ多くの人に読んでもらいたい著書だ。

◆農業の崩壊だけでは済まされない

 TPP問題で百姓を血祭りに上げ、ムラで生きることを否定すれば、同じことがマチで暮らしている多くの人にも襲いかかるだろう。
 かつては変化がゆっくりでタイムラグがあった。しかし、今はムラで暮らせなくなると同時に、マチでも暮らせなくなるのではないだろうか。TPPでは医療や金融などあらゆる面での市場開放が義務づけられている。私たちが作り上げてきた社会の安全網を破壊し尽くされ、労賃が下がり続けたときに、どんな暮らしが私たちを待ち受けているのだろうか。
 
◆まずは百姓がこえをあげるぞ!

 これまで自由化によって破壊し続けられる先頭を切ってきた百姓も、今回ばかりはおとなしく滅んでいくわけには行かない。百姓だけでなく、その後ろにはマチで暮らす多くの人たちも、続けて生活を壊されていくことがいよいよ明らかになってきたからだ。
 TPP問題は「自由貿易によって破壊される生活者」vs「新自由主義者」の戦いであり。この戦いに負けると民主主義すら破壊されかねない。その最前線に私たち百姓が立たされている。 
 全国の百姓と共にTPP反対の決起集会を企画した。

 まずは百姓が大きな声を上げ、賛同してもらえる仲間と手を取り合いながら大きな運動に発展させていければと思っている。中野剛志先生の話を聞き、全国から手弁当で集まる百姓の熱い思いをぜひ一緒に感じてください。

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【お知らせ】
当たり前に生きたい、ムラでもマチでも TPPでは生きられない!座談会
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日時:2月26日(土)午後1時から
場所:東京千代田区神田駿河台、明治大学リバティータワー2階 1021教室
参加費:500円
内容:中野剛志・京都大学助教授の基調講演、韓国農民の報告、参加者の3分間スピーチ、キャンドルデモなどが予定されている。

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2011年2月 2日

菅野芳秀:TPP ちょっと考えて...土の話

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 TPPについてはすでに多くの視点から論じられている。私はここで、同じことを繰り返すよりも、その方々の論を踏まえながら、主に土に限定して書きたいと思う。

 長年、百姓してきてつくづく思うことは、「土はいのちのみなもと」ということだ。土を喰う。そう、私たちはお米や野菜を食べながら、それらの味と香りにのせてその育った所の土を喰っている。私たちはさながら土の化身だ。もしその土が汚れた土ならば作物も汚れ、食べる私達も汚れていく。もしその土が疲弊した土ならば作物のもつ生命力は弱く、それを食べる私達の生命力、免疫力も弱くならざるを得ない。「土はいのちのみなもと」なのだ。多くの農民にとっては今さらということなのだろうが。

 作物は言うまでもなく土の産物であり、その育った場所の土の影響を全面的に受け、その汚れはそのまま作物の汚れにつながっていかざるを得ない。山形県でキュウリの中からおよそ40年前に使用禁止となった農薬の成分が出て問題になったことがあった。40年経っても土の中に分解されずにあったのだろう。そこにキュウリの苗が植えられ、実がつき、ふくらんで汚染されたキュウリができてしまった。隣の市ではかつてお米からカドニュウムがでたこともあった。つまり、作物は土から養分や水分だけでなく、化学物質から重金属まで、いい物、悪い物を問わずさまざまなものを吸い込み、実や茎や葉に蓄えるということだ。それらは洗ったって、皮をむいたってどうなるものではない。何しろ身ぐるみ、丸ごと溶け込んでいるのだから始末が悪い。土の汚染はそのまま食べる者の汚染につながっていく。

 一方、土の力の衰えは作物を通して食べる者の生命力免疫力に影響を与えていく。作物の中のビタミンやミネラルなどの養分をみてみよう。「食品成分表」(女子栄養大学出版部)によって1954年と、約50年後の2000年のピーマンを比較すると、100gあたりに含まれるビタミンAの含有量は600単位から33単位へとほぼ1/18に激減している。ビタミンB1も0.1mgから0.03mgに。その他のビタミンも軒並み1/2、1/3とその成分値を下げているのだ。これはピーマンに限ったことではなく、全ての作物にあてはまることであり、また、ミネラルにも同じことが言える。

<参考グラフ>
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見た目が同じピーマンでも中に含まれる栄養素は違う。最近注目されている植物工場で育つ農作物の栄養素はもっと下がるのだろうか...

 原因は何か。それは土の力の減退にある。1954年まではほぼ堆肥だけで作物を作っていた。だが、60年代に入って堆肥から化学肥料へと農法を変え、効率と増産による最大利益を追い求めて来た結果、土の力が衰え、作物の質が落ちて行ったということだ。ビタミンAを言えば昔の1個が今の18個に匹敵するが、だからといって子どもたちに18個を食えとはいえない。彼らは50年前と比べ、数分の一に成分値が下がった作物を取り入れながら、骨や肉、血液を作らざるをえないのだ。子どもを取り巻く基礎的食料の質の劣化。このことが子どもたちの生命力や精神力に少なからざる影響を与えていると言わざるを得ない。土の健康は即、人間の健康に結びつく。食を問うなら土から問え。いのちを語るなら土から語れ。健康を願うなら土から正そう。生きて行くおおもとに土がある。そういうことだ。

 土を食べ、土に依存することによって生きる。このことは我々のみならず、100年後の人たちにとっても、200年後の人たちにとってもかわらない。土は世代を越えたいのちの資源なのだ。政治や行政の最大の課題が、人々の健康、すなわちいのちを守ることであるとすれば、そのいのちを支える土の健康を守ることは第一級の政治課題でなければならない。切実にそう思う。

 さて、そこでTPPだ。

 農水省の調査によるとTPPに参加すれば、食料自給率が14%まで下がるという。86%は諸外国の作物だ。それらの作物を食べながらさまざまな国々の土を食べることになる。その土が食べてもいいほどに安全かどうかは誰も知らない。汚染度合いも疲弊度合いもわからない。国民の健康で安心な暮らしが量的のみならず、質的にも危機にさらされる。

 海外から押し寄せる作物の安さに引きずられ、国内の農業はより一層、農薬、化学肥料に傾斜したものにならざるをえないだろう。土からの収奪と土の使い捨て。未来の世代にはぼろぼろになった土しか渡せない。そんな農業、そのような「国づくり」が進行していくのだ。それを民主党は「新成長戦略」という。でも、それがどのような意味で「成長」なのだろうか。

 そのような「成長」路線から離れ、未来の世代を脅かすことのない、土を始めとした、いのちの資源を基礎とする「循環型社会」づくりを通して、新しい人間社会のモデルを広くアジアに、世界に示していくことこそが日本の進むべき道ではないかと思うのだ。

【関連記事】
生ごみは宝だ!日本農業再生への道を探る(Web Ecopure)
モザイク型地域自給圏をつくる(日経ビジネス)
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2011年1月31日

《意見募集中》小沢一郎民主党元代表を強制起訴

 民主党・小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる事件で、検察官役を務める指定弁護士は31日午後、東京第5検察審査会の起訴議決(昨年9月14日付、10月4日公表)を受け、政治資金規正法違反(虚偽記入など)の罪で小沢元代表を強制起訴した。

 09年5月施行の改正検察審査会法に基づいて政治家が強制的に起訴されたのは初めてのことだ。そもそも「強制起訴」という言葉への疑問があがるなど、各方面から意見が寄せられている。

 《よろんず》では小沢氏の強制起訴についてみなさんの声を募集します。ぜひ、コメント欄からご意見をお寄せください。

【関連記事】
■郷原信郎:冤罪であることが明白でも指定弁護士は小沢一郎を強制起訴できるのか
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/01/post_726.html

■石川知裕:私が事情聴取を録音した理由
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/01/post_723.html

■緊急討論! 小沢一郎氏強制起訴(本日23:00〜 ニコニコ)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv39047902

■小沢氏が強制起訴へ ── 東京第5検察審査会が「起訴相当」再議決も、無罪の公算大(2010.10.4 NewsSpiral)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/10/_5.html

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2010年12月 8日

菅野芳秀:米が安い。絶望的な安さだ。

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 お米が安い。

 今年の生産者の売り渡し価格は1俵(玄米60kg)あたり9,000円で、ついに10,000円を切った。1972年(昭和47年)の米価が1俵9,030円だったから40年前の価格に戻ったことになる。ちなみに40年前の朝日新聞の1ヶ月の購読料はいかほどだったかといえば900 円。それが今日では3,925円となっている。およそ4.36倍だ。それを米の価格にあてはめれば1俵あたり39,370円とならなければならない。それを9,000円で販売しているのだから、つらい。民主党の「戸別補償」を入れても10,500円ほどにしかならない。

 新聞がほぼ毎日のように書いてきた「日本の米は高い」。新聞にそんなこといえるか?今日、1ヶ月の新聞購読料が900円でやれますか?お前たちもそれをやってみたら、農家の気持ちがわかるだろう。それをやった上でなお、「日本の米が高い。」といえば話を聞こうじゃないか...なんてね、だんだんムカムカしてくるのですよ。

 東北農政局の発表したお米1俵あたりの生産原価は昨年産(H21)で14,617円。これが通常栽培の原価だという。実際はもっとかかっているのが実感だが、ま、いい。今年も似たようなものだろう。それを9,000円で農協に売り渡たす。ちなみに生産資材は一切値下がりしてはいない。下がっているのは農家の売り渡し価格だけなのですよ。

 水田とともに、数千年の歴史を刻んできた村はいま、少しづつ崩壊に向かっている。わが村の水田農家の平均年齢はおよそ67歳。日本の農家の平均年齢とほぼ一緒だ。後継者なんて育つわけがない。大規模経営の農家の方が立ち行かない。おそらく後3年ほどこの価格が続けば、都会に大きなスラムが生まれていくだろう。そう思っている。

 我が家の米は無農薬にできるだけ近づけた栽培なので、当然リスクを負っている。春から秋まで決して気を抜けない。それを白米10kgで5,000円、玄米では4,600円で買い求めていただいている。そのおかげでようやく息子の家庭ともども暮らせているわけだけど、その価格は高いのだろうか。ごはん1杯が70gのお米から炊かれるというから、10kg5,000円の1杯の価格は35円ということになる。10kgあたり630円の送料がかかったとしても39円だ。2杯食べても78円。ペットボトル500mlの水の代金 120円にもならない。
  
 こんなことを書かずとも、我が農園のお米をとっていただいている方からの、高いという声は聞こえてこない。支えられているんですね。ありがたいことです。それでもさ、年々安くなっていくお米代金に囲まれていれば...、「高いなぁ。」と思うようになってしまっても無理からぬこと。我が農園としましても申し訳ないなぁという気持ちになっていく。

 でさ、息子と2人、来年は値下げしなければならないだろうなぁと話し合っているわけですが...

 我が家の米の話はさておき、問題はこの国。この先の食と農、この国のかたちはいったいどうなっていくのだろうということなのですよ。

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日本語の「ヨロン」という言葉には「世論」と「輿論」という2種類の漢字があります。実は、この2つの言葉は大きく意味が異なっていて、「世論(セロンとも読みます)」とは「感情的な世間の空気」のことで、「輿論」とは「議論を積み重ねてできあがった公的意見」のことを指します。《よろんず》が目指すものは後者の「ヨロン=輿論」をつくることであり、そのために、《よろんず》では情報のプロ・アマに関係なく自由闊達に議論を交わすための場所を提供します。メディアの調査で発表される「ヨロン=世論」とは違う真の「ヨロン」をつくるため、執筆者・出演者・読者のみなさんに、この新しい“知の共有空間”に参加いただけるよう呼びかけます。

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