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2009年12月10日

官僚たちの冬

 通常、この時期になると次年度予算の折衝が大詰めを迎えている。今年は『政権交代』という歴史的な出来事があったのだから、混乱が生じるのは仕方のないことであるとしても、「着地点が全く見えない。総理や官房長官がまとめてくれるとも思えない。最終的な決裁者がいない異常事態です」と、財務官僚のみならず関係省庁の担当者も茫然とした表情で口を揃える。

 そんな中、政府の緊急経済対策が、7兆2000億円で決着した。
「2010年度の予算編成が正念場を迎えているのに、非常に危険な兆候です。結局、亀井さんのごね得が通ってしまった」
 と、各省からの予算要求を受け付ける財務官僚は不安を隠さない。
 亀井静香金融相は、当初の7兆1000億円から9000億円積み増した8兆円規模の経済対策を求めていた。数字上では亀井大臣が大きく譲歩したように見えるが、結果として1000億円のプラスだ。
 前出の財務官僚は言う。
「赤字国債を出さずに、行政刷新会議の仕分け作業や埋蔵金をかき集めてようやく捻出したのがこの7兆円。連立を盾にした要求を聞いていたら、いくら国債を追加発行しても足りません」
 だがこの一件で、「亀サマを見習え」と、各大臣が無理な要求をしてくる可能性が強まったという。

 最近の大臣たちの予算をめぐる発言は、役所と一体化したかのような「勇ましい」ものが目立つ。特に、農水や厚労、文科などでは「コンクリートから人へ」という民主党のスローガンと自分たちの政策は一致しているのだから予算を得て当然だという錯覚が見え隠れする。赤松農水相の「個別所得補償では一歩も引かない」という強気の発言は、そのあらわれだろう。
 事業仕分けでも、政務三役が官僚の代弁者と化している場面が少なくなかったが、大臣たちの態度は次々と豹変している。

 原口一博総務相は地方税の見直しに慎重だった姿勢を一転させている。
 自動車重量税(国税)と自動車税(地方税)を一本化し、2011年度をメドに環境自動車税(地方税)を創設するだけでなく、総務官僚+知事連合の意見を聞き入れ、ガソリンや軽油に踏まれる炭素の量に応じて課税する地方環境税も創設する意向だ。
 役人と最も激しく闘っているように見える国交省でも流れる空気はあたたかくなっている。
「大臣が日航の再建策を大幅に見直したことをきっかけに、対立していた航空局長との関係は改善された。今や航空局長は『前原親衛隊長』を自称しています」(国交省官僚)

 国民の命に直接影響する分野を担当する厚生労働省は大臣を除いた政務三役が完全に役人と一体化している。しかし、
「我々の希望に沿った形で予算を要求してくれるのは有り難いのですが、長年の野党暮らしで交渉があまりに下手なんです」
 と、厚労官僚からはぼやきの声が聞こえる始末だ。
 12月4日、長妻厚労相ら政務三役は、来年度の診療報酬の改定率について総額で0.4%の引き上げを財務省に求める方針を固めた。診療報酬本体(医師の技術料)部分で約6500億が必要と試算した結果だ。ところが、「それでは低すぎて勤務医の負担軽減につながらない」と省の内外から批判の大合唱が起きる。櫻井充参議院議員などは勝手に議連を立ち上げて「3%の引き上げ要求」を決議文として発表した。
 別の厚労官僚はため息をつく。
「長妻さんはあまりに本音ペースで交渉しすぎる。『せめてネットでプラスになればいい』などと発言した時には本当に焦りました。霞が関用語では『0.1%でもいい』という意味になる。財務省は3%の引き下げを主張しているわけですから、1.5%の引き下げで決着してしまいます」
 しかし、診療報酬が1%でも上がれば、国民の負担もそれだけ増すことを彼は理解しているのだろうか。

 財務省VS各省の攻防が増す中、政府としては財務省を頼らざるを得ない状況だ。
 国の今年度の税収は37兆を割り込み、新規国債の発行額は税収を大幅に上回る53兆5000億円に達するという。つまり、財務省に依存した形の大幅な歳出削減を迫られているのだ。『財政規律を守る』という意味では財務官僚の完敗だが、霞が関内では完勝に近い。

 落とし所が全く見えないまま、来年度予算は12月30日に閣議決定する予定だ。霞が関官僚の攻防もひとまずの休戦を迎える。

Profile

横田由美子(よこた・ゆみこ )

-----<経歴>-----

埼玉県出身。
96年、青山学院大学卒。在学中より、ライター活動を本格化。
以後、フリーランスを貫く。
新聞、雑誌で主に、女性、官僚、政治をテーマに記事を執筆。
趣味はクラシックバレエとワイン。

-----<連載>-----

朝日新聞be「読み解く」

日刊現代「霞が関の掟」(毎週木曜)

-----<出演>-----

『ザ・インタビュー』
(BS11)
アシスタント・キャスター

『ニュースの深層』
(朝日ニュースター)
サブ・キャスター/月・水・金担当

BookMarks

ペコちゃん日記
http://blog.livedoor.jp/yumikoyokota/

-----<著書>-----


『官僚村生活白書』
2010年6月、新潮社


『ヒラリーをさがせ!』
2008年1月、文藝春秋


『私が愛した官僚たち』
2007年2月、講談社




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