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2009年6月26日

与野党逆転

すごくバタバタしていて、ごぶさたしてしまいました。

ここのところ暑いですね。みなさんは体調など崩されていませんでしょうか。

さて、前回に引き続き、またもや文科省ネタで恐縮です。

3週間ほど前ですが、自民党無駄プロジェクトチーム(PT)と構想日本が作夏より行ってきた政策棚卸の取材に行ってきました。ほんとうはもっと早く書こうと思っていたのですが、原稿に追われて、気がついたらこんなに時間がたっていました。すみません。

わたしが傍聴したのは〈文部省所管 独立行政法人及び公益法人 政策棚卸し〉、別名〈天下り団体の政策棚卸し〉です。独法と公益法人には総額4.5兆円の国費が投入されていて、このうち文科省の管轄が1151団体あるんだそうです。これらの団体が、税金投入に見合った事業を行っているかどうかを議論する場が、この棚卸しなのです。対象となったのは、財団法人ソフトウェア情報センターなど9法人でした。

会場内は、怒号が飛び交い、終止異様な興奮に包まれていました。

たとえば、千葉県美浜市にある国立大学・財務経営センターについて。これは、国立大学法人など施設の整備に必要な貸付金や交付金など経営に関する調査や研究をする独法です。組織の意義や必要性に絡んで予算と決算について質問が及ぶと、とたんに官僚たちはしどろもどろになり財産処分収入や貸付債券などの数字について説明ができなくなったのです。

当たり前ですが、自民党議員たちは容赦なく罵声を浴びせます。

「バランスシートの見方をわかっていないんじゃないのか?」

「そもそも存在意義ないんじゃないかっ」

「廃止して解体しろっ」

追及は激しさを増していきます。進行役をつとめる女性官僚は、震える声で、話をするのもやっとという感じでした。

ほかにも、職員数が18名にもかかわらず、役員の数が38名もいる財団法人や特定の団体との不適切な関係が疑われる法人など次から次へと、不自然なほど〈ネタ満載〉の独法が出てくるのです。つくるだけつくって、予算をつけるだけつけたら、あとはノータッチという文科官僚の姿勢が浮き彫りになっていて、正直、あいた口が塞がりませんでした。

しかしですね・・聞いているうちに疑問がむくむくとわいてきました。

これって、与党議員じゃなくて野党議員の仕事じゃない?

チームを率いている河野太郎議員と毎回熱心に取り組んでいる亀井善太郎議員以外の仕分け人を見ると、

石原宏高議員、篠田陽介議員、上野賢一郎議員・・など次回の選挙で当選を危ぶまれている小泉チルドレンばっかり。しかも、みなさんほとんど発言をせずに、遅刻か退席か欠席です。紅一点の丸川珠代参議院議員は、ひとことふたこと質問をすると、役目は終わったとばかりそそくさと会場を後にしました。

会場にはテレビカメラが入っています。要するに、彼(彼女)らは、テレビにうつりかっただけなのでしょう。完全なパフォーマンスです。

傍聴していた元官僚(50代)は、

「文科省の予算のつけかたに問題があるのは間違いない。しかし、彼ら(文科官僚)なりに必死に考えた政策だろうに・・見ていられなかった。国民受けを狙った官僚いじめだよ」

と、ぽつりと漏らしました。

近年、他省と比較して、文科官僚がぬるま湯に浸かっていたのは事実です。自民党の主流派である清和会には文教族議員がたくさんいますし、民主党にも日教組系の議員が少なくありません。90年代以降、旧文部省は日教組との融和政策をとっていますし、公明党も教育には力を入れている。つまり、政治家からもっとも叩かれにくい組織なのです。その立場にあぐらをかいて、予算の執行にまで視点は及ばなかったのでしょうが、じっさい一度つけた予算をどう管理するかという現場感覚は財務省にも欠如しているので、責めを負うべきは文科省だけではないはずです。

予算のあり方や仕組みについて、再考する必要があるのは言うまでもないのですが、それにしてもチルドレン議員の節操のなさに呆れました。

長年、民主党は〈政権担当能力がない〉と批判されてきました。わたしも、たくさん記事を書きました。
今日、鳩山元大臣更迭や東国原宮崎県知事発言で混迷する自民党の現状を見て「政権担当能力がないんじゃないか」という発言が民主党の鳩山代表の口から飛び出しましたが、無駄撲滅PTの現場は、与野党逆転の様相を実に顕著にあらわしていた気がしました。

2009年6月 1日

麻生補正予算14.7兆円で甦る政・官・財のトライアングル

今世紀最後の愚策とも呼べる補正予算が成立しました。

麻生総理が「リーダーシップ」を初めて発揮する絶好の機会になるはずだったこの経済対策、むしろ、西松事件やどこかすっきりしない代表選の影響で、停滞気味だった民主党の反転攻勢のきっかけになることは間違いありません。

若い官僚たちの間からも、強い失望感が聞こえてきました。

「経済の麻生って誰か言ってましたよね? でも、このような各省にきれいに配分したばらまき策を堂々と出すなんて、総理はM系の性格なんでしょうか。攻めてくれと言わんばかりの内容です」

「自民党は一度下野して、官僚と族議員、それに付随する企業とのしがらみを断ち切らないことには、無駄な投資ばかりが行われ、国費の浪費が続く」

なぜ、このような声ばかりが2~30代の官僚から出るのか。この予算の内容が、彼らの理想をあまりに挫くものだったからなのだと思います。

ほとんど報じられていなかったので、約100億円の予算がついた「電子黒板」の記事について、もうすこし書いてみたいと思います。(お時間あるかたは、『日刊ゲンダイ』で連載している『霞が関の掟』で木曜日に掲載した記事も一緒にお読みください。特別に、下記に貼り付けておきます)

今回、文科省は全国の小中学校3万校に電子黒板を購入させることに成功しました。電子黒板というのは、直接手書きもできる豪華パソコン大画面を使って授業を行うというものなんですね。

文科省曰く、
●教員は図表等を書く時間を節約できる
●生徒にとってわかりやすい。
●教員と生徒のコミュニケーションが増える
という利点があるそうです。

しかし、電子黒板にはユニット型(約10万円)、ホワイトボード投影型(約20万円)、地デジ一体の豪華型(約70万円)の3パターンがあります。そして導入が決まったのは、50型の地デジもセットで購入する必要のある、3番目の豪華型なのです。で、この豪華型、パイオニアが独占的に販売している製品なのですよ・・・。

すでにパイオニアは、自社のHPでアピール開始。
http://wwwbsc.pioneer.co.jp/edu/run.html

ところがパイオニアは、新聞各紙で、平成21年3月期決算では過去最大の1300億の最終赤字を計上し、政府が創設する資本注入制度を活用し、300億円の出資を要請する方向で検討していると報道された会社です。高価格で不採算のプラズマテレビ事業からの撤退などのリストラ策も打ち出していました。

どこか、腑に落ちないものを感じます。

ゲンダイの記事にも書きましたが、文教族議員の小坂憲次元大臣から、強い後押しがあったと省内では言われています。文教族の青年将校との呼び声も高い塩谷立大臣は、5月7日の予算委員会で「できれば各教室に目標を持っていきたい」と答弁し、電子黒板の「将来の普及」に道筋をつけました。全学級となると40万台(×70万円×補助率2分の1)になりますから、2800億円と今期の赤字が完全に補填されるどころか、経営再建にもつながっていきます。その糸口に、補正予算が使われたと考えても不思議はないでしょう。

腑に落ちないことは続きます。

パイオニアのHPには当初「2015年を目指して、全教室に電子黒板を導入する計画」という具体的な文言が載っていたのですが、いつのまにか消去されたのです。政府関係者によると、この内容自体、『IT戦略本部の会合で素案として出たばかり』のもので、委員の中には強く反対した人もいたそうです。

未曾有の大不況に襲われるなかで、連日、派遣切りや人員削減のニュースが飛び込んできます。有効求人倍率は過去最悪の数字となりました。しかし、この経済対策は迅速な景気対策であるべきで、決して「もたれあいの救済策」ではなかったはずです。

〈特別付録・霞が関の掟その8〉
 悪評紛々の補正予算。14・7兆円の大盤振る舞いで、霞が関はバブル状態だ。官僚たちは小躍りしているかと思いきや、「族議員や省益を優先した無駄な投資ばかりです。国費を浪費したツケは、いつかは我々に返ってくる」と、むしろ深刻な声が若手には渦巻いている。
 予算の時期になると、「歳出カット」を盾に出し渋る財務省に怒りの矛先が向かっていたが、今回は一転、「予算を付ける必要ナシ」の声が各省庁から出ているのだ。
 例えば、文科省の予算。巨大国営マンガ喫茶と批判されている「アニメの殿堂」構想にはわずか1カ月で約117億円が付いた。同様にあっという間に決まったのが、1台70万円の超豪華電子黒板(50型の地デジとセット)の普及である。全国の公立小中学校3万校に1台ずつ購入することが決まり、約100億円が計上された。

「文教族議員である小坂憲次元大臣から強力なプッシュがあったと聞いています。腑に落ちないのは、『地デジ一体型』は特定のメーカーが独占的に販売していることです」(文科省若手官僚)
 塩谷立大臣も衆議院予算委員会で「学校の全教室に導入することを目標にしたい」と援護射撃をしている。全学級となると40万台、すなわち今後2800億円の税金投入が見込まれることになる。
 奇妙なことはまだ続く。この特定のメーカーは、業界では公的資金の投入を噂されるほど経営が悪化している会社なのだ。霞が関を中心にした「政・官・財」の古い癒着の構図は、首相のバラマキ政策でますます強固なものとなっているのではないだろうか。
(日刊ゲンダイ5月28日付け) 

Profile

横田由美子(よこた・ゆみこ )

-----<経歴>-----

埼玉県出身。
96年、青山学院大学卒。在学中より、ライター活動を本格化。
以後、フリーランスを貫く。
新聞、雑誌で主に、女性、官僚、政治をテーマに記事を執筆。
趣味はクラシックバレエとワイン。

-----<連載>-----

朝日新聞be「読み解く」

日刊現代「霞が関の掟」(毎週木曜)

-----<出演>-----

『ザ・インタビュー』
(BS11)
アシスタント・キャスター

『ニュースの深層』
(朝日ニュースター)
サブ・キャスター/月・水・金担当

BookMarks

ペコちゃん日記
http://blog.livedoor.jp/yumikoyokota/

-----<著書>-----


『官僚村生活白書』
2010年6月、新潮社


『ヒラリーをさがせ!』
2008年1月、文藝春秋


『私が愛した官僚たち』
2007年2月、講談社




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