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2009年6月25日

与謝野馨金融・経済相の迂回献金は悪質なのに立件されない!?

 与謝野馨金融・経済相の迂回献金疑惑が毎日新聞のスクープで浮上した。TheJournalの読者ならおわかりのとおり、政治資金規正法違反で秘書が逮捕された小沢一郎前民主党代表のケースとほとんど同じ仕組みだ。

 ところが、河村建夫官房長官が実に奇怪な発言をしている。25日付の産経新聞によれば、「小沢事務所、あるいは秘書が寄付の仕組み作りにもかかわったのではないかとの疑惑から事件になった。違いははっきりしている」と語ったという。河村官房長官は新聞すら読んでいないのだろうか。いつ、誰が、小沢氏の秘書が寄付の仕組み作りにかかわったと認定したのだろう。もし、小沢事務所側が仕組み作りに関わっていたとしたら、それは逮捕された大久保隆規秘書ではなく、その前任者でいまは自民党の次期衆院選候補予定者になっている人物だろう。

 いずれにしても、もし小沢氏のケースが違法なら、東京地検特捜部は与謝野氏の関係者も逮捕しなければならない。だが、これまで私がここで書いてきたように、本当に検察に政権交代阻止の明確な意志があるとしたら、立件は見送られることになるはずだ。3大臣を兼ねる麻生内閣のエースの関係者が逮捕などということになれば、政権与党へのダメージが計り知れないからだ。

 検察がこの疑惑を立件するかどうかが、これまでの私の検察に対する見立てが正しかったかどうかのメルクマールになる。私は与謝野氏のケースは立件されないと見ている。絶対に。

 こうした指摘に対して、おそらく検察は新聞を使って「小沢ケースのほうが悪質」だという宣伝をしかけてくるはずだ。しかし、あえて悪質性を問うならば、与謝野ケースのほうが悪質なのは明白だ。

 与謝野氏側に迂回献金をしていた企業は商品先物取引会社の「オリエント貿易」(現エイチ・エス・フューチャーズ)という会社である。

 与謝野氏は小泉内閣で金融担当相だった2006年に商品先物取引を金融商品取引法の規制対象にすべきとの議論で、商品先物取引を擁護するような答弁を行い、まんまと対象から外してしまった「実績」が指摘されている。これはまずい。職務権限と即、直結する話である。もともと与謝野氏は素人の投資家を食い物にするといわれる商品先物取引業界には「理解」が深く、業界団体の会合にもたびたび顔を出していたといわれている。本人は「商品業界から法案についての陳情は一切なかった」と防戦に必死だ。

 献金をしていた会社をネットで検索すると、先物取引で大損をさせられた「被害者」たちの声が数多く見られる。もちろん投資は自己責任だが、同社は顧客とのトラブルが絶えず、07年には農水省などから受託業務停止の行政処分も受けている。

 政治資金規正法的にも、小沢ケースより悪質だ。西松建設の調査報告書によれば、西松建設が〝ダミー〟に使った政治団体は一応、個々の社員に個別に入会の打診をして、曲がりなりにも意志確認を経た後に会員として名を連ねたことになっている。ところが、与謝野ケースではそうした手続きが省かれ、管理職の給与から勝手に天引きしたカネを会費として納めさせていたという。細かいことだが、あえて言えば、こっちのほうがダミー性が強いといえる。

 まあ、いずれにしても検察はこれを絶対に立件しないから、あまり関係ないかもしれない。みなさんには、検察の動きをぜひ見ていて欲しいと思う。

 ただ、検察は自民党に言われて民主党を攻撃しているのではない。いわゆる国策捜査という見方は間違いだ。検察自身の判断で、検察のために、政権交代を阻止しようとしているのだ。理由はこれまで何度も書いてきたが、おさらいすると……。

 まず、民主党が主張しているポリティカル・アポインティ(政治任用)や予算の執行権を官僚ではなく国会議員が握るという政策は、検察のみならず「霞が関」全体が絶対に認めたくないことだ。オール霞が関の総意として、検察は民主党攻撃を仕掛けている。任官したばかりの若い検事が先輩から「民主党政権になったら、俺たちの給料が半分になる」と脅かされたという話まで出回っている。

 捜査機関としての立場から潰したしのは、取り調べの「可視化」である。運悪く足利事件の冤罪が発覚し、世間の注目を集めることになってしまった。民主党は以前から可視化を主張し、法案提出の準備もしている。検察としては、絶対に阻止したいことだろう。

 こうした政策的なことに加えて、樋渡利秋検事総長の「民主党嫌い」というのが決定的に影響している。そんなことが捜査に関係あるのかと思うかもしれないが、人間集団の意志決定にはこうした感情面の傾きが強く影響するものだ。本人がいくら否定しても、絶対にある。それはいい悪いの問題ではなく、人間だから仕方のないことなのだ。

 さらに言えば、検察内の「小沢けしからん」という空気もある。とくに政治資金第三者委員会のヒアリングで小沢氏が「検察の捜査が適正かチェックする必要がある」という趣旨の発言をしたことが法務・検察幹部を激怒させた。第三者委員会の報告書が指揮権発動について触れていた点と併せて、「民主党政権になった場合には司法捜査権の独立性が保てない恐れがある」といった後付けの理屈を必死になって広めようとしている。だがその真相は、単に「小沢けしからん」という検察幹部の感情論だ。捜査権力を感情にまかせて振り回されるのは困ったことだ。

 検察が国民に信頼されなくなるのはよくないことだと思う。政治的介入を招くのもまずい。だが、いまのようなことをしているようでは、検察はどんどん自分で自分の首を絞めることになると思う。

 前回書いた、公判の冒頭陳述を使っての「天の声」問題もそうだ(そういえば、例によって郷原さんが日経ビジネスオンライにこの問題での論考をアップしています。私の稚拙な分析より数段、分かりやすく説得力もあるのでぜひお読みください)。大阪地検特捜部が手掛ける障害者郵便の不正事件でも選挙前の立件を躊躇しながら、「民主党議員の関与」という情報だけをしきりにリークしている。さらに、名古屋地検特捜部も、中断していた民主党議員につながるマルチ商法利権の捜査を再開させたという。選挙が近いからか、と思ってしまう。

 犯罪の事実があれば捜査をするのは当然だが、あまりにミエミエではないか。検察の今後が心配だ。もっとまじめに仕事をしてほしい。

 ところで、政治献金といえば、今週号の週刊新潮がスクープした鳩山由紀夫民主党代表の「捏造献金」疑惑は、かなりヤバイのではないか。当方もまだ新潮の記事を読んで後追い取材を始めたばかりなので詳細は分からないが、献金をした覚えのない人の名前を使って献金を受けたことにしているというのは、単なるミスだとは考えにくい。鳩山氏側は現在調査中ということだが、早く説明を聞きたいところだ。

2009年6月20日

検察は「国策捜査」を自白した!

 しかし、きのうの西松建設事件初公判での検察側冒頭陳述は本当にひどいものだった。高野さんの指摘しているとおりである。
 週刊朝日では過去に何度か「検察の劣化」という特集を組んでいるが、このタイトルは〝売らんかな〟の思惑で若干大袈裟かな、と思いながらつけたものだ。しかし、あの冒陳を読んだら、大袈裟どころか、ここまで劣化が進んでいたのかと悲しくなった。

 通常、週刊誌の記事でも記者が書いて、デスクがチェックし、校了までには編集長も必ず原稿を読むものだ。検察庁ではこの種の文書は誰もチェックしないのだろか。いや、そんなことはないはずだ。だとすれば、この冒陳は検察の意志の表れといえる。それは、民主党にダメージを与えて、政権交代を阻もうという強い意志に他ならない。冒陳によって検察は、今回の捜査に邪(よこしま)な動機があったことを自白したのも同然だ。

 そもそもきのうの公判は、西松建設の国沢幹夫前社長と藤巻恵次元副社長の外為法違反事件が主で、政治資金規正法事件は付け足しだったはずだ。国沢被告の外為法違反は海外から無届けで7000万円を持ち込んだ罪、一方、政治資金規正法違反はダミー団体を通じて500万円を献金した罪、どっちが重いかは明らかだ。

 ところが、冒頭陳述では大半を政治資金規正違反に費やし、国沢被告らの事件とは何の関係もない「昭和50年代」からの東方地方の談合の歴史を延々と説明した。冒陳は本来、起訴した事件の立証すべき事項を説明するものだ。検察が法に基づき適正に仕事をしようと思ったら、余計なことは書くべきではない。明らかな逸脱である。

 しかも検察は、実態も定かでない「天の声」という言葉を10回も使って、小沢事務所が談合を仕切っていたかのようなストーリーを組み立てた。ご丁寧に西松建設から小沢側への献金リストや工事受注表までつけている。すでに起訴事実を認めている国沢被告らの事件の立証に、どうしてこんなものが必要なのか。

 検察の筋書きは、国沢被告らは東北地方の公共事業の工事を取るため、小沢事務所に献金をして、談合で「天の声」を出してもらったというものだ。そうしてこれを仕切っていたのが小沢一郎前代表秘書の大久保隆規被告だったというのだ。驚いたのは、検察がこの公判で大久保秘書の供述調書を持ち出し、読み上げたことだ。大久保氏の裁判はまだ始まっておらず、反論の機会もない。こんな不公平なことがあるだろうか。そもそも国沢被告らの事件の立証に、なぜ大久保氏の供述が必要なのかもわからない。

 冷静にまじめに考えてほしい。なぜ野党の政治家に公共工事を仕切る力があるのか。「天の声」とは、誰が誰に働きかける場合に用いる言葉なのか。具体的にどんな仕組みで工事受注者が決まるのか。冒陳にはいっさい触れられていない。抽象的な「天の声」という文言が繰り返し出てくるだけだ。しかも、「天の声」はもともと、発注者側の意向を表す言葉で、1990年代のゼネコン汚職のときに使われていた。小沢事務所側がどうしてその「天の声」を出すことができたのかの説明もない。

 それにもし、検察の筋書きが事実ならば、秘書の大久保氏は談合罪やあっせん利得罪などで再逮捕・起訴されていないとおかしい。だいたい、昭和50年代から小沢事務所が東北の公共工事の談合を仕切ってきたというなら、なぜ検察はいままでそれを見過ごしてきたのだろう。実はここに、検察の恥部がある。

 小沢事務所による東北地方のゼネコン支配の構図については、ジャーナリストの久慈力氏と横田一氏が1990年代に余すところなく描いている。96年8月には緑風出版から『政治が歪める公共事業 小沢一郎ゼネコン政治の構造』として単行本にもなった。これを読めば、誰がシステムを作り上げ、談合を仕切っていたかがよくわかる。

 ところが、「昭和50年代」からの東北地方の談合の歴史を解き明かした(爆)、検察の力作冒陳には、この人物に関する記述がいっさい出てこないのだ。なぜか。
 実はこの人物はいま、自民党の次期衆院選の公認予定候補で同党の選挙区支部長になっていて、真偽のほどは定かでないが、検察がこの人物と〝司法取り引き〟したのではないかといわれている。長期に渡って談合を仕切ってきた「真犯人」を見逃してまで、検察は小沢を潰したかったというわけだ。

 いずれにしても、西松建設側の被告の犯罪を立証するための公判が別の邪な目的のために使われたことは間違いない。冒陳の目的はズバリ、国沢被告らの犯罪の立証ではなく、新聞に「天の声」と書かせることだった。そして、それはまんまと成功した。

〈小沢事務所が「天の声」〉

 夕刊のない産経新聞を除く19日付の全国紙各紙の夕刊1面は、まるで申し合わせたかのように同じ見出しが並んでいた。わかりやすい。

 しかし、検察はこんなことをしていったい何がしたいのだろう。新聞がいくら「天の声」と書いても、もう国民は騙されない。新聞が「検察寄り」のメディアであることが知れ渡ってしまったからだ(週刊朝日の編集部には、そのような投書がバンバン来ている。読者がメディアの内側を知る。それはメディアリテラシー的にはいいことだ)。

 では、検察はなぜあんな陳腐な冒陳を書き、新聞に「天の声」と書かせたのか。おそらくたぶんの推測だが、単に捜査に関わった検事たちが「溜飲をさげたかった」からではないか。いろいろ頑張って、大物政治家秘書を挙げたのに、世論は絶賛してくれず、思いがけない非難の嵐で耐えられなかったのだと思う。大久保氏の初公判を待ったら、選挙が終わってしまい、もしかしたら民主党政権になっているかもしれない。だったらこのチャンスに反撃して、なんとか民主党にダメージを与えておきたいという、思惑からとしか考えられない。

 それが回りまわって、結局、検察自身の首を絞めることになるとも知らずに。

 先ごろ発表された「政治資金問題第三者委員会」の報告書には民主党の小沢前代表のヒアリング記録が資料として付けられていた。そこにはこんなくだりがある。「今回の件で明らかになったように、検察権力の行使の仕方によっては、政治に対して実に大きな影響が生じてしまいます。(中略)そういう検察権力の行使に対して、まったくチェックするシステムがないということは問題だと思います。(中略)検察の権力行使に対して何らかの公正なチェック・システムをつくることが重要ではないかと思います」。

 検察が政治的思惑を持った恣意的な捜査をすれば、それは逆に政治が介入する口実を与えることになる。こんな簡単なことさえ自覚できないほど、検察は劣化してしまったということだ。残念だ。

2009年6月19日

法務大臣の指揮権発動は「悪」なのか

 先週6月10日に「政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」の報告書が発表されました。当日、「各種報道にご注目ください」とお知らせしたきり、時間がなくてなかなかTheJournalに書けなかったのですが、翌日の新聞報道はなかなかの見ものでしたね。例によって、わが親会社の朝日新聞から産経新聞まで、ふだん見解が対立することが多い新聞各紙が、なぜか小沢問題に関してはほぼ統一論調になるのが不思議です。
 要は、第三者委員会の報告は検察当局や報道批判に偏り過ぎていて、民主党・小沢一郎前代表の説明責任に対する追及が甘い、といった内容です。

 確かに、報告書であそこまで批判されれば、新聞が反撃したくなる気持ちもわからないでもありません。私ども週刊誌は「ひんしゅくと恐縮のメディア」なので、悪口言われてなんぼのものですが、新聞は批判されることに慣れていないというか……。ホテルニューオータニでの発表記者会見での質問を聞いていても、なんとなくピリピリした雰囲気がありました。

 とりわけ各紙が批判のやり玉に挙げていたのが、報告書の中で「指揮権発動」に触れた部分です。第三者委員会の報告書では、今回の西松事件捜査のようなケースでは法務大臣の指揮権発動もありうべしと指摘し、そこに、読売新聞を筆頭に各紙が「けしからん」と噛みついたのです。
 しかし、この部分については会見で委員会メンバーでもある郷原信郎さんがかなり明瞭に説明していたはずです。新聞報道を受けてそのことをTheJournalにアップしなければと思っていたら、郷原さん自身が日経ビジネスオンラインに反論を寄せていました。これが実になかなか面白い。「検察の正義」とは何かを改めて考えさせられる内容になっています。この問題に関心のある方はぜひ、お読みいただければと思います。

【日経ビジネスオンライン】
http://business.nikkeibp.co.jp/index.html
【会員登録がお済の方はこちらから】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090616/197741/

 詳しくは読んでいただければと思いますが、何が面白いって、戦後「指揮権発動」が問題となった造船疑獄捜査の内幕を元共同通信記者の渡邉文幸さんが書いたその名も『指揮権発動』(信山社)を手引きに分析しているところです。一般に造船疑獄における指揮権発動は「正義の検察」の活動を握りつぶした「悪の権化」のようにとらえられていますが、実はあれは、検察の失敗捜査の「尻拭い」だったというのです。世間の指揮権発動に対するイメージがガラリと変わる論考です。

 ぼくのほうは、なぜ小沢秘書問題に関しては新聞各紙が同じ論調になるのかを考えてみたいと思っていました。もう少々お時間ください。本業がひと段落したらアップします。すみません。

2009年6月14日

総選挙は鳩山民主vs.鳩山自民!?

大変なことになってきました。
先週の鳩山総務相更迭事件を世間がどう受け取るか?
経済界にはそうはいっても「西川支持」の声も多く、週末世論調査の結果に注目したいと思っていたところ、どうやら、とんでもない数字になりそうな気配です。

麻生政権の支持率は「激落」のようです。
ま、ふつうに考えたら当然ですが……

疑惑と不祥事だらけの「灰色経営者」を残して、ほとんど落ち度のない自らの閣僚を切ってしまったのですから。
しかも、鳩山さんは恩人ですよね。
日本人の感情からしても、結果は火を見るより明らかでした。

おそらく、それも影響していると思いますが、千葉市長選挙も民主党支持候補(31歳)が早くも当選確実のようです。
これで、名古屋、さいたまに続く3連勝です。
週明けから、

「麻生で選挙は戦えない」

という声が急速に広がることでしょう。
「麻生おろし」で総裁選の前倒しです。

そうなると、今回の一件で人気急上昇の「鳩山さん」が注目ですねぇ。
転んでもただで起きませんねぇ。
まさか、これを見越していたとしたら、すごいです。

ちょっと前なら舛添さん(ナベツネさんが推してるそうです)てのも有力でしたが、水際作戦がインチキだったことがバレてるので、どうでしょう。

ナベツネさんの盟友、氏家さんがお気に入りと言われているのが、石原伸晃さんですが、今回の一件では、「黒字経営者を更迭するのはおかしい……」などと発言し、完全に西川擁護派を印象づけました。

もし、世論が「鳩山更迭はおかしい」という方向になれば、「石原でも選挙は戦えない」ということですね。

あと、また例によって与謝野さんとか石破さんとか、それから小池百合子さんでしょうかね。

でも、鳩山民主に対抗できるとすれば、弟さんのような気もしますが。
本当に総裁選に出馬して勝ったら、あらあら、鳩鳩対決ってことになるのでしょうか。

いずれにしても、週明けからの政治の動きは見ものです。
あと、来週は金曜日に西松建設事件の西松ルートが初公判です。
検察が冒頭陳述でどれだけ小沢さんの悪口を書いてくるか。
こちらも注目したいと思います。

しかし、それにしても麻生さん。なんであんなんなんでしょう。
リーダーとしては最低ですが、他人事と思えない面もあります。

結局、自分に信念がないから他人の意見に惑わされ、思いつきで判断するのでブレまくり、他人にいい顔をしたいので、言いづらいことがなかなか言えず、迅速に対応すべきなのに、ずるずると時間が過ぎ、いつもギリギリで大事なことを決めなければならなくなって、失敗する。

なんとなく(麻生さんの口癖)、わたしにも当てはまるような……。

それにしても、リーダーの選択とは恐ろしいものです。
あそこで最後まで鳩山さんを擁護して、西川さんを切っていたらどうなっていたのでしょうか。

鳩山更迭の真相と「かんぽの宿」問題(つづき)

 前回の続き(遅くなってすみません)

 鳩山邦夫(前総務省)VS.西川善文(日本郵政社長)の対立が、いつのまにか「郵政民営化をめぐる政治的な路線の違い」にすり替えられている。西川氏こそが郵政民営化のシンボルで、西川氏の続投を阻止する動きは民営化の流れに反するものだ、と。そうして、鳩山氏の背後には旧郵政官僚がいて、西川氏にはいわゆる「改革派」の面々が応援団についている、と。だが、話の始まりはそんなことではなかったはずだ……。
(と、書いたところでコト切れた)

 もちろん、両氏の対立が民営化議論に影響したり、利用されたりもしただろう。だが、忘れてはいけないのが、そもそもこの騒動の発端は何だったのかということだ。

 今回の更迭は法的にも手続き的にもきわめて異常なものだった。新聞によると、麻生太郎首相の言い分は、民営化した民間会社の人事に政府が関与するのは好ましくない、というものらしい。だが、日本郵政株式会社法では、日本郵政の取締役の選人、解任の決議について「総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない」と定めている。民営化した民間会社なのになぜ、こんな規定があるのだろうか。それは、日本郵政が民営化したと言っても、きわめて「公」に近い存在で、政府が株を手放して完全な民間会社になるになるまでは、政府のコントロールが必要との判断があったからだろう。

 許認可権限のある鳩山氏は、西川氏が一連の不祥事についての経営責任をとるべきだと判断し、その方針を表明していた。これに対して西川氏は、「かんぽの宿」問題も、保険金の不払いも、郵便不正事件で逮捕者を出したことについても、経営責任を明確にしようとしないまま、居座り続けようとしていたのだ。どちらに道理があるかは明らかだ。法に基づき正当な職務を遂行しようとしていた閣僚より、コンプライアンス的にもガバナンス的にも問題のある民間企業の経営者が勝るということがあるだろうか。

 いずれにしても、これは郵政民営化にまつわる路線対立でもなんでもない。民営化推進派だろうが見直し派だろうが、トップにコンプライアンスやガバナンスを求めるのは当然だ。路線対立論は、問題の本質から目を逸らさせるための方便といえる。この問題を路線対立で説明しようとする人には、別の(邪な)思惑があると見た方がいい。

 また、一連の騒動を通じて鳩山氏の「思惑」がさまざまに詮索された。新党結成、総裁選狙い、はたまた長男の選挙対策など。要は、表で「正義」を言いながら、実は単なるパフォーマンスではないか、とういうのだ。それはそうかもしれない。わからない。ただ、たとえそうであったとしても、西川氏の経営責任や不透明さが消えてなくなるわけではない。政治家としての鳩山氏の思惑と、経営者としての西川氏の責任は、まったく別の次元で論じたほうがいいと思うが、どうだろう。

 では、そもそもこの騒動の発端は何だったのか。いうまでもなく「かんぽの宿」問題である。西川善文社長率いる日本郵政は、昨年の御用納め直前というあわただしい時期をわざわざ選んで、全国70か所の「かんぽの宿」を約109億円でオリックスグループの不動会社、オリックス不動産に一括譲渡する契約を結んだ。発表時には、売却先の名前は伏せられていたので新聞にオリックスの名前は出ていなかった。

 だが、そんなことを隠しおおせるわけがない。売却先に決まったオリックスグループの宮内義彦社長は規制改革推進派で郵政民営化を推し進めた竹中平蔵元総務相の盟友で、竹中氏は西川氏を日本郵政社長に押し込んだ張本人だ。年明け、これに気づいた鳩山氏が「出来レース」ではないかと指摘し、騒ぎ始めたのも当然だった。

 日本郵政は当初、これは正当な入札を経た結果であり、不公正なところはひとつもないと主張し、主な新聞もこれに同調した。だが、それは真っ赤なウソだった。たとえば    週刊朝日の取材でわかったことを覚えているぶんだけ並べてみても、

(1)「かんぽの宿」の売却と言いながら、首都圏の一等地にある社宅9か所が含まれていた。週刊朝日の調べでは、これだけで40数億円の価値があった。
(2)さらに、売却物件に含まれる「ラフレさいたま」は、それだけで資産価値100億円はくだらない物件だった。
(3)売却物件の建設費の合計は2400億円とされていた。売却価格がこれと異なるのは仕方ないにしても、固定資産評価額でみても857億円もする物件だった。
(4)それを、たったの109億円で売却しようとしていたのだ。
(5)さらに、取材を進めるうちに、当初主張していた「一般競争入札」というのもウソで、途中から「企画コンペ」だったと言い始めた。純粋な入札価格で売却先が決まるのではなく、日本郵政側の意向が強く反映されていることがわかった。これだけでも相当なインチキだ。

 こうしたことが、取材をすればするほど、後からボロボロ出てくる始末だった。

(6)「正当な入札」と言いながら、オリックスより高い札を入れようとしていた業者が排除されていたこともわかった。この業者は400億円以上を用意していた。
(7)オリックスは落札後、日本郵政の部長の天下りを受け入れることを約束していた、などなど……。

 当時の新聞には「かんぽの宿は毎年巨額の赤字を生み、日本郵政の経営を圧迫しているため、売却は急務だった」というようなことが書かれていた。だが、またもやこれもウソだった。かんぽの宿は郵政公社時代に不採算物件の売却がほとんど済んでいて、西川氏が引き継いだ時点で残っていた物件はほとんどが黒字だった。それをオリックスに安く売るためなのか、帳簿上の減損処理を導入し、見掛け上、わざと赤字にしていたのだ。かんぽの宿売却のアドバイザリースタッフとして高額の顧問料を得ていたメリルリンチの報告書でも、09年度は赤字でも翌年以降は毎年10億円以上の黒字が見込まれるとされている。日本郵政はそれを意図的に隠して、安く売却しようとしていたわけだ。

 覚えているだけで、これだけある。当時の週刊朝日を見れば(すみません、いま自宅で手元にない……)、もっと出てくるはずである。

 もうひとつ、最近わかったこともある。日本郵政はオリックスとの売却契約が結ばれる直前に、地上デジタル放送対応の液晶テレビ3447台をかんぽの宿用に購入していたのだ。売却することがわかっている物件になぜ、わざわざ新しいテレビをつけるのか。金額にして3億5000万円。西川氏から宮内氏へのプレゼントと受け止められても仕方ない。

 これはいったい何なのか。ぼくは「規制緩和利権」の一端がはからずも露呈してしまった事件ではないかと疑っている。

 郵政民営化には表の「志」とは別に裏コンセプトがある。それは郵政資産の売却だ。かんぽの宿などの不動産だけでなく、総資産300兆円以上といわれる「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株売却もある。そこには当然、利権が発生する。郵政資産の売却に関する規制は、過去に民営化した国鉄(JR)や電電公社(NTT)に比べてかなりルーズだ。1万円で売却された物件が、すぐに6000万円で転売されてしまうことでもわかる。

 民営化直前に「かんぽの宿」などの資産を5年以内に売却するよう法律に書き加えたのは、当時の竹中総務相だったといわれている。その竹中氏の盟友が、「かんぽの宿」の売却先だったオリックスグループを率いる宮内氏だ。宮内氏は、規制緩和を利用して自らの企業グループを急成長させてきた。「現代の政商」と呼ばれるゆえんである。

 詳しくは、ジャーナリストの有森隆、森功両氏の仕事を見て欲しい。
『規制緩和を利権にした男 宮内義彦』(有森隆 講談社)
『サラリーマン政商 宮内義彦の光と影』(森功 講談社)

 こう考えると、なぜ「改革派」があれだけ西川氏にこだわるのかも見えてくる。別に西川氏でなくとも郵政民営化論者の財界人はたくさんいる(そもそも西川氏は全銀協会長時代は銀行の利益代表として郵政民営化に反対していた)。同じ民営化論者でも、コンプライアンスを重視し、経営の透明化を推進しようとする人物はパージされてしまう。これから資産売却が始まる日本郵政のトップは、改革派が築き上げた規制緩和利権の意義をよく理解し、その功労者への利益分配を忘れない人物でなければならなかったわけだ。

 その意味では、西川氏は少しやり過ぎだったのかもしれない。日本郵政はゆうちょ銀行の資金でオリックス株を大量に買っていたこともわかっている。急落するオリックス株を郵貯マネーで買い支えてあげたかっこうだ。もちろん、利益配分は古巣にも行われている。西川氏は、ゆうちょ銀行が新たに発行したクレジットカードの事務を自らの出身母体である三井住友ファイナンシャルグループ傘下の住友クレジットとジェーシービーに委託したのだ。李下に冠を正さずと思ったら、こういうことはしないだろう。

 西川氏を応援している改革派は何を考えているのか。本当に心から郵政民営化を大事にしたいなら、いつまでも「黒い経営陣」に居座って欲しくないと思うのがふつうだ。せっかく苦労して実現させた郵政民営化が色眼鏡で見られることにも耐えられなくなるはずである。だが、実際はそうはならなかった。表向きの高い「志」は、裏コンセプトにあっさり負けた。その程度のものだったのだ。

 われわれは、麻生政権を窮地に追い込んでまでも西川氏を温存したかった改革利権マフィアが今後、郵政資産売却にどう絡んでくるか、監視を怠ってはいけないと思う。

 そんなわけで、来週発売の週刊朝日は、あれもやりたい、これも書きたいと欲張っているいうちに、上杉隆さんの「真相内幕リポート」を含めて関連記事が11ページにも膨れ上がってしまいました。ちょっと、やり過ぎた(おかげで、きょうは朝帰り。眠い、疲れた)。
 でも、面白いです。ご興味のある方はぜひ。

2009年6月13日

鳩山更迭の真相と「かんぽの宿」問題

 鳩山VS.西川問題は、まさかの鳩山邦夫総務相の辞任で決着した。表向きは鳩山氏が辞表を出した「辞任」の形をとっているが、事実上の罷免・更迭だった。なぜなら、官邸に鳩山氏が呼ばれた時点ですでに後任が佐藤勉(国家公安委員長)に決まっていたからだ。

 なぜ、そんなことが言えるのか。

 西川善文氏の社長続投、鳩山総務相の更迭の流れをあらかじめ知っていたのが日本経済新聞だった。きのう(12日)の朝刊1面で「首相、西川氏続投で調整」と打ち、〈麻生太郎首相は11日、日本郵政の西川善文社長を再任させる方向で調整する意向を固めた〉としたうえ、〈再任を認めないとしてきた鳩山邦夫総務相が受け入れない場合は更迭も辞さない構えで、今後は鳩山氏の対応が焦点になる〉とまで書いていた。この日経の記事を読んだときは、正直、半信半疑だった。

 ぼくが事態の急転を知ったのはジャーナリストの上杉隆さんからの電話だった。「いま永田町にいます。風雲急を告げているので、タイトル入れるのはちょっと待ってください」。金曜日は週刊朝日の中吊り広告の見出しをつける日だ。来週発売の号で上杉さんに政局がらみの記事の執筆をお願いしていた。「了解。で、どうなりそうなの?」「わかりません。いま鳩山大臣が官邸に呼ばれたところです……」。それから、上杉さんは刻々と情勢を報告してくれた。

 午前の会談を終えた鳩山氏は、午後2時に再び官邸へ出向くことになる。

「鳩山総務相辞任へ」の一報が速報で流れ始めたのは午後1時半を少し回ったころ。ギリギリ夕刊の締め切りに間に合うタイミングだ。当然、各社夕刊の1面は「鳩山辞任」で埋め尽くされる。ところが唯一、日経だけが「後任、佐藤勉氏で調整」と、後任人事をスッパ抜いていたのである。日経は、午後2時過ぎに鳩山氏が官邸から出てきて記者団に「辞任」を発表する前にすでに、後任人事を知っていたことになる。つまりそれは、麻生太郎首相があらかじめ鳩山氏を切るつもりで、後任を決めていたことに他ならない。

 日経は、それを知りうる立場の人間から情報を取っていたのだろう。その人物は、今回の「鳩山更迭劇」のシナリオライターでもあるはずだ。いずれにしても盟友の鳩山氏を切ったことで麻生政権の弱体化は免れないだろう。解散権も封じ込められ、「麻生おろし」が再燃する可能性も高い。なぜ、麻生氏はそんな危ない選択をしたのか。この辺の内幕については、この時間(真夜中)も上杉さんが鋭意取材中なので、ご興味のある方は来週発売の週刊朝日をぜひご覧いただきたい(できれば買ってね!)。

ぼくがここで指摘しておきたいのは、そうした政局向きの話ではなく、そもそも今回の騒動の発端は何だったのか、ということだ。

 世間ではいつの間にか、鳩山VS.西川問題が郵政民営化の賛否問う闘いにすり替わってしまったような気がしてならない。西川氏こそが郵政民営化のシンボルで、西川氏の続投を阻止する動きは民営化の流れに反するものだ、と。そうして、鳩山氏の背後には旧郵政官僚がいて、西川氏にはいわゆる「改革派」の面々が応援団についている、と。だが、話の始まりはそんなことではなかったはずだ……。
(すみません、ここまで書いたら急に眠くなってしまいました。このつづきはまたあした)

2009年6月10日

政治資金問題第三者委員会の報告

お知らせです。

西松建設の献金問題をきっかけに民主党が設置した、政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会が、本日夕方、報告書を民主党の岡田克也幹事長に提出するそうです。

週刊朝日の編集部にも案内の知らせがありました。

報告書は全6章で、政治、検察、行政、メディアの専門家が、関係者からのヒアリングをもとに分析をしているようです。
《THE JOURNAL》でも議論が沸騰していた問題だけに、専門家がどのような分析をしているか興味のもたれるところです。

提出後、会見が行われ、報告書の内容はメディアにも公開されるとのこと。
各種報道にご注目ください。

第三者委員会のホームページはこちら
http://www.dai3syaiinkai.com/

2009年6月 5日

「不幸な偶然の連鎖」を断ち切るために雇用問題の解決を

 昨年のいまごろはなぜか、「誰でもよかった」系の殺人が相次いでいた。3月23日の土浦・荒川沖駅無差別殺傷事件を皮切りに同25日の岡山・突き落とし事件、そして6月8日に起きた秋葉原・通り魔殺傷事件である。

 あれから1年が過ぎた。振り返って考えるとこれらの事件はたまたま偶然、連続して起きたのだろうか、という点がどうしても気になってくる。もちろん、個々の事件の加害者の成育過程はまちまちだし、家庭環境もさまざまだ。無理やり共通点を見つけることにどれほどの意味があるかとも思う。

>>続きは「THE JOURNAL×Infoseek」で

Profile

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。ゴルフダイジェスト社勤務を経て、89年朝日新聞社入社。高校時代から愛読していた『朝日ジャーナル』編集部に配属され、あこがれの「ファディッシュ考現学」(田中康夫)を担当するも3年で休刊の憂き目に。『週刊朝日』へ異動し、事件&事件の日々を送る。その後、何を血迷ったのか広島の公教育問題で日教組を徹底批判し、「朝日なのに産経と論調が同じ」と物議をかもす。9.11テロ直後のニューヨーク、パキスタンを取材。米軍によるアフガニスタン市民への誤爆を伝えまくる。デスク時代に北朝鮮拉致被害者関連の記事で下手を打ち、『週刊文春』に叩かれ、副編集長を解任、更迭される(停職10日の処分付き)。その後、広報部へ配属されるが約半年でお払い箱。百科編集部で子ども向け週刊科学誌『かがくる』の創刊などに携わり、05年5月から再び副編集長、同年11月から、『週刊朝日』第41代編集長に。85年にわたる『週刊朝日』の歴史で中途採用者が編集長になるのは、これが初めて。

-----<出演>-----

『スーパーモーニング』
(テレビ朝日系、8:00~)

『愛川欽也 パックインジャーナル』
(朝日ニュースター、毎月第1土曜)

『大竹まこと ゴールデンラジオ』
(文化放送、毎週火曜・5月8日から)

『週刊朝日編集長登場』
(asahi.ポッドキャスト)

BookMarks

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