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ダメだめ編集長の2008年日誌(前編)

■メタミドホス
最初聞いたときは「痛み止めッス」(イタミドメッス)かと思いましたよ。でも、いまでは日本中で知らない人はいないほどの超有名農薬(殺虫剤)に……。日本では使用禁止です。

■橋下徹大阪府知事
とにかく、この人の人気には驚きます。以前、テレビ(スーパーモーニング)で橋下さんとバトルになったことがあって、視聴者からはまるで2人がケンカしているように見えたらしく、テレビ局には「早くあの男(私のこと)をやめさせろ」っていう電話が殺到したらしい(爆)。さらに、番組が終わって編集部へ戻ると、なんと編集部へも抗議の電話が入っていたんです。人気者を相手にすると、恐いなぁと。そんな橋下さんもアッと言う間に大阪府知事に。いろいろ物議をかもしているようですが、大阪府民の圧倒的な支持で勝ったのだから、しがらみにとらわれず思い通りにガンガンやって欲しいです。

■名ばかりの管理職
いまどき「管理職にしてやるから」と言われて喜ぶ従業員はいませんよ。かしこいサラリーマンは決して責任ある役職につかず、リストラに対抗するため、日頃から会社の機密情報や役員のスキャンダルをためこんでおくのです。そしてもし、万一のときは週刊朝日にタレ込んでください(爆)。いつでも受付いたします。

■ロス疑惑
「ロス疑惑」と「ロス巡業」。ロスにはどうも「闇」がつきまとうようで……。
「週刊文春」の連載「疑惑の銃弾」から24年、当時の加熱報道がその後、名誉棄損訴訟の山になったことは周知のとおり。三浦和義さんは日本で無罪判決を受けた人。それがなぜ、いま??? いくつもの疑問符の謎が解けないまま、最後は三浦さんの自殺という衝撃的な幕切れになりました。面白かったのは、加熱報道当時、一線で取材していた先輩OBから続々と情報・助言がもたらされたこと。「あの時は詰めきれなかったんだけど、こんな話が…」「まだ生きていればだけど、こんな人物がね…」。編集部に居るだけで、勝手に集まってくるのです。何年経っても、あいかわらず記者魂をかき立てる事件だったことは間違いないようです。

■ガソリン税
政府がいかにインチキな存在であるかを教えてくれた一件でした。そもそもガソリン1リッターあたり約50円も税金を取られていたなんて。しかも、その半分の約25円は「暫定税」といいながら、かれこれ30年以上もとり続けているのです。「暫定」を広辞苑で引くと、「本式に決定せず、しばらくそれと定めること。臨時の措置」とあります。では、「臨時」はどうかというと「定期のものでなく、その時その時の必要によって行うこと」とあります。ちなみに、10年足らずに廃止になった「恒久減税」の「恒久」は、「久しくかわらないこと。永久」という意味です。日本の総理は漢字を読めず、官僚は辞書も引けないようですね。

■taspo(タスポ)
使ってる人、見たことありませんね、まだ。子どものころ、親父に言われてタバコを買いに行ってお駄賃をもらっていた身としては、こんなことまでしてタバコを売らなきゃいけないんかい、と正直、思いますけどね。

■後期高齢者医療制度
僚誌アエラが今年創刊20周年で、尾木和晴編集長が「人間でいえば成人式」と挨拶するので、創刊86年目に入った週刊朝日は、「人間でいえばとっくに後期高齢者です」と、いつもネタに使わせてもらっています(笑い)。それにしても、いくらお役所言葉とはいえ「後期高齢者」とは失礼な言い方ですね。制度そのものもさることながら、こういうモノの言い方には高齢者でなくとも怒りを感じます。人間、誰しも歳をとるもので、いつかは必ず高齢者になる。この当たり前のことに想像力が働いていれば、こんな言葉は絶対に出てこないはず。歳をとればとるだけ安心できる、そんな社会が理想では。

■メタボリック症候群
ン? 俺のこと?
ちょっと気が緩むとすぐリバウンド。なかなか「恒久減量」とはいきません。

■蟹工船ブーム
「プロレタリア文学=『蟹工船』=小林多喜二」。高校入試の暗記モノが現実社会で甦りました。でもこのブーム、日本共産党の党員が何十年かぶりに増え始めたという現象と併せて一過性のものだとは思えません。市場原理主義、暴走資本主義のなれの果てがリーマンショックとそれに続く雇用不安だったわけで、『蟹工船』が若者に読まれ始めたのはその予兆だったのではないでしょうか。「資本家と労働者」「搾取」「過剰生産」といった資本主義理解のキーワードを改めて勉強するいい機会にもなりました。目端の利く出版社がさっそくマンガ版を出しています。マンガなら麻生首相も読めるでしょうから、ぜひ読んで、考えてもらいたいものです。

■船場吉兆
吉兆にあんなにいろんな種類があるなんて、事件が起きるまで知りませんでしたよ。船場吉兆はその種類のひとつだそうで。一連の「偽装事件」で私たちが学ぶべきは、ブランドや看板を安易に信じてはいけないということ。値段が高い店はおいしいお店が多いかもしれないけれど、インチキも混ざっているということです。インチキな店に高いカネを払うくらいなら、安く出うまい店を探したほうが懸命なわけで。いずれにしても、ブランドや看板にダマされない、自分自身の価値判断が大切な時代になったようです。

>>後編に続く!

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コメント (2)

メタボのデタラメに関しては、東海大学の大櫛陽一教授(医療統計学)の言っていることが圧倒的に正しいです。『メタボの罠』(角川新書)ほか著書も何冊か出ているので必読です。私は前にJFNのラジオ番組にお招きして対談しました。甲斐良治編集長の「増刊現代農業」2009年2月号『金融危機を希望に転じる』でも教授の論考があります。

反肥満、反喫煙、反高齢者という厚生労働省のイデオロギー的基礎は何かを考えたい方には、ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』(草思社)がお勧め。草思社はつぶれたけれどもまだアマゾンで売っています。

「健康」という言葉はいったい何を意味する言葉なのでしょうか。これがまず疑問です。
そして、何となくではあるのですが、みんなが「健康」なのは「不健全」な気がするのです。

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Profile

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。ゴルフダイジェスト社勤務を経て、89年朝日新聞社入社。高校時代から愛読していた『朝日ジャーナル』編集部に配属され、あこがれの「ファディッシュ考現学」(田中康夫)を担当するも3年で休刊の憂き目に。『週刊朝日』へ異動し、事件&事件の日々を送る。その後、何を血迷ったのか広島の公教育問題で日教組を徹底批判し、「朝日なのに産経と論調が同じ」と物議をかもす。9.11テロ直後のニューヨーク、パキスタンを取材。米軍によるアフガニスタン市民への誤爆を伝えまくる。デスク時代に北朝鮮拉致被害者関連の記事で下手を打ち、『週刊文春』に叩かれ、副編集長を解任、更迭される(停職10日の処分付き)。その後、広報部へ配属されるが約半年でお払い箱。百科編集部で子ども向け週刊科学誌『かがくる』の創刊などに携わり、05年5月から再び副編集長、同年11月から、『週刊朝日』第41代編集長に。85年にわたる『週刊朝日』の歴史で中途採用者が編集長になるのは、これが初めて。

-----<出演>-----

『スーパーモーニング』
(テレビ朝日系、8:00~)

『愛川欽也 パックインジャーナル』
(朝日ニュースター、毎月第1土曜)

『大竹まこと ゴールデンラジオ』
(文化放送、毎週火曜・5月8日から)

『週刊朝日編集長登場』
(asahi.ポッドキャスト)

BookMarks

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