Calendar

2007年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

Recent Comments

« 糸を引く納豆騒動…
メイン
創刊85周年記念 »

新聞はなぜ、ソースを明示しないのか?

いやはや、予想されたことではありますが「あるある大事典」の捏造体質はとどまるところを知らないようです。

しかし、それを伝える新聞の報道姿勢も「ン?」と思うところがあって、きょうはそれを指摘したいと思います。

1月29日(月)朝、自宅に配達された朝日新聞を開くと1面トップにデカデカと「『あるある』また捏造疑惑」という見出しのもと、〈06年「みそ汁で減量」〉〈98年「レタスで快眠」〉とありました。実は、あした(1月30日)発売の週刊朝日でも、06年7月放送の「納豆で若返り」の捏造を暴いていたので、「うちの新聞もやるなぁ~、これでスクープ3連発だ」と思ったものです。

ところが、会社へ行く途中、駅売りの産経新聞、東京新聞を買うと、両紙とも「レタスでも捏造」の記事が出ているではありませんか。

なんじゃい、レタスは朝日のスクープじゃなかったのか…。

東京の書き出し部分は、こうです。〈…1998年にレタスの持つ催眠効果を取り上げた前身の番組でも、実験結果がねつ造されていた疑いのあることが、28日わかった〉。産経新聞は〈…レタスの催眠効果を取り上げた際、実験で効果が確認されなかったのに効果があったように捏造されて放送されていたことが28日、分かった〉。

やれやれ、また「わかった報道」かい。-_-#

ぼくは暗澹たる気持ちになりました。

日本の新聞がよくやる「わかった報道」を、ぼくは「手柄の横取り報道」と呼んでいます。

案の定、会社に着いて各紙を読み比べると、「レタスでも捏造」はきのう(1月28日)付の毎日新聞のスクープだったことがわかりました。
(こんなことを書くと、週刊誌の編集長なのに自宅で新聞全紙を読んでないのか、と突っ込まれそうですが、日曜日は原則、仕事しないことにしているので……)

記事を正確に書こうと思ったら、「……捏造の疑いがあることが、毎日新聞の報道によって明らかになった」ではないでしょうか。

なぜ、新聞はソースを明示しようとしないのか?

ぼくはこの業界で仕事をするようになってから、新聞のこの慣習にずっと違和感を持っていました。

一般の家庭では、新聞は1紙しかとっていないのがふつうなので、たとえ「毎日新聞の報道によって……」と書いても、記事の価値が下がるとは思えません。

むしろ、どこのメディアが一報を伝えたのかという、これまた重要な「情報」が抜けたままでは欠陥記事ではないかと思うのです。

甚だしいのは読売新聞でした。1面左肩で〈(実験を担当した教授が)……『レタスの快眠作用』についての実験結果を効果があるように歪曲して放送されていたと28日、読売新聞の取材に対して証言した〉と書いていました。

もちろん、これはウソではないでしょう。

しかし、これは想像ですが、おそらく読売の記者は毎日のスクープを見て、後追いで証言者とのコンタクトをとり、「証言を得た」のだと思います。他紙が(たぶん)直接証言をとれていないのと比べると、それはお手柄だと思いますが、読売しか読んでいない読者にすれば、「レタスでも捏造」そのものが読売のスクープだと誤解することでしょう。

いや、「意図して誤解を招くように書いた」と言われても仕方がない。メディアの欺瞞を伝える記事なのに……、ブラックジョークのような話です。

06年7月に日本経済新聞が、昭和天皇の靖国参拝に関するいわゆる「富田メモ」をスクープしたときも同じでした。各紙が夕刊で後追いし、いずれも「わかった」と書いてありました。抜かれて悔しいのはわかりますが、なぜこんな姑息なことをするのかぼくには理解できません。哀しい話だと思います。

ぼくはこの件に関しては強いこだわりがあって、自分が編集長になってからは、週刊朝日は特別な事情がない限り、ソースの媒体名を記すようにしています。いいニュースでも悪いニュースでも、実名報道を原則としています。

ついでに言っておくと、今回の「あるある騒動」のきっかけをつくったのは週刊朝日でした。「あるある」の捏造は21日の各紙が一斉に報じていますが、週刊朝日の誌名を1面できちんと書いていたのは、一般紙では毎日新聞だけでした。身内の朝日は中面の「時々刻々」でのみ誌名を出していました。その他、気がついた限りでは、スポーツ報知、デイリースポーツ、スポニチ(大阪)、日刊ゲンダイが誌名を明記し、週刊誌では、週刊文春が「『週刊朝日』の報道を受け、肝心のデーターやコメントが捏造されていたことが判明している」と丁寧に書いていました。

ほかはだいたい「一部週刊誌の指摘で…」とか、「一部報道で…」、「一部報道機関からの取材を受け…」など。う~ん、俺たちは「一部」かい? 以前、週刊朝日が宮内庁から抗議を受けたときは、どの新聞も例外なく「週刊朝日」と明記していたのに。

元週刊文春編集長の花田紀凱さんが、産経新聞の連載コラム「週刊誌ウォッチング」でこう書いていました。
〈例の関西テレビ「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造事件、キッカケは『週刊朝日』の告発なのに、新聞は例によって一切誌名を出さない。フェアにやろうよ〉

週刊朝日がこんなスクープ飛ばすのは、めったいにないんだからさ(爆)。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/3973

コメント (8)

エー おわらいを一席 美人の声でジェラシー 苦 パーソンズ のこころ模様クリックしてね

週刊朝日の編集長が日曜日に毎日新聞を読まないのは見識かもしれない。でも、ご自分のブログの書き込みはご覧になって頂きたいもの。日曜日付朝刊の特ダネ、まだ、新聞が印刷されているような、すごい速いタイミングで書き込まれているのに。
残念だ。

山口様

2/9号では納豆もですが、「御手洗経団連は『おねだり』やめなさい」が出色でした。私のカメラはEOSとIXYなんですが、叩き壊したくなりました!WEDGE1月号で葛西JR東海会長がベーカー元駐日大使との対談で「日本の防衛は米国のためにも不可欠。価値の共有、防衛面での協力にとどまらずFTAなど経済、産業の相互依存を一層深めていく必要があります。これにより日米同盟はより不動、強固になり、アジア太平洋地域を安定させるでしょう」と述べています。一私企業の会長がここまで言ってよいのでしょうか?最近の財界人の政治的発言は度を越えているのではないでしょうか?

政治運営に対して遠慮も何もしなくなった経団連が堂々と発言を始めています。今までの発言の仕方や内容、伝わり方とは明らかに異なります。

当然ですが、世界の大変革期と日本も無縁ではないということですね。日本においても世界企業は今までとは異なった動きを始めています。(彼らのための法律も次々に成立しています)

あまり取り上げられませんが、奥田氏や御手洗氏はかなり直接的、具体的に発言をしています。おそらく、あえてそうしているのだと思いますが、世界企業が堂々と政治・社会をハンドリングする時代が日本にもやってきたということでしょう。

ゴールドマン出身者が中心になって最近のアメリカ政治は動いているようですが、日本の政治も似たようなもので、トヨタやキャノン等の経団連が動かしてていく事実があって、そのことに国民を慣れさせようとしているための繰り返し発言でしょうね。

現実の世界を見ると、カールMの資本主義分析は、その点においてかなり正確だったのかなぁ等と思ってしまいます。

apollon dionysosさま

そうした中だけに、前記週刊朝日インタビューの経済同友会終身幹事・品川正治さんのように「平和憲法を持つ日本と、絶えず戦争をしている米国では価値観が違う。それなのに、いまの経団連は米国留学組が頂上に登って、米国流が正しいと言い続けているんです。だから市場原理主義や規制緩和ばかり打ち出している」という声は貴重だと思います。

kaiさま

同感です。

まるで規制緩和、市場原理、アメリカ化のみが改革、成長であるかのような昨今の状況は、まったくのすり替えです。
改革、成長という建て前で、日本人が持っている素晴らしい部分の感覚、文化を取り返しのつかないぐらい、薄く、小さくしてしまい、財界は大きくなるという方向で進めています。

改革や成長とはアメリカに従って日本をアメリカ化することなどでは全然ない、と思います。(他にやるべきことは山のようにあるのにそちらはまるで動かない)

でこすけ様

ダハハ。お恥ずかしい限りです。
日曜日に新聞を読まないのは見識でもなんでもなく、週刊朝日の最終降版が土曜日の深夜なので疲れて起きられないからです。でも、サンプロは見るようにしています。
あと、自宅のパソコンがぶっ壊れて、修理に出したり、買いに行ったりする時間がないというだけです。は~、情けなし……。

kaiさま、apollon dionysosさま

コメントありがとうございます。

最近の財界人というか経営者の劣化ははなはだしく、その劣化した人々が安倍政権と結託して「労働ビッグバン」と呼ばれる一連の政策を導入しようとしていることの正当性を問う、というのがぼくの問題意識の出発点です。
週刊朝日では、「『美しい国』逆さに読むと『憎いし苦痛』」というワッペンをつけて不定期ですが関連記事を掲載しています。

貴重なご意見、ありがとうございました。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

-----<経歴>-----

1961年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。ゴルフダイジェスト社勤務を経て、89年朝日新聞社入社。高校時代から愛読していた『朝日ジャーナル』編集部に配属され、あこがれの「ファディッシュ考現学」(田中康夫)を担当するも3年で休刊の憂き目に。『週刊朝日』へ異動し、事件&事件の日々を送る。その後、何を血迷ったのか広島の公教育問題で日教組を徹底批判し、「朝日なのに産経と論調が同じ」と物議をかもす。9.11テロ直後のニューヨーク、パキスタンを取材。米軍によるアフガニスタン市民への誤爆を伝えまくる。デスク時代に北朝鮮拉致被害者関連の記事で下手を打ち、『週刊文春』に叩かれ、副編集長を解任、更迭される(停職10日の処分付き)。その後、広報部へ配属されるが約半年でお払い箱。百科編集部で子ども向け週刊科学誌『かがくる』の創刊などに携わり、05年5月から再び副編集長、同年11月から、『週刊朝日』第41代編集長に。85年にわたる『週刊朝日』の歴史で中途採用者が編集長になるのは、これが初めて。

-----<出演>-----

『スーパーモーニング』
(テレビ朝日系、8:00~)

『愛川欽也 パックインジャーナル』
(朝日ニュースター、毎月第1土曜)

『大竹まこと ゴールデンラジオ』
(文化放送、毎週火曜・5月8日から)

『週刊朝日編集長登場』
(asahi.ポッドキャスト)

BookMarks

週刊朝日 談[DAN]
http://www.wa-dan.com/

好評発売中!
↓ ↓ ↓

詳細はコチラ

只今発売中!
↓ ↓ ↓

詳細はコチラ

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.