トヨタのリコール問題は、豊田章男社長が出席した下院での公聴会に続き、3月2日、上院でも開催され、大きな峠を越したものと思われる。ここで峠という意味は、政治家やアメリカ・メディアによるトヨタたたきであり、国民の関心の高さである。しかし、これで問題がスムースに解決する方向に向かうとは限らない。全米各地では損害賠償を求める訴訟が数多く起きている。連邦大陪審はトヨタに資料提出を求めるなど、司法当局も動き出した。連邦捜査局(FBI)は、直接的な関係はないとしながらも、公聴会の開催とあわせて、トヨタとも関係の深い日系自動車部品メーカーを反トラスト法違反の疑いで捜査を開始した。今後も対処の仕方を間違えると、この問題は思わぬ方向に行きかねない。
振り返れば、過去にも品質問題では、食品偽装や三菱自動車のリコール隠し等、企業存続の危機に至った事例は数多くあった。さすがに品質重視のトヨタは、取引先が泣くほど品質管理の厳しさには定評があり、このような問題の対極に位置する企業だと思っていた。しかし期待は見事に裏切られた。ここには、他社事例はあくまで他社のことであって、その教訓を自らの企業経営に生かせないという、企業の本質的課題が浮き彫りになった。
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アメリカ人にとって、「ティーパーティ」とは、政治的抗議(political protest)の象徴である。これは言うまでもなく、1773年12月、イギリス政府が押し付けた茶税に反対し、植民地の住人がボストン湾に停泊中の東インド会社船の積荷である茶を海に投げ捨てた「ボストン・ティー・パーティ(ボストン茶会事件)」に由来するものであり、この事件が発端で後にアメリカ独立戦争が勃発した。
今回の「テイーパーティ」の舞台の中心はワシントンである。オバマ大統領の大規模な景気刺激策や医療保険改革に代表される「大きな政府」政策に反対する草の根運動が全国的な保守主義運動に発展した。その切っ掛けの一つは、昨年2月19日、CNBCのコメンテーター、リック・サンテリ氏がシカゴの取引所において、住宅差し押さえ救済策に異議を唱え、それがYouTube (http://www.youtube.com/watch?v=bEZB4taSEoA)等を通じて広がったことであると言われている。
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6月25日、米国下院外交委員会アジア・太平洋・地球環境小委員会で「変化する日本の役割」と題する公聴会が開かれました。証言者として登場したのは、駐日大使の呼び声が高かったジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授、日本政治の裏事情を知り尽くしているマイケル・グリーン戦略国際問題研究所日本部長、そして日本の安全保障に詳しいケント・カルダー・ジョンズホプキンズ大学高等国際研究大学院教授等4名。公聴会では知日派の論客と日米関係に詳しい連邦議員とのやりとりが行われ、メディアの関心を引くような発言は無かったものの、今、ワシントンで日本がどのような政治的ポジションにあるのか把握する上で重要な手がかりになったものと思われます。
一般論として、日米関係に携わっている専門家は、議会において日本に対して敢えて厳しく批判し、あるいは日本の存在感を低めるような話はしませんので、その分を割り引いて聴く必要があります。しかし公式発言であるが故に、議員や専門家としての見方や考えは、その時々の日米関係を考える上で極めて重要です。詳細な議事録をすべて読んでいるわけではありませんが、議論のやり取りや証言者の発言原稿を読む限りにおいて、いくつかのポイントが浮かび上がってきます。
第一に日米関係は、貿易摩擦時代の日本脅威論からバブル崩壊後の日本悲観論を超え、国民や党派を超えた議会の理解の下で、格段に強固になったと捉えているということです。特に、自衛隊のインド洋沖での給油活動、海賊対策等で日本が同盟国のパートナーとしての役割を果たし、この15年ほどの間に日米協力が格段に進んだことを評価しています。米国のアジア政策では、存在感を増す中国を国際社会に関与させつつも、将来の不確実性を担保する必要はあり、北朝鮮問題等への対応を含め、信頼できる日本と良好な関係を築いておくことは重要であるということです。また地球温暖化や感染症などの地球的課題にも、技術力を持った日本との協力は不可欠であると見ています。これらの発言に目新しさはないものの、日米関係を再確認する上で重要な発言だと思います。
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5月31日、米国政府は、クライスラーに続き、ビッグ3の最大手、ゼネラル・モーターズ(GM)が連邦破産法11条の適用を申請すると発表した。政府の緊急融資を決定した昨年11月、多くの専門家や連邦議員が今日の破綻を予測していたが、その時点での「破綻宣告」は政治的には難しかった。しかしこれで米国の自動車産業は、再生に向けて新たな段階に入ることになる。
1973年8月、米国ミシガン州ディアボーンにあるフォードの自動車工場を見学したことがある。見学の最初の工程は、停泊している鉄鉱石を満載した船であり、そこから製鉄が始まり、徐々に様々なパーツが作られていった。そして最後は、組み立てられた完成車が工場から出てくる、正に完全な自動車の一貫工場であった。ガイド役のアメリカ人は、これがアメリカ経済を支える自動車産業の強さであり、日本には到底まねできないであろうと、言わんばかりの誇らしげな態度であった。
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米国が使っている医療費は全体で約150兆円と言われ、絶対額では圧倒的に他国を上回り、GDPに占める医療費の割合でも先進国の中で相対的に高い方だ。医療費としては膨大な額を使いながら、国民全体にそのサービスが行きわたらないということを考えれば、政策的に欠陥があることは明らかだ。では何故、医療改革が進まないのか。その改革にブレーキをかけている最大の要因は、政府の高齢者や低所得者向けの公的医療保険に対する財政負担である。アメリカは、現在でも過去最大の財政赤字の状態にあるが、金融・経済危機への一時的な対応を除けば、「永続的な財政への最大の脅威は、伸び続ける医療コストである」と、オルスザグ行政管理予算局長も、ウォール・ストリート・ジャーナルに最近、論説を発表したところである。
かつてクリントン政権の1期目に大統領夫人であった現国務長官が国民皆保険制度を導入しようとして議会の反対で頓挫した。今回はオバマ大統領が「ヘルスケア改革」を大統領選の公約として前面に打ち出し、5月11日、その「改革案」を具体的な関連予算として盛り込んだ2010年度予算教書を発表してヘルスケア改革の本格的な論戦が始まった。しかし党派を超えて支持が得られる公的医療保険にも、一部の議員には未だに根強い抵抗があり、高い支持率を保持しているオバマ大統領といえども、改革が順調に進むとは全く断定できないのである。
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経済や軍事などの国力と、国民の生活レベルや満足度は必ずしもマッチしない。それは国が生み出した所得の再分配や国家支出に偏りがあり、また国民の声を反映した政策が実行されていないことに起因する場合が多い。日本でいえば、戦後、「世界に追いつき、追い越せ」をスローガンに経済成長最優先の政策を取り、その結果、国民の健康を優先しなかった「公害問題」や、「ウサギ小屋」と言われた貧弱な住宅環境等の問題が生じ、これらは国力と望ましい国民生活との間に生じたギャップの例として挙げられることであろう。
あの世界一の経済規模と軍事力を持つスーパーパワーであるアメリカでも、国民生活全体に目をやると、その国のイメージとは違う脆弱な社会構造が垣間見える。様々な社会問題は貧富の格差に起因する場合が多いのだが、国全体としては「小さな政府」、「自助努力」という社会的コンセンサスがある中で、国民生活に関わる様々な問題が顕在化しつつある。その最大の課題は、世界最先端の医療技術、医療体制がありながら、未だに約4700万人の医療保険の無保険者がおり、保険に入っていても、保険の種類やレベルによって満足な医療サービスが受けられず、高い医療費で自己破産する人が多いという世界最先端の「医療不平等国」であることだ。
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大統領就任式も終わり、オバマ政権が本格的に始動した。1月24日に発表された米ギャラップ社の調査によれば、オバマ大統領の支持率は68%と、意外と低い印象を受けたが、戦後の歴代米大統領の中では、ケネディ氏の72%に次ぐ高さだそうだ。いずれにせよこの高い支持率をどこまで維持し、社会を変革できるのか、すべては政策の中身と実行力にかかっている。
オバマ政権の外交・安全保障政策の考え方の中で、最近よく耳にする言葉は「スマート・パワー」だ。ヒラリー・クリントン氏は、国務長官承認のための公聴会や国務省への初登庁時にも、その言葉を使って外交の基本的な考え方を明確に述べた。「スマート・パワー」とは、一言で言えば「ソフト・パワー」と「ハード・パワー」との統合、組み合わせであり、クリントン国務長官は、「外交、経済、軍事、政治、法制度、文化」など、「その時々の状況に応じて的確なツール」を使うとしている。つまりここで重要なことは、オバマ政権は「ソフト・パワー」を重視しつつも、時と場合によっては、軍事力の行使をも躊躇しない外交を推し進める、という意思表示の表れであることも忘れてはならない。
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3回目で最後になる大統領候補者討論会の中継を観るに相応しい場所はどこか。友人と議論した結果、それはホワイトハウスの斜め向かいにある、由緒あるヘイアダムス・ホテル、その地下にあるバーという結論に達し、我々は早めに行ってテレビが観やすいカウンターに陣取ったのです。討論会開始時間が近づくにつれ、やはりそこは何らかの形で政治に関わっていると思われる人で一杯になり、さぞかし関心を持って一言も聞き洩らさず中継を見るに違いないと確信していたのです。しかし討論会が始まり、5分、10分経っても、紳士淑女は時々テレビを横目で見るだけでお喋りに夢中であり、関心のある言葉が飛び込んでくると、時々少し静かになり耳を傾ける程度でした。
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討論会で、政策より、候補者のちょっとした態度、発言が取り上げられ批判される時は、メディアからかなり追い込まれている証拠ではないかと思われます。7日、テネシー州ナッシュビルで行われた第2回目の大統領候補討論会で、「マケインがオバマに対して、名前を呼ばずにモノのように「That one」と言ったのは失礼だった」、「討論会終了後にオバマがマケインに握手しようとしたが遮った」、「まだ市民の出席者が会場に残っているのに、マケインは早々会場を後にした」等、メディアはマケインの形勢不利を承知で政策とは関係のない点について言い始めたのです。勿論マケインの発言等は問題かもしれませんが、政策の中身と同じレベル、もしくはそれ以上に態度を問題にするのはどうかと思いますが、それが米大統領候補者討論会の特徴なのです。かつては92年のブッシュ大統領が討論会中に腕時計を見ただけで批判され、結果として支持率は下がり、クリントンが勝利したのです。
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2日、副大統領候補であるバイデンとペイリンの最初で最後の討論会が行われました。ペイリンはこれまでの記者のインタビューで知識不足をさらけ出し、副大統領候補としての資質を疑問視され始めていた矢先での討論会でした。したがってペイリンはベテラン上院議員の前で立ち往生するのではないかとマケイン陣営はやきもきして討論会を観ていたに違いありません。討論会直後のCNNとCBSの世論調査では、バイデンがそれぞれ51%、46%、ペイリンが36%、21%と軍配はバイデンに上がっています。しかしメディアの論調を総合すると、両候補とも決定打は無く、特に期待値が低かったペイリンはよくやったという評価もあり、お互いに引き分けに近く、ペイリンはマケイン勝利への期待をつなげることができたものと思われます。
続きを読む "討論会引き分けも、流れは大きくオバマへ" »
民主党は大会を開き、オバマを正式に大統領選候補者に指名し、主要政党として初めてのアフリカ系アメリカ人の大統領選候補者を誕生させました。そして翌日の29日、マケインは大方の予想を裏切って、共和党の副大統領候補として初めての女性になる44歳、アラスカの州知事、サラ・ペイリンを指名しました。
その狙いは明らかです。若いペイリンで自分の高年齢のイメージを打ち消すと共に、民主党支持層のミドルクラスにアピールし、堕胎、銃保有なの問題で保守層を惹きつけ、予備選挙で負けたヒラリーへの支持票、女性票を取り込みたいということです。
続きを読む "初の黒人大統領か、初の女性副大統領か" »