Calendar

2011年1月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

メイン

米国政治 アーカイブ

2010年3月23日

大統領生命を掛けた医療保険改革に一応の決着

米下院は21日夜、上院で可決し若干の修正を加えた「医療保険改革法案」を賛成219、反対212の賛成多数で可決、今週開催される上院での投票(Reconciliationを呼ばれる調停プロセス)を経て成立する見込みとなった。この医療制度改革は、米国政治100年の課題であり、1965年のメディケア(高齢者向け公的保険)及びメディケイド(低所得者向け公的保険)以来の大きな保険制度改革となる。しかし社会保障の根幹である医療制度の重要な政策決定に野党議員のみならず、民主党議員34名が反対に回った。念願の国民皆保険に近い制度改革という評価はできるものの、多くの人に祝福された新制度の誕生とはならず、国民の間にも亀裂を残すことになった。

続きを読む "大統領生命を掛けた医療保険改革に一応の決着" »

2010年3月 3日

リコール問題で露呈したトヨタが失ったもの

トヨタのリコール問題は、豊田章男社長が出席した下院での公聴会に続き、3月2日、上院でも開催され、大きな峠を越したものと思われる。ここで峠という意味は、政治家やアメリカ・メディアによるトヨタたたきであり、国民の関心の高さである。しかし、これで問題がスムースに解決する方向に向かうとは限らない。全米各地では損害賠償を求める訴訟が数多く起きている。連邦大陪審はトヨタに資料提出を求めるなど、司法当局も動き出した。連邦捜査局(FBI)は、直接的な関係はないとしながらも、公聴会の開催とあわせて、トヨタとも関係の深い日系自動車部品メーカーを反トラスト法違反の疑いで捜査を開始した。今後も対処の仕方を間違えると、この問題は思わぬ方向に行きかねない。

振り返れば、過去にも品質問題では、食品偽装や三菱自動車のリコール隠し等、企業存続の危機に至った事例は数多くあった。さすがに品質重視のトヨタは、取引先が泣くほど品質管理の厳しさには定評があり、このような問題の対極に位置する企業だと思っていた。しかし期待は見事に裏切られた。ここには、他社事例はあくまで他社のことであって、その教訓を自らの企業経営に生かせないという、企業の本質的課題が浮き彫りになった。

続きを読む "リコール問題で露呈したトヨタが失ったもの" »

2010年2月 9日

ティーパーティ運動はアメリカ保守の逆襲か

アメリカ人にとって、「ティーパーティ」とは、政治的抗議(political protest)の象徴である。これは言うまでもなく、1773年12月、イギリス政府が押し付けた茶税に反対し、植民地の住人がボストン湾に停泊中の東インド会社船の積荷である茶を海に投げ捨てた「ボストン・ティー・パーティ(ボストン茶会事件)」に由来するものであり、この事件が発端で後にアメリカ独立戦争が勃発した。

今回の「テイーパーティ」の舞台の中心はワシントンである。オバマ大統領の大規模な景気刺激策や医療保険改革に代表される「大きな政府」政策に反対する草の根運動が全国的な保守主義運動に発展した。その切っ掛けの一つは、昨年2月19日、CNBCのコメンテーター、リック・サンテリ氏がシカゴの取引所において、住宅差し押さえ救済策に異議を唱え、それがYouTube (http://www.youtube.com/watch?v=bEZB4taSEoA)等を通じて広がったことであると言われている。

続きを読む "ティーパーティ運動はアメリカ保守の逆襲か" »

2009年11月17日

オバマ大統領政策演説の狙い

11月14日、サントリーホールでオバマ大統領のアジア政策に関する演説を聴いた。オバマ氏の演説を直接聴くのは、昨年6月以来2回目である。実際にテレビ放映の方が大統領の顔の表情まで含めてよく分かるし、音声もはっきり聴こえるのだが、ライブでしか味わえない臨場感や楽しみがある。特に体全体から伝わってくる話し手の意志やエネルギーは、直接会場に足を運ばないとわからない。約30分の演説の中でオバマ大統領がどこに力点を置き、どんな思いで喋ったのか。

今回の演説の最大の意義は、大統領としてアジア政策の全体像を初めて明らかにする演説を北京ではなく東京で行い、米国がアジア・太平洋国家として、日米同盟を基軸にアジアに深く関与していくことを宣言したことにある。これ自体は極めて重要なことであるが、オバマ大統領の来日は当初より1日遅れ、鳩山首相が不在であるにもかかわらず、APEC首脳会議の初日を欠席してまで何故、東京で政策演説を敢行したかったのか。ホワイトハウスがこの政策演説を正式に発表したのは、9日になってからであり、米国大使館は慌てて政策演説の準備を行った様子がうかがえた。それでも実施したかった政策演説の狙いは何だったのか。

続きを読む "オバマ大統領政策演説の狙い" »

2009年6月30日

米国知日派、政権交代でも日米関係は楽観的見方

 6月25日、米国下院外交委員会アジア・太平洋・地球環境小委員会で「変化する日本の役割」と題する公聴会が開かれました。証言者として登場したのは、駐日大使の呼び声が高かったジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授、日本政治の裏事情を知り尽くしているマイケル・グリーン戦略国際問題研究所日本部長、そして日本の安全保障に詳しいケント・カルダー・ジョンズホプキンズ大学高等国際研究大学院教授等4名。公聴会では知日派の論客と日米関係に詳しい連邦議員とのやりとりが行われ、メディアの関心を引くような発言は無かったものの、今、ワシントンで日本がどのような政治的ポジションにあるのか把握する上で重要な手がかりになったものと思われます。

 一般論として、日米関係に携わっている専門家は、議会において日本に対して敢えて厳しく批判し、あるいは日本の存在感を低めるような話はしませんので、その分を割り引いて聴く必要があります。しかし公式発言であるが故に、議員や専門家としての見方や考えは、その時々の日米関係を考える上で極めて重要です。詳細な議事録をすべて読んでいるわけではありませんが、議論のやり取りや証言者の発言原稿を読む限りにおいて、いくつかのポイントが浮かび上がってきます。

 第一に日米関係は、貿易摩擦時代の日本脅威論からバブル崩壊後の日本悲観論を超え、国民や党派を超えた議会の理解の下で、格段に強固になったと捉えているということです。特に、自衛隊のインド洋沖での給油活動、海賊対策等で日本が同盟国のパートナーとしての役割を果たし、この15年ほどの間に日米協力が格段に進んだことを評価しています。米国のアジア政策では、存在感を増す中国を国際社会に関与させつつも、将来の不確実性を担保する必要はあり、北朝鮮問題等への対応を含め、信頼できる日本と良好な関係を築いておくことは重要であるということです。また地球温暖化や感染症などの地球的課題にも、技術力を持った日本との協力は不可欠であると見ています。これらの発言に目新しさはないものの、日米関係を再確認する上で重要な発言だと思います。

続きを読む "米国知日派、政権交代でも日米関係は楽観的見方" »

2009年6月 1日

GM破産法申請、驕る者久しからず

 5月31日、米国政府は、クライスラーに続き、ビッグ3の最大手、ゼネラル・モーターズ(GM)が連邦破産法11条の適用を申請すると発表した。政府の緊急融資を決定した昨年11月、多くの専門家や連邦議員が今日の破綻を予測していたが、その時点での「破綻宣告」は政治的には難しかった。しかしこれで米国の自動車産業は、再生に向けて新たな段階に入ることになる。

 1973年8月、米国ミシガン州ディアボーンにあるフォードの自動車工場を見学したことがある。見学の最初の工程は、停泊している鉄鉱石を満載した船であり、そこから製鉄が始まり、徐々に様々なパーツが作られていった。そして最後は、組み立てられた完成車が工場から出てくる、正に完全な自動車の一貫工場であった。ガイド役のアメリカ人は、これがアメリカ経済を支える自動車産業の強さであり、日本には到底まねできないであろうと、言わんばかりの誇らしげな態度であった。

続きを読む "GM破産法申請、驕る者久しからず" »

2009年5月26日

吉と出るか、オバマ大統領のヘルスケア改革(2)

 米国が使っている医療費は全体で約150兆円と言われ、絶対額では圧倒的に他国を上回り、GDPに占める医療費の割合でも先進国の中で相対的に高い方だ。医療費としては膨大な額を使いながら、国民全体にそのサービスが行きわたらないということを考えれば、政策的に欠陥があることは明らかだ。では何故、医療改革が進まないのか。その改革にブレーキをかけている最大の要因は、政府の高齢者や低所得者向けの公的医療保険に対する財政負担である。アメリカは、現在でも過去最大の財政赤字の状態にあるが、金融・経済危機への一時的な対応を除けば、「永続的な財政への最大の脅威は、伸び続ける医療コストである」と、オルスザグ行政管理予算局長も、ウォール・ストリート・ジャーナルに最近、論説を発表したところである。

 かつてクリントン政権の1期目に大統領夫人であった現国務長官が国民皆保険制度を導入しようとして議会の反対で頓挫した。今回はオバマ大統領が「ヘルスケア改革」を大統領選の公約として前面に打ち出し、5月11日、その「改革案」を具体的な関連予算として盛り込んだ2010年度予算教書を発表してヘルスケア改革の本格的な論戦が始まった。しかし党派を超えて支持が得られる公的医療保険にも、一部の議員には未だに根強い抵抗があり、高い支持率を保持しているオバマ大統領といえども、改革が順調に進むとは全く断定できないのである。

続きを読む "吉と出るか、オバマ大統領のヘルスケア改革(2)" »

2009年5月25日

吉と出るか、オバマ大統領のヘルスケア改革(1)

 経済や軍事などの国力と、国民の生活レベルや満足度は必ずしもマッチしない。それは国が生み出した所得の再分配や国家支出に偏りがあり、また国民の声を反映した政策が実行されていないことに起因する場合が多い。日本でいえば、戦後、「世界に追いつき、追い越せ」をスローガンに経済成長最優先の政策を取り、その結果、国民の健康を優先しなかった「公害問題」や、「ウサギ小屋」と言われた貧弱な住宅環境等の問題が生じ、これらは国力と望ましい国民生活との間に生じたギャップの例として挙げられることであろう。

 あの世界一の経済規模と軍事力を持つスーパーパワーであるアメリカでも、国民生活全体に目をやると、その国のイメージとは違う脆弱な社会構造が垣間見える。様々な社会問題は貧富の格差に起因する場合が多いのだが、国全体としては「小さな政府」、「自助努力」という社会的コンセンサスがある中で、国民生活に関わる様々な問題が顕在化しつつある。その最大の課題は、世界最先端の医療技術、医療体制がありながら、未だに約4700万人の医療保険の無保険者がおり、保険に入っていても、保険の種類やレベルによって満足な医療サービスが受けられず、高い医療費で自己破産する人が多いという世界最先端の「医療不平等国」であることだ。

続きを読む "吉と出るか、オバマ大統領のヘルスケア改革(1)" »

2009年1月27日

「スマート・パワーの意味するところ」

大統領就任式も終わり、オバマ政権が本格的に始動した。1月24日に発表された米ギャラップ社の調査によれば、オバマ大統領の支持率は68%と、意外と低い印象を受けたが、戦後の歴代米大統領の中では、ケネディ氏の72%に次ぐ高さだそうだ。いずれにせよこの高い支持率をどこまで維持し、社会を変革できるのか、すべては政策の中身と実行力にかかっている。

 オバマ政権の外交・安全保障政策の考え方の中で、最近よく耳にする言葉は「スマート・パワー」だ。ヒラリー・クリントン氏は、国務長官承認のための公聴会や国務省への初登庁時にも、その言葉を使って外交の基本的な考え方を明確に述べた。「スマート・パワー」とは、一言で言えば「ソフト・パワー」と「ハード・パワー」との統合、組み合わせであり、クリントン国務長官は、「外交、経済、軍事、政治、法制度、文化」など、「その時々の状況に応じて的確なツール」を使うとしている。つまりここで重要なことは、オバマ政権は「ソフト・パワー」を重視しつつも、時と場合によっては、軍事力の行使をも躊躇しない外交を推し進める、という意思表示の表れであることも忘れてはならない。

続きを読む "「スマート・パワーの意味するところ」" »

2009年1月18日

祝オバマ政権誕生

いよいよ1月20日、第44代米国大統領に黒人で初めてバラク・フセイン・オバマ氏が就任する。大統領選が始まった2年前、誰が今日のオバマ大統領の誕生を予想したであろう。へムリ戦略国際問題研究所(CSIS)会長は、大統領選におけるオバマ氏の当選をアメリカ民主主義の勝利であると称えた。改めてオバマ新大統領の誕生に対し、心よりお祝い申し上げたい。

オバマ新政権に対する国内外の期待は極めて高い。それは8年間続いたブッシュ政権の反動からアメリカを大きく変えて欲しいという気持ちの表れであるが、あまりにも期待値が高いが故に、国民が裏切られたと感じるときの反動は逆に大きいことも覚悟せねばならない。

続きを読む "祝オバマ政権誕生" »

2008年11月23日

社用ジェット機で倒産の危機に

 アメリカにとっての自動車は、国民の精神的なシンボルである。まさに米国産業の歴史であり、アメリカン・ライフの象徴である。その米国の自動車産業、取り分けGMが存亡の危機に立たされている。場合によっては最悪の可能性も現実味をおびてきた。
 
 この数年というより、日米の自動車摩擦が激しかった1980年代後半頃から、ビッグ3の衰退は始っていた。今でも鮮烈の思い出すのは、1973年7月、フォードの本社があるミシガン州ディアボーンの工場見学に行った時のことだった。まず見せられたのは、鉄鉱石が積まれた船であり、製鉄部門から最終的に車が完成するまでの一貫製造体制だった。「どうだ、これがアメリカの車の作り方だ!」と誇らしげに語ったアメリカン人の顔が忘れられない。一緒にいた新日鉄の人が、「これは駄目だ!」と言ったのが今でも耳に残っている。まだ19歳の私には、すぐにその意味がわからなかった。少し後になって「こんな小規模な施設で製鉄をしていたら、経済的な効率は悪く、競争力は弱くなる」ということではなかったかと理解している。あれから35年、今でもビッグ3の経営の考え方は、基本的に変わっていないのかもしれない。つまり「我々は世界一の車を作っているのだから、売れて当然だ!」だと。
 
 11月20日、ビッグ3首脳は、既に決まっている250億ドルの融資に加え、更に250億ドルの支援を求めるために、ワシントンで開かれた公聴会に出席した。しかしその交通手段が3人とも高価な社用ジェット機だったのである。これが全米中のテレビに流されて大ひんしゅくを買った。当然、税金による支援を求める経営者の姿勢として、まずジェット機を手放なすなど、経費の圧縮に努めるべきとの批判の声等を背景に、法案の採決さえ見送られた。次の段階はビッグ3が12月2日までに事業計画書を再度提出すれば、その内容如何で12月8日の週以降に審議することになった。

 ビッグ3とも12月2日までに計画書を再度提出することになったが、こういう騒動の中では車の売れ行きはさらに落ち、さらに資金繰りが悪化する悪循環になってきた。まさに時間との勝負である。アメリカの中でも意見は分かれているが、「破産法制チャプター11の下で、経営陣を入れ替え、抜本的なリストラをして、将来に向けた経営再建を行うべきだ」というロムニー元マサチュッセッツ州知事をはじめとする意見に私は説得力があると感じる。

2008年10月22日

映画「W.」とパウエル元国務長官

先週末に、ベトナム戦争帰還兵としての経験を基に「プラトーン」、「7月4日に生まれて」などの名作を手掛けたオリバー・ストーンの映画、「W.」が封切られました。これはブッシュ大統領の自伝であり、特にイラク戦争にいたる過程とその後に焦点を当て、ブッシュ大統領を暗にというより、明確に批判した映画です。それが大統領選のほぼ2週間前に封切られたわけですから、その狙いは明らかです。

その映画の中では、コリン・パウエル当時国務長官がイラク戦争に至る過程で、終始慎重、時に反対していたと演じられており、それが映画の味付けになっています。パウエル国務長官は、対外的には国連安保理でイラクが大量兵器を製造しているとの証拠を衛星写真を使って主張し、イラク戦争への道を主導したように見られていますが、内実はそうではなかったのです。結局、パウエルは、イラク戦争のみならず他の外交・安全保障に関する政策でも大統領やチェイニー副大統領と対立し、ブッシュ政権2期目の初頭に長官の座を辞任しました。

パウエルは、統合参謀本部議長まで登りつめた生粋の軍人出身ですが、一方で外交努力を重視する、バランス感のとれた思慮深い人です。一時は大統領候補として期待されたこともあり、共和党のみならず民主党の支持者からも好かれ、私も尊敬している賢人の一人です。そのパウエルがオバマへの支持をこの時期になって表明し、メディアで大きく取り上げられています。マケインに対しては、経済政策の妥当性、副大統領候補には相応しくないぺイリンの選択、そして最近のオバマへの個人攻撃が行き過ぎている点を挙げ批判し、非常に説得力あるオバマ支持発言となりました。マケインもパウエルのオバマ支持をある程度想定していたものの、その動揺は隠せず、すかさず過去4人の国務長官経験者が自分を支持していることを持ち出すのが精一杯でした。

恐らくこの発言は、特にまだ投票の態度を決めていない有権者、軍や退役軍人関係者に大きな影響を与えるのではないかと思われます。ここ1、2週間でオバマとマケインの差が縮まってきましたが、この発言の影響かどうかは別として、ここにきてまたオバマが差を広げつつあるようです。選挙まであと12日間、どうやらオバマにとってはゴールが見えつつあるところまできたのではないでしょうか。

2008年10月17日

最後の討論会、オバマ優位動かず

 3回目で最後になる大統領候補者討論会の中継を観るに相応しい場所はどこか。友人と議論した結果、それはホワイトハウスの斜め向かいにある、由緒あるヘイアダムス・ホテル、その地下にあるバーという結論に達し、我々は早めに行ってテレビが観やすいカウンターに陣取ったのです。討論会開始時間が近づくにつれ、やはりそこは何らかの形で政治に関わっていると思われる人で一杯になり、さぞかし関心を持って一言も聞き洩らさず中継を見るに違いないと確信していたのです。しかし討論会が始まり、5分、10分経っても、紳士淑女は時々テレビを横目で見るだけでお喋りに夢中であり、関心のある言葉が飛び込んでくると、時々少し静かになり耳を傾ける程度でした。

続きを読む "最後の討論会、オバマ優位動かず" »

2008年10月 9日

大統領候補者討論会、「ザット・ワン」が致命傷に?

 討論会で、政策より、候補者のちょっとした態度、発言が取り上げられ批判される時は、メディアからかなり追い込まれている証拠ではないかと思われます。7日、テネシー州ナッシュビルで行われた第2回目の大統領候補討論会で、「マケインがオバマに対して、名前を呼ばずにモノのように「That one」と言ったのは失礼だった」、「討論会終了後にオバマがマケインに握手しようとしたが遮った」、「まだ市民の出席者が会場に残っているのに、マケインは早々会場を後にした」等、メディアはマケインの形勢不利を承知で政策とは関係のない点について言い始めたのです。勿論マケインの発言等は問題かもしれませんが、政策の中身と同じレベル、もしくはそれ以上に態度を問題にするのはどうかと思いますが、それが米大統領候補者討論会の特徴なのです。かつては92年のブッシュ大統領が討論会中に腕時計を見ただけで批判され、結果として支持率は下がり、クリントンが勝利したのです。
 

続きを読む "大統領候補者討論会、「ザット・ワン」が致命傷に?" »

2008年10月 4日

討論会引き分けも、流れは大きくオバマへ

2日、副大統領候補であるバイデンとペイリンの最初で最後の討論会が行われました。ペイリンはこれまでの記者のインタビューで知識不足をさらけ出し、副大統領候補としての資質を疑問視され始めていた矢先での討論会でした。したがってペイリンはベテラン上院議員の前で立ち往生するのではないかとマケイン陣営はやきもきして討論会を観ていたに違いありません。討論会直後のCNNとCBSの世論調査では、バイデンがそれぞれ51%、46%、ペイリンが36%、21%と軍配はバイデンに上がっています。しかしメディアの論調を総合すると、両候補とも決定打は無く、特に期待値が低かったペイリンはよくやったという評価もあり、お互いに引き分けに近く、ペイリンはマケイン勝利への期待をつなげることができたものと思われます。

続きを読む "討論会引き分けも、流れは大きくオバマへ" »

2008年9月10日

日米同時期選挙の争点

これからの両国の政治を大きく左右する日米同時(期)選挙が現実味をおびてきた。

当然のことながら選挙では、どの政党、どの候補者に投票したらいいのか、判断できる材料が必要だ。しかし日本の有権者がいつも口にするのは、何を基準に投票したらいいのか、自民党や民主党の主張や政策に大きな違いがなく、どちらの政党の候補者に投票したらいいのかわからないということである。

しかしアメリカではどうであろうか。オバマとマケインに見られる大統領選挙の争点は、やはりアメリカ型のイデオロギーに根ざすものであり、大きな違いがある。建国の歴史でも明確なように、基本は国の権力から個人の自由を守るという体制的リベラリズム、自由主義的政治信条を共有しながらも、「リベラル」と「保守」という違いがある。

続きを読む "日米同時期選挙の争点" »

2008年8月31日

初の黒人大統領か、初の女性副大統領か

民主党は大会を開き、オバマを正式に大統領選候補者に指名し、主要政党として初めてのアフリカ系アメリカ人の大統領選候補者を誕生させました。そして翌日の29日、マケインは大方の予想を裏切って、共和党の副大統領候補として初めての女性になる44歳、アラスカの州知事、サラ・ペイリンを指名しました。

その狙いは明らかです。若いペイリンで自分の高年齢のイメージを打ち消すと共に、民主党支持層のミドルクラスにアピールし、堕胎、銃保有なの問題で保守層を惹きつけ、予備選挙で負けたヒラリーへの支持票、女性票を取り込みたいということです。

続きを読む "初の黒人大統領か、初の女性副大統領か" »

2008年8月21日

飲酒年齢は下げるべきか

アメリカは、基本的に「自由」を尊重する国ですが、一方でその裏返しでもある「責任」、「ルール」、「法律」を重んじる国でもあります。また日々の生活で他国より厳しい基準を課していることも多く、その象徴が「飲酒年齢」ではないでしょうか。

飲酒できる年齢は、州ではなく連邦の法律で「21歳」と決まっており、「バー」に入る際に若い人は必ず写真付きの身分証明書の提示を求められます。特に日本人は若く見られるので、30歳過ぎても提示を求められることは普通なのです。それで「私って若く見えるのかしら」と、一寸勘違いしている人も多いとか(笑)。

続きを読む "飲酒年齢は下げるべきか" »

2008年8月13日

08大統領選-批判できる土壌

マケインのオバマ批判が先鋭化しています。

日本であれば考えられませんが、テレビコマーシャルやネット・メールで、

「セレブ気どりのオバマに大統領をまかせられるか」、
「オバマは大統領になるには外交経験が足りない」、
「政権をまかせるには準備が出来ていない」、
「オバマが大統領になれば、増税になり、政府支出が増える」

等、批判の連発です。

映像だけ見ていると、最初から最後までオバマの映像が映り、オバマのコマーシャルかと見間違えるほど。

具体的な数値で表せる増税ならまだしも、「準備ができていない」というのは何を根拠にしているのか、ほとんど論理性がありません。

続きを読む "08大統領選-批判できる土壌" »

2008年8月11日

映画「Swing Vote」

最近公開された映画「Swing Vote」を観てきました。

よく使われる「Swing States」とは、その時々の情勢で共和党か、民主党か、どちらの候補者が勝つか予想しにくい「接戦州」のことですが、その言葉に引っ掛けたものでしょうか。

主演は私の大好きな「ケビン・コスナー」でアル中のダメおやじ役。舞台は大統領選挙の投票日、ニューメキシコ州の小さな町。

娘が父の代わりに隠れて投票した1票が停電で一時的に無効に。

しかしその1票が住民を巻き込んで大騒ぎになります・・・。

続きを読む "映画「Swing Vote」" »

Profile

若林秀樹(わかばやし・ひでき)

-----<経歴>-----

1954年東京生れ。
1976年早稲田大学商学部卒業。
1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。
現在、08年3月からワシントンにある政策シンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)の客員研究員。
80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年に民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。08年はCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員として活動し、09年1月より非常勤客員研究員。現在、(財)日本国際フォーラム常勤参与・主任研究員。

BookMarks

-----<著書>-----


『希望立国、ニッポン15の突破口』
2006年9月、日本評論社



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.