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米中関係の深化に変化なし »

ティーパーティ運動はアメリカ保守の逆襲か

アメリカ人にとって、「ティーパーティ」とは、政治的抗議(political protest)の象徴である。これは言うまでもなく、1773年12月、イギリス政府が押し付けた茶税に反対し、植民地の住人がボストン湾に停泊中の東インド会社船の積荷である茶を海に投げ捨てた「ボストン・ティー・パーティ(ボストン茶会事件)」に由来するものであり、この事件が発端で後にアメリカ独立戦争が勃発した。

今回の「テイーパーティ」の舞台の中心はワシントンである。オバマ大統領の大規模な景気刺激策や医療保険改革に代表される「大きな政府」政策に反対する草の根運動が全国的な保守主義運動に発展した。その切っ掛けの一つは、昨年2月19日、CNBCのコメンテーター、リック・サンテリ氏がシカゴの取引所において、住宅差し押さえ救済策に異議を唱え、それがYouTube (http://www.youtube.com/watch?v=bEZB4taSEoA)等を通じて広がったことであると言われている。

その後、抗議デモや運動が全国に広がり、一躍脚光を浴びたのは、本年1月19日、医療保険改革に熱心に取り組んでいたテッド・ケネディ上院議員の死去に伴う特別選挙だった。まさにマサチューセッツ州でケネディー家が約60年間守ってきた民主党の議席が共和党候補者(スコット・ブラウン氏)によってボストン湾に投げ捨てられたのである。そしてこの勝利に「ティーパーティ運動」が大きな役割を果たしたと言われている。2月4日からはテネシー州ナッシュビルで、「ティーパーティ」初の全国大会が開催され、6日、ペイリン前共和党副大統領候補(前アラスカ州知事)が基調演説を行い、気勢をあげた。

このような政府に抗議する運動はこれまでもよくあったことである。特に現在は、深刻な経済情勢と高い失業率、過去最大の財政赤字、イラクやアフガンへの軍事的対応、テロの脅威等の問題を抱え、国民の怒りが爆発してもおかしくない。批判の矛先は、民主党のみならず、解決策を示せない共和党にも向いている。まさにワシントン(既存政治)への不信感である。しかし果たして、この「ティーパーティ」が更に大きなうねりとなり、本年11月の中間選挙、そして2012年の大統領選挙に大きな影響を与える政治運動になりうるのか、米国専門家も見極めかねている。

理由はいくつか挙げられよう。まず「ティーパーティ」は現時点において政府やウォールストリートに対する不満や怒りによって運動が拡大してきた経緯があり、その路線は必ずしも明確になっていない。当初は過激な極右に近い運動家に引きずられがちであるが、運動の中心である無党派層は極端に偏った政策は好まない。果たしてこの運動が「第3の政党」を目指すのか、共和党への支持を拡大していくのか、不透明である。またテイーパーティは強力なリーダーを立てて活動していくのかどうか、この点も大会の中では意見が分かれていた。サラ・ペイリン氏の人気は確かに高いが、大統領としての資質については問題があると見られている。

オバマ大統領の誕生に象徴されるように、アメリカは自由でリベラルな国である印象が強いが、現実には保守主主義がアメリカ社会に深く根付いている。ギャラップ社の調査(2009年)によれば、国民の40%が自分を「保守」と見ており、35%が「中道」で、「リベラル」は21%に過ぎない。つまりこの「中道」がどこに動くかによって選挙の行方が決まる。80年代は、レーガン大統領の登場により、民主党支持層や無党派層が保守に動いた(レーガン・デモクラット)時代であった。2月6日、ペイリン氏は、生きていればレーガン大統領の99回目の誕生日であることを意識し、「我々は今、保守主義の価値と良い仕事の番人になった」と述べた。果たしてこのティーパーティ運動がどこまで支持を広げて拡大するのか、本年はアメリカ政治の動きから目が離せない。

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今日9日の予算委員会での高市早苗議員が、
質問項目を何十回と繰り返し読み上げる。
勿論質問のための質問ではなく、
自分の主張する事を宣伝するためと
思いますが、そうでもないようですね。
こんなくだらない時間泥棒をする高市早苗。
女だからなどと甘く見てはいけません。
この目ギツネは、並の地回りでは嵌め込まれ
落とされます。
質問時間一杯を使った時間泥棒が、
国民洗脳に役たつかは全く不明です。
しかし、多大な時間を貰っても質問事項の
ネタが無いようですから、一挙に決議し
本会議に送りましょう。
やる気の無い自民党に、時間を与えるだけ
無駄なことと、割り切りましょう。

マネ下経営塾出身は党こそ違えどいつも同じだな。

「第三の政党」など夢のまた夢。

いっそ日本株式会社にして、国会は株主総会にした方が良さそうだ。

勿論株主は国民。

数字もハッキリするからその方が良い。
そうすれば外人の「買い」も少しは入るかもしれない。

<共和党右派の攻撃にオバマは耐えられるか?>

21世紀に入り、米国ではオバマをはじめ民主党中道の「多極主義者」と共和党右派や軍産複合体による「米英主義者」が激しい権力闘争を繰り広げてきた。(田中宇氏ブログを参照)そして昨年の大統領選挙で米国民は戦争好きな「米英主義者」を排し「多極主義者」のオバマを選んだ。

しかし豊富な資金量を誇る軍産複合体はオバマを脅し「アフガン派兵」を認めさせ、さらに共和党はオバマの目玉政策であった「医療保険改革法案」を骨抜きにしてしまった。「米英主義者」による暗殺を恐れるオバマの弱腰によって、オバマは支持者から見限られ始め、今回のマサチューセッツ州上院議員補欠選挙での米民主党敗北につながったのだろう。

さらに今回「米英主義者達」はオバマ政権を立ち往生させるために、反オバマの全国的運動である「ティーパーティ」を仕掛けたのだろう。勢いを得た彼らは今後、イスラエルのイラン爆撃への容認や、中国に対する経済戦争(グーグル問題、台湾への武器売却などその兆候が見え始めている)をオバマに強いることになるだろう。

このような「米英主義者」の攻撃に対しオバマも反撃に乗り出している。まずワシントン・タイムズは1月20日、「オバマ政権はグーグル問題にも拘わらず中国の情報収集活動に対する監視を弱めている」と報じている。さらに21日にオバマは「大手金融機関の規模拡大の制限や銀行のヘッジファンド投資を禁止する新たな金融規制案」を発表し国民の支持回復を狙っている。

この金融規制案はジェイ・ロックフェラー(ゴールドマンサックス)と激しく対立する「米英主義者」の頭目デビッド・ロックフェラー(シティバンク)への牽制でもあるようだ。果たしてオバマの反撃が実を結び、中間選挙で勝利することができるのか、どうやら政権の正念場を迎えつつあるようだ。

【当初は過激な極右に近い運動家に引きずられがちであるが、運動の中心である無党派層は極端に偏った政策は好まない。】

このまえ、日本においても、極右に近い運動家たちが中心となって、小沢さんの件で、1000人のデモ行進をしましたね。

最近、保守を標榜する自民の安倍さんなどが保守の議員たちを集めた保守派の会を作りましたね。

さて、日本の場合はどうなるんでしょうかね。

ペイリンさんは、キリスト教福音派に属するエヴァンジェリカル派の熱心な信者であると『ウィキペディア(Wikipedia)』にありましたが、田原牧さんのエントリーにあった福音派右派とは関係があるんでしょうか。気になります。

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Profile

若林秀樹(わかばやし・ひでき)

-----<経歴>-----

1954年東京生れ。
1976年早稲田大学商学部卒業。
1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。
現在、08年3月からワシントンにある政策シンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)の客員研究員。
80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年に民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。08年はCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員として活動し、09年1月より非常勤客員研究員。現在、(財)日本国際フォーラム常勤参与・主任研究員。

BookMarks

-----<著書>-----


『希望立国、ニッポン15の突破口』
2006年9月、日本評論社



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