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COP15で見えた鳩山外交の課題

第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)が開催された。当初の懸念どおり、ポスト京都議定書の枠組みとなる、途上国を含めた新たな削減目標(法的合意)を決められず、あいまいな表現が多い政治合意を採択し、多くの課題は来年に持ち越された。

今回のCOP15は、日本が久方ぶりに国際社会をリードできる立場にあったが、残念ながらそうはならず、逆に鳩山外交の課題がいくつか浮かび上がった。当初、日本は2020年までに90年比25%削減という意欲的な目標を掲げ、途上国の削減を促す支援策「鳩山イニシアティブ(3年間で150億ドルの支援)」により、環境外交を目指す日本の存在感を示したかった。しかしながら、鳩山首相や岡田外相等は頑張ったものの、大きな方向を決めるようなリーダーシップを発揮することはできず、交渉においても、プレーヤーは米国、中国、欧州が中心であり、残念ながら日本は蚊帳の外だったと言えよう。

今回の交渉で改めて明確になったことは、先進国と途上国との激しい対立、途上国の中でも中国やインドのような新興国と、海面上昇で沈みかねないツバルや貧しいアフリカ諸国とは立場が大きく違うことだった。京都議定書の枠組みに入っていない世界の二大排出国である米中は、日本のような高い目標は掲げず、国益重視の姿勢を最後まで貫いた。米国は中国、インド等の新興国が入らない枠組みに参加することはありえない。中国は削減義務を負う目標設定や国際的な検証制度の導入は断固拒否をした。日本はこの外交交渉の現実に直面して右往左往し、またもや存在感を示すことができなかった。これは鳩山政権の問題だけではなく、残念ながらこれが今の「日本外交の力量」であり、自らを冷静に見つめなおす貴重な機会として捉えるべきである。

今回の交渉で敢えて問題点を指摘するとするならば、二つある。一つは、日本の25%削減目標の取り組みに対して、世界に向けて範を示すには現実的な説得力を欠いていたことである。この目標を発表して3ヶ月が経過したが、鳩山政権は未だに国民に対してこの25%削減の意味するところと、目標達成に向けた具体策を提示していない。日本にとっては極めて重い目標だが、それでも日本は率先して目標を達成するんだという日本政府の強い決意と、実現可能な具体策を国民に対して示せず、世界の誰を説得できようか。言葉だけの目標では相手を動かすことはできない。

第二に日米関係を交渉に生かしきれなかったことである。日本にとっての役割は、世界最大の排出国であるアメリカを新たな国際的枠組に引き入れつつ、それをテコに中国やインドに対して臨むべきであったはずである。地球温暖化問題についてはこれまで共同歩調を取ってきた日米であったが、鳩山政権は日本の意欲的な目標を独自に発表し、アメリカから見れば、置き去りにされ、そうであれば「日本はどうぞご自由に」をいう立場に追いやった。もともとアメリカは90年比削減目標を嫌っていたし、拘束力のある削減目標の設定に対しては慎重だった。その内向なアメリカをCOPの場に引き入れるには、日本は絶好のポジションであったはずである。しかしこの問題で独走する鳩山政権の姿勢に加え、普天間基地問題で日米の間にはわだかまりが生れ、COP15では日米首脳会談も実現できなかった。結果としてアメリカと密接に協議し、協力を引き出すことは出来なかったのである。日本は、関係が悪化するアメリカに対して、地球温暖化ではもっと共同歩調をとって二国間関係を好転させるきっかけにすべきであった。アメリカは、以前より対EUとの関係からも、この問題では技術力があり、エネルギー効率の高い日本との協力を望んでいたのである。

ポスト京都議定書の新たな枠組みづくりは、来年11月末からメキシコで開かれるCOP16に引き継がれる。アメリカでは来年11月に中間選挙があり、2010年中に「気候変動対策法案」が成立する可能性は微妙になってきた。日本も産業界の抵抗が強い環境税(地球温暖化対策税)の導入の先送りを決めた。しかし京都議定書の有効期限は2012年までであり、日本は90年比6%削減目標(これ自体が25%削減以上に高い目標)の義務を負っていることを忘れてはならない。鳩山政権は、地球温暖化対策の必要性について改めて国民に対して説明し、できるところから様々な手段を講じるべきである。現時点で日本の温暖化ガスの排出レベルは、90年比では逆に8%増加し、併せて14%程度を削減しなくてならない。この目標達成の目処もつかなければ、その先の25%削減は夢物語である。喉元過ぎれば熱さを忘れることになってはならない。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

この「コラム」内容に頷けるものばかりです。
勢いよく、飛び出してみたものの、後ろを見ると誰もついてこなかった。
政権交代後、準備期間もなく、他の事にも、配慮しないといけない、そういう面があったとは言え、もう少し根回しが必要であったろうと思っています。
とは言え、決裂でもなく次回持ち越しになった。
この期間に、どれだけ根回しができるか?
新たな外交手腕を発揮してもらいたい。
期待はしています。
難しいかな?

<欲望が人類を滅ぼす>

環境問題は「温暖化防止により地球を環境破壊から救う」という側面よりも、先進国と新興国、発展途上国間の経済戦争の様相を呈してきた。

先進国にとって膨大な人口を抱える中国やインドが豊かさを享受すれば地球環境破壊というツケが先進国にも回ってくると考え、一方、中国やインドなど新興国、発展途上国は、環境目標を設定すれば先進国との間で貧富の格差が固定化されると考えているようだ。

そこで先進国は新興国、発展途上国に大規模な支援を行おうとしているが、両者の冨が同等に近くなるまで支援しようとするならば、先進国は膨大な冨の流出を覚悟しなければならない。

エネルギー効率の飛躍的進歩が無い限り、それは先進国の国民に生活を大幅に切り詰めることを強要することになるだろう。果たして日本人が現在の生活水準を切り下げることを許容できるのだろうか。

人間の欲望を抑えることは難しい。環境問題も結局は人間の欲望のぶつかり合いで解決は難しく、かつて滅んだ欲望の街「ソドムとゴモラ」のように人類は滅亡に向かってまっしぐらなのかもしれない。

熱烈な自民党支持者 | 2009年12月24日 11:10様

私は、楽天家なのか、余り悲壮感を持っていません。
人間の欲望には、確かに際限がないとは思っています。
そして、一度手にした恩恵を手放そうとはしないでしょう。

けれど、これまで幾多の危機を乗り越えてきた。
人の可能性を信じています。

若林様
ーあまちやんニッポンー
鳩山首相だけでなく、おそらく誰がやっても同じ結果だったのではないでしょうか。外交がへたというより、日本式の対人交渉術が世界では全く通用しないし、相手にされないという事だと思います。いわゆる根回しの方法自体が日本式では通用しないのだと。若林さんのコラムだけではなく、このような分析指摘は、情報を持った第三者識者は過去にもたびたび指摘しているはずなのに、なぜ、外交交渉がうまく行かないのか?、この問題は政治家だけでなく外務省の役人もよく考える必要が有ると思います。当面この失敗の次に何をするか。ズバリ目標を何が何でも達成する事です。それしか、世界の目を日本に向けさせる方法は有りません。もし、これに失敗すれば、日本は、ますます世界から外されてゆくでしょう。この削減目標がどういう事なのか?言う程甘くはないと思います。企業も小手先の技術革新ではおそらく削減できない目標だと思います。また、環境で儲ける事を目的にシフトしたらこれも達成に支障が出るはずです。目標を達成できず国際社会からのけ者にされれば商売にも支障が出る事は必至ですから心して取りかからねばなりません。行政は目標を達成するのに必要な法整備を早く行い、官は環境技術関係の情報や知識を集めるだけ集め、有効な技術情報を一般に敷衍し提供する。財界、業界も些末な利害や目先の利害を捨てて、どこまで本気になれるか、ここが正念場だと思います。これがうまく行けば再び日本が浮揚するきっかけが作れるかもしれないと思います。

今回のCOP15ではっきりと見えてきた点が1つあると思っています。
本文でも述べられているように、対立局が、どのようになっているかということです。

「今回の交渉で改めて明確になったことは、先進国と途上国との激しい対立、途上国の中でも中国やインドのような新興国と、海面上昇で沈みかねないツバルや貧しいアフリカ諸国とは立場が大きく違うことだった。」本文より抜粋

国連を中心にしてでもいいが、この対立極内の合意案を取りまとめ、次回は、その代表者同士でも会議とすべきでないかと思う。
すべての国を一堂に集めることは、より混乱を招いてしまう。

事前の予備合意を取り付ける形で進めないと、次も先送りになる可能性があると思っています。

若林様

不勉強者の生意気な戯言です。すみません。
今回のcop15の会議の模様をニュースで見ていて、まだまだアメリカと中国は動きそうもないなという印象を受けました。
しかし、京都のときよりずっと議論が白熱しているように感じたのは私だけでしょうか?
環境問題が逼迫してきたということでしょうが、鳩山首相の25%発言も、よりそのことに拍車をかけたのではないかと、身贔屓(国贔屓)して見ていました。
しかし、道は険しいようですね。
鳩山さんは今、自国、自党、あれやこれやで手一杯のようですから。
でも、本田様と同じく私も希望を捨てていません。
何事にも、前向きになって、時間は迫っていますが、勝とう勝とうとするのではなく、負けない(負けを先へ先へと引き伸ばす)という布石を打っていって欲しいと願っています。
ちょっと能天気ですかね?

編集部殿

高野孟氏の新論説はどうなったのですか。

削除された高野論説:日米間のどこでどうやって情報が歪められるのか? ── 駐米日本大使とクリントン長官の「異例の会談」
以下でみれました
http://74.125.153.132/search?q=cache:http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/12/post_451.html

匿名 | 2009年12月24日 20:49はsumitakaでした

sumitaka殿

Спасибо!

ザ・ジャーナル編集部様
本日の午後アップされた 高野論説:日米間のどこでどうやって情報が歪められるのか? ── 駐米日本大使とクリントン長官の「異例の会談」 が削除されました。どのような理由によって削除となったのか、説明をお聞かせ下さい。よろしくお願いします。

どうやら、米医療改革法案が、米上院で可決された模様。
http://www.jiji.com/jc/c?g=int

BBCWORLSNEWSを見ていてら、約一時間程前に報じられていました。しかし、一時間待っても、ヤフーのトップニュースには書き込まれる意欲はないようで、どうもネットニュースの世界では、小泉・竹中路線の市場主義派が罷り通っているようですね。「国民皆保険は社会主義」と竹中兵蔵氏はテレビで公言していますからね。
とりあえず、アメリカ国内の政治問題ですけど、これって案外世界的な大ニュースと思われるので書き込んで置きました。

 首相の発想は、国民の九割が「人為的地球温暖化論」を信じ(または、信じ込まされ)ている国ならではのものですね。
 そもそも、他国は、IPCC・国連の言う「地球温暖化が人類の危機」だと思ってコペンハーゲンに集合したと理解しておられるのでしょうか? 米国にしても、中国にしても、この論(仮説)を検証するぐらいの科学力は保持しているでしょうに。 もっとも、政治的・経済的に利用出来るものはするのが国際政治の力学に照らせば合理的でしょうが、、。 
 例えば、米国では、過去から温暖化論の全てに疑問を抱く科学者が多数存在していて、悪名高いホッケースティックについては、議会の要請でNational Academy of Sciences が検証しています。 Academyは、このマンの図を完全否定はされませんでしたが、多数の批判・修正意見が添付された報告書が公開されています(以下参照)。 
 今回のClimategateの事件では、過去からの批判が証拠により裏付けられました。 残念ながら、日本では、これらの事件は、ほとんど報道されていませんので、「地球の危機」・「人類の危機」に欲望剥きだしの外国はなんて醜い、というような見当外れの感想を抱かれる人が多いのでしょうね。
 COP15にあたっても、IPCC・国連の「温暖化」詐欺に対して141人の科学者から辛辣な公開意見書が発表されていますが、これまた、日本では報道されていませんね。 こんなことでは、日本は、益々阿呆な役割を国際政治で果たすことになるでしょう。 ともかく、温暖化祭りは、これで終わりだと、私は、理解しています。 

http://www.nap.edu/catalog.php?record_id=11676
National Academy of Sciences: Surface Temperature Reconstructions for the Last 2,000 Years

http://thinkprogress.org/2006/06/22/warming-not-equal/
New Study: All Warming Is Not Created Equal

http://www.logicalscience.com/skeptic_arguments/fakeddata.html
"The Hockey Stick is broken. Michael Mann refuses to release his code & data."

http://www.globalwarminghoax.com/comment.php?comment.news.123
Open Letter to Secretary-General of United Nations

地球の平均気温は最近上昇していないとBBCが10月に放送しているが、田中宇氏が関連ニュースを伝え、解説している。その一部を紹介したい。http://tanakanews.com/

1)在米の研究者(Kevin Trenberth)が報道された気温降下を事実と考え「われわれの気候変動データは間違っており、観測方法が不十分だった」
(the data are surely wrong. Our observing system is inadequate)と
書いているものもある。IPCCの中心だった英米の専門家たちも、地球の気温が上がっていないことを自覚しているわけだ。

2)ロシアの経済研究所は最近、英CRUが温暖化を「立証」した際、ロシアの観測地点のうち、20世紀末に温暖化傾向を示していなかった地点の気温データをすべて排除し、ロシア全体の25%の観測地点の気温データだけを使って、ロシアの気温が上昇しているかのような歪曲的な結果をCRUが出していたことを指摘した。ロシアの全データを使って分析すると、20世紀半ば以来のロシアの気温は上下し続けるだけで、上昇傾向を示さない。

3)オーストラリアの研究者も、CRUが豪州の温暖化を「証明」するために、都市化によって平均気温が上昇する豪州の都市近郊などの観測地点(豪全体の40%)だけを選んで使い、それ以外の気温データを「不適切」として排除し、温暖化傾向を捏造したと指摘している。CRUの詐欺手法が、世界的にしだいに明らかになっている。

4)IPCCは「ヒマラヤの氷河は2035年までに溶ける」とする報告書を以前に出していたが、これは実は「2350年までに溶ける」と書くべきところを誤植してしまっていたと、今ごろになってIPCC関係者が暴露している。

地球温暖化問題は常に胡散臭く、特に最近暴露合戦の様相を呈しているのは田中氏の指摘するように国際金融資本の主導権をかけた暗闘を露呈したものと解釈するは実に説得力がある。

このような状況下で、市民行動の基本は持続可能な社会構築のために、地球温暖化問題に翻弄されることなく、ライフスタイルを見直し、埋蔵資源残量少ないウラン鉱石による原発に依存せず、化石燃料文明から脱することしか地球上で人類が永続的に生き残る道は論理的に有り得ないことはとっくに自明となっているのである。そのために高効率システムを研究開発し、分散型多様な自然エネルギーへ移行することである。ここにこそ、税金を重点投資すべきなのである。また雇用創出のためにも。

民主主義によるエネルギー市民革命が必要だ。エネルギー技術革新から取り残され、化石化した電力会社、護送船団方式で、ムダの多い大規模集中発電と遠隔送電方式にしがみつく電力会社は存続可否そのものが早晩問われることは間違いない。変革の意思決定が遅れるほど、国民負担は増え、市民から見れば天文学的投資が必要になること必定だ。

官僚操作による真実を伝えないメディアに多くの国民が洗脳され、エネルギー問題に対し思考停止している現状は由々しき問題である。

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Profile

若林秀樹(わかばやし・ひでき)

-----<経歴>-----

1954年東京生れ。
1976年早稲田大学商学部卒業。
1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。
現在、08年3月からワシントンにある政策シンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)の客員研究員。
80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年に民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。08年はCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員として活動し、09年1月より非常勤客員研究員。現在、(財)日本国際フォーラム常勤参与・主任研究員。

BookMarks

-----<著書>-----


『希望立国、ニッポン15の突破口』
2006年9月、日本評論社



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