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« 米国の不安は、民主党政権ではなく出口の見えない日本政治の漂流
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日米首脳会談「信頼基礎に新たな関係を」─ 戦後史に残る一歩 »

鳩山民主党の自主外交とは

 民主党の外交理念は、1996年の結党以来、色々言葉は変わっても、底流にあるのは「自主外交の確立」である。今回の総選挙でのマニフェストでは、その一番の特徴が「緊密で対等な日米関係を築く」に現われており、その関連の政策として「日米地位協定」及び「在日米軍のあり方」の見直しが提起された。
 
 鳩山由紀夫氏の政治の原点は、祖父である鳩山一郎氏に見ることができる。一郎氏は、由紀夫氏の政治哲学に大きな影響を与えた「友愛革命」を提唱し、外政では「自主外交」を目指した。歴史は繰り返すのか、興味深い事実は60年程前に遡ることができる。戦後まもなく日本自由党を結成した鳩山一郎氏は、総選挙で第一党を勝ち得ながら、「公職追放」で総理になれなかった。しかしその後政界に復帰し、1954年11月、日本民主党を結成した。そして当時、麻生太郎氏の祖父であり、「対米協調外交」を歩んでいた自由党の吉田茂総理を退陣に追い込み、総理の座を手に入れた。まさに今回の総選挙同様に、鳩山ブームを巻き起こしたのである。その鳩山一郎首相は、米国中心の外交から転換し、1956年、懸案であった日ソ国交回復を実現し、その直後に日本の国連加盟を果たした。

 「自主外交」の必要性は、今に始まったことではない。大正から昭和初期に活躍し、「暗黒日記」で知られる清沢洌(きよさわ・あつし)は、「自主外交」を主張すること自体が日本人のインフェリオリティー・コンプレックスであるという。つまり清沢氏に言わせると、「他者の利益だけを目指した外交などあったはずがない。外国と行動を共にしたとしても、それが自己の利益にかなうからであった。肩肘をはって自主外交と言うこと自体が劣等感の現われ以外の何物でもない。日本は大人の真似をしようとする子どもに似ていると言う者がある。これに怒るようでは、この説を証明するようなものだ。いつかこれを笑って済ませるようになりたいものだ(北岡伸一著「清沢洌」)と、言葉だけの自主外交のあやうさを喝破した。今の時代が清沢氏の言う「笑って済ませる時代」に入ったのかどうかという点については、残念ながら疑問であると言わざるを得ない。
 
 鳩山民主党の「自主外交」が具体的に何を意味するのか、政権政党としての政策を待たなければならない。「自主外交」は、自国の立場を主張するだけではなく、相手の立場も尊重し、国際的な信用を得られるかどうかが重要だ。「対米協調」だからと言って、それが「自主外交」ではないとは言えない。「対米協調外交」と「対米追随外交」には大きな違いがある。その違いは、その都度日本が自主的に判断した結果、「対米協調」を選択してきたかどうかである。この点においては、日本独自のインテリジェンス体制は極めて脆弱であり、アメリカ頼みの重要な情報は必ずしもすべて二国間で共有されている訳ではない。日本の安全保障を米国に委ねていることに加え、この情報収集体制の不備と、国家としての毅然とした判断が国民から見えにくい(時に判断をしていない)ことが、「対米追随感」を生み、「自主外交」が必要であるという認識をもたらしている。
 
 今の政治環境は、当然のことながら、祖父の時代とは大きく違うが、対米追随外交の反動という意味では共通点もあり、「自主外交」を目指す背景としては、以下のような現象面が挙げられる。一つは、日本の立場を主張することなく対米追随外交を続けた結果、プラス面よりもマイナス面が政治の声として大きく出始めたことである。戦後60年以上も経ち、日本は成熟した主権国家でありながら、常にアメリカの言いなりであり、経済では米国の市場原理主義に翻弄され、米軍基地や財政支援等の国民負担は日米同盟によってもたらされる利益よりも大きすぎるのではないかという認識である。筆者としては、この考え方に必ずしも同調する訳ではないが、大人と子供の関係から、もう自分も一人前の大人になったので、少しはモノを言わせて欲しいという国民の気持ちは理解できるところである。また二つ目は、対米追随外交にも関係しているが、中国や韓国との関係が歴史問題も含めてしっくりいかず、日本はアジアの一員としての市民権を得ていないのではないか。早く歴史問題に決着をつけ、未来に向けてアジアと共に生きることが重要ではないかという意識である。
 
 確かにグローバル化、IT化が進み、簡単に外国の情報が入る時代になったが、「自主外交」を論ずる以前に、国民の意識はむしろ内向きになってはいないだろうか。「自主外交」とは何なのか。そのための覚悟と現実的な体制は整っているのか。鳩山民主党は、「自主外交」の意味するところを国民に示し、理解を得ることが重要だ。戦後外交史に大きな一歩を記すような鳩山民主党の新たな外交の展開に期待したい。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

本論考は自分の意見に米国の考えを内包しているように見え、主張があなたのものか、米国側のものかが不明確でわかりにくく思います。

国民は日米同盟下での米国の理不尽な多くの行動を見てきました。これまでの自民党政権下での官僚主導の外交上の不合理さを総括し、是々非々で国民は見直すことを求めているのです。

自主外交の背景解説も結構ですが、日本の自主外交についての、プロとして、あなた自身の明確なお考えを聞かせて頂きたいものです。

短くいうと、自主外交は良いと思うが鳩山は中身を云え、中身がないなら古人も既に劣等感が語るに落ちるに等しいと云うとるぞ、中身があっても覚悟と体制がないとどもらんぞ、ちなみに追随と協調は違うぞ、自主としての協調は勿論あるぞ、まとにかく鳩山は中身を云え、と云うことでしょうか。

ごもっともと思いますが一歩も踏み出さず言葉が踊るなぁ。

若林秀樹さん
意義深く読ませて戴きました。多謝。

外交交渉・・アメリカだけを責めるのは見当違い

自民党外交を否定し民主党外交を打ち出すのは、アメリカ亜流からの批判はあるにせよ、国家として当然の主張であり、丁寧に説明すれば本流には理解されると思われる。
然し、それが日本側の劣等感や被害者意識からの発想では(まさか!!??)、混乱を生むだけだが・・、民主党の賢明さを求めたい、「的確な豹変が出来る君子」であって欲しいとも・・。

1. 引用1【清沢氏に言わせると、「他者の利益だけを目指した外交などあったはずがない。外国と行動を共にしたとしても、それが自己の利益にかなうからであった。」】
引用2【「自主外交」は、自国の立場を主張するだけではなく、相手の立場も尊重し、国際的な信用を得られるかどうかが重要だ。「対米協調」だからと言って、それが「自主外交」ではないとは言えない。】
以上の2点は極めて的確なご指摘であり、今の民主党にも日本国民には極めて重要な事実を示唆していると思います。

1)「外交交渉」である以上、アメリカが自国の利益を最優先して交渉に臨むのは当たり前である。
2)独立国家間の外交交渉は、本来的に「自国利益」の衝突であり、従って合意事項は、「当事国双方の自発的な妥協の産物」である、例外はあるが・・。

3)私には、「不対等」の直接的原因は、日本外交が、そのような外交渉の場で、「自国の利益を最優先して厳しい主張をすることなく、押し切られる形で多くを『安易に』妥協し合意して来た」点にあると観える。この『安易さ』は、狭い官僚世界だけの決定であったことが、AmongOthers、「対米協調」の美名に逃げ込ませる言い訳となったであろうとも(=この捉え方は、「交渉状況が広く国民にDiscloseされるべきだ」という考え方には、決して一切繋がらない、蛇足ながら。) アメリカが勝ち獲った妥協は、「独立国日本の妥協」に相違ない。

4)更に、その底流にある原因に、「大人と子供」の差異があるのだろうとも・・。
更に言えば、日本を「子供」として片付けるだけでは、時間が経てば大人になるという誤解を生み(まさか!!??)かねず、思考の展開が阻害されると思われるので・・、私は「民度の深さ浅さ」と捉えたい。
「民度(国民の成熟度)」とは、私の嘗てのTheJournalでの投稿に倣えば、「社会と国民に蓄積された教養の総量」に当たろうか。

2.認識されるべき事実:改めての「深い慙愧」
日本は自らを「経済規模=グロスGDP」だけで「第二の大国」を任じて来ているが、その認識が違うのではないか? 
イ)その経済は「一人当たりGDP」で測れば、過去永きに亘って20-30位の中位国でしかない(直近08年は36位《CIA推定,PPPベース》)
ロ)然も、そのグロスGDPを支えた日本経済が「一流」と持ち上げられてきた他方で、「日本政治は三流」と世界的に揶揄されてきた歴史がある。
ハ)日本国民は、その「三流の政治」に国家国民の安全(=安全保障問題)を託して来た。その付託を受けた政治が、「大海を知らない井の中の蛙」であり、百戦錬磨の歴史を生き抜いてきた有能怜悧な海外外交官たちを相手に厳しい外交交渉を的確に行うには、経験も覚悟も「国家を背負う志」も、それらが産み出す高い戦術作戦能力も不足していたということでしょう。

[国民の意識はむしろ内向きになってはいないだろうか]

おっしゃるとおりだ、と思います。農耕民族的・田舎村的・江戸時代の鎖国的・閉鎖性。小沢一郎氏の「古い」と批判される政治手法が、有効性を発揮する所以です。小沢一郎氏は日本人の心性を熟知して、理解していますね。だから、選挙の神様なのです。日本が第三次産業隆盛の高度資本主義消費経済社会であるにもかかわらず、日本人の精神構造は、古層を留めたまま、複雑な層を積み重ねて、構成されている、と言っていいでしょう。


「友愛・共生」の理念をここ THE JOURNAL をきっかけに学び始め、ぼんやりとではありますが、未来図を頭の中で描く時間が本当に楽しみのひとつである今日この頃です。

日米間に於いては安保を避けて通ることは出来ないので、正直、パンドラの箱を開けてしまうのではないかという不安が常につきまといます。今回、民主と社民が安保に関して実際どこを接点に連立を合意したのか詳細は分かりませんが、事が改憲に至れば、その是非が政党間だけでなくこれほど真っ二つに分かれ、しかもパラレルのままの国民感情を、どうやって治めるのか今から胃が痛いです。

反面、私が心より楽しみにしているのが、アジア外交です。
本当に不思議なのですが、欧米の人と仕事をする時、双方の考え方の違いは本能からなのか、外見の違いに比例して考えることが出来るので、相手の意見を尊重したり割り切ったりというスキルは自然と身につくのですが、これが対アジアの人となると、顔が同じ分、国民性の違いが欧米人のソレに比べ数倍大きな差に感じ、トラブルが絶えません。中国、韓国、タイ、シンガポール、ベトナム、etc.....どこへ行っても顔も風景もどこか懐かしさを感じるのに、本当に見事に国民性が違い、納得できるまでかなりの時間を要します。個人の仕事ですらこんな感じなので、これが外交となると一体どうなってしまうのか、日本ですらまだ馴染みの薄い友愛を、どういう形で具現化してゆくのか、時間はかかるでしょうが、せめて生きている間に少しでもいいからこの目で見てみたくて仕方ありません。東アジアだけでなく遠くはイスラム圏に至るまで、悠久のシルクロード再びの活気が蘇る様な興奮を覚え、つい単純に顔が綻んでしまいます。

自主外交と追随外交?他国の意見や考えに追随する外交より、自国の意見や考えで行動する自主外交の方が私は好きですね。自主外交は民主党のやり方。追随外交はこれまでの自民党のやり方。上から命令が来るまで何もしない役人も追随外交タイプの典型ですね。自主的に動けば時には失敗もするでしょうが、失敗を恐れて追随ばかりしていては周りから尊敬されることは絶対にないでしょう。

<自主外交には賛成ですが...>
ただ、そういっていただけではダメで、環境を整えないと掛け声倒れになりかねません。
まずは、自前による偵察衛星の整備は、絶対に必要です。出来れば複数の衛星を整備して、プロの解析者を養成する必要があります。情報がアメリカ頼りでは、自主外交などできるはずもありません。
総理直属の諜報機関も必要です。現在、日本には、検察も含め行政、司法機関にも相当数のCIAのエージェントが紛れ込んでいると想像できます。アメリカに言いたい事をいっただけで、地検特捜部から不当に事件をでっちあげられ、政治生命を失うリスクに曝される総理がいる国は、日本の他にもあるのでしょうか?
検察がアメリカ益=国益として、アメリカの不利益=国益を損なうと勝手に判断して、一国の総理ですら排除するのでは、自主外交などできる訳もない。
戦前の特高警察を思い起こさせ嫌なのだが、やはりスパイは取り締まらないといけないでしょう。

「自主外交」とは何かという問題は確かにあると思います。しかし、もっとそれ以前に外交に関しての議論にある種の「タブー」が存在しないかどうか。特に対北朝鮮と対米国についてある「タブー」には懸念を感じます。
例えば、「冷戦はとっくに終了した。よって日米安保条約も破棄すべきだ。米中と等距離外交を推進すべきだ。米国とは改めて平和条約を締結すればよい」とか、「対北朝鮮外交において拉致問題の解決は最終的な目標ではない。この問題を解決するためには北朝鮮との平和条約締結が優先されることもあり得る。少なくとも平和条約締結の障害とすべきでない」とか、「そもそも国際的には『北方領土』問題など存在しない。だから問題設定そのものが間違いではないか。ましてロシアには現状を変更する意志など全くないのだから、条件など設けずに平和条約締結を目指すべきだ」とか。
こんな議論があり得るかどうかは知りませんけど、近隣諸国と平和条約を締結し友好関係を築くことが、我われが平和に暮らすためには何より大切じゃないかと思うのです。
日中平和友好条約締結のときに目を見張る思いをしたのは、平和友好条約締結と共に昨日の「敵」は今日の「友」になったという鮮やかな事実です。これが「外交」というものでしょう。
いろいろな視点からの自由な議論があることが大切だと思います。正解は一つとは限らない、だから議論に「条件」をつけたり、「タブー」を設けず「思考停止」に陥らないこと、多様な議論を喚起し、またそれが保障されていることが重要です。こんなことをしていく過程のその先に「自主外交」なるものがあるとすれば始まるのではと思います。

■アメリカとの「自主外交」実現には,国民との信頼関係の確立(支持率の高さ)が必須■

戦後間もなくの事件(松川,下山,三鷹)はアメリカの謀略事件であることは,今や公知の事実となっています.そして,元総理大臣田中角栄はアメリカの了解を取らないで,「自主外交」で日中国交回復を行なったので,不可解なロッキード事件で逮捕されたという説も説得力が有ります.
「アメリカのイエスマンになっていないと,政権は持たない」というのが,今までの日本の政治でした.直近の小泉,安倍,福田,麻生政権も同じ路線でした.
しかし本年,アメリカは「チェンジ」がスローガンのオバマ政権となり,「謀略」に依る政権転覆などと言う,非民主的な手段には消極的と思われます.しかし「謀略」はアメリカの伝統芸であり,注意深い対応が必要と思います.「9.11謀略説」も説得力が有ります.
こうした中で鳩山政権は「自主外交」をどこまでを進めることが出来るのでしょうか.,国民との信頼関係(支持率)がしっかりしていれば,伝統芸を持ち出すことも出来ないでしょう.その為には,政策について,国民の理解が深まる様,中央,地方,マスコミ,くちコミなど,広範囲で,深みのある政治活動が必要です.

■「自主外交」の為には検察機構の徹底的な改革が必要■

「em5467-2こと恵美 | 2009年9月14日 22:08」さん御指摘のように,検察機構はアメリカ政府の影響を強く受けていると言われています.
そして又,日本の軍事力は完全に在日米軍の支配下にあります.その気になれば,政権転覆は朝飯前ではないでしょうか.
既に,政治献金疑惑として総理と幹事長は俎上に上がっています.
アメリカが「気に食わない」と思えば,検察特捜を指揮して,この2人を逮捕し,政治生命を抹殺することも十分考えられます.「自主外交」を進める為には徹底的な機構改革が,待ったなしで必要です.

偵察衛星をいくつ持ったところでまたは解析のプロを幾人雇ったところで偵察衛星は日に数回程度目標の上空を通り過ぎるだけですし、天候が悪く雲が厚くかかっていれば能力は半減します。
また偵察衛星自体、軌道上を回って何時間ごとに観測目標国の上空に来るのか、地上からの観測で分ってしまいますのでそれさえ分ればどうということはありません。
逆にそれがわかっていてあえて既成事実を提示し(発射台にミサイルを取り付けた偵察衛星の映像)、さあどうする?とブラフをかけてくる北朝鮮のような国もある。
日本がやるべきはさしづめ、イスラエルがイランやシリアにやるような偵察監視しているぞ、変な気を起こすなよという脅しに近いようなことでしょうが、これも半分以上嫌がらせに近い。
偵察衛星で監視して見ているからといってそれが例えば自国にとって脅威になる核製造工場なのか、純粋に原発なのかわからない。送電線があるから発電所であると反論すれば、いや、それは擬装だ。それこそが核開発の証拠を認めていると国際的に発言力ある国が言い立てれば圧力となることを見越してあえてブラフをかける戦術もある。
この場合、イスラエルは同盟国のアメリカの国際的政治力を最大限利用するし、アメリカはイスラエルを利用する持ちつ持たれつの関係を保っておくことが大事です。
北朝鮮のことでいえば日本は北の脅威をアメリカとどう共有して取り除くのかという戦略が見えてきません。
イスラエルがイランやシリアに使う恫喝が北朝鮮には殆んど通用しません。
アメリカがこの地域で一触即発の事態になった場合あまりにもリスクが高くコストもかかりすぎること、また被害も膨大な数に膨れ上がること、何よりアメリカ自身がそのリスクに耐えられる体力が既に無いことを自覚しており、中国の市場に活路を求めなければ立ち行かないなかでは中国が難色を示す北朝鮮への強硬な圧力は選択できない。
偵察衛星がまったく無用の長物だという気はありません。
使い道の優先順位をどう決めるのか、日本の安全保障の道筋が定まらなければいくら持っても宝の持ち腐れということにもなりかねない。
民主党は日米の安全保障を見直すというのですから、これまで通りの米国一辺倒の情報独占は改められるべきでしょうが、同時にそれは米国に頼っていた力の源泉を放棄することであり、これまでの一極体制から多局体制にシフトチェンジする試みでもあるのですが、ならば周辺国との緊密な情報交換が不可欠になってくるし、安全保障の組み替えも必要になってくる。
その時に偵察衛星の情報をどう活かすのか、国際的発言力のある国としてこの地域の安全をどう保っていくのか、そこまで国民が意思として外交を考えていなければいくら衛星を作り打ち上げたところで絵に描いた餅ではないでしょうか。
たとえば衛星で補えない情報をヒューミントで補うにせよ、これは日本も対外諜報がありますが、大使館の数だけ諜報員はいるというのが実情でなにもCIAだけが日本に潜り込んでいるわけでもない。
そこは分った上で対応していかなくてはならない。
また国外への諜報活動、いわゆる非公然的活動に対する国民の理解が必ずしも得られているとは言い難いなかで、たとえば破壊活動も必要になってくる場合それはどうなのかもよくわからない。
得られるものは勿論あるけれども、得られないものもある。
むしろそのほうが多いというのが現実ではないでしょうか。
私は危機を作り出して国威発揚の動機にし、情報独占力で敵国を恫喝するイスラエルに代表されるやり方を日本は取るべきだとは思いませんね。
そのイスラエルですら、オバマの中東政策の激変によりレバノンにおける破壊工作がどんどん工作員が逮捕拘束されることによって内容が明るみに出ているという現状です。
アメリカの衰退によって起きた現実ですが、これはイラクでもパキスタンでも過去アメリカが関与してきた国、地域でも起きてくるでしょうし、起きざるをえないことだと思います。
諜報は必要ですが、使うのであれば国民も含め国家意思を示し了承を得なければいけません。
まずは優先順位をどこに持っていくのか、民主党だけでなく日本人が考えて取り組まなければ自主外交は言葉だけに終わってしまう。
そして内向きにだけは絶対にならないことです。
先ほど言ったイスラエルは強硬なパレスチナ人排除やブッシュのイラク侵攻に相乗りする形で過激なアラブ国家対策を採り続けてきた結果、ヒズボラとの戦争で大敗北し、ハマスとの戦争にも勝てず、国際的非難を浴び、オバマが再びイスラエルの擁護をしてくれることを期待して更に強硬な政策を推し進め、オバマの怒りを買い今やイスラエルロビーはアメリカ議会での発言力は著しく低下してしまいました。
イスラエルは今、ウルトラ保守派のタカ派連合政権が内向きに凝り固まって身を寄せ合うように周囲のアラブ国家に威嚇をしていますが、過激な政策を国民向け(人気取り)にどれほど取ろうが国際的孤立を深めるだけです。
イランへの牽制のため、イスラエルはイラン先制攻撃をアメリカに根回しし、一方ではロシア版MDのS-300のイラン貸与をやめるようロシアに頼んだりしています。
いずれもアメリカやロシアは態度を保留していますが、答えはNo!でしょう。
中東におけるイスラエルの地盤沈下はアメリカの衰退と歩を進めるかのようにここ数ヶ月のうちに更に悪化し始めている。
このことも日本においては参考テキストになる重要な外交資料だと思うのですが。


<伊藤ゆき様>
レス有り難うございます。さて、>大使館の数だけ諜報員はいるというのが実情でなにもCIAだけが日本に潜り込んでいるわけでもない。<
私もそれ位は判ります。ただ、日本は外人が諜報活動をしているだけではなく(その場合は、公安がそれとなく監視するとかですが)、国家権力そのものがCIAの諜報活動の手先である事が問題なのです。
岸総理は、すでにアメリカで公開された公文書でCIAのエージェントであった事が明らかにされています。田中角栄氏は、中曾根大勲位が明らかにしていますが、アメリカメジャーの原油の調達ルートではなく、独自のルートを開拓しようとして、ヤラレた。そうです。だとしたら、アメリカの国益と我が国の国益がぶつかった場合は、一国の総理であっても、不当に逮捕され政治生命を奪われかねないと私は考えているのです。それでどうして自立外交などできるのでしょうか。ご指摘の多極化する世界のパワーバランスの中で、弱ったアメリカから、全方位外交に踏み出す好機です。その際、ネックになるのが、検察です。日本の金融資産をアメリカに掠め取られ様と、唯々諾々と従うだけ、年次要望書にも逆らわない。なぜなら、アメリカから何をされるか判らないから...。
日米安保に関しても、実際、日本に駐留している米兵では、全く安全保障には役にたっていない。小沢さんが「第七艦隊だけがいればいい」と発言したのも、自衛隊幹部は、「その通り!」といっていると報じられています。現実的には今も日本は自衛隊が守っているのです。専守防衛上、足りないのは、情報と核の傘、実際に他国から進攻された場合は飛行距離の長い攻撃機や大陸間弾道ミサイルや空母ですが...。とりあえず、専守防衛には、情報から得るべきと考えました。
旧田中派は一貫して、アメリカからの独立を志向してきました。時には、社会党の力を利用して、常に少数意見を取り入れて、日本を社会主義の国にしない為には、社会党の政策を取り入れなければならないとの理由をアメリカに飲ませ、日本を世界で最も成功した社会主義国、一億総中流社会を築きました。旧田中派出身の鳩山・小沢体制の民主党ができなければ、日本は未来永劫アメリカのポチのままです。

em5467-2こと恵美さま。
仰ることはわかりますし、同意する部分も多々あります。
ただ、問題はそれをやるにせよ最終的な判断は国民も共有するという国家意思が必要だと思います。
今回の衆院選は外交がテーマではありません。
政権交代はキーワードではありますが、一番に挙げられるテーマは国民生活の建て直しを新政権にやらせてみるということでしょう。
勿論、国民生活のなかに外交防衛というきわめて重要な課題が横たわっているのですが、そこまで日本人は手が回らない、いや外交課題はそもそも選挙のテーマになったためしがない。
漠然たる不安を抱いたまま、それでも日々の生活に手一杯で外交などという頭の上を飛び交うゲームは上(国家同士)でやってくれ、わずらわしいよというのが大方の意識ではないかと思います。
言ってしまえば誤解を招くかもしれませんが我々の国民気質はそもそも他国とどうやって付き合っていくのかあまり関心が無いのではないかと思います。
ノンシャランというか、意識もせずいきなり入管法の改正を政府が勝手にやってしまったおかげで、不況で仕事にあぶれた日系ブラジル人たちは放り出されたまんまですが、日本人の中間層から下には彼らそうした出稼ぎの外国人に対する偏見と差別が以前より自分たちの仕事を奪う、生活圏を侵す外から来たやつらという蔑視が醸成されてきいると思います。
在日に対する差別的な物言いもそれと同じくワールドカップ共催や北朝鮮の拉致発覚に触発され中、韓、日本のネット空間の中で互いに罵りあういわゆるネトウヨが湧いて出てきている。
いずれもウヨクというより、国家という大きなものに寄りかかり、異物を排除するという選民主義思考にひた走る。
特徴的なのは彼らは自身は社会の中で埋没しそうで仕事も満足にもらえない、その責任の一端は在日、シナチョン、ブラ公にあり、もうひとつは国家を穢す報道を平気でやる朝日やNHKというわけです。
既存マスコミを批判否定するという意味ではネトウヨくんたちはある意味我々と重なっていますが(一緒にするなと怒られそうですね、すみません)そういう不満が日本を内向きにしていることは大変気になります。
元々、外交に気がいかない国民性と熱しやすく醒めやすい日本人は上の決めたことに対する漠然とした事にはなにか事件や事故でもない限り振り向くことはありません。
その時は上や下への大騒ぎで、それこそ取り返しのつかない騒乱で国中が一色に染め抜かれてしまいかねない。
戦前の日本が議院内閣制を持ちながら、軍部の暴走を許した背景、それはこうした国民の空気が後押ししたものだった、無論それには新聞や知識人の果たした役割が非常に大きかったわけです。
2.26事件の時、彼ら青年将校は時の軍部から天皇に対する逆賊といわれましたが国民の多くは青年将校の嘆願署名を送りつけ、報道機関には彼らを称えた投稿や脅迫の手紙が山と送りつけられたそうです。
結果的にクーデターは軍部の独走を許す契機となったわけです。
たとえば太平洋戦争、当時でいうところの大東亜戦争にしろ、あれが果たして国家意思として行われたものなのかといえばそうではなく、漠然と決まり、反対もあるにはあったが決まったからにはやるほかないわな、という本当にこんなやり取りが交わされたとしか思えないほどあっけらかんとしていたそうです。
そして日本国民はアメリカからの重圧と一向に終わらない日中戦争の中で戦端が開いたと聞いて心が晴れたと小躍りして快哉を叫んだ。
第二次大戦は国家総動員戦争で、二度とあんな戦争は出来ませんができないからといって我々日本人のメンタリティーが早々変わるともいえないわけで、冷戦という大きな物語が終わりを遂げた時点でそもそも55年体制は終わっていたのにもかかわらず、アメリカ一人勝ちの10年に乗る形で生き延びてここまで来てしまった。
だから今度こそはうまくやる必要がある。
ナショナリズムを全面に鼓舞せず、うまくアメリカをおだて、出し抜いてこの地域の安全保障の組み換えを互いに構築していく必要があると思います。
それには確固とした国民の意思がなくては、なにか起こったぞ、北の仕業か?許せん!とやっていたのでは話になりません。
そういう意味でも自主外交、言うは易し行なうは難し、ですね。


<伊藤ゆうき様>
レス有り難うございました。おっしゃる通り、国民の覚悟が必要ですね。
日本人が、内向きであることは確かですし、一旦事あれば、一方にダ〜といく習性があることも否めません。ただ、インターネットがある今では、西松問題や故人献金問題などがあっても、マスコミがいくら煽っても、国民は民主党を選びました。私は、日本も捨てたものではない、と思っています。
結局、戦争も責任をとらない役人と役人気質の軍上層部が泥沼にしたのです。だから、民主党が目指している役人の責任の明確化に期待しているのです。

若林様
一等書記官に赴任される前から存じています。
昔に比べ、自由がないのか、ご自身の主張が見受けられません。
知らないことを知らせたいのか、誤解ないように解説したいのか、自説を説得しようとしているのか、全く不明な感じがします。
参議院選挙ドタキャン以来心配しておりました。ネットでこの場を知り安堵しました。ご活躍は結構ですが、せっかくの機会ですからもっとご自身の主張をされてはいかがでしょう。「期待したい」という結びは残念です。何を期待しているのか全くわかりません。
今後を楽しみにしています。

自主外交については 韓国の前の政権のノムヒョンの外交が想起されます。 この時、米韓関係は悪化したように見えます。ノムヒョンがその活動歴から反米と見られたこともあったかもしれない。この時に見られた議論の一つが、 アメリカは韓国から撤退して さらに日本に軸足を移す、あるいは さらに日本を重視するというものだったと思います。これは 韓国内のみならず、日本でも聞こえてきた議論だったと思いますね。 このことの連想で言うと、
鳩山自主外交が本格化すると、立場を逆転させた議論が保守派から展開されるかもしれない。つまり、日本がアメリカ離れをするということならば、米国はアジアの拠点として韓国に軸足を移す、という主張が十分に展開されることはありうるでしょうね。米韓FTA交渉妥結ということも相まって、経済的な統合と同時に、日本がそういうことならば、アメリカは アジアにおける軍事戦略的な基点として韓国を選択しますよという姿勢を示してくることもあるかもしれない。
日本の保守派に対しては これは充分な威嚇になるでしょう。

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Profile

若林秀樹(わかばやし・ひでき)

-----<経歴>-----

1954年東京生れ。
1976年早稲田大学商学部卒業。
1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。
現在、08年3月からワシントンにある政策シンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)の客員研究員。
80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年に民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。08年はCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員として活動し、09年1月より非常勤客員研究員。現在、(財)日本国際フォーラム常勤参与・主任研究員。

BookMarks

-----<著書>-----


『希望立国、ニッポン15の突破口』
2006年9月、日本評論社



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