米国知日派、政権交代でも日米関係は楽観的見方
6月25日、米国下院外交委員会アジア・太平洋・地球環境小委員会で「変化する日本の役割」と題する公聴会が開かれました。証言者として登場したのは、駐日大使の呼び声が高かったジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授、日本政治の裏事情を知り尽くしているマイケル・グリーン戦略国際問題研究所日本部長、そして日本の安全保障に詳しいケント・カルダー・ジョンズホプキンズ大学高等国際研究大学院教授等4名。公聴会では知日派の論客と日米関係に詳しい連邦議員とのやりとりが行われ、メディアの関心を引くような発言は無かったものの、今、ワシントンで日本がどのような政治的ポジションにあるのか把握する上で重要な手がかりになったものと思われます。
一般論として、日米関係に携わっている専門家は、議会において日本に対して敢えて厳しく批判し、あるいは日本の存在感を低めるような話はしませんので、その分を割り引いて聴く必要があります。しかし公式発言であるが故に、議員や専門家としての見方や考えは、その時々の日米関係を考える上で極めて重要です。詳細な議事録をすべて読んでいるわけではありませんが、議論のやり取りや証言者の発言原稿を読む限りにおいて、いくつかのポイントが浮かび上がってきます。
第一に日米関係は、貿易摩擦時代の日本脅威論からバブル崩壊後の日本悲観論を超え、国民や党派を超えた議会の理解の下で、格段に強固になったと捉えているということです。特に、自衛隊のインド洋沖での給油活動、海賊対策等で日本が同盟国のパートナーとしての役割を果たし、この15年ほどの間に日米協力が格段に進んだことを評価しています。米国のアジア政策では、存在感を増す中国を国際社会に関与させつつも、将来の不確実性を担保する必要はあり、北朝鮮問題等への対応を含め、信頼できる日本と良好な関係を築いておくことは重要であるということです。また地球温暖化や感染症などの地球的課題にも、技術力を持った日本との協力は不可欠であると見ています。これらの発言に目新しさはないものの、日米関係を再確認する上で重要な発言だと思います。
そして今後の日米関係については、日本が総選挙を控え、政権交代の可能性はあるものの、概ね楽観的に見ています。ナイ教授は、「結論として(日本の政治状況がどうなっても)米日同盟の将来には楽観的である」、グリーン氏は、民主党がこれまで米日同盟に水を差すような対応があったことを踏まえつつも、「民主党が政権に就けば、米日関係の重要性に鑑み、これまでの立場を変えるであろう」、カルダー氏は「民主党は総選挙で少なくとも過半数の議席を取り、来年の参議院選挙でその立場をさらに強固にし、55年体制以降最も大きな政界再編になるかもしれない」、「米日関係は政権交代、政界再編により新たな時代に入り、新たな戦略ビジョンが必要になる」と述べています。議論の中では、北朝鮮の核武装化に対応するために、日本も核保有に踏み切るのではないかとの懸念を表明する発言がありましたが、専門家はその可能性を打ち消していました。
いよいよ日本は総選挙モードに入ってきました。カルダー氏が言うように、大きな政界再編の波が押し寄せてくるのでしょうか。良好な日米関係を築いておくことは、どの政党が政権につこうとも極めて重要ですし、オバマ政権も日米関係重視の姿勢を見せています。その意味において、今後の日米関係は日本の動向次第のところがあり、政治的混乱で日米関係に亀裂が入らないように、日本の政治体制が一日も早く固まることを期待したいものです。
