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吉と出るか、オバマ大統領のヘルスケア改革(1) »

世襲制は改革阻害の最大要因

 民主国家は、国民が直接政治に参加する直接民主制でなければ、選挙などによって自らの意思を代弁してくれそうな代表者を選出し、その代表者をつうじて政治に参加する間接民主制である。いずれにせよ、大切なことは、代表者を選ぶ権利と同時に、自らが代表者になれる権利が確保されていることである。しかし残念ながら、政党中心の議院内閣制を採用している日本においては、そもそも政党公認の候補者になれる権利が実質的に世襲制で、極めて制限されているのである。世襲議員の言い分として「法の下の平等を定めた憲法14条、職業選択の自由を定めた22条に抵触する」「議員だった親や祖父母から直接学ぶ点が多かった」「最終的に有権者に選ばれない世襲議員は淘汰されるから問題ない」などということが言われる。

 確かに、一理はある。しかし問題は、世襲議員の権利をどう守るかにあるのではなく、政党公認候補者の選出方法が極めて不透明であるなかで、実際にどのような民主的な手続きによって候補者を選ぶかにあるのである。小泉純一郎元総理は、長年応援してきた後援者を前に、自ら議員を引退すると同時に、二男を後継者に指名することを表明し、マスコミにも大きく取り上げられた。小泉純一郎氏は、祖父の代から続いた世襲議員である。祖父が初当選した1908年以降約1世紀の間、小泉家は議員の座を守り続け、首相まで出したわけである。その小泉氏が息子を後継者に指名したことは、事実上の政党公認候補者を決定したのに等しい。実際、自民党神奈川県連は、二男以外の候補者を選ぶことができるはずがないし、それを求めること自体が無理な日本社会の実態なのである。

 しかし神奈川11区40万人の有権者の中で、息子より優秀な候補者は数多くいるかもしれないし、最大の問題点は、政治家を志す若者たちの夢をぶち壊したことである。世襲制が続けば、結果として優秀な人材は政治家を志さなくなる。現象的に起こっていることは、選挙区の「空き」がないので、自分の主義・主張と違う政党から立候補する政治家が多くなり、これでは二大政党制の定着にもつながらないし、日本のためにもならない。アメリカでも世襲議員がいない訳ではないが、数は圧倒的に少ない。候補者決定に際しては、極めて透明性の高いオープンな候補者選出システムがある。政党の候補者になるために、まず自ら名乗りを上げること自体は、基本的に自由であり、予備選挙等によって党員、有権者の厳しい目に晒され、最終的に政党の候補者として選出されるのである。

 アメリカでは、オバマ大統領やクリントン元大統領のように、ほとんど知名度のない無名の政治家が、それぞれ上院議員、州知事を経て、大統領になれる道が開かれているのである。法律で世襲制を禁止することが難しいのであれば、政党がその選挙公約で世襲制に対する考え方を明確にすべきである。世襲制の良し悪しを別にして、ジバン(地盤:後援会)、カンバン(看板:知名度)、カバン(鞄:資金力)の3バンを活かすという観点に立てば、世襲制が最も効率的な制度であることは理解できる。その上で、民主的な方法によって候補者を選ぶことが現実には難しい実態を考えれば、政党は一定の範囲内の親族が同じ選挙区から立候補することを認めず、また政党内で恣意的に候補者に選出されることを防ぐ公正なシステムを導入すべきである。日本の改革が遅れている理由の一つが政治家の世襲制にあることは明らかである。ここは、思い切って実態としての世襲制を制限すべきであろう。

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コメント (9)

代議士がその子息に政治家の道を選ばせる背景には、親子で政治家になれば寄付という形で政治資金管理団体を事実上、無税で相続できるという特権があります。これでは親に代議士を持つ人と持たない人との間で大きなハンデが付き、「法の下の平等を定めた憲法14条、職業選択の自由を定めた22条に抵触する」ことになります。
http://diamond.jp/series/uesugi/10072/
民主党が検討している世襲禁止法案では、この政治資金管理団体の相続実質無税の禁止も盛り込む可能性があるとの情報もありますが、大手マスコミではこれがクローズアップされていません。
大手マスコミも利権擁護集団だからでしょうか。

>職業選択の自由

そもそも、議員・首長等を職業と呼ぶこと事態に疑問を覚える。
というか職業であってはいけないんじゃないのか?

>そもそも、議員・首長等を職業と呼ぶこと事態に疑問を覚える。

いやごもっともと賛同するものです。百歩譲って議員や首長等を職業と見るとしても、今の状態で世襲を認めていてはそれこそ「職業選択の自由」など実質的になきものです。世襲全面禁止というのも難しいこととは思いますがなんらかの枷は必要でしょう。

それから、枷の一種としてですが立候補にあたって「任用前試験」のようなことがあっても良いと思えます。小泉郵政選挙のときなどB層対策などと言ってマスコミによる大規模キャンペーンが張られておりましたが、小泉チルドレンそれ自体がB層議員だったという笑い話のようなことになってしまいました。

若林さま

逃げなくてもよいのでは?
世襲は、特に政治の世界では、制限でなく廃止するべきです。しかし、それ以上に必要なのは、我々日本人の意識改革です。実は日本中のあらゆる職種あらゆるステージで世襲が横行しています。
もしかしたら、我々日本人は、元来『世襲』というものに安堵感を覚える民族なのかも知れません。しかし、鎖国していた時代ならいざ知らず、このご時世に、このままでよいものか、自分たちが頭を使って考えなければ、いくら制限しても法律を作っても、いつかは元の木阿弥に戻ってしまうでしょう。
世界のボーダーはますます低くなってゆくでしょう。そんな事は誰が考えても明白な事なのに、日本人は相変わらずぬくぬくと暖かいものにくるまっていたいようです。それが真綿で首を絞められている事だと自覚しない限り、悲しいかな、世襲は続くでしょう。
ジャーナリズムは世襲の弊害を理論を持って説くべきです。流れも変動もない淀んだ水はいつか腐ってゆきます。国家も同じ事だと、是非、しつこいほど提起して頂きたいと思います。

今、世襲制論議は、総選挙の争点ぼかしだ!!

 年金、医療、福祉、教育、破綻しつつある国民生活をどうするのか!が、一番の関心事であり、従来の官僚利権構造の打破が、今回の総選挙の最大争点であるべき。

 世襲制論議にメデイアのエネルギーを注ぐよりも、各党の”政策”の現実性と優劣を論議すべきである。

 今、世襲議員が制限されようが、困難に直面している、国民生活には、当面足しにはならない。

 明日のコメに困っているのに、田植えの方法を論ずるようなものだし、即、次回の選挙にも反映できるものでもない。

 世襲制論議の”政治的な狙い”は、無能でも、世襲でない人が世間の点数が稼げる、と言うだけ。

 また、総選挙を前に、国民が知りたい”生活に直結した各党の政策や争点”を知る時間が、茶の間のテレビ番組で無くなるというだけの気がする。

 世襲制論議は、総選挙後に、じっくりやればいいもの、と思う。

「世襲制限は絶対必要です」
米国においてもケネディ・ブッシュ等の世襲は見られますが、日本においての世襲は“家業”としての政治が世襲になっているところに特色があります。
職業でなく、あえて“家業”であると指摘します。
端的な事例は小渕です。思想もはっきりせず、世の中のことも十分に分かっていない若き女性が、大臣になる異常さは、日本政治の特質でしょう。(一般論として、若き女性が見識を持たないという意味ではありません。ここでは小渕のケースを指摘しています)。

日本において、政治は金になる。
政治家になって地元への公共事業等の利益誘導を行なえば、票も取れるし、金も入ってくる。そして、“家業”としての政治は辞められなくなる。
職業というより、商売です。

だから、世襲制限は絶対必要なのです。自明の理です。
小沢氏には何だかんだといいながら、10億円以上の個人資産があります。使い道は必ずしも自身ためでなく民主党員のためだとしても、このような自公政治、あるいは自民亜流政治に終止符を打つべき時期にきています。

次の衆院選の結果はほぼ、見えています。
今が改革のとき、この時期に世襲制限・企業団体献金の全面禁止で新たな一歩を踏み出すじきだと思っています。

武部さんが、小泉進次郎君を公認するなと言うけれど、その方が当選しやすくなるのだから困ったものだ。最低でもイギリスのように一度落選させて、その後の活動をみて、政治家の資質を図れるようになるしかない。隣の選挙区なら良いとか、公認しなければ良いというレベルではないような気がする。
 その様な中で党が力を持つのは悪いことではありませんが、自民党や小沢さんのように、権力を取れば何でもできると勘違いしている人がいるうちは国民は救われない。その権力を行使する事は法律上または党規上、何も問題は無いけれど、使ってはいけない事があるという事を各政治家が認識するまで悩ましい事は多いですね。

上記、ゴンケンさんのコメントに賛同します。争点ぼかしはやめてほしい。”年金、医療、福祉、教育、破綻しつつある国民生活”をどう改善していくのか各政党は政策論争してください。メディアはその争点をわかりやすく公平に国民に伝えてください。選挙権のある人は期待する政権を選挙で自らの一票を投じて選びましょう。少なくとも私はそうしたい。

僕は西部すすむ先生の大ファンですが、西部先生は、ご自身の番組で、「世襲はすばらしいことだ」とおっしゃいます。僕もその論調に共感を覚えます。そもそもアメリカの民主制を基本に考えての世襲批判はおかしいのでは?アメリカの政治の有り方が正しいのでしょうか。モダン=近代的な、社会を機能性だけに限定して考えるのは間違っていると、もはやいえるのではないでしょうか。モダンとは、語源をたどれば形式(モデル)のことらしいですが、近代とは、人間の本質を見誤った上での準機械的な社会への挑戦なのかもしれません。
若者の夢などというものが、政治と関わるなどとは思いません。夢を抱いて悪い政治を行われても仕様がありません。クリントンしかり、オバマしかり、彼らの政治行為がどのようなものか。とても良い政治家などとはいえません。専門家の専門的視点からの技術的な議論に素人が踊らされています。民主主義に対する疑問から、政治学が始まり2500年くらいがたっていますが、現在ではそのことを知っている市井の人は少ないようですね。文化や伝統、倫理道徳がなくては判断基準はないのです。リーマンブラザーズのようなものを自然に生み出す国の政治を基本にするのはおかしい。ふむ。

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Profile

若林秀樹(わかばやし・ひでき)

-----<経歴>-----

1954年東京生れ。
1976年早稲田大学商学部卒業。
1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。
現在、08年3月からワシントンにある政策シンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)の客員研究員。
80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年に民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。08年はCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員として活動し、09年1月より非常勤客員研究員。現在、(財)日本国際フォーラム常勤参与・主任研究員。

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