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2009年1月27日

「スマート・パワーの意味するところ」

大統領就任式も終わり、オバマ政権が本格的に始動した。1月24日に発表された米ギャラップ社の調査によれば、オバマ大統領の支持率は68%と、意外と低い印象を受けたが、戦後の歴代米大統領の中では、ケネディ氏の72%に次ぐ高さだそうだ。いずれにせよこの高い支持率をどこまで維持し、社会を変革できるのか、すべては政策の中身と実行力にかかっている。

 オバマ政権の外交・安全保障政策の考え方の中で、最近よく耳にする言葉は「スマート・パワー」だ。ヒラリー・クリントン氏は、国務長官承認のための公聴会や国務省への初登庁時にも、その言葉を使って外交の基本的な考え方を明確に述べた。「スマート・パワー」とは、一言で言えば「ソフト・パワー」と「ハード・パワー」との統合、組み合わせであり、クリントン国務長官は、「外交、経済、軍事、政治、法制度、文化」など、「その時々の状況に応じて的確なツール」を使うとしている。つまりここで重要なことは、オバマ政権は「ソフト・パワー」を重視しつつも、時と場合によっては、軍事力の行使をも躊躇しない外交を推し進める、という意思表示の表れであることも忘れてはならない。

 「スマート」という言葉の響きから、「スマート・パワー」はやや「ソフト」な外交をイメージしがちであるが、ハード(軍事力等)の力を弱めるという意味では全くなく、その強い軍事力を背景に外交力を前面に押し出す戦略である。その「ソフト・パワー」、「スマート・パワー」の概念を外交・安全保障分野の理論として推し進めてきたジョセフ・ナイ教授が駐日大使として起用される可能性が高まった。

 オバマ政権が重視する「ソフト・パワー」は、もともと日本が得意とするところである。日本はその主体的な外交の推進と良好な日米関係の維持という観点から、特に地球温暖化など技術力を生かした環境問題への対応、途上国への開発援助、核軍縮・核不拡散等の分野における米国との積極的協力を志向すべきである。一方で、いざという時の「ハード・パワー」も憲法の範囲内でいつでも活用できるよう、自衛隊の迅速な派遣を可能とする「一般法」等の備えもしておく必要があろう。

2009年1月18日

祝オバマ政権誕生

いよいよ1月20日、第44代米国大統領に黒人で初めてバラク・フセイン・オバマ氏が就任する。大統領選が始まった2年前、誰が今日のオバマ大統領の誕生を予想したであろう。へムリ戦略国際問題研究所(CSIS)会長は、大統領選におけるオバマ氏の当選をアメリカ民主主義の勝利であると称えた。改めてオバマ新大統領の誕生に対し、心よりお祝い申し上げたい。

オバマ新政権に対する国内外の期待は極めて高い。それは8年間続いたブッシュ政権の反動からアメリカを大きく変えて欲しいという気持ちの表れであるが、あまりにも期待値が高いが故に、国民が裏切られたと感じるときの反動は逆に大きいことも覚悟せねばならない。

しかし期待値が高いということは、国民はオバマ政権に対して耳を傾けようということであり、新政権が正しい政策を打ち出せば、むしろアメリカ社会は大きく変革する可能性は高いことを意味する。国際社会も、米国の単独行動主義に対して厳しく批判し、かつてのようなパワーや存在感は薄れたと言いながら、実はオバマ新政権の指導力に大きな期待を抱いているのである。何故ならば世界は依然として米国に代わってリードできる国は無く、国連を中心とする国際社会の枠組がいつも機能するとは限らないことを知っているからだ。特にこの半年間、世界ではロシアのグルジア侵攻、金融危機の勃発、ムンバイでのテロ、イスラエルのガザ侵攻等、世界を震撼させた様々な出来事が起こり、米国のリーダーシップに対する期待値はむしろ高まったのではなかろうか。

オバマ政権の外交政策は、駐日大使の噂があるジョセフ・ナイ教授が打ち出したソフトパワー(外交や文化など非軍事的な力)を重視し、国際社会との協調を打ち出している。地球温暖化等の環境問題、地域紛争やテロへの対応、核軍縮・核不拡散、感染症への対応、世界金融危機等の問題を考えると、今ほど国際協調が必要な時代は無い。オバマ政権が的確な外交政策を打ち出せば、国際社会は耳を傾け、世界は大きくチェンジするであろう。オバマ政権のリーダーシップに大いに期待したい。

2009年1月15日

オバマ政権の船出と良好な日米関係に向けて

いよいよ1月20日に歴史的なオバマ政権が誕生する。新政権下における日米関係に大きな変化は無く、さらなる関係発展に期待したいが、懸念材料がない訳ではない。当面の日米関係は大きな問題がないことから大統領主導ではなく、実務レベルでの折衝が中心になるが、一歩間違えると、国民感情を巻き込んで、大きな亀裂が入ることもあり得る。何故なら小泉-ブッシュの間で築かれた良好な日米関係が安倍、福田でほころびはじめ、現時点で良好な日米関係にあるとは言い難いからだ。

>>続きは『THE JOURNAL×Infoseekニュース』で

Profile

若林秀樹(わかばやし・ひでき)

-----<経歴>-----

1954年東京生れ。
1976年早稲田大学商学部卒業。
1979年ミシガン州立大学院農学部修士課程終了。
現在、08年3月からワシントンにある政策シンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)の客員研究員。
80年からヤマハ(株)勤務、労組役員を経て93年からワシントンの日本大使館1等書記官として政府開発援助(ODA)と日米協力を担当し米国際開発庁(USAID)から表彰を受ける。帰国後は電機総研副所長を務め、01年に民主党比例区で参議院議員に初当選。在職中は「次の内閣」経済産業大臣・財務副大臣、国際局副局長を歴任。さらにイラク、シリア、イラン等を訪問し安全保障、復興支援、核問題等幅広く国際問題に取り組む。08年はCSIS(戦略国際問題研究所)客員研究員として活動し、09年1月より非常勤客員研究員。現在、(財)日本国際フォーラム常勤参与・主任研究員。

BookMarks

-----<著書>-----


『希望立国、ニッポン15の突破口』
2006年9月、日本評論社



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