守るべき日本の農業とは何か
TPP(環太平洋経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)の議論が起こるたびに、日本では農業関係者から「絶対反対」の気勢があがる。既得権死守にしがみ付き、国益などおかまいなしで自己保身にだけ走る農業関係者たちのいつもの光景だ。なんの驚きもない。
■既得権益にしがみ付く農業関係者
だが世界中が先を争って貿易自由化による自国産業の競争力強化にしのぎを削っている時代状況になど目もくれず、ひたすら自己保身にだけ走る農業関係者は醜悪であるばかりか、国益に対してその無責任さは犯罪的ですらある。
そもそも彼らが言う「守るべき日本の農業」とは何なのか。
低廉な外国産の農産物の大量流入で農家が立ち行かなくなり、ただでさえ低い食料自給率も急落、食料安全保障の上からも関税撤廃など断固として受け入れられない、と彼らは主張する。
農業の実情に疎ければ、上記の字面を眺めていると、それなりにもっともらしい印象を与えるかもしれない。だが、これほど中身の無い、古色蒼然とした反論はない。
いま日本では米余りで米価が下がり続けている。かつては1俵(60キログラム)あたり2万円だった米価が、需要の減少から下がり続け、昨年は1万2000円まで下がった。コメ農家の窮状を見事に「票田」と見た当時の小沢民主党は、「農家への戸別所得補償」で政権交代実現の一助としたが、米の流通業者はそれを見逃さなかった。激しい値下げ要求が起こり、今年の米価は1万円を割り込んだ。地域によっては8000円台まで落ち込んでいる。要するに戸別所得補償分をまるまる値切られたようなものである。
減反政策をやらないよりもましなのだろうが、減反政策が米価下落の歯止めとして機能していないことだけは明白だ。
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