2010年1月19日に日本航空(JAL)が会社更生法の適用を申請したのは最良の選択だった。腐ったりんごは、冷凍しても解凍しても腐ったままだ。日本航空という"企業"の腐りぶりは、もはや私的整理で再生できるレベルをはるかに超えていた。事実上の倒産にJALを追い込んだ再生機構の判断は正鵠を射ている。
■政府は航空行政を改められるのか
社員やOBが年金支給額の減額に応じさせられ、株主は上場廃止で保有株式の価値をゼロとさせられるなど、多くのステークホルダーがJAL倒産の痛み分けをしいられた。最終的には1兆円ともいわれる巨額の税金投入で再生を目指すのだから、当事者は辛いだろうが、当然の措置といわざるを得ない。
しかし会社更生法を申請すれば自動的に会社が蘇生するわけではない。会社更生法の申請によってJALの事実上の倒産が確定したまでだ。ここまで国がコミットした以上、数カ月後に再び資金繰り破綻などという事態に陥るとは考えにくいが、JAL再倒産のリスクが消えたわけではない。
すべてはこの先、どのような再生プランが実行されていくのかにかかっている。民主党政権の屋台骨である組合の利害が先行し、思い切った外科手術ができないようなら、数年後に再び、同じような事態に陥らないとも限らない。
しかもJALの再生はきわめて特殊な環境下で行われることを認識しなくてはならない。端的にいえば、自力で合理化努力を続けてきた全日空との競争条件をいかにして公平に保つかだ。国土交通省は世界の常識を逸脱した高額の着陸料の引き下げや空港経営そのものの見直しなど、従来の航空行政を抜本的に改めていくなかで、JAL再生の道筋を描いているようだ。
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14日にオール日本スーパーマーケット協会(AJS)の新年トップ経営研修会に参加して、取材をしてきました。次は「流通業界」を本格的に取材し、単行本にまとめます。
常々、世の中に流布している情報は信用に値しないことが多いと申し上げていますが、私たちの生活にこれほど近しく、大きな影響力をもっている「流通業界」についても正しい姿はまったくといっていいほど伝えられていないことを痛感する取材となりました。
私たちは「スーパーマーケット」と聞くと、すぐにイオンやイトーヨーカドーといった巨大スーパー(「GMS」と呼ばれる)を思い浮かべてしまいます。地域密着の食品専門スーパーマーケットは地元密着の中小企業といった印象が強いようですが、じつは違います。数百億円規模の売上げを誇る食品専門スーパーマーケット(SM)がじつは全国にごろごろいます。
ざっくりした数字を申し上げましょう。全国の百貨店の売上は7兆円を切るかというところまで落ちてきました。巨大なGMSの売上もじつは7兆円台です。それに対して全国のSMの売上は、なんと17兆円! しかし地域の食品専門スーパーマーケットの実情はさっぱりわかりません。ただし、明らかなことがひとつあります。GMSとSMはまったく違う業態だということです。
俄然、面白くなってきました。ご期待ください。
民主党政権の評判は、政権中枢に近づけば近づくほど、悪くなる。
「鳩山政権は空っぽです」
「国家戦略室は参院選での票集めにしか関心がない」
「自民党は腐りきっていたが、民主党政権の出来の悪さはそれを上回る」
■センスが悪すぎる「新成長戦略」
政権幹部の番記者や内閣府の役人たちからはため息しか聞こえてこない。新政権誕生から日も浅く、人材不足、経験不足でスムースな政権運営ができないことは当然だ。だが、そうした事情を差し引いても、民主党政権からは「ときめき」がいっこうに伝わってこない。
確かに「事業仕分け」は予算編成プロセスを公開したという意義や、必殺仕分け人ぶりがマスコミ受けして、大盛り上がりはした。しかし仕分けの成果である無駄削減は目標金額に遠く及ばず、刹那的な「どよめき」を喚起したものの、日本の将来に「ときめき」を感じさせるようなしろものではまるでなかった。
そこで突出してきたのが成長戦略欠落批判だった。
「司令塔不在」
「成長戦略なし」
国家戦略室もさすがに放置できないと思ったのか、年末ぎりぎりの12月30日に『新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~』を公表した(詳細はこちら)。
はっきりいってセンスが悪すぎる。今時の話題、課題を単に羅列しただけで、民主党議員のなかからも「新鮮味がなさすぎる」という声がすぐにあがったほどだった。自分の目で確かめてほしい。一体誰がこれを見て「ときめき」を感じることができるのだろうか。
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