「民主党に献金する必要はないが、自民党への献金はやめてもらいたい」
ある大手企業の役員は小沢一郎幹事長のこの言葉に背筋が凍ったという。
「小沢さんは自民党をこの世から消し去る気なのだと思いました。来年の参院選はそのプロセスでしかない。4年後の衆院選まで絞めあげれば、自民党は資金難で崩壊しかねない」
泥船から逃げ出してくる自民党議員を民主党が吸収して、巨大政権与党へと膨張したところで党を二つに割って、本格的な二大政党時代を創りだす。小沢幹事長の深謀遠慮か。政治の本質は権力闘争だ。それで日本が良くなるなら何でもやってくれて構わない。
ところが、このところの民主党閣僚たちの極端な「内需」偏重発言ばかりは看過できない。日本経済に対する認識におけるそのリアリティのなさに空恐ろしくなる。
外需依存は悪いことなのか
現実離れした認識その1は「外需依存がすべての元凶」という考え方だ。リーマンショック後の世界同時不況の実態は、2000年代前半から始まったヨーロッパと米国のバブル経済の崩壊だ。金融テクノロジーを駆使したサブプライムローンを組み入れた投資信託など、一般の人たちには難解な金融商品もあったが、それらは単にカネ余り時代の資金運用手段のひとつとして、そういうものがあったというだけにすぎない。事の本質はきわめて単純で、欧米のバブル経済が同時崩壊し、日本の輸出産業はそのダメージをもろに被った。それだけの話だ。
きわめて不幸な話だが、なぜそれが世界で最も競争力のある日本の自動車産業やエレクトロニクス産業の成り立ち方を否定する話になるのか? まるで理解不能だ。トヨタ自動車が日本国内で販売している自動車の台数は、全体のわずか10%。残りの9割は海外生産と輸出だ。日本経済の大黒柱であるトヨタの雇用の多くは外需と輸出に支えられている。その貢献度は無視できない。
さらにいえば中堅中小企業の大多数は何らかの形で、外需産業の下請けである。外需産業の存在を否定することはそれを支える中堅中小企業に死ねと言うことに等しい。
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前原誠司国交相の「羽田空港ハブ化」発言が波紋を呼んでいるようですが、国際的視野に立てば、羽田空港のハブ化・24時間オペレーションは当然のことです。むしろ遅すぎたというべきです。
成田空港や関西空港などをかかえる千葉県や大阪府には、ことここに至るまで歴史と経緯があることはすべて承知したうえで、それでも羽田空港ハブ化は、日本の国益を守るために避けて通れません。対立する利害を調整する基準は国際的な視野に立つことが不可欠です。
内向きな議論ばかりが続く民主党政権で、前原大臣の国際感覚は出色です。
「3年間の返済を猶予する」という亀井静香金融担当大臣の言葉は、金融の現実を知っている者には荒唐無稽、現実をわきまえぬポピュリズムとしか映らなかった。民間の契約関係への国の介入などあっていいはずがない。メディアがいっせいに疑念の声をあげたのも当然のことだ。
■現実的な資金繰り支援策へ
しかし資金繰りに苦しみ続けてきた中堅中小の経営者の反応はまるで違っていた。まるでそれは「悪魔の囁き」のように中小企業を魅了した。それだけ多くの経営者が日々の資金繰りに苦悶しているということだ。彼らは長年、銀行の非情さと無責任さに泣かされながら、したたかに銀行からカネを借り続けてきた。借り手が一方的にメリットを受けるモラトリアムを銀行が簡単に飲むわけがないことを、彼らは身体で知っている。
メディアが言うような「徳政令」が本当に実現できるのか?
日本中の経営者たちの心は揺れていた。
そんなさなか、亀井大臣はテレビ朝日系の情報番組『サンデープロジェクト』(9月27日)に出演した折に明言した。
「私は"徳政令"などと言ったことはただ一度もない」
その通りだ。モラトリアムの対象がすべての中小企業に及ぶとも言っていない。
だが"徳政令"はマスコミが一方的に創りあげた共同幻想なのかといえば、そうではない。"徳政令"と表現されても仕方ないほど、亀井大臣がモラトリアムへの期待感を煽ったことは間違いない。
しかし10月1日、全国銀行協会の永易(ながやす)克典会長(三菱東京UFJ銀行頭取)との会談をきっかけにモラトリアム幻想は急激に萎み、現実的な資金繰り支援策へと方向を転じた。
10月2日の報道によれば返済猶予はあくまでも「貸し手と借り手の話し合い」によって実行されるべきものと亀井大臣が発言したという。もはやこれはモラトリアムでもなんでもない。返済条件の変更に銀行が応じやすくするために、国が信用保証をつけるといった程度の話に落ち着きそうである。
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先週、秋田県の大潟村に取材へ行きました。
いまから40年前、この村は琵琶湖につぐ日本第二の湖だったハチロウガタを埋め立てしてつくられた人工の農村です。600戸ちかい農家が希望に溢れて全国から集まってきました。日本の農地の平均1.5ヘクタールにたいして大潟村では15ヘクタール。10倍です。大規模農業の夜明けになるはずでした。
ところが入植者が耕作を始めた直後に、国は減反政策に舵を切りました。そこから大潟村の悲劇が始まりました。この村は日本の米農政失敗の象徴です。