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2008年12月28日

敗北主義にお別れを

 「米国がくしゃみをしたら日本が風邪をひく」

 日本の大人たちはそう信じ込んできた。日本人の対米依存症は政治、経済を超え、精神性そのものにまで染みこんでいる。アメリカン・スタンダードをグローバル・スタンダードに仕立て上げようという米国の思惑に、多くの日本人はなんの疑いも抱くことなくアメリカン・スタンダードこそが絶対正義と信じ込んできた。

 米国発の金融危機は、短絡的な米国崇拝を続けてきた日本人を覚醒させるに十分な衝撃をもっていた。単純な米国追随を良しとしてはいけないという機運はじゃっかんなりとももりあがってきた。だがそれは日本人の思考の表層で起こった微々たる変化にすぎない。

 米国経済がだめになったら、自動的に日本経済は沈没するというロジックから日本人はまったく抜け出せていないし、抜け出そうとも思っていない。

 相変わらず日本では「米国がくしゃみをしたら日本が風邪をひく」がまかり通る。

 考えてほしい。

 米国はいまや重体だ。過剰な精神的対米依存症から抜け出せない人は常にこう言う。

 「米国が重体になったら、日本は絶命する」

 これが従来の思考パターンの延長線上には、こんな結論しか描けないのだ。

 絶命でいいのか?

 それがいやなら、米国経済の沈滞が日本経済の沈没に直結するかのような敗北主義からいいかげん抜け出さなければいけない。「2009年はどうなるか?」ではなく、

 「2009年をどうするのか?」

 それが日本に突きつけられた命題だ。そのためにも、もうそろそろ敗北主義に「お別れ」を言うべきだろう。

2008年12月27日

続「派遣切り批判をあえて批判する」

 前回のコラム「派遣切り批判をあえて批判する」がBPnetのサイトに掲載されるやいなや、私のHPにも様々な声が寄せられた。

●「企業サイドの人々からも反響」

 無数の罵詈雑言とともに、いまや物言えぬ立場に追いやられた企業サイドの人々からも少なからぬ反響があった。象徴的なメールをひとつご紹介しておこう。

 「弊社も派遣・期間工の雇用問題に関しては世間からお叱りを頂いておりますが、確かに大胆な決定だったかもしれないと思います。しかし、弊社は数年前の大リストラの記憶が今も皆の胸中にあります。一旦経営危機に陥った企業の苦難と惨めさの記憶がトラウマとなり、弊社は他社以上に不況に対する感応度が高いのかもしれません。確かに職を失う多くの人々に対しては同情致します。実際、生産の現場では正規社員も派遣も期間工も関係なく同じ職場の仲間であったことにはかわりなく、今回の雇用打切りに関しても皆心を痛めております。経営としても苦汁の決断だったと思いますし、私もその経営判
断は正しいものと信じております。経営判断と弱者救済の話は区別して考えないと日本の企業は皆弱体化してしまうと思います。また弱者救済・支援に関しては企業責任・個人責任・行政の責任が夫々ありますが、弊社も企業として出来ることに関しては十全の取組みをすべく努力したいと思います」

 02年から07年の5年間、日本はいざなぎ景気を超え、戦後最長の経済成長を実現したが、最大の原動力となった自動車産業はいま、 危機的な状況に直面している。12月24日付の日経新聞のコラム『自動車クライシス』のなかにこのような記述がある。

 「米調査会社CSMワールドワイドは世界の自動車工場の平均稼働率が来年以降、7割以下に下がると予測する。世界一、二位のゼネラル・モーターズ(GM)とトヨタ自動車の二社分を越す生産能力が余る計算。」

 日経BPnetにも原稿アップしました。どうぞご覧ください。
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081225/121762/?P=2

2008年12月13日

派遣切り批判をあえて批判する

 “派遣切り批判”を批判したい。マスメディアはつねに短絡する。

 雇用調整は企業として当然の判断だ。

 自動車業界を中心に凄まじい数の非正規労働者がクビを切られている。
自動車業界だけでも2万人を優に超える。それも契約期間の途中で、いきなり解雇だ。年の瀬を目前に突然、寒空に放り出される人々の憤激と不安はいかばかりであろうか。クビを切られる側がクビを切る側に、厳しい叱責を浴びせるのは当然のことだ。

 だがマスメディアが安っぽい正義感を振りかざして“派遣切り批判”を扇情的に繰り返す姿こそ批判されてしかるべきだ。いざという時に雇用調整に踏み込むことは、企業として当然の経営判断だ。

 ところが日本の労働法制はそれを簡単には許さない。2000年代初めの不良債権危機当時、経営危機に瀕した大企業が続々とリストラをしたということになっているが、それは違う。日本の労働法制では正社員を一方的に解雇することはできない。当時「リストラ」と呼ばれた中身は「希望退職の募集」だ。倒産の危機が目前に迫っても、日本の企業は割増し退職金を払い、人件費を急増させるというプロセスを経なければ、雇用調整ができなかった。

 本来ならここで、日本の労働法制を真正面から見据えて、企業の解雇権と解雇される労働者の権利を守るための法改正や社会的なセーフティネットの構築をしなければならなかった。だがこれを素通りして、派遣をめぐる規制緩和だけが推し進められたところに問題の根があったのだろう。

日経BPnetにも原稿アップしました。どうぞご覧ください。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20081212/119407/?P=2

2008年12月 4日

Team of Rivals

第16代米国合衆国大統領リンカーンは激しく対立するライバルたちを入閣させ衆智を集めたことで知られます。その組閣手法は"Team of Rivals"と呼ばれ、Doris Kearns Goodwinが書いたリンカーンの自伝のタイトルにもなっています。

来月20日に大統領就任をひかえたオバマ氏はまさにリンカーンの組閣手法を踏襲し、ヒラリー・クリントンの国務長官起用をはじめ、民主、共和両党から続々とライバルたちをオバマ政権に取り込んでいます。

その手法には米国内でも賛否両論あるようですが、総力をあげて米国再生に邁進するという若い大統領の強い意思と鮮やかなリーダーシップを感じずにはいられません。

ひるがえってわが国をみたとき、言葉にも政策にも一貫性を欠く麻生政権を目の前に、暗澹たる気持ちになります。「政局より政策だ」と大見得を切りながら、年内に2次補正予算を組んでさらなる景気刺激策をすることは拒否。道路特定財源の一般財源化にともなって「1兆円は地方に自由に使ってもらう」とぶちあげたものの、自民党道路族に圧されて「1兆円は道路建設に限定する」ことに。レイムダックもいいところです。公務員制度改革も無策のまま先送り。有象無象の抵抗勢力に何も言えぬ麻生首相と首相を首相とも思わず言いたい放題の自民党。

哀しい限りですが、見ようによっては麻生自民党も"Team of Rivals"。

それにしても彼我(ひが)の政治状況の違いに唖然とさせられます。

政治がここまで信頼を失い、敗北主義一色なりつつある日本にとって、実効性のある景気対策があるとすれば、それは"総選挙"です。
レイムダック状態の麻生政権の継続は政治空白いがいのなにものでもありません。

Profile

財部誠一(たからべ・せいいち)

-----<経歴>-----

1956年、東京生まれ。
1980年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、野村證券入社。
1983年、野村證券退社。
1986年、出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。
1995年、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」設立。「財政均衡法」など各種の政策提言を行っている。

-----<出演>-----

『財部ビジネス研究所』 (BS日テレ、土曜23時〜 再放送:日曜9時〜)

『報道ステーション』
(テレビ朝日系/平日21:54〜)

BookMarks

オフィシャルホームページ
http://www.takarabe-hrj.co.jp/

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