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2008年2月25日

米国経済の等身大の実力

今年、米国経済がどんなプロセスをたどって減速するのか。大きな絵柄がみえてきました。
三菱東京UFJ銀行の経済調査室長、内田和人氏から最新情報にもとづく米国経済の見通しをうかがってきました。

内田氏は2003年から3年ほど米国駐在し、そのときも全米中を歩いて住宅バブルの実情や人口増加の詳細、米国企業の行き過ぎたグローバルアウトソーシングの実態など知り尽くしていました。繊細な分析能力を備えたエコノミストはフィールドワークにも熱心です。

その内田氏の見立てを簡単にご紹介します。

結論からもうしあげましょう。
米国経済のリセッション(景気後退)は避けられません。
08年の第1四半期と第2四半期は「マイナス成長」ないしは「ゼロ成長」が避けられそうにありません。

「08年前半は住宅市場の深刻な調整や金融・信用不安をうけてマインドが大幅に悪化し、個人消費主体に急失速する(景気後退)。とりわけ今年第1四半期は、発射台である『最初のゲタ』が低く(前期比年率+0・5%程度)、マイナス成長の可能性がある」

内田氏の見立てもきわめて厳しい。
米国経済が今年前半、マイナス成長にまで突っ込んでいく可能性がきわめてたかくなってきました。
もっともこの点について言えば、大半のエコノミストも財界関係者も異論はなく、今年前半、米国経済の不況色が急速に強まることは確実でしょう。

注目すべきは米国政府が立て続けに打ってきた景気対策がいつ、どのような形で効果を発揮してくるのかです。内田氏はこう続けています。

「08年後半は大型財政出動、大幅な利下げ(実質金利ゼロ台)のリフレ効果が顕現化し、持ち直しに転ずる。特に戻し減税の効果が集中して表れる第3四半期は個人消費が大きく上振れ、実質GDP一時的に前期比3%超の急回復を示す」

米国政府が打ち出した減税策は合計で1660億ドルです。日本円にして18兆円弱。
これがどのくらいの規模であるか。それを実感ができる数字があります。

01年の9月11日の同時多発テロ後に行われた減税策は、見事に成果をあげましたが、納税者1人あたりの減税額はおよそ300ドル。
一世帯あたりにすると600ドルでした。ところが今回実施される減税額は一人当たり600ドル、1世帯あたり1200ドル。しかも9.11当時は納税者を対象とした減税でしたが、今回は未納税者にまで小切手を送りつけようというのですから、消費への刺激度は相当高くなると思われます。
もちろん減税を借金返済にまわす人たちもいるでしょうが、消費アップの大きな起爆剤になることは確実です。

さらに金利です。1月22日にFRBは金利を一気に0.75%引き下げ、月末にはさらに0.5%引き下げました。これでFF金利は3%になりました。
米国の消費者物価指数(CPI)は2.2%ですから、今現在、米国の実質金利はすでに0.8%という超低金利状態にあります。
しかし米国の政策態度をみていると、おそらく3月、4月にもさらなる金利引き下げを実行し、異例の速さで「ゼロ金利」へ突き進んでいくことになるでしょう。

その結果として、第1四半期、第2四半期と続けてゼロないしマイナス成長でリセッション(景気後退)に陥るものの、第3四半期には3%を優に超えるV字回復を米国は実現しそうなのです。
もっともそこですべての問題が決着するわけではなく、個人消費は第3四半期をピークに減速し、「第4四半期はプラス2%程度になるのではないか」と内田氏は予測しています。

 第1四半期 ゼロないし若干マイナス
 第2四半期 ゼロないし若干マイナス
 第3四半期 3%超
 第4四半期 2%

1年間を通してみると米国の08年の経済成長率は1.5%程度になりそうなのです。

ここに非常に興味深いデータがあります。
1月29日にIMFが公表した08年の世界経済見通しです。
したがってこの分析がとりこんでいる数値は昨年末までで、今年にはいってから表面化してきたサブプライム関連の損失や世界同時株安などについては一切カウントされていません。
ただし、その一方で、米国が断固たる意思で実行している景気対策や金融危機回避の具体策などのプラス効果も含んでいません。
逆を言えば、1月以降のパニック的現象に左右されない客観的な予測といえなくもありません。こんな数字です。

     2007   2008  10月比
世界   4.9   4.1   -0.3
アジア  9.6   8.6   -0.1
米国   2.2   1.5   -0.4
日本   1.9   1.5   -0.2
中国  11.4   10.0    ―

「10月比」というのは、IMFが昨年10月に公表した予測数値との比較という意味です。つまり世界が10月比で「-0.3%」ということは、昨年10月には4.4%と予測していたが「0.3%下方修正」して4.1%になったという意味です。

米国の数字を見てください。
内田氏とは前提もプロセスも異なるデータであるにもかかわらず、IMFの予測もまた米国の08年の成長率もまた「1.5%」になっているのです。
両者の予測数字が一致したからといってそこに絶対的な真実性を見出せるというわけには当然いきませんが、まあだいたい「1.5%」あたりが米国経済の基本的な力だとみて
大きな間違いはないでしょう。

このIMFの数字をどう思うか。内田氏に尋ねてみました。

「結果としてみれば、けっこう固い数字になっているのではないでしょうか」

1月以降のネガティブ要因もポジティブ要因に配慮していないが、結果だけをみれば現実的な数字になっているというわけです。

さらに注目して欲しいのは世界経済全体の成長率です。
昨年10月予測よりも下方修正されているものの、それでも4.1%成長を達成すると予測されています。
過去2年は5%前後という異常な成長率でしたから4.1%では見劣りするかもしれませんが、4%台の成長率は依然として世界が「人類史上始まって以来の火を吹くような好景気」の範疇にふみとどまることを意味します。

しかも14日に内閣府が公表した10-12月期のGDPの速報値によれば、年率で3.7%もの成長をしていました。

マクロの経営環境を問題にするよりも、自分自身のビジネスに集中すべきだということです。

2008年2月24日

続・中国製品はすべて危ない?

中国製品をめぐる集団ヒステリーは非現実的であるうえに、
問題の本質を隠してしまう危うい現象です。
日経BPネットに「続編」をアップしました。ご覧ください。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/takarabe/080214_3rd/

2008年2月13日

中国製品はすべて危ない?

中国製冷凍ギョーザ問題で日本中がてんやわんやの大騒ぎになっています。
調査の進展により、製造工程そのものの問題というよりも、特定の個人なり集団なりによる毒物混入事件の色あいが濃くなってきたようですが、真相解明にはまだまだ時間がかかりそうですね。

しかし一連の報道を通じて、いまや日本は集団ヒステリーと化してしまいました。

「中国製品はすべて危ない」

中国製冷凍食品はすべて敬遠され、横浜中華街まで閑古鳥が鳴く始末。
どうしてこうなってしまうのでしょうか。

私は中国取材で、加工食品の製造現場を随分見て歩きましたが、キッコーマンの醤油や味の素のレトルトカレーなど、中国市場向けの商品を生産している工場でさえ、どれだけ衛生管理に気を使っていたかしれません。
ましてや日本への輸出を前提に食品加工をする工場に求められる 衛生管理といったら、それはもうたいへんです。

途中でまちがって毒物が混入するなどということはありえません。

中国で食をあつかうことのリスクの高さ。
そんなことは誰だって認識しているのです。
日本の危機的な食料自給率の低さを考えれば、中国依存なしに日本の食はもはや成立しません。だからこそ中国に対する冷静、客観的な評価が不可欠なのです。

「中国は危ない」という集団ヒステリー。
これだけはやめたほうがいい。

2008年2月12日

サブプライムローン問題に臨む米国の意思

米国経済の失速が明らかになってきました。
世界経済、日本経済へのダメージは避けがたい。
しかしその衝撃がいったいどの程度なのか。
米国はどこまで自力で問題解決できるのか。
私の見立てを日経BPネットに掲載しました。
下記アドレスをご覧ください。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/takarabe/080131_2nd/

Profile

財部誠一(たからべ・せいいち)

-----<経歴>-----

1956年、東京生まれ。
1980年、慶應義塾大学法学部卒業。同年、野村證券入社。
1983年、野村證券退社。
1986年、出版社勤務を経てフリーランスジャーナリストに。
1995年、経済政策シンクタンク「ハーベイロード・ジャパン」設立。「財政均衡法」など各種の政策提言を行っている。

-----<出演>-----

『財部ビジネス研究所』 (BS日テレ、土曜23時〜 再放送:日曜9時〜)

『報道ステーション』
(テレビ朝日系/平日21:54〜)

BookMarks

オフィシャルホームページ
http://www.takarabe-hrj.co.jp/

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