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2008年9月12日

池上永一『テンペスト』が凄い。痺れた。泣いた。

 生来天の邪鬼で、世間で話題の本は意地でも読まないし、まして長編小説というものは年に何冊しか読まないのだが、池上永一の新刊『テンペスト』は琉球王朝末期のまさにテンペスト(大嵐)がテーマだというので思わず手にして、「読み始めるともう絶対にやめられないのである」という本の帯の北上次郎の推薦文の通り、本当にやめられなくなって、上下2巻850ページ余の大作を1日で読んだ。凄い。痺れた。そして、この世にも美しく知性と優しさに溢れた王国を明治日本が「処分」して滅亡させるその最後の日、主人公である琉球官僚の真鶴とその恋人である薩摩出身の明治政府官僚との間で交わされる次の対話を読んで、思わず泣いた。

「私はこの国を愛しております。世界に誇る美しい国だと今でも信じております……。大国に負けない国にしたかった……。世界から尊敬される国にしたかった……」
「真鶴さん、日本がその責任を担います。世界から尊敬される国になります。きっと琉球と同じくらい美しい国になります。思いやりと慈しみと美と教養を日本に分けてください」
「新生日本に気品と風格を望みます。どうか琉球を愛し続けてください。それが民の願いです」
「しかと受け止めます。日本に併合されたことを50年後、100年後の民が心から喜べるように琉球を愛すると約束します」

 しかし日本は琉球を愛さなかったどころか、その後も2度、3度と琉球を「処分」して痛めつけるばかりで、その結果、100年以上を経た今、琉球の民は日本併合を心から喜んではおらず、だから日本は気品も風格も失ってしまった。その100年が悔しくて、泣いた。

角川書店『テンペスト』特設ページ:
http://www.kadokawa.co.jp/tempest/

 「日本とは何か?」を考えるには、まず「琉球史」を学んでそこから「日本史」を見直すべきだというのは、私が常々学生たちに教えていることで、それにはまず、沖縄で刊行されている新城俊昭『高等学校 琉球・沖縄史』(東洋企画)を読めと言っている。題名の通り、高校用の副読本だが、那覇空港の売店でも売っていたりするベストセラーで、その巻頭に出ている、日本列島の歴史が琉球、ヤマト、アイヌの3本の柱から成っているというチャートにはドギモを抜かれる。▲

2008年1月27日

君はオオカミになれるか?

 姜戎『神なるオオカミ』(講談社)が凄い。小説というものを余り読まない(というより読む暇がない)私だが、タイトルに強烈に惹かれたのと、中国全土で昨秋までに240万部、海賊版を含めると3000万部近くが売られ、25の言語に翻訳されて世界中でも読まれているというその評判が気になって、邦訳で上下巻計1000ページ超える大著を2日ほどで一気に読み、幕切れのクライマックスでは不覚にも身を震わせて泣いた。

 文化大革命の時期には、都市部の頭でっかちの青年・学生を叩き直すために地方の農村に送り込んで過酷な労働に従事させる所謂「下放」が盛んに行われ、1600万人もの若者が辛酸を嘗めたが、著者の分身である主人公の漢族青年=陳陣は、内モンゴル辺境の高原で昔ながらの遊牧生活を営むモンゴル族の中に飛び込んでいく。そこでの11年間の生活を通じて彼が思い知るのは、オオカミを頂点として、一方では野ネズミ、野ウサギ、タルバガン、黄羊などの野生動物、他方では主要な生産手段であり価値の源泉である羊と牛、それらを防護・管理するための馬と犬などの家畜が、大草原を舞台に織りなす「生態系」と言ってしまっては余りに奇麗事すぎる食うか食われるかの壮絶な闘争であり、遊牧民たる人間もまたその狭間で食ったり食われたりしながら生きるしかないという赤裸々な現実である。

 遊牧民は知恵の限りを尽くして大事な家畜を守ろうとするけれども、地勢、天候、風向き、植生ばかりか家畜や人間の心理まで読み込んで戦略と戦術を駆使して最終的な目的を達成するオオカミの軍略にはかなわない。それでいてオオカミはただ単に凶暴一本槍なのではなくて、野生動物や家畜や人間と共存しなければならないギリギリの限度も心得ていて、それによって酷薄な環境の下で草原の自然は辛うじて守られている。故にオオカミは、草原の循環的なロジックの核であり、だからこそ神なのである。しかし、その辺境にもやがて支配的な農耕民のロジックが押し寄せてきて、オオカミは無惨に殺され、草原動物は片端から食われ、そのために草原は荒れ果て、従って家畜は遊牧されずに囲い込まれ、遊牧民の数千年の生活文化は破壊されていく。

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2007年1月25日

國貞陽一著『寿 [kotobuki] 魂』を読んで懐かしかった!

國貞陽一さんという未知の方から『寿 [kotobuki] 魂』という本を贈って頂いた。何気なく開くと第1章が「発火点『エストニア・ロック・サマー』」で、私の名前も出てくる。えっ、あの「寿」か! うぉー、懐かしい! まだ頑張っているのを知って嬉しかった。
kotobuki2.jpg

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2007年1月16日

石津謙介は「人生四毛作」を生きた!

私は常々「人生二毛作」と言っているが、宇田川悟さんの新著『VANストーリーズ』(集英社新書)によると、VAN王国を築いて日本ファッション界の“神様”と呼ばれた石津謙介は、何と「人生四毛作」を生きたのだという。「人生を米の生産にたとえてみると、大変よくわかる。土地が肥え、気候がよければ、米も四度を限度に収穫することができ、人生もまたうまく過ごせば、四度の収穫期があるということである」と書いている(『人間的な』)。人間、百歳まで生きると仮定して、それを25年ごとに区切る。すなわち一毛作目は25歳までの人格形成期、二毛作目は50歳までの必死に働いて生活を形成する時期、三毛作目は75歳までの新しい人生を楽しむ時期、最後の四毛作目はもうけものの人生で思うままに生きる時期、だと。

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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