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2008年5月31日

私たちの若かった頃/森詠『黒の機関』文庫版への解説

 作家として活躍する森詠は、私より3つ年長で、私たちがまだ若かった30年余り前には週刊誌のライターをしていて、一緒に仕事をした。彼のその当時の初期作品で、戦後史の闇の部分に迫ったドキュメンタリー『黒の機関』がこのほど祥伝社から文庫として復刻されることになり、その解説を書いた。当時の時代の空気が多少は伝わるかもしれないのと、ジャーナリズム論に触れる部分もあるので、ここに再録して参考に供したい。
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 「ロッキード事件」と言っても、今の若い読者には何の感慨も湧かないだろう。3分の1世紀前のことで、歴史として教えられるには新しすぎるし、事件として知るには古すぎて、どうにも中途半端である。しかし、当時30代そこそこの、目をギラギラさせて取材に走り回るばかりの若手フリーライターだった森詠や私にとっては、その事件は、まさに青天の霹靂という古くさい表現でしか言い表しようのないほどの衝撃だった。喩えられるものがあるとすれば、9・11同時多発テロ事件かもしれない。あのWTCビルが崩落する映像をテレビで見て、それがハリウッドの劇映画ではなくリアルタイムの中継画像なのだと知って、脳天をブチ割られたかの衝撃を受けて、この出来事をいったいどう受け止めればいいのか、頭が回り始めるのに数日間を要するという体験を誰もがしたと思うが、それに匹敵するほどの、日本の政財官界を震撼させた一大疑獄事件がロッキード事件だったのである。発端は……

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米国は金融の病的変異を自分で治せるのか?

欧州でサブプライム損失がさらに拡大

 欧州主要銀行が1〜3月の四半期決算で依然として巨額のサブプライム関連の損失を出し続けていることが明らかになった。日本経済新聞がまとめた主要10社の損失額は次の通りで、昨年12月期に比べてさらに大きな損失を出したところは4社に上る(単位=億円)。

金融機関   国籍 07年12月期   08年3月期

UBS   スイス  18000      20000
RBS   英     5200      12000
クレディスイス  スイス   3500      5300
ドイツ銀行 独     3600      4400
HSBC  英    17900      6000
ソシエテジェネラル 仏     4300      2000
バークレイズ  英     3300      2100
ドレスナー銀行 独     3100      1400
コメルツ銀行  独     950       400
BNPパリバ 仏     1700       900

 特に損失の大きかったスイスのUSBでは、オスペル会長が引責辞任に追い込まれ、従業員も5500人削減された。同行は21日、サブプライム関連の証券など150億ドル(約1兆5600円)分を投資会社に売却したと発表したが、投資会社が支払った150億ドルのうち同社が顧客から出資を募ったのは37.5億ドルだけで、残りの112.5億ドルは当のUSBからの融資で、何のことはない、自作自演の不良資産隠しにすぎない。

 この例が示すように、正常な方法ではサブプライム関連資産を売却できないことが各銀行の悩みの種である。これが株式であれば、投げ売りして損切りすることで取り敢えず下血状態を止めることもできるが、マーケットがないサブプライム関連の金融商品では相対で誰かに押しつけるより仕方なく、このような崩壊状況の中では喜んで引き受ける者が出てくる訳もない。ジーッと不良資産を抱えたまま決算ごとに「評価損」を出し続けることになる。そのようにして「サブプライム危機はプライム危機になった」(日経19日付=岡部直明主幹の表現)、つまり単にサブプライム資産が危機なのでなくプライム資産を含む銀行本体の業務が危機に陥り、「第2次大戦後最悪の金融危機」(グリーンスパン前FRB議長)をもたらしているのである。

 しかしそれだけならまだ、電子化された仮想金融空間の出来事と言い捨てることも出来るが、問題は、飢えた投機マネーが余りに複雑怪奇化してリスク評価も出来なくなった金融商品から離脱して、原油や穀物をはじめあらゆる1次産品の先物相場に殺到し、世界的なインフレを煽り立てていることである。金融的ふしだらがついに実生活を打撃し、とりわけ途上国の貧しい人々の生活を追い詰めつつある。例えばベトナムでは5月だけで食品を中心とした物価が25%も上昇した。もちろんそのすべてが投機マネーの相場翻弄によるわけではないが、実物の需給逼迫にしても米国のトウモロコシを使ったバイオ燃料生産という愚策によるところが大きい。そのようにして、米国式の金融資本主義、引いてはドルそのものへの全世界的な不信が広がり、それに米ブッシュ政権の誤ったエネルギー政策やイラク戦争の出鱈目への怒りが重なり合っていく。

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2008年5月24日

岩見隆夫が本気で怒った後期高齢者医療制度

 岩見隆夫さんが本気で怒っている。24日付毎日新聞の「近聞遠見」は「当コラムがスタートして約19年になるが、憤りをこめて書くのは今回が初めてである」と尋常ならざる書き出しで始まって、さらにこう書き継いでいる。「こんな情けない政治を目のあたりにしようとは、思いもよらなかった」と。

 何のことかと思えば、テレビ番組で後期高齢者医療制度をめぐって自民党議員と何度もやりあって、その息子のような年齢の若造議員の態度に腹を据えかねたということらしい。岩見さんが「この差別的な制度は、高齢者の琴線に触れた。政治の重大な失敗だ。戦後最悪の下策、止めてやり直すしかない」と主張したのに対し、議員は「感情論でしょう」と反論した。「もちろん感情論だよ。感情がいちばん大事なんだ」と答えたが、その感情とは情の大切さのことで、何を大事に思うかの感性の問題だ、と彼は書いている。

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2008年4月30日

何でマスコミは今度は「大混乱」と騒がないのか?


メディアの沈黙に助けられる福田政権

 ガソリン税が期限切れで下がるという時には、何週間も前から「国民生活は大混乱に」と大騒ぎして国民と野党を脅すのにあれほど熱心だったマスコミが、今度はまた上がるという時に申し合わせたように口をつぐんで騒がないのはどうした訳なのか。

●混乱があるとすれば今回ではないか

 確かに混乱はないことはなく、主にそれは末端のガソリンスタンドが他店を横にらみしながら価格変更したりして事務的に煩雑だという程度の話だが、同じことは今回も起きる。しかも7割の国民は値下げを歓迎し、再値上げに反対しているのだから、今回のほうが「憤激」も加わって余計に「混乱」は大きい。しかも原油価格の上昇があって値下げ以前よりさらに高くなって、連休中の国民の財布を直撃するから、これこそ本物の家計の混乱というか波乱が確実に起きる。私なんぞ、鴨川・東京間往復200キロを自車で運転するのをどうしようかと思いあぐねるほどである。値下げ=減税はいけなくて、再値上げ=増税はいいことだというのは守銭奴=財務省の考えで、マスコミは意図的にその提灯持ちをしているのでなければ、役人によるマインドコントロールに頭を犯されている。

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2008年4月15日

政治が混迷し、国民生活が混乱しているというのは本当か?

 このところ新聞はじめマスコミの政治についての論調はほとんど常軌を逸していて、迷走というより錯乱の状態に陥っている。

 日銀総裁人事について、福田康夫首相は9日の党首討論で「民主党は結論が遅いですよ。日銀人事も正直言って翻弄された」と言い、マスコミもそれに調子を合わせて、民主党が武藤敏郎、田波耕治の両元大蔵(財務)事務次官を拒否した上、党内論議の末に小沢一郎代表の主張に従って渡辺博史=元財務省財務官まで拒否したことについて、「民主党内の混乱は目にあまった。これで政権を目指すなどと言えるのか」(12日付毎日、岩見隆夫)といった論調に終始した。

●民主党は混乱していない

 しかし私の見るところ、民主党内は別に混乱も何もしていない。確かに、最初の段階で政府が武藤総裁案を持ち出そうとした時に、小沢がそれを容認するかのことを言ったのは迷妄だったと言えるだろう。が、それについて鳩山由紀夫幹事長や仙谷由人=人事小委員長ら党内の大勢が反対し、2月末に政府・与党が予算案の強行採決の暴挙に出たこともあって、小沢も武藤拒否に転じたのは、まことに健全な民主的党内運営であって、混乱というようなものではない。昨秋に小沢が“大連立”に暴走しようとした時に全党挙げてそれを封じたのと同じパターンで、小沢の独断・暴走が利かなくなっている民主党の成熟をむしろ褒めるべきである。

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2008年4月 1日

ダッチロールする福田政権

ガソリン再値上げが出来なければ墜落

 福田康夫首相は27日、官房長官も副長官も従えない異例の単独緊急記者会見を開き、道路特定財源を09年度から全額、一般財源化するとの約束と引き替えに、3月末で期限切れとなるガソリン暫定税率の継続について野党の妥協を取り付けようと図った。福田にしてみれば「皮を切らせて骨を切る」捨て身の戦法のつもりだったのかもしれないが、これは論理レベルでは何の整合性も説得性もない愚論にすぎないし、現実レベルでは一般財源化に激しく抵抗する古賀誠=元幹事長ら道路族をいきり立たせて自民党内からの“福田下ろし”の動きを加速させることになりかねない愚策にほかならなかった。

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2008年3月17日

“空白への恐怖”に左右される福田政権

日銀総裁人事、打開へ

 政府は今日中にも、19日で任期切れとなる日本銀行総裁の後継人事について何らかの打開策を国会に提示することになろう。理屈上は、(1)政府が「ベスト」と自負する武藤敏郎副総裁の昇格を再提示する強硬策、(2)現総裁の任期を延長する法改正もしくはすでに副総裁就任が確定している白川方明京大教授の一時的な総裁代行就任など暫定案、(3)野党が受け容れやすい別の人選を提示——などの方策がありうるが、(1)は、町村信孝官房長官は与謝野馨前官房長官が16日のNHKテレビ討論で「参院で否決されたものをもう一度ぶつけるのは乱暴すぎる」と指摘したとおり、自民党内でも合意は得られまい。(3)がベターで、民主党の鳩山由紀夫幹事長は同じく16日のサンプロで「財務省出身者ならダメということでなく、財務官経験者(の黒田東彦アジア開銀総裁や渡辺博史国際金融情報センター顧問)なら国際的な視野を持っており反対しない」という趣旨を語っている。が、19日が目前に迫っている中で人選と国会での手続きが間に合うかどうかという問題がある上、「結局は民主党が総裁を決めた」という印象を生む可能性もある。そこで(2)の暫定案を採って人選にしばらく時間をかけるという選択に落ち着く公算が大きい。

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2008年2月19日

コソボはイスラエルにならないか?

——米欧の過剰介入がもたらした悲劇

旧ユーゴスラビア連邦の一角にあるセルビア共和国のそのまた一角にあるコソボ自治州が17日、「独立宣言」を発したが、これは悲劇の終幕にはほど遠く、むしろ新たな長く続く悲劇の開幕となる公算が大きい。

コソボのケースは、旧ユーゴ連邦の各共和国が順次独立を果たしてきたのとは違って、セルビア共和国の固有の領土の一部を、当のセルビアとその後見役であるロシアが反対しているにも関わらず、米欧が外から手を突っ込んで無理矢理奪い取るようにしてアルバニア系住民に独立を与え、EUの保護下で何とか国家形成に向かわせようとするもので、1000年もの歴史を持つセルビア人とアルバニア人の対立を解消するには何の役にも立たず、かえってセルビア人側の深い恨みを沈潜させやがてどこかで爆発させるだけのことになるだろう。英米がユダヤ人問題の処理に困って、パレスチナ人の意向をろくに確かめもせずにイスラエル国家を人工的に作ったことが、その後60年以上に及ぶ血腥い抗争の原因となったことを想起すべきだろう。もちろんコソボ問題とパレスチナ問題は性格が違うけれども、コソボがセルビア人にとってセルビア正教の整地であり、セルビア国家の建国の地であるという点ではエルサレムが抱える解決不能の問題と似ているところがあり、そのことを無視した安易な方策の押しつけは禍根を残すことになる。

しかもこの方式の採用は、国際社会が各所で抱える「分離・独立」問題に複雑な波紋を及ぼし、民族・宗教の違いや歴史的経緯を含んだ紛争を激化させる危険も孕んでいる。コソボ独立は、旧ユーゴから91年に独立したマケドニア共和国の人口の25%を占めるアルバニア系を勢いづけるかもしれず、それに対抗して主流のマケドニア人が民族意識を強めると、ブルガリアやギリシャのマケドニア人問題に再び火が着く危険もある。また地中海に浮かぶキプロス島では、1974年以来、南部のギリシャ系住民を中心とする「キプロス共和国」と北部のトルコ系による「北キプロス・トルコ共和国」の対立が続いており、コソボ独立を見て北キプロスが分離・独立の動きを強めるかもしれない。折しも17日に始まったキプロス共和国の大統領選では、北キプロスとの対話を通じての統合に熱心でない現職と、積極対話を主張する野党の2候補が混戦を続けていて、その行方次第ではキプロス問題の膠着が解けて事態が流動化するだろう。ルーマニア北部=トランシルバニア地方のハンガリー系住民の問題、スペインのバスク問題など、欧州が抱える民族問題、その中の過激な独立派の存在は常に紛争の種である。

ロシアがコソボ独立に反対するのは当然で、同国自体がチェチェン共和国はじめ分離・独立の武装闘争に手を焼いている。が、ロシアの態度は複雑で、旧ソ連邦から独立したグルジアがNATO加盟を目指しているのを牽制するために、グルジア国内の南オセチア自治州、アブハジア自治州については分離・独立を支持するかの姿勢を採っている。こうして、米欧が各種の民族的分離・独立要求に対処する共通原則を作り上げることを諦めてコソボを特殊なケースとして処理して決着を急いだことにより、各地の民族紛争が激しくなり、それがまた国際テロリズムの温床として利用されるといった最悪の事態もありえなくはない。

米欧がこのように追い込まれたのも、結局は、1998年に激化したコソボでのアルバニア系とセルビア人の対立を「セルビア人とユーゴ連邦軍によるアルバニア系への“民族浄化”作戦」だと一方的に断定し、NATOによる11週間による「人道的空爆」という粗暴きわまりない愚策を採った、そのボタンの掛け違えに始まっている。以下に、当時の「インサイダー」記事3点を再録するので、米欧の戦争がいかに間違っていたかを、歴史的背景を含めて認識し直して頂きたい。

(1)は、米欧が「空爆」を準備しつつセルビアのミロシェビッチ大統領を脅しで屈服させようとしていた時期のもので、空爆に「ひとたび踏み出してしまえば、米欧はコソボの分離独立を支持してセルビア人側に軍事攻撃をかけ続けなければ辻褄が合わなくなる」と予測している。実際、そこへ踏み出してしまったことの“辻褄合わせ”が今起きていることの本質である。

(2)は、しかし、とうとう空爆が始まってしまい、3週間を経てむしろ事態が悪化しつつあった時期で、特に西側がミロシェビッチを無理矢理に凶悪な独裁者に仕立て上げて血祭りに上げようとすることの誤りを指摘している。同じことが後にサダム・フセインについて繰り返された。

(3)は、11週間に及ぶ空爆が終わって仮初めの和平が成立した後に、余りに大きな犠牲と徒労にあきれ果てながら書いている。

余談ながら、この空爆の問題点のうちに、後の米国のアフガニスタンやイラクに対する侵略の違法性と不当性をめぐる論点がすでにほとんど出尽くしていたことにも注目して頂きたい。その意味で、ブッシュの間違いのほとんどはすでにクリントン政権の時代に始まっていたとも言えるのであって、本当のところヒラリーはその夫の所業とブッシュのそれとを重ね合わせて、あるべき米外交戦略の“変化”の方向を語ることなしには、大統領選に出馬する資格などありはしない。誰しも、一度間違いを犯すのは恥ではないが、二度繰り返すのは恥であり、三度も四度も繰り返すのは馬鹿である。米大統領選で問われているのはそのことである。

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2008年2月14日

春山昇華『サブプライム問題とは何か』を読もう!

金融資本主義に破滅回避の道はあるのか?

レーニン『帝国主義』を読もうというのは半ば冗談だが、米国内の住宅ローンの返済遅滞がなぜ米欧各国の政府・中央銀行が銀行救済に乗り出すような世界的な金融システムの危機に繋がるのかを少し突っ込んで知るには、春山昇華『サブプライム問題とは何か』(宝島新書)を読むべきである。著者は国際投資の専門家で、96年から個人投資家向けのブログ「おかねのこねた」(www.doblog.com/weblog/myblog/17202)を主宰、その記事をベースにまとめた、これもいま流行のブログ本である。昨年11月に出版されてすでに6刷を重ねている。その結論もまた私と同じく、今回の事態が「アメリカ帝国の終わりのはじまりなのかもしれない」(P.194)ということである。

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2008年1月 2日

2008年の世界と日本

(1)帝国の黄昏の中での米大統領選挙

 2008年は、アメリカ帝国の黄昏が誰の目にも明らかなほどに深まって行く年となるだろう。私は06年9月に出版した『滅びゆくアメリカ帝国』の終章で、いささか先走り気味に「我々が目撃しているのは、米国が世界史上最強の軍事・経済帝国として絶頂を極めた(かに思われた)その瞬間に、崩壊への予兆に囲まれて立ちすくむという、まさに絵に描いたような弁証法的な展開である」と書いたが、その予兆が予兆にとどまらなくなって、米国人を含めて世界中の誰もが息を詰めるようにしてこの帝国の立ちすくみを見つめざるを得なくなるのが、今年である。『NEWSWEEK』新年合併号の特集「2008年の世界を読む」の巻頭論文でファリード・ザカリア国際版編集長は「“ポスト・アメリカ時代”の世界は、そこまで来ているのだ」と書いているが、それがどこまで来ているのかが確かめられなければならない。

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2008年1月 1日

あけましておめでとうございます

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▲安房鴨川・大山不動尊からの初日の出

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2007年12月17日

Q&A:小沢のテロ特反対論への疑問に私が答えよう(2)

Q&A:小沢さんのテロ特反対論がどうもよく分からないのですが…
——私が代わってお答えしましょう!(その2)

Q4:国連が米国のOEFを「明示的に」支持もしくは許諾していないのは事実として、07年9月19日に安保理が採択した決議1776号では、日本のインド洋給油活動を含むOEF参加国への感謝が表明されたと言うではありませんか。

A4:その決議1776は、10月13日で期限が切れるISAF(国際治安支援部隊)の期限を1年間延長するためのもので、その長い長い前文の中に「北大西洋条約機構(NATO)が発揮している指導力に対して、ならびに、ISAFおよび海上阻止行動要素を含むOEF合同軍に対する多数の国々の貢献に対して、謝意を表明し」という一項が盛り込まれました。その他にも、ISAFとOEFを同等に評価している文言が数カ所出てきます。が、これは、俗な喩えで恐縮ですが、性悪な娘の出来ちゃった婚を親が「出来ちゃったものは仕方がないじゃないか」と後から渋々認めているようなもので、これを以て国連がOEFをオーソライズしているとか、OEFの一部である海上阻止行動とそのための日本の給油活動を積極的に評価しているとか喧伝するのは無理があります。ましてや、当時、一部のメディアは「日本の給油活動への感謝決議」とまで言いましたが、「給油活動」も「日本」も文言として出てくる訳ではないのにそこまで言うのは誇大でしょう。実際これは、日本政府から「海上阻止行動とそれへの給油活動を国連が認めているという形を何とかして作ってほしい」という内々の要請を受けた米国がロビー活動を展開してこの一句を無理矢理押し込んだのであり、ロシアは「個別国の国内政治事情が持ち込まれている」ことに不快感を示して棄権したほどでした。まあともかくも同決議の全文に目を通して下さい。

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2007年11月23日

メタボ撲滅という厚生労働省の陰謀

●日本人の半分が“病人・半病人”にされてしまう!

 “分煙”という名の事実上の“禁煙”強制キャンペーンに続いて、いま厚生労働省が血道をあげているのがメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)撲滅大作戦である。

 メタボとは、内臓肥満・腹部肥満に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態と定義される。これらはそれぞれ単独でも大いに健康を損なう要因だが、複合すればなおさら動脈硬化性の疾患に陥りやすいということで、予防と治療が急務とされている。06年5月に厚労省が発表した診断基準によれば、

▼ウェスト周囲径が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、
▼さらに次のうち1つ以上に該当すれば予備軍、2つ以上に該当すればメタボとなる。
(1)血圧=最高血圧130mmHg以上または最低血圧85mmHg以上
(2)脂質=中性脂肪150mg/dl以上またはHDL40mg/dl未満
(3)血糖=空腹時血糖値110mg/dlまたはHbAlc5.5%以上

 ところがこの基準は、『メタボの罠/“病人”にされる健康な人々』(角川SSC新書、07年10月刊)の著者である大櫛陽一=東海大学医学部教授によれば、ほとんどデタラメに近いもので、これがそのまま適用されると40〜74歳の日本人の49.7%が病人もしくは半病人として病院での受診を勧奨されることになる(日本人間ドック診協会の分析)。

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2007年11月 7日

ありもしない「大連立」の幻影に惑った小沢一郎

民主党は改めて正々堂々の政権交代を目指せ!

 先の参院選の結果生じた衆参ねじれ国会の下で、かつてない緊迫したやり取りと駆け引きが展開され、それが次の総選挙での文字通り「政権選択」に繋がっていくことを誰もが期待しているというのに、そのねじれ状態の重圧に耐えかねて、まず与党の党首がプッツンし、続いて野党第一党の党首もプッツンしたのでは、話にも何もならない。

 6日夜になって小沢は辞意を撤回し「恥を晒すようだがもう一度頑張りたい」と表明、一連のドタバタは一段落したものの、彼の威信低下は避けられない。4日の辞意表明会見の際に彼が他人事のように言い放った、「民主党は様々な面で力量が不足しており、国民からも本当に政権担当能力があるのかという疑問が提起され続け、次期衆院選勝利は厳しい情勢にある」という問題を、自らの責任でどう克服していくのかの覚悟と具体的な方針を党内と国民に示すことなしには、求心力の回復は難しい。

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Q&A:小沢のテロ特反対論への疑問に私が答えよう(1)

 小沢一郎民主党代表の、インド洋給油は違憲で地上部隊派遣は合憲という理屈が、どうもいまいちよく分からないという声がある。私は、細部はともかく、基本的には小沢と同じ意見なので、彼に成り代わってQ&Aスタイルで問題を整理してみよう。

Q1:小沢さんは、アフガン戦争は「米国の自衛権発動による戦争であって、国連にオーソライズされていない」という趣旨のことを言っていますが、01年9月12日に出された国連安保理決議1368[資料1]では「テロ活動によって引き起こされた国際の平和及び安全に対する脅威に対してあらゆる手段を用いて闘うことを決意し」と述べ、さらに「憲章に従って個別的又は集団的自衛の固有の権利を認識し」とも述べているので、テロの直接の被害者である米国が個別的自衛権を発動してアフガン戦争つまりOEF(不朽の自由作戦)を始めることを国連が予めオーソライズしていることになるのではないですか?

A1:問題の焦点は、安保理決議が「明示的に」米国の具体的な行動すなわちOEFを支持しているかどうかです。決議1368は、9・11の翌日に取り敢えず国連安保理として犠牲者への哀悼の意を表し、一般論として、国連がテロとの戦いを一層強化する決意を示したもので、まだ犯人像が皆目分かっておらず、従って米国が具体的にアフガニスタンのタリバン政権を相手に戦争を起こして攻め込むという作戦を決めているわけでもなく、またそれについて国連が支持するよう要請しているわけでもない段階です。大体において趣旨が合っているからいいじゃないかと思うかもしれませんが、そういうものではないのであって、この決議でも触れているように過去に国連は国際テロ防止条約やテロ防止の安保理決議をいくつも採択していて、それと趣旨が合うなら加盟国が何をやっても構わないということになってしまい、国連憲章の紛争の平和的解決の大原則はたちまち崩壊することになります。史上初の米国主導の多国籍軍と言えた1950年の「朝鮮国連軍」の場合は、安保理は北朝鮮の武力攻撃を撃退する軍事行動のイニシアティブを米国に委ねることにし、米軍が国連軍の統一司令部の司令官を任命し、その下に各国がその軍隊を提供するよう決議しました。1990年の湾岸戦争の場合は、米軍主導の多国籍軍の軍事行動を安保理決議でオーソライズはしたものの、指揮関係は複雑で、米中央軍司令部が英国はじめ他の西欧諸国の軍をも事実上指揮したが、フランスは必ずしもその指揮下に入らず、またアラブ・イスラム諸国はサウジアラビア主導の統合軍司令部が指揮し、作戦全体を統御する司令官は存在しないままでした。また95年のボスニア内戦への介入の場合は、NATO主導の多国籍軍(平和執行軍)に安保理が「あらゆる手段をとる権限」を付与し、さらにそれ以前に現地に存在したPKO(国連防護軍)の権限も平和執行軍に統合することを決定しましたが、このように指揮権限まで含めて明示的にオーソライズしました。99年の東ティモールの場合は、インドネシアやアジア諸国は国連指揮下のPKOを望み、英国やオーストラリアはオーストラリアが指揮権を持つ多国籍軍を提案し、結局安保理が後者を容認しました。このように、明白な国連軍を編成することが出来ない現状で、PKOという国連憲章には規定のない形で対処するか、加盟国のどこかが主導する多国籍軍を容認するか、またその場合の指揮権をどう定義するかなどは、まったくケース・バイ・ケースに任されていて、単に大国が自分の都合のいいように国連を利用したり裏を掻いたりしているだけのこともあります。03年イラク戦争の場合は、それまで安保理がサダム・フセインを非難する17もの決議を発していたにもかかわらず、米国はそれだけでは不足と判断して、当時のパウエル国務長官が国連の場で世界を説得して明示的な支持を取り付けようとさんざん努力しましたが報われず、結局は、以前の決議があるからそれでいいのだと弁解しながら戦争を始めることになりました。アフガン戦争の場合も、米英中心の多国籍軍を国連が明示的にオーソライズしたことはなく、従って、国際法および国連憲章から見れば、これは国連による「公的」な戦争でなく、米英の「私的」な戦争ということになるのです。

Q2:国連の大原則とは何ですか?

A2:国連の目的の第1は「国際の平和及び安全を維持すること」で、そのために「平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること」、そして「平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって…実現すること」に置いています(憲章第1条)。その目的を達成するための原則は「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」こと、そして
「すべての加盟国は、その国際関係において、武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも、慎まなければならない」ことです(第2条)。簡単に言って、国際紛争を可能な限り平和的に解決しようというのが根本精神で、第6章「紛争の平和的解決」で第33条から第38条までそのための手続きを定め、さらに第7章「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に対する行動」で、第39条から第51条まで、国連による制裁措置について定めています。そのうち第41条は経済制裁、運輸通信手段の中断、外交関係の断絶など「非軍事的措置」で、第42条では、それで不十分な場合に「国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる」と、「軍事的措置」を規定しています。つまり、あくまでも平和的解決を徹底的に追求するけれども、それで間に合わなくなった場合には、武力による制裁的な軍事行動も辞さず、その場合には(憲章にはっきり書いてあるわけではないが解釈すれば)、理想的には「国連常備軍」、それが無理でも臨時の「国連軍」、あるいは国連が明白にその権限を「授権」した加盟国の軍隊による(典型的には)「多国籍軍」がそれを担うことになります。その上でさらに、51条では、そのような国連による軍事的措置が行われるまで時間がかかる時は、侵略を受けた当事国が「個別的または集団的自衛の固有の権利」を発動することを認めています。つまり、国連による公的な「制裁戦争」と個別国による私的な「自衛戦争」をはっきり区別した上で、前者の優位を規定しているのです。

Q3:だとしても、そもそも国連憲章が「個別的・集団的自衛権」の発動を認めていて、決議1368でもわざわざそれを再確認しているのだから、米国が個別的自衛権の名によってアフガン戦争を仕掛け、同盟国である英国が集団的自衛権を発動してそれに協力し参戦したのは正当で、何も非難される筋合いはないはずですね。

A3:まず、国連との関係は別として、テロという見えない敵による(どれほど被害が大きかったとしても)国際犯罪に対しては、まず警察的に対処するのが妥当であって、それを飛び越えていきなり国家間戦争という形で軍事的に対処しようとするのはいかがなものかという問題があります。米国は、9月20日には9・11の背後にはウサマ・ビンラーディンがいたと断定、アフガンのタリバン政権に対して「すべてのアル・カイーダ幹部の引き渡し」など5項目の最後通牒を突きつけます。それに対してタリバンは、ビンラーディンの事件への関わりについて証拠を示せば第三国に引き渡して裁判にかけるにやぶさかではないという態度を示しますが、米国はそれについて交渉するでもなく、「ふざけるな」と言って10月7日には英国と共にタリバン軍基地及びアル・カイーダ訓練所に対する大規模空爆を開始しました。結果、確かにタリバン政権は崩壊・逃走しましたが、アフガンは国家崩壊を起こして収拾のつかない混乱に陥り、ビンラーディンは行方知れず、アル・カイーダ幹部は全世界に拡散して各地でテロが激発、米本土に対する再テロの危険もむしろ増大しているわけで、このやり方が失敗だったことは明白です。それについては私の『アメリカ帝国の崩壊』に詳しく書いていますので参照して下さい。さて、国連との関係に戻ると、確かに国連憲章は「個別的・集団的自衛権」の発動を認めていますが、かと言って野放しで認めているのではなく、平和的解決の努力が破綻し、非軍事的強制措置も効力がなく、では国連としての軍事的措置をとるかということになったとしてもまだその合意は形成されていないという場合の、あくまで「例外的」なこととして、条件付きで、つまり国連が必要な措置をとるまでの間に期間を限定し、またその国がとった措置について安保理に報告する義務を課すという形で、認めているにすぎません。その意味合いを理解するには、国際法の領域における「戦争の違法化」の歴史を少し振り返る必要があります。19世紀から第1次世界大戦前までは、戦争や武力行使は国家の自由な権利とされ、まったく禁止されていませんでした。第1次大戦後に国際連盟が出来て、その規約である範囲で戦争や武力行使を禁止したが、規定があいまいだったので、1928年にパリに当時のほぼすべてに当たる63カ国の代表が集まって「不戦条約」を締結し、その第1条で「締約国は、国際紛争の解決のために戦争に訴えることを不法とし、かつその相互の関係において、国家的政策の手段としての戦争を放棄する」と、第2条で「締約国は、相互間に起こることがあるべき一切の紛争や紛議は、その性質や起因のいかんを問わず、平和的手段によるのでなければ、その処理または解決を求めない」と宣言しました。国際紛争解決のための戦争と国家的政策の手段としての戦争、ということは、すべての「侵略戦争」が禁止され、さらに第2条では戦争に至る以前の「武力の行使」も禁止されたわけですが、この議論の過程で、しかし、にもかかわらず他国から侵略や武力攻撃を受けた場合に自衛のための戦争ないし武力の行使を行うことは当然で、そこで「自衛権」という概念が浮上することになりました。侵略戦争はダメだが自衛戦争はOKということです。ところが、このせっかくのパリ不戦条約も役には立たず、11年後には第2次世界大戦が勃発、人類は一層悲惨な戦禍に喘ぐことになりますが、そうなってしまった国際法の面から見た要因は、大戦当時の英外相ジョージ・ロイドが喝破したように「戦争や武力行使をした国で、自衛権を援用しなかった者は、未だかつてなかった」——すなわち「自衛の名による侵略戦争」が横行する状態に歯止めがかからなかったからです。日本の満州事変はその典型で、日本は自衛のためやむを得なかったと主張したが、国際社会は侵略だと断定しました。米国の日本への原爆投下も自衛の名による過剰な侵略行為でしょう。そこで、第2次大戦の反省の上に立って出来た国連(国際連合)では、パリ不戦条約の趣旨を引き継ぎつつ、個別国の戦争と武力の行使を禁止し、国際の平和と安全のための軍事的制裁措置が必要な場合はすべて安保理事会の決定ないし許可に基づいて行うこととし、それが間に合わない場合に限って例外的に一定の制限の下で個別的・集団的自衛権の発動を認めることとなったのです。話が長くなりましたが、そういうわけなので、米英のアフガン戦争=OEFは、国連憲章が一般論として限定的に認めている個別的・集団的自衛権の発動には違いありませんが、だからと言って、このような戦争を仕掛けることを国連として決定も許可も授権もしていない以上、それは実質的には米英が勝手に始めたまさしく「自衛の名による侵略戦争」にほかなりません。(続く)

ー[資料1]安保理決議1368 2001年9月12日 (外務省訳)ーーーーーーーー

安全保障理事会は、

 国際連合憲章の原則及び目的を再確認し、

 テロ活動によって引き起こされた国際の平和及び安全に対する脅威に対してあらゆる手段を用いて闘うことを決意し、

 憲章に従って、個別的又は集団的自衛の固有の権利を認識し、

(1)2001年9月11日にニューヨーク、ワシントンD.C.、及びペンシルバニアで発生した恐怖のテロ攻撃を最も強い表現で明確に非難し、そのような行為が、国際テロリズムのあらゆる行為と同様に、国際の平和及び安全に対する脅威であると認める。

(2)犠牲者及びその家族並びにアメリカ合衆国の国民及び政府に対して、深甚なる同情及び哀悼の意を表明する。

(3)すべての国に対して、これらテロ攻撃の実行者、組織者及び支援者を法に照らして裁くために緊急に共同して取り組むことを求めるとともに、これらの行為の実行者、組織者及び支援者を援助し、支持し又はかくまう者は、その責任が問われることを強調する。

(4)また、更なる協力並びに関連する国際テロ対策条約及び特に1999年10月19日に採択された安全保障理事会決議第1269号をはじめとする同理事会諸決議の完全な実施によって、テロ行為を防止し抑止するため一層の努力をするよう国際社会に求める。

(5)2001年9月11日のテロ攻撃に対応するため、またあらゆる形態のテロリズムと闘うため、国連憲章のもとでの同理事会の責任に従い、あらゆる必要な手順をとる用意があることを表明する。

この問題に引き続き関与することを決定する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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2007年10月29日

本質論議に入れないテロ特新法審議

 国会は、29日の守屋武昌=前防衛事務次官の証人喚問に続いて、30日に衆院テロ防止・イラク支援特別委員会での野党質問、31日に福田康夫首相と小沢一郎民主党代表との初の党首討論を予定しているが、これでテロ特新法の審議が軌道に乗る見通しは暗く、11月10日までの会期内にはもちろんのこと、相当大幅に会期を延長してもなお、今国会で成立する可能性はますます小さくなりつつある。

●進退窮まる福田政権

 守屋の証言内容次第では、彼の再喚問や、彼を接待漬けにして次期輸送機(CX)のエンジン受注を図ったとされる宮崎元伸=山田洋行元専務(日本ミライズ社長)の喚問、また海自給油艦が米補給艦経由で米空母キティホークに提供した軽油の量を偽った上、同艦の航海日誌の該当ページを破棄して隠蔽しようとした海上幕僚監部の寺岡正善=防衛課長(当時、今年初めから10月22日までは片山さつき代議士の公設秘書)はじめ防衛省幹部の喚問など、野党が喚問波状攻勢に出るかもしれず、さらにはその延長上で、隠蔽当時にも防衛庁長官として責任ある立場だった石波茂=防衛大臣に対して参院野党が問責決議案を提出することもありえよう。

 仮に衆院が早々に新法を通過させて参院に送付し、その段階で参院が石波を問責に付した場合、それだけでは彼を辞めさせるだけの効力=法的拘束力はないものの、彼に答弁に立つ資格はないとして参院が審議拒否もしくは引き延ばしをする理由には十分になるわけで、そうすると会期を延長してもなお衆院に持ち帰って3分の2で再議決する時間的余裕がなくなるかもしれないし、またそうでなかったとしても公明党が再議決に同意するかどうか不確定である。ならばいっそ、会期を延長せずに衆院に法案を留めて参院に送らず、「継続審議」にするという方法もないではないが、それでは福田政権は「テロ特国会」と名付けられたこの国会を何の実りもないまま終わらせることになり、11月中旬に予定された訪米にどの面下げて行けばいいのか分からなくなってしまう。

 すでに福田首相は進退窮まりつつある状態で、思い返せば安倍晋三前首相は、9月の時点で11月にこのような窮地に立つことになることを予想して、「そうなってから辞めるよりも今辞めた方がいいと判断した」と言って政権を投げ出したのだったが、言うまでもなくそれは何の解決でも改善でもなく、単に無責任に次の人に問題を押しつけただけのことで、その通り福田が安倍に代わって、しかも安倍辞任〜新総裁選びの政治空白によって時間がなくなった分だけ余計に、窮地に立っている。気の毒なことである。

 さあ、今日の守屋喚問はどんな展開になるだろうか。▲

2007年10月15日

迷走止まらぬ特措法論議

 10日の衆院予算委員会で本格論戦が始まったテロ特措法を巡る論議は、すでにこの段階で守勢に回って弁解がましいことを並べ立てている政府・与党側の答弁が次々に綻びを見せている有様で、これでは新法が参院で否決後に衆院に戻っても、公明党の賛成を得て3分の2で強引に採択して、海上自衛隊のインド洋・ペルシャ湾での「無料ガソリンスタンド」の活動を継続することは相当難しいのではないか。

 政局的に鍵を握るのは公明党で、戦術論のレベルで言えば、9月12日、安倍辞任直前の記者会見で同党の北側一雄幹事長が「確かに(新法が衆院に送り返された場合の)再可決の制度はあるが、行使するか否かは政治判断だ。世論の動向を勘案して判断していく」と語っているのは、自民党にとって相当なプレッシャーである。「世論を勘案して」というのは、平和志向の強い創価学会婦人部・青年部の反発を無視できないという意味と同時に、3分の2の数の力による再可決が世間の非難を浴びて政局騒然、早期(年末・年始)の解散・総選挙に転がり込むのを避けたいという意味でもある。

 戦略論のレベルで言うと、民主党の小沢一郎代表が主張して止まない、「集団的自衛権を発動して米国の(私的)武力行使に協力するのは違憲だが、集団安全保障の原理に立って国連の(公的)武力行使に参加するのは合憲」という論理は、小沢が新進党時代に、元国連職員で公明党出身の東祥三衆議院議員(当時)をブレーンとして作り上げたもので、本来、公明党はこれに反対することは出来ないはずなのだ。逆に言えば、民主党は裏から公明党に手を回してこの問題での共闘を働きかけ、自公間の離反を画策することが出来るかもしれない。

 対民主党のみならず対公明党にも説得的な議論を展開しなければならない政府・自民党だが、それにしてはこの問題への対処はお粗末で、ほとんど支離滅裂に近い。

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2007年9月28日

《資料》集団的自衛権と集団的安保体制論

 インサイダーは04年にNo.175と182の2回連続で「憲法第9条をめぐる対立軸の変位/改憲VS護憲からへ集団的自衛権VS集団的安保体制論」という長い論説を掲載し、さらにそれを補足する資料としてNo.183に国際法の領域における「戦争の違法化の歴史」についての資料を掲載した。テロ特措法をめぐる議論の根底にある問題を整理するのに役立つと思われるので、これらを一挙再録する。

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《資料》国連、憲法、自衛隊/小沢の軽井沢講演要旨

 民主党の小沢一郎代表は9月3日、長野県軽井沢で開かれた参議院民主党・新緑風会研修会で講演し、その中で、テロ特措法に関連して彼が「理念、哲学の違い」と呼んでいるものについて基本点を述べた。以下、速記録からその該当部分を要約紹介する(小見出しは本誌による)。

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これで流れが変えられるのか?「安倍尻ぬぐい内閣」の多難

 混迷から自滅へと転がり込んだ安部政権の呪われた軌道をキッパリと断ち切って出直すことがまず第一の使命だというのに、17閣僚のうち横滑りの2人を含めると15人、旧党3役のうち1人が再任という、何のための政権交代か分からないような福田内閣のスタートである。裏を返せば、安倍前首相の国会会期中の職務放棄という前代未聞の異常事態の中で、なぜこんなことになったのかの総括も、その上に立って組織と路線をどう再建するかの方策も、まったく議論することなく、取り敢えず首だけをすげ替えるしかなかったわけで、その意味では新内閣は、福田自身が名付けた「背水の陣内閣」と呼ぶよりも、安倍が対処しきれなかった諸困難を整理されないまま引き継がざるを得なかった「安倍不始末の尻ぬぐい内閣」と呼ぶにふさわしい。前途は多難で、そのいくつかを乗り越えたとしても、遅くとも来春には行われる次期総選挙までしか命の保証はない、事実上の「選挙管理内閣」であり、しかもその選挙で民主党に政権を奪われる公算が大きいことを考えれば「政権明け渡し準備内閣」とも言える。

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2007年9月19日

中西輝政はさぞかしがっかりしているだろう

安倍崩落で「保守革命の10年」が終わった

 安倍政権が無惨に崩壊して、その後を、事もあろうに福田康夫元官房長官が襲おうとしていることについて、この世で最もがっかりしているのは中西輝政京都大学教授にちがいない。12日付本欄(INSIDER No.408)では『諸君』10月号の中西論文の次の部分を引用した。

「安倍政権とは拉致問題によって生まれた政権であることを、もう一度明確に意識しなおす必要がある。……いま安倍政権の命運は、国民にとっての政治家・安倍晋三像を確立できるかどうかの一事にかかっている。それには何が必要か、もう一度自らの原点である“拉致”に立ち返ること以外にない。拉致問題に立ち戻り、徹底したこだわりを見せる必要がある」


●思い入れ

 京大風の新現実主義から、91年湾岸戦争後は一時、反米的リベラリズムへ、一転して90年代央から超保守ナショナリズムの旗手へと変転してきた中西の、この激情的なまでの安倍への思い入れは一体どこから来ているのか。もう少し同論文の文脈を辿ってみよう。

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2007年9月15日

安倍辞任の精神分析学

 安倍辞任は、政治学というよりも心理学、精神病理学の研究対象である。直接の病名は「機能性胃腸傷害」つまりガンなど物理的理由が見あたらないのに胃腸が働かなくなり下痢をしたり逆に酷い便秘になって食事も喉を通らなくなるような病気だが、その原因は肉体疲労や精神ストレスで、結局は心の問題が根本原因である。

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2007年9月13日

安倍政権瓦解で液状化する政局

 いじめに独り悩み苦しんだ女子中学生が突如として手首を切り、「そこまで追い詰められていたのか…」と周囲を仰天させるような、美しくも潔くもない安倍晋三首相の突然の辞意表明である。安倍のこの支離滅裂に合理的な解説を加えようとしても無理な話で、折り重なる重圧に耐えかねて心身共に衰弱し、もはやまともな判断力を働かせることも出来ない精神不安定状態に陥った挙げ句の自爆的行為としか説明のしようがない。本誌はすでに9日シドニーでの“退陣カード”発言に病の兆候を感じ取って、前号(No.408)での分析では意図して「発作的」「錯乱的」「衝動的」などの形容を散りばめていた。が、早くもその3日後には「的」を付ける必要のない病状の深刻さが露見したことになる。

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2007年9月12日

捨て身なのか自暴自棄なのか、安倍“退陣カード”の唐突

 安倍晋三首相が9日シドニーで、インド洋での海上自衛隊の給油活動の継続に「職を賭して取り組んでいく」、それが出来なければ「職責にしがみつくことはしない」と、内閣総辞職の可能性にまで踏み込む発言をしたのは、本人にしてみれば自ら退路を断って重大決意を示す小泉流の捨て身のパフォーマンスのつもりに違いないが、それにしては準備不足と言うよりもむしろ発作的で、期待ほどのメッセージ効果を生むに至らなかった。

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2007年8月28日

「自民党をブッ壊さない」がメッセージ?!安倍新内閣

一見すると、「エッ、こんな政治家いたっけ」という無名閣僚が1人もいない、ベテラン実力派揃いの、適材適所とは言い切れないもののそれなりに安定感のある閣僚・党人事で、これでトップが安倍晋三首相でなければ「なかなかいい内閣じゃないか」と言われたことだろう。御厨貴=東大教授が「本来なら一番取り替えなければいけない人が上に座っている」(28日付朝日)と言っているのは、その通りで、一番適材適所でないのが安倍である。ということは、これは安倍の求心力の表れというよりも、むしろ逆で、トップが空虚であり、その下で近々総選挙を迎えて政権を失うことになりそうな切迫した危機感の中で派閥の論理が大復活して、派閥代表者会議のような内閣ができたのである。その意味では、「ポスト小泉なんか誰もやりたくない」という自民党全体を覆う無気力状態の中で、ほぼ満場一致のようにして安倍が総裁に選ばれた1年前の状況は、本質的に変わっていないどころか、一層深刻化して、何があろうとせめて我が派閥だけは生き残らなくてはという古い自民党の派閥政治の岩盤のようなものが露呈してきた姿と言える。

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2007年8月21日

サブプライム問題ごときでなぜ世界がガタガタするのか?

〓〓SUB-PRIME〓〓
サブプライム問題ごときでなぜ世界がガタガタするのか?
——電子的金融カジノのふしだらさ

 米国の低所得者向け住宅ローン(サブプライム・ローン)の焦げ付きという些細な問題をきっかけに、全世界の資本・株式・為替市場がたちまち混乱に陥り、相乗的な下落スパイラルに填り込みかねない不安に晒されている。複雑系理論で言う「北京の蝶(が羽ばたくとニューヨークでハリケーンが起きる)」モデルを絵に描いたようなこの不思議な光景から透けて見えるのは、いきなり結論を言えば、電子化された金融カジノによって徒に消費と投資を煽るアメリカ帝国のみせかけの繁栄を、もはや世界がいつまでもアテにしているわけにはいかなくなってきたという大きな時代の流れである。

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2007年7月14日

拉致敗戦?/参院選で負けなかったとしても安倍に降りかかる難題

私は3月14日付のインサイダーNo.384「出口を見失う安倍外交」で、「日米vs北の圧力図式を作り上げて拉致で進展を得ようとする安倍の目論見は崩れ、逆に朝米vs日の図式で核問題を前進させて日本を孤立化させようという北の術策に嵌ることになった」と指摘したが、この日本にとっての最悪事態はいよいよ現実のものとなりつつある。参院選で自民党が40議席台後半に負けを止めることが出来れば、安倍は辞任しなくても済むかもしれないけれども、その代わりに、6カ国協議の進展と米朝和平から国交正常化への流れが加速する中で、秋には、拉致優先の対北強硬路線が完全に行き詰まって安倍政権が立ち往生することになる可能性が大きい。参院選で40議席台前半の大敗を喫して辞任しておいた方が、むしろ安倍にとっては幸せかもしれない。

●シーガルの助言

「拉致敗戦」とは、10日発売の『中央公論』8月号に載った米国の北朝鮮核問題の専門家=レオン・V・シーガル(米社会科学調査評議会北東アジア安保部長)へのインタビュー記事のタイトルで、安倍の拉致優先路線はすでに敗北したという意味である。「日本は北朝鮮問題で致命的な孤立に追い込まれる」という副題の付いたその記事は、3月時点での私の分析方向と基本的に一致しており、なおかつ6カ国協議の現局面とそれに関して日本が嵌り込みつつある危機についての最も優れた解説となっているので、このテーマに関心ある方は是非ともその全文を読むことをお勧めする。ここでは要点のみをまとめよう。

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2007年7月11日

一人区で自民は4つしか勝てない?

今週の『サンデー毎日』のトップ記事は「29一人区で“自民当確5”の衝撃」(http://www.mainichi.co.jp/syuppan/sunday/)。こりゃあ崩壊ということだ。ところが、昨夜大阪で聞いた政界情報通の話では、かの野中広務は周辺に「一人区で自民党は4議席」というもっと厳しい予測を語っているという。こういう極端な数字が出てくるのは、往々にして、わざと流して陣営を引き締めたり、世論的に「そこまで自民を負けさせていいのか」と思わせたりするための情報操作である場合があるのだが、野中は小泉・安部政権には冷ややかな立場だから、そういうバイアスは掛かっていないだろう。

さて、参考までに、「どの党に投票するか?」についてメディア各社の一部内部資料を含めてデータを比べてみよう。

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2007年7月 3日

安倍政権の断末魔、参院選大敗で政局混沌か

 29日までに社会保険庁改革法案、公務員天下り規制法案、政治資金規正法改正案をバタバタと成立させて、延長国会は実質的に終了、翌日には早速各党幹部が全国に遊説に散って参院選が事実上スタートした。支持率急落に苦しむ安倍政権にとっては、何が何でもこれらの法案を成立させて、「やるべきことはやっています」という形を整えなくては参院選を迎えようもなかったのだろうが、形式面から言えば、これら3法案を含め教育基本法改正案、国民投票法案など同政権の“実績”とされる重要法案のほとんどすべてが強行採決であって、むしろ安倍の国民に対する説明能力と野党に対する国会対策=調整能力の欠如を物語っているし(強行採決は18回!)、内容面で言えば、どれもが中途半端だったりザルだったりで、具体策はこれから有識者会議を作って考えるという体のスカスカのものだった。従って、せっかくの会期延長も、支持率低下を食い止める効果を発揮しそうになく、自民党大敗、安倍退陣という惨憺たる結果に陥る公算が強まっている。

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2007年5月31日

安倍内閣の“アキレス腱”が断裂

 昨秋の安倍内閣発足時に農水相として初入閣した松岡利勝は、農林業土木に絡む利権操作や畜産はじめ農林団体・企業の利益の露骨な代弁で名を馳せて、それまでに何度もメディアの調査や検察の捜査の対象となってきた人物であり、就任当初から同内閣の“アキレス腱”と呼ばれてきた。「緑資源機構」の官製談合事件の捜査が身辺に迫る中で28日、彼が首つり自殺したことは、そのアキレス腱がおよそ考え得る最悪の形で断裂したことを意味しており、同内閣にとって歩行困難に陥るほどの衝撃となった。

 彼の死の直前に集計された毎日新聞の世論調査では、内閣支持率が11ポイント急落して内閣発足以来最低の32%(日本経済新聞でも12ポイント減の41%)を記録した。その主な要因は、年金記録5000万件の行方不明という社会保険庁のでたらめに対する怒りと、「ナントカ還元水」などという口から出任せで事務所経費の不正経理を誤魔化そうとした松岡の馬鹿さ加減に対する呆れ返りだが、より根本的には、その2つの国民的関心事のいずれについても断固たる措置を採らないばかりか納得のいく説明をしようともしない安倍首相に対する深い不信である。

 このダメージを7月5日の参院選公示までの5週間に回復出来る見込みは少なく、むしろこれを機に安倍内閣がレイムダック状態に近づいていく可能性のほうが大きい。上述の毎日調査では、「夏の参院選で勝ってほしい政党」は民主42%、自民33%と、昨年12月以来過去3回の調査ではいずれも自民が民主を上回っていたのに対して今回初めて民主が逆転した。「比例代表でどの政党に投票するか」では、民主35%、自民28%、公明6%、共産4%、社民3%、国民新1%で、自公合計34%を民主が単独で上回っている。もちろん今後の与野党攻防にもよるけれども、もしこの地合いが大きく変わらないまま参院選に突入すれば、安倍自民党の敗北は避けられない。

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2007年4月23日

小沢民主党は「格差」争点で参院選に勝てるのか?

小沢民主党は「格差」争点で参院選に勝てるのか?
——グローバリゼーション3.0の地平

 統一地方選第2波及びそれと同時に行われた沖縄・福島の参院補選の結果について、民主党の鳩山由紀夫幹事長は22日夜の会見で「福島では『もっと格差是正を前向きにやれ』との厳しいメッセージを出せた」「安部内閣に対し今まで以上に格差の問題を議論すべきだと主張したい」と述べたが、果たしてこの総括は正しいか。

 日本経済新聞23日付第1面の論説で西田睦美編集委員は「民主は補選でも地方選でも争点設定に成功したとは言い難い。景気は回復基調が続き、格差是正の主張はいまひとつ浸透していない」と指摘したが、私自身も、19日に都内のホテルで開かれた小沢一郎後援会に呼ばれて講演した際に、冒頭次のような趣旨を述べた。

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2007年1月 3日

2007年の予定・改訂版

「2007年の予定」を大幅に改訂した。

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2006年12月15日

ブッシュ政権はイラクの泥沼から脱出できるのか?

12月6日に注目の超党派「イラク研究グループ」の政策転換勧告が出されたのを受けて、ブッシュ大統領はクリスマス前にも国民向けの大演説を行ってイラクの泥沼状態からの脱出策を明らかにするはずだったが、政権内部も議会もメディア・世論もこれをめぐってさらに四分五裂に陥り、大演説は「たぶん1月中」に先延ばしされた。

この状況の分析と、イラク研究グループの報告書の冒頭部分の仮訳を「インサイダー&アーカイブ」のほうに載せたので参照して頂きたい。

15日付の『ヘラルド・トリビューン』によると、ブッシュは、ロバート・ゲイツ新国防長官が省内を掌握して考えをまとめるまで待ちたいという気持ちのようで、その間にも、イラクのマリキ首相に対して「スンニ派の取り込み」に力を入れるよう促す意向だという。これは、ホワイトハウス内でチェイニー副大統領の発言力が低下してライス国務長官の考えにブッシュが傾いていることを示唆している。チェイニーは、シーア派を助けてスンニ派を徹底的に叩くことを主張しているが、ライスは、そもそもチェイニーやラムズフェルドが最初からスンニ派を丸ごと敵に回したことが間違いの始まりだと認識している。▲

2006年10月12日

安倍にとってラッキーだった北の核実験!

安倍首相が中国・韓国訪問中に北朝鮮の核実験という大騒動が起きたのは、彼にとってラッキーだった。両国訪問の目的は言うまでもなく、小泉時代に完全に冷え切った関係の修復にあったが、その原因となった靖国参拝問題と歴史認識問題についての安倍のホンネは小泉よりむしろ後ろ向きで、それを隠したままタテマエの上でだけ和解した振りをするという曲芸が成り立つのかどうか、大いに危惧されていた。ところが北の核実験で話題が一挙にそちらに集中したため、それらの問題は脇に押しやられた形になり、安倍は救われた。

北の核実験については「インサイダー」で短い分析を出しておいたので、そちらをご参照下さい。▲

2006年8月14日

明日、小泉は行くンかなあ……

『インサイダー』のほうで先ほど、「靖国「A級戦犯合祀」問題をどう解決するか/分祀、抹消、別施設、特殊法人?!」という長目の記事を送っておいた。間もなくメルマガ配信され、本サイトにもアップされるだろう。ついでに、昨年6月頃に集中的に書いた靖国関連の記事を「問題別アーカイブ(1)靖国問題」として掲載するようにした。インサイダーを過去に遡って文字通りアーカイブにして、自由に検索して貰えるようにするつもりなのだが、1つずつ読んで分類とキーワードを立てて、誤植や間違いを正してというのが手間で、なかなか進まないので、このように折に触れて自分でもまとめておくと便利そうな形で問題別で掲載することにする。

それにしても、小泉は本当に行くンかなあ。アナーキーな奴だなあ。またテレビがヘリコプターでも出して「今、九段下の交差点を左に曲がりました!間もなく到着です!」とか絶叫するンだろうなあ。そういう騒動が嬉しいから行くンだろうなあ。でも、それって“安倍殺し”になりかねない。本当に行くンかなあ……。▲

2006年4月25日

これで勢いに乗る?小沢民主党

 23日の千葉7区衆院補選は、1000票弱の僅差ながら民主党が競り勝った。候補者が誰であるかはほとんどどうでもいいことで、事実上、小泉・安倍vs小沢の直接対決で、自民党が勝てば小泉が残り任期5カ月を余裕を持ってこなしながら安倍に後を譲る流れとなり、民主党が勝てば小沢体制が確立し来年夏の参院選で自公を過半数割れに追い込んで政権奪取を目指す流れになるという、政局の行方を賭けた戦いだった。これで小沢民主党は勢いに乗ったが、まだ課題は山積みだ。その辺りをINSIDERで詳しく分析したので、そちらを参照して頂きたい。

2006年4月15日

小沢民主党は政権を獲れるのか?

 小沢一郎が民主党代表になって、さてそれで政権を獲れるのか。本ブログで書いてきたことを土台にして、インサイダーで書いたので、本サイト「インサイダー」をご覧下さい。▲

Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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