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高野尖報・首都直下型地震による「液状化」被害予測の恐ろしさ ── 封印された報告書を『AERA』が暴露

 東北大地震の後、(1)茨城沖〜茨城南部内陸を経由、(2)東海大地震からの連動、(3)独自の活断層の変動のいずれかの要因で、首都直下型の大地震が起こる可能性が高まっており、その場合に、中央防災会議の控えめな予測でも、死傷者22万人、建物の全壊・焼失85万棟、直後の避難所生活者460万人、経済被害総額112兆円という想像を絶する地獄絵が現出する可能性があることについては、本論説4月25日付でも述べてきたが、今週発売の『AERA』8月22日号の巻頭「封印された"東京湾炎上"」によると、それだけではない、臨海部の液状化で油や劇物が大量に海に流出して大爆発の連鎖が起きて東京湾封鎖という事態が起こりうる。そのことを、国土交通省関東地方整備局が組織した有識者委員会が2年間かけて検討し、2009年3月に「臨海部の地震被災影響検討委員会報告書」がまとめられたが、経済産業省などの圧力で公表が差し止められたという。

●護岸が9メートル動く?

 東京湾臨海部には、発電所、石油化学、鉄鋼などのコンビナートが立ち並び、昨年4月の時点で5580基の石油タンクがある。その9割は、千葉県市原市を中心とする京葉臨海中部と川崎市を中心とする京浜臨海に集中する。

 3・11では、市原市のコスモ石油製油所でLNGタンクが爆発を起こして、周辺8万人に避難勧告が出された。幸いにして火災は敷地内に止まったが、火災や有毒ガスで周辺の半数の人々が死ぬ大惨事になってもおかしくない事態だった。こういうことを想定して検討するのが有識者委員会の主眼で、液状化問題に詳しい濱田政則=早稲田大学教授(元土木学会会長)を座長に、7人が参加した。座長はじめ委員たちが懸念したのは、

▼東京湾の埋め立ては江戸時代からと古く、建設から45年以上もたつ岸壁や護岸が3割以上もあり、そのほとんどは耐震化されていない。

▼それを解析するには各事業所が地質データを提供してくれなければならないが、危険性を指摘されるのを恐れて1社が匿名で応じてくれただけだった。

▼それでも、首都直下型地震を想定して解析したところ、臨海部の護岸は横に9メートル以上動き、護岸が崩れて、護岸から50メートル以内にあるタンクは破断する。

▼地盤が沈下して海水が浸入し油が大量に海に拡散し、航路が閉鎖され、緊急物資の輸送も出来なくなる。

▼湾内の火力発電所も、燃料船が着岸できず、また取水も出来ず、運転できなくなる。

 など。しかし国交省は経産省などとの協議の結果、「影響が大きすぎる」との理由でこの報告書を封印した。ここにも、結局のところ官僚は、国民の生命や利益に殉じる公僕ではなく、天下り業界団体やその下の関連企業の利益に屈する"私僕"にすぎないことが露骨に表れている。首都圏に住むには、その途方も無いリスクを引き受ける覚悟が必要となっている。▲

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今年の【防災の日】は、これまでと異なる様相を見せるだろう。
ご指摘の液状化に対して、私も他の面で一抹の不安を覚える一人です。
関東においての記憶に新しい大きな災害は関東大震災であろう。けれど、その頃は、今ほど埋め立ても少なく、地下のトンネルも張り巡っていなかった。下水道菅と比較にならないほどの深度で硬い岩盤あれ、液状化が地下空洞に対して、どのような影響を与えるのか等検証されているのか疑念を覚える。
空洞であるがために、浮き上がり現象もありえると思える。コンクリートの強度によっては、亀裂で大量の地下水が地下街への流入することも想像できる。トンネル内からの避難誘導路の確認など、備えはいくらあっても、足りることはないはずである。
地上での被害予想と共に地下被害予想がなされているだろうか?
最低でも過去の災害時、関東大震災時に液状化現象が起こっていなかったのか。起こっていたとしたら、どの地区に起こっていたかなども含めてハザードマップを見直す必要性も感じる。

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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