Calendar

2011年3月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

« 高野尖報:日本はそんなにダメな国なのか?
メイン
高野尖報・「参議院の優越」はおかしい! »

高野孟の遊戯自在録015

2月24日(木)

glasspen.JPG
 静岡の佐野さんに「一度使ったら止められない」と薦められて注文していた「ガラスペン」が届いた。台東区入谷の「佐瀬工業所」が製造する大正ロマン風の手作りの逸品で、片方は、ペン先から軸まで全部ガラスの高級品。ペン先が緑でインクを吸い上げる8本の真っ直ぐの溝が付いていて、軸はうっすらとしたサーモンピンクで8本の溝がついたものを絶妙にひねって、見た目に美しくまた握りやすい形に仕上げている。もう片方は、竹軸の廉価品3本セットで、先代が師匠の下から独立して明治45年に「カネモ印」の屋号で売り出した時のままなのだろう、「登録商標/簿記、図引、細字用/品質請合別製/平和万年筆/東京製作品」という昔懐かしいラベルが貼ってある。3本セットは他に中字用、太字用である。

 説明書きによると、ガラスペンは明治35年に風鈴職人だった佐々木定次郎氏が日本で初めて開発した。先代の佐瀬米蔵・えん夫妻はその下で修業して独立し、昭和までは主としてこの3本セットのような竹軸、セル軸のものを作っていたが、2代目の佐瀬勇さんが平成に入ってペン先から軸までガラス製の一体型を開発した。ガラス棒を均等にひねってネジリ模様を出していくには、左右の手を同じ速さで回し続ける特別の業が必要で、それ故に佐瀬さんは台東区優秀技能者、指定生活文化財に認定されている。確かにこれは「文化財」で、少しでも応援して後の世に残したいと思う。


2月25日(金)

 夕方から福島市で内外情勢調査会の講演。会食が終わってもまだ8時前で、少し飲み足りなかったので居酒屋に入り、「国権」という凄い名の地酒と春野菜の天麩羅を頼んだら蕗の薹が付いて来た。こんなのウチでいくらでもタダで食べられるのに、と思った。

2月26日(土)

 福島から東京で乗り継いで名古屋へ。月に1度の「中日新聞栄文化センター」の講義で中東情勢を2時間語る。真っ直ぐ帰ればば夕食の時間に家に着くのだが、今日は家内が旅行中で留守なので、名古屋で軽く飲むことにして、4時の開店を待ちかねるように御園座近くの「大甚」に。4時5分過ぎに入ったというのに、もはや1階は中高年男性を中心に満杯。親父さんが「1階が満席でね。あ、今日は1人? それなら何とかなるわ」と、裏から丸椅子を持ち出して割り込ませてくれた。「繁盛して凄いね」と言うと「土曜日はいつもこうなのよ」と。

 ここは、前にも紹介したことがあると思うが、池波正太郎が愛した店の1つとして雑誌に紹介されていたのを読んで、10年ほど前から寄らせて貰うようになり、東海ラジオ「モルゲン・ジャーナル」(毎週火曜日朝7時半から生出演)のキャスター&スタッフの皆さんとの年に1〜2度の飲み会も必ずここと決まっている。数十種類のつまみの小皿が並んでいるのをセルフ・サービスで取りに行って、空になった皿はお銚子やビール瓶と共に自分の前に重ねて置いておく。ぎゅう詰めの相席だから、自分のスペースは広くなく、もう皿が置けなくなったら帰れということなのだろう。それで「お勘定!」と言うと親父が大きな算盤を持ってきて、皿の形と色で値段を識別して素早く計算する。

 経営者だという隣の方が「菅さんはどうにかなりませんか」と聞く。「どうにもなりませんね」と答えると、「じゃあ日本は沈没ですか」。「いやあ、そんなことはありませんよ。政治がダメなのは今に始まったことではないんで、政府がダメでも国民が利口だというのは国柄のようなもんですから。特に日本の経営者と労働者は優秀だから、それでこの国はもっているですよ」「そうねえ、あんまり悲観しない方がいいのかもね。この店だって、明るいうちからこんな満員で、みんな笑って、楽しそうに飲んでますもんね。日本は大丈夫だ」。ずいぶん素直な人だ。

2月27日(日)

 近所のK君が手伝いに来てくれたので、北側隣地の淡竹(はちく)の竹林を整備。密集しすぎた竹を間引いて、枯れて倒れたのを運び出して、風通しをよくして、陽の光が少しでも奥まで射すようにしてやって、春の筍狩りに備える。淡竹はアクが出ないので、そのまま刺身や皮ごと火で炙って焼き筍で食べるのが美味しい。今から5月が楽しみだ。と言っても、2人で夕方までやって全体の100分の1くらいしか手が着かない。斬るのは簡単だが(と言っても、斜めになったのが途中で過重がかかってバーンと張り裂けて飛び跳ねたりすることもあるので、注意が必要)、大きいので太さ15センチ、高さ30メートルほどのを運び出すのが大変で、けっこう時間がかかる。気が遠くなるような話なのだが、それでもやればやっただけ綺麗になるのが嬉しい。

 疲れて自分で夕食を作るのが面倒になったので、裏の林道からその先の田んぼの畦道をカメラをぶら下げて散歩しながら、韓国焼肉屋まで歩いて行った。昼の12時から飲み続けているという某部落の新年会の人たち20人ほどで一杯で、ここでも「1人? だったら今椅子を持ってくるから」とママさんに言われて、丸椅子で端っこに相席となった。大酔っ払いの村人が抱きついてきて「先生、日本は大丈夫ですかね」と。まるで昨日の名古屋の繰り返しだ。

2月28日(月)

 朝から暴風雨。買ったまま放ってあったiPadを開いてイー・モバイルとの無線LAN接続を設定した。午後東京に出て、iPadのケース(というより袋)、立てて使う時の脚、タッチペンなどを購入。夜は、かつて下の娘が留学した際に親代わりを務めて頂いたワシントンのNさんが来たので、久しぶりに麻布十番の「はじめ」で家内、娘共々会食した。「はじめ」は私の事務所の4軒隣の居酒屋の名店で、前は社員食堂兼応接室のような感じで週に1度ならず通い、亭主のAさんは私と一緒に鴨川で田植えをしたり帯広で馬に乗ったりする遊び仲間だったが、6年ほど前だったか癌で急逝し、それが悲しくて一時足が遠のいたのに加えて、4年前に私が鴨川に引っ越して余り東京で酒を飲まなくなったために、余計に間が空いてしまった。この店の定番は、納豆掻き揚げ、豆腐ハンバーグ、帯広産の黒豚ベーコン、イクラ丼といったところですかね。刺身も毎日築地で仕入れるので文句なし。豆腐ハンバーグなど、ダイエット志向の米国人インテリなどに食べさせると涙を流さんばかりに喜ぶ。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.the-journal.jp/mt/mt-tb.cgi/7882

コメント (2)

■コメント投稿について編集部からのお願い

《THE JOURNAL》では、今後もこのコミュニティーを維持・発展させていくため、コメント投稿にルールを設けています。はじめて投稿される方は、投稿の前に下記のリンクの内容を必ずご確認ください。

http://www.the-journal.jp/contents/info/2009/07/post_31.html

ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

最近は「はがき」を書くときくらいしかボールペンすら使わず、殆どワープロばかり。
ガラスペン、なつかしいですね。書き味がよかった記憶があります。それが健在でビックリしました。美術工芸品の世界かと思いきや、漫画など描く人が結構使ったいるんですね。
つけペンの時代、万年筆に凝った時代を思い出しました。

それから「遊戯自在録」を「高野尖報」に同居させてくれたお陰で高野さんの日常が読者に理解されることに役立つのは大変結構なことと喜んでいます。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

※[投稿]ボタンをクリックしてから投稿が完了するまで数十秒かかる場合がございますので、2度押しせずに画面が切り替わるまでお待ちください。

Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

→ブック・こもんず←



当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.