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高野尖報:米国がアフガニスタンで無人機爆撃を止めている訳 »

高野尖報:北京が畏れる中東若者革命の波及

《これまで「高野論説」という形で、INSIDERと共通の本格的な論説を書くことにこだわってきたが、まったくウンザリするような政治状況で気合いを入れて論じる気がなかなかおこらないことに加えて、9月末に安易かつ不当な値上げに抗議して40年間慣れ親しんだ煙草を止めてしまったために集中力がなくなり、まずは一服してからエイヤッと書き始めるリズムが取れなくなって、余計に出稿量が減ってしまった。先日の大阪高野塾で最新の知見をあれこれ披露しつつ講演したところ、参加者から質問というか要望があって、「今日のような具体的な話をもっと機敏かつ小まめにザ・ジャーナルに出してくれればいいのに」と言われた。考えてみればその通りで、私は毎日多量の新聞・雑誌に目を通し、政治家・財界人に会い、地方に行って講演をすれば経済人や市会議員や市民活動家に会ったりもして、たくさんのヒントやアイディアやキーワードを溜め込んでいて、それは私のジャーナリストとしての基本動作なのだが、昨今はそれらを溜め込むばかりで、「いずれ論説を書く時に参考にしよう」と思ってはいても、なかなかそうはいかずに死蔵されていく。自分でもこのままではまずいと思ってきたので、この大阪塾生の提言を機に、「高野論説」とは別に「高野尖報」と称して、昨日今日に見聞きして私の感性に引っかかった情報を半処理状態のまま思いつくままに「ザ・ジャーナル」上に投げ出していくこととする。尖報というのは英語で言えばFlash(News)で、閃光、ひらめき、一瞥などの意味を併せ持った私の造語である。なお早稲田のジャーナリズム大学院では「新聞の読み方」と題してそのようなジャーナリストの基本動作を講じているので、4月から新学年が始まれば、本欄はそれとも連動することになろう。》

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 今日『クーリエ・ジャポン』4月号が届いた。米ファスト・カンパニーから訳出した中国のファイスブック、ツイッター事情についての記事が面白い。中国政府は「グレート・ファイアウォール」と称する、現代の万里の長城とも言うべきインターネット検閲システムを構築して、米フェイスブックやツィッターなど国外のSNSに人民が接続することを阻んでいるが、その結果、中国国内にそれと似たようなサービスが次々に登場して、当局との果てしない追いかけごっこが始まっている。当初は清華大学の学生向けとして始まったフェイスブックのそっくりさん「人人網」は1億6500万人、若手社会人向けの「開心001」は9500万人のユーザーを抱え、なお毎日数十万の新規ユーザーを獲得して成長を続けている。

 もちろんそれらのサービスは、チベット亡命政府のダライ・ラマやノーベル平和賞の改革家=劉暁波など"危険"なキーワードをチェックするよう求める政府の規制から自由ではありえないが、それでもユーザーたちは「語呂合せや言葉遊び、画像などを駆使して検閲をくぐり抜ける方法を探し出して、自分たちの考えを表現している」という。

 実際、SNSを武器の1つとした中東若者革命が爆発が中国国内に波及することは北京にとっては恐怖で、18日頃からネットで始まった「20日午後に北京はじめ13都市で民主化要求の集会を開こう」という呼びかけは、数万人の検閲官が転載先まで虱潰しのように追いかけて次々に削除した。21日付日経によると、当局は国内SNSに「工作員を登録させ、民主派グループに接近したり、ネット上の"友人"となって活動状況を把握しようとしているが、ユーザーはエジプトを『ミイラの国』、デモを『散歩』と隠語に言い換え、また削除された論文も人海戦術で繰り返し転載したりして反撃を続けている。

 22日付読売によると、中国のネット人口は4億5000万人に達しており、「若者を中心に、当局の接続規制をかいくぐり、反政府的情報を共有しようとする動きが続いて」いて、「規制サイトを閲覧できるソフトや、国外サーバーにある特殊なサイトなどを通じて、当局が隠そうとする情報も出回っている」という。

 「人民の海に逃げ込む」のが毛沢東流のゲリラ戦術の基本だが、その正統な後継者は今やネットを活用する若者たちであって、電子的な人民の海に中国共産党が空しく抵抗しつつそれに呑み込まれそうになっているのは皮肉としか言いようがない。▲

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高野 様

そのときそのときに、考えて、聞いて、読んで、はっとした事が、高野様と同じ様に私どもも共感を覚えると思います。

いろいろ考え抜いて論じられる思想は、確かに深みのあるなんともいえない味わいを与えるものですが、ニュース性とは異なった領域で論じられるものでしょう。

ネット革命は凄まじく、中国政府がいかなる手段を取ろうとも、対策できるものではありません。いかなる対策を採ろうとも、自由な考え方が抑えられることなく、その裏をかいくぐって、国民の中に徐々に浸透していくのではないでしょうか。

中国より深刻なのは、日本です。いかにも民主的と我々は教えられていますが、体制側の一貫した教育を受け、体制には絶対反対しない思考回路を植えつけられているのです。社会に出れば、体制に沿った偏向報道を規制に護られたマスコミが国民に流し続けます。

このような状況の中で異なった考え方を唱えるには、何にもひるがない堅固な意志を持った人でないと不可能な状況です。

このことは、このジャーナルでかなり活発に投稿する人でさえ、デモに対してかなりナイーブになっていた方が垣間見られたことからも明らかなことでしょう。この日本でも、自由に発言しても、行動に移るとなると、躊躇する人が多いのです。

中国は、個人の自由が抑圧制限されているだけに、自由に発言したいと人々は言論の自由に飢えています。一端自由を得たときのエネルギーは、凄まじい勢いを持って、中国の革命を推進するのではないかと、期待と、恐ろしさが入り混じっています。

日本は、ロシア、中国、アメリカの三大国に囲まれています。ロシア。中国がまだ発展途上にありますが、アメリカを凌駕するのは時間の問題になっています。

このような時に、TPPなどによるアメリカ依存などはもってのほかですが、中国、ロシアの大きなエネルギーの拡大に対処するには、韓国、北朝鮮との連携が急務になっているような気がします。

高野孟さん

新装開店、おめでとうございます。歓迎し期待します。
本論を離れて、前文について軽い反応を申し上げます。

【尖報というのは英語で言えばFlash(News)で】
ふううん、高野さんの想いは其れとして、私流には「尖る(とがる)」「尖鋭」などから、寧ろ「CuttingEdgeNews」であって欲しいと思います。
何も言葉の遊びをしているのではなく、世の中に溢れる日本のメディア(ネットを含む)の主張には的外れなものが溢れているし、偶々まともな主張はマニュアル的に画一化されたものや優等生的なものが殆どで、刺激も興奮も全くない。例外は稀にしかない。
更に言えば、偶に国際会議を傍聴すると、アメリカ人論者は例の如くに鼻が曲がるけれども刺激的なことを振り翳します。東南アジアの中国系論者も非常に尖った挑戦的な論を吐いて刺激的です。其れらに比べて、日本人論者は鈍(なまく)らで平穏無事な意見しか吐かず全く面白くない。面白くなくても好いけれど(笑)、挑戦的で尖った主張でなければ特に日本が抱える困難で複雑な「日本問題(デフレ、高齢化など)」がBreakThru出来る訳がないのだと。平和でPoorな国です。だから、高野さんにはCuttingEdgeNewsを待望します(笑)。

それと、煙草。
ものは考えようで、今までの煙草の値段が安かったのだと思えば、ストレスは煙と消えますよ。
私見では、今の時代に「安いか高いか」を決めるのは、製造販売のコストではなく無違いなく「価値」だと。
前文の該当箇所を拝読する限り、高野さんが観る「価値」は新しい価格でも未だ安い筈です。お気兼ねなく煙を吐いて、尖って充実した尖報をものして下さいませ。
但し、ご健康の問題は全て自己責任でお願いします(笑)。

まあ、所得税に加えてたっぷりとした「たばこ税」が今の胡散臭い政治家や官僚の財布に入るのは不都合極まりないし苛立たしいが、それは禁煙節煙では解決されないのであって、その解決策は「善き政治」の体制を造ることでしかないと。
だから、早く! 「次」へ行かなければ!「善き政界再編」へ!「政財官界の世代交代」へ!
(締め括りは、矢張り自論で終わる(笑)。)
草々

高野孟さん   連投、御免なさい。

本論の主題は「民主化」だと単純化しますと:
その脈絡で私は常に、群衆政治(※注1)とW.Churchillの複雑なご託宣(※注2)を思う。無機的で論理一辺倒になる頭脳の中では間違いなく理想である民主主義体制が、有機的な人間が造る複雑な現実の中でも同様に理想的に機能してくれるのか?と。
(注1)Ochlocracyあるいはmobocracy, mob rule。一般的には衆愚政治の訳語が充てられる。
(注2)【民主主義は最悪の政治体制だ、過去の全ての政治体制を除けばだが。】何故、「最善」ではないのか!

先進大国である(筈の)日本との比較は虚しいので止めておきますが‥、
アラブでも中国でも夫々のエリートは極めて優秀だとは承知しているが(典型例は、ノーベル平和賞の改革家=劉暁波さん)、エリートと其れに続く小さい一団が民主主義を要求するのは十分に理解できるけれども、彼らとは知的には全く隔絶されたレベルにある大衆(または「群衆」)は何も理解しないで(出来ないで)ワアワア騒いでいるだけではないのか。
元へ戻って、多寡々々数十人数百人しかいな稀有な開明的で革新的で民主的な人財が、知識に欠け判断力に欠ける大衆(群衆)が存在する現実の中で、重ねて言えば「市民」が育っていない中で「欧米流でいう理想的な民主的統治」を実現できるのか?
アラブや中国が夫々の実情を踏まえないままに、欧米が生み出した民主主義に「飛び付く」前に、一寸立ち止って考えた方が好いだろうと。真にエリートなら、せめて破壊の跡地に「何を創造するのか、出来るのか」程度のことは明確にイメージされていることが必須だろう。
私には、其れが「欧米流の民主主義体制」だとは思い難いのだけれども。現実に即して「中国版民主主義体制」や「アラブ版民主主義体制」が必要なのではないか?

人生の悲惨や先行きの暗さを打開したいのは解るが、破壊の結果が別の混乱と悲惨と暗さになるのなら折角の破壊に意味は小さいだろう。比較に於いて、破壊は容易だが意味ある創造のためには困難な課題が山積する、「知識も見識も判断力も洞察力も行動力も統率力も」必要になるというお話。
まあ、破壊の先に直ちに理想があると思わなければ、其れでも好いだろうけれど。

然しながら、特に既に大国になっている中国については、現体制を破壊しても新体制に目処がなくて十数億人が大混乱状態に陥れば、世界が大混乱に陥る。
他人事という訳には行かない。

彼の地での民主化の動きを称揚し歓迎する者は、もう少し複雑である必要があると思う。
草々

本当に、いい加減な値上げでした。
私は、500円になったらやめようと思っていましたが、440円という中途半端な値段に、しばし考えてしまいました。
考え込んでいる私に、妻が、
「止めたら、毎月好きなウイスキーを買ってやるよ。」
の言葉。

たばこ、止めました。
ほとんど・・という言葉がつきますが。
たばこを吸う友人と飲むときだけは、余計な我慢はしません。
貰って吸ったり、買ったりします。
でも、余計な我慢をしないということは、変なもので、あまり吸う事も有りません。友人と飲む時も、数本で終わりです。
既に5ヵ月間、(十数本吸ったかもしれませんが)疑似禁煙は続いております。

私は、意志が弱く、とうとうほとんど禁煙してしまいました。
愛煙家の方々、お許しください。

ただし、自分が止めたからと言って、喫煙者に「止めろ」だの、様々な事を云う気はございません。
喫煙者の皆さま、多額の納税に、感謝いたします。

高野さん
太りませんか?

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

→ブック・こもんず←



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