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メタボリック・シンドロームの嘘八百!

昨日の大阪読売TV「情報ライブ・ミヤネ屋」の特集の1つは、メタボリック・シンドロームで、題して「揺れる“メタボ基準”、太っていても大丈夫!?」。厚生労働省は、来年から40歳以上74歳までの被保険者とその被扶養者にメタボ診断を義務づけることを決めた。ヘソ周りで計ったウェストが男性で85センチ、女性90センチを超えるとメタボ容疑者となり、さらに血圧(上130mmHg以上、下85mmHg以上)、血中脂質(中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満)、血糖(空腹時110mg/dl以上)の検査でこの基準を上回る項目が2つ以上あれば、メタボすなわち内臓脂肪型肥満と判定され、その人は面談指導と最長6カ月に渡る電話やメールでの支援・激励を受けながら出腹克服に取り組むことになる。厚労省の狙いは、こうして高血圧、動脈硬化、糖尿病など生活習慣病を予防することで、32兆円の医療費を2兆円程度削減できるようにすることにあるが、果たして本当か?

●お節介が過ぎないか

私は、身長や体型や体質の違いを無視して一律に基準を決めるのはおかしいし、そもそも国がここまでやるのはお節介が過ぎると思っていたので、前に同番組の司会者の宮根誠司やスタッフたちと飲んだ時に、これを番組で取り上げることを提案、スタッフがリサーチの上、『間違いだらけの診断基準』の著書もある東海大学医学部の大櫛陽一教授をスタジオに招いてこの日の特集となった。

ちなみに、「情報ライブ・ミヤネ屋」は1年前から月〜金の15:55〜17:55という枠でやってきて、大阪各局の独自番組がひしめく“夕方ワイド大阪戦争”の中で、先行番組を脅かす大健闘を続けてきた。火曜日のレギュラー・コメンテーターは松尾貴史と私、他に近藤さと、吉村作治、原田隆史といった方々が入れ替わりで出演し、他の曜日もなかなか賑々しい陣容である。他方、東京日本TVと大阪読売TVの共同制作で毎日13:55〜15:50の枠で長年続いてきた草野仁の「THE ワイド」が9月一杯で終わることになり(それで有田芳生は政治家に転身するのかな?)、日本TVはその時間をドラマの再放送か何かで穴埋めするらしいが、読売TVは、「ミヤネ屋」を13:55に繰り上げ16:55まで3時間の、プロデューサーによれば「読売TV始まって以来」の大型独自番組に格上げすることを予定している。

●男性の半分は肥満症?

さて、メタボだが、第1に、男性85センチ、女性90センチという一律基準はこれでいいのか。これでいくと、男性は2人に1人、女性は5人に1人、つまり対象年齢層5700万人のうち1960万人がメタボという“病気”の患者と認定されることになる。男性の半分は病気だと!

ところが、国際糖尿病連合(IDF)は日本の基準に異を唱え、他のアジア諸国と同様、男性90センチ、女性80センチでよろしいと言っている。なぜこの違いが出てくるのか、そして何よりも日本基準では女性の値が男性のそれを上回るのに国際基準では逆なのか。初めて知ったのだが、日本と世界では測定方法が違う。日本ではヘソ周りで計るが、世界はいわゆるウェスト、つまり肋骨の下部と骨盤のトップの中間の胴のくびれの部分で計る。

なぜ日本はヘソ周りなのかと言えば、CTスキャンで測定する際に腹全体の内臓脂肪量を一番正確に計れるのがその位置だからなのだが、大櫛教授によれば、そのことと、その位置で外周を測って何センチ以上と決めることとは何の関係もない。むしろ、その位置だと、骨盤上部にメジャーが掛かるので、必然的に骨盤が大きい女性のほうが基準値が大きくなるし、また男女にかかわらず、骨盤が発達している人は内臓脂肪量が少なくてもメタボ容疑者と判定されてしまう。例えば私は、普段から骨盤周りのストレッチをしていて年齢の割に腰がしっかりしている方だから、ヘソ周り90センチ、ウェスト85センチで、日本基準ではアウト、国際基準ではセーフである。

●痩せていれば安心か?

結果的に、厚労省は過大な基準を設けて国民に「太りすぎに気を付けろ、痩せる努力をしろ」と脅し上げようとしている訳だが、そこで第2に、痩せていれば安心なのか。ノーだと大櫛教授は言う。肥満度の目安として、身長(メートル)の2乗で体重(キログラム)を割ったBMI(Body Mass Index=体重指標)はよく知られているが(それだけでは内臓肥満は分からないというのでメタボが騒がれ出したのだが)、日本では22が標準体重で、18以下が痩せ、25以上が肥満とされるが、米国では、18.5以下が痩せすぎ、それ以上から25を中心に30までが標準範囲、30〜35が標準以上(overweight)つまり小太り、35以上が肥満(obese)とされる。で、米国のデータでは、各年齢層に渡って、痩せすぎの人が最も死亡率が高く、肥満、標準がそれに次ぎ、小太りが一番死亡率が低い。つまり肥満の害よりも痩せすぎの害のほうが大きく、事実、イタリアやスペインでは、身長175センチ以上、体重55キロ以下のモデルはショーに出演できないなど、痩せすぎの健康被害に警鐘を鳴らす措置を採っている。が、日本では太りすぎにばかり警告を発して痩せすぎについてはほとんど言われることがない。そこへ持ってきて、このメタボ・キャンペーンでますます「痩せているほど健康」と誤解する人が増えかねない。

私の場合、身長170センチで5年ほど前には体重が78キロ近くにまで増えてBMIが27の肥満領域に突入、中性脂肪も「異常」と言われるほど高くなっていささか危機感を抱き、藤野武彦=九大名誉教授のBOOCS健康法(http://boocs.net/index1.html)の発想を取り入れて朝食を極度に軽くしてほとんど1日2食に近い食生活、日本酒ガブ飲みを止めて焼酎・ウィスキー主体の飲酒生活に切り替えて、わずか3カ月で苦もなく体重70キロ、BMI24の「標準領域だがやや小太り気味」まで落として、中性脂肪も標準値まで下がり、以後それをキープしているので、今度はむしろこれ以上痩せないよう注意している。

●騙されるな!

なぜ厚労省はこんなにも「痩せろ、痩せないと死ぬぞ」と国民を脅すのか。日本政策投資銀行の試算では、メタボ市場は2800億円規模で、実際、昨今は週刊誌の広告ばかりかタクシー広告でもメタボ・クリニックの宣伝が溢れている。製薬会社が儲かって、メタボ業界が育って、厚労省役人の天下り先が増えるということなのか。で、肝心の医療費は減るのか。大櫛先生の試算では、日本基準では肥満でない人(例えば私)までメタボ患者扱いにされることになるので、逆に医療費は4〜5兆円増えるという。確かに、この国の仕組みでは、メタボ指導となれば必ず、「あなたは中性脂肪が高く、HLDC(善玉コレステロール:この言い方も間違いなのだそうだ)が少ないから、この薬を飲みなさい」ということになるに決まっている。厚労省のやっていることは、年金も介護もメタボも、でたらめばっかりだ。騙されないようにしよう。■

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コメント (3)

メタボについては、専門の医師も厳しいといっている。
小太りの方が長生きするとの説もある。
お上のお墨付きで患者を増やし、薬を出しやすくするというのは勘繰り過ぎですかね。
頭の良い人が考える高等な戦略。政治献金も多いしね。
医療費は上がるでしょうね。

以前友達が普通の日本人より小腸と大腸が長いと医者に言われたそうです。
そのうちに腸の長さまで基準を設けるなんてことにならないでしょうね。
こうしたおせっかいが良いことだと判断されると、「プレタポルテ日本人」=企画製造日本政府・・・う~む
個人の自由と尊厳の行方は守られるのでしょうか?

興味深く読みました。「18.5〜25が標準、30〜35が標準以上」とあって,間の"25-30"が抜けているようです。

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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