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集団的自衛権の3次元

昨日のサンプロは小沢、加糖、谷垣、5党討論という盛り沢山。番組がはじまる前にひな壇に並んだときの加藤と小沢の対話。
小沢「家は保険に入ってたの?」
加藤「旧い家だから二束三文。中のものはお袋にとって大事なものがいろいろあったが、それが惜しい。お袋はちょうど散歩に出ていて、手にハンカチ1枚握っていて、それだけが残った財産だ。でも命を失わなかったのが何よりだよ」
小沢「しかし、そのお歳で散歩に行く元気があるのがたいしたもんだ」
加藤「女学校の時にテニスをやっていたくらいだから、元気なんだ」
小沢「お袋は故郷に置いて無理をさせておくくらいの方がいい。私は、楽隠居させてやろうと思って東京に呼び寄せたら、かえって急激に弱ってしまった」
加藤「今でも選挙になるとお袋は自分で何百本も電話を掛けているからね」
……と何だかしんみりとしたやりとりだった。

そのあと田原vs小沢。小沢は、たぶん安倍になって与しやすしと思っているのか、余裕を感じさせる語り口で、けっこう存在感があった。次は田原vs加藤。この老右翼の卑劣には田原さんも「飛んでもない」と声を荒げていたが、まったく、何なんだろうねこいつは。加藤の言論が気に入らなければ、加藤本人に面談を申し入れて堂々と論戦すればいいのであって、そこから跳んで加藤を殺そうというならまだしも、本人がいないと分かっている家屋敷に火を放ってお袋さんを殺そうかというのは一体どういう了見なのか。

私のところにもたまに右翼を名乗る視聴者の方から電話があって、「お前はけしからん。闇夜に気を付けろ」などと凄むので、「闇夜なんて言わないで、今からこちらに来ませんか。私がけしからん理由をちゃんと言って貰って議論しましょうよ」と言うと、「ふざけんな、この野郎」とか言って電話を切って、100%、来ない。右翼って、もっと正々堂々としているものだと思うけどね。

谷垣のお坊ちゃんぶりは直らないだろうな。同じことを言うにしても、言い方ひとつで迫力も出るのに、常に優等生的というか官僚風になってしまう。私が「首相になったら靖国に行かないと言明しているのは、それはそれで1つの姿勢だけれども、今や靖国問題は『行く』『行かない』という次元でではなく、A級戦犯合祀問題をどう解決するかの具体論を競うことが焦点になっている。私が政権を獲ったら在任中にこうする!と言わないと」と質問したのに対して、彼は「宗教の問題に政治が介入するような言動は、総裁選が事実上始まっているという政治過程の中では、避けるべきだというのが私の考えだ」と答えた。役人はいつもこういうしゃべり方をする。つまり、まず出来ない理由をさんざん並べ立ててから、「鋭意努力する」とか「前向きに検討する」とか「善処する」とか言う。政治家はそれではダメなんで、まず「私はこう思う」「こうしたい」と言って、「しかしそれにはこういう制約条件があるので簡単ではないが」と、前後の文脈関係を逆さまにしなければいけない。

5党討論では、憲法改正に絡んだ「集団的自衛権」解禁問題が論点の1つとなった。自民党の片山虎之助=参院幹事長は「もちろん無制限というわけではないが、集団的自衛権を行使できるよう改憲すべきだ」と言い、それに半ば同調しつつ田原総一朗が「解禁した上で、実際に行使するかどうかはその時々に判断すればいいのでは」と言うのに対して、社民党の福島瑞穂は「日本を戦争を出来る国にしようとしている」と金切り声を上げた。

私は発言を求めて次のような趣旨のことを言った。

「集団的自衛権の定義不明のまま議論しても意味がない。集団的自衛権の3次元ということがあって(あるのではなく実は私が言っているだけなのだが)、第1に、日本が侵略を受けて米軍が来援したという場合の集団的自衛権発動は誰も否定しない。それを否定したら日米安保条約が成り立たない。第2に、米国がどこか遠くで日本の国益とは関係のない戦争を勝手にやって、それでも日本が付き合わなければならないということはない。片山さんが無制限ではないというのはそういうことだろう。問題は第3に、その中間で、「周辺事態法」という曖昧極まりない法律を作ってしまったので、米軍が朝鮮半島や台湾海峡で戦闘している場合に日本が出ていくというのがどうなのかということで、そこに議論の焦点を絞らないと何が何だか分からなくなる」

第1の、日本防衛・米軍来援という場合に集団的自衛権が無条件で発動出来ないのでは、日米両軍は戦場で共同で作戦行動をとることが出来ないことになり、日米安保は全く意味がない。これについて、日本はすでに個別的自衛権を発動していて、それに対して米国が日米安保に基づく集団的自衛権を発動して来援するのだから、日本は別に集団的自衛権を発動していないという法匪的解説があるが、それでは例えば日本周辺海域で米艦艇が攻撃を受けて応戦中である場合に直近にいる日本艦艇がそれを助けて反撃に出ることが出来なくなる。内閣法制局がこれをも違憲として否定するのはおかしい。第2の、米国が中東やアフリカや中南米で自国の都合で戦争を引き起こしたりそれに巻き込まれたりした場合、あるいは米本国が侵略を受けた場合に、それに日本が自動的に参戦することはありえない。日本の国益のために、もしくは集団的自衛権を媒介として米国の国益のために、日本自衛隊が海外で武力活動を行うことは違憲である。ただし、日本や米国の国益のためでなく、国連や将来あり得べきアジア共同体のような超国益機関の決定という形をとるであろう国際社会の共同意思に従って、日本が海外で武力行使しあるいは平和維持活動に積極的に参加することは、違憲でも何でもない。この観点からすると、イラクへの自衛隊派遣は違憲である。

難しいのは「周辺事態」の場合で、これが集団的自衛権の発動対象となるとすると、米国が朝鮮半島もしくは台湾海峡での戦闘に介入した場合、最初は周辺事態法の想定通り日本はほぼ自動的に「後方支援のみ」という理屈で共同作戦を発動するが、敵から見れば後方と前線の区別などあるわけがなく「日本参戦」と映るから、当然日本軍も攻撃の対象となるし、また日米両軍の出撃基地がある日本本土もミサイル攻撃の目標となる。すると、先の北朝鮮ミサイル発射の時でさえ出てきたように、たちまち敵基地に反撃しろという世論が沸騰して敵本土のミサイル基地などを攻撃することになって、これは明らかに他国に対する武力行使であり違憲である。つまりこの第1と第2の中間の第3のケースは簡単に第2のケースに転化しうるわけで、周辺事態法にはその歯止めが用意されていない。これは「その都度判断すればいい」ということにはならない重大なポイントで、集団的自衛権の議論はそこに焦点を絞らないといけない。▲

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コメント (1)

第3は、第2に転化し得るのではなく、第3は元々第2の一部にすぎない。戦争の出来ない国なんてのはそもそも無い。在るのは、する国としない国である。日本はしない国であると、憲法によって宣言していただけである。「敵基地に反撃しろという世論が沸騰し(させさえ)すれば、敵本土のミサイル基地などを攻撃する」のは、憲法変更しない今でもやり得る(米国からの命令如何で)。サンプロのみならず、TVの茶番論議でいらつくのは、「定義不明のままの議論」である。「国益」と言う言葉が、飛び交うが、「国益」の定義がそもそも不明である。狂言劇9.11以降、イスラエルが空爆やらかした今日までの強攻は、アメリカの国益奪取に適うなのか?、ブッシュ、チェイニィ~らと周辺の輩の利益ではあろうが、末端米国民の利益では間違い無くない。「国益」を口にする輩は、私益を国益と言い換えて、大儀をほざく「へたれ右翼」と同類である。日本は、「戦争をしない国」として米国から独立することを、私は選択する。恵まれた家畜(植民地人)はいずれ屠殺される、自責で自滅する方がましである。茶番TV討論劇にあって、高野氏の真っ当な言論には、常々好感を持っております、願わくば、より肝を突いた言説をご披露頂きますようお願いします。

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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