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ポスト小泉は安倍ではマズイ?という小泉の戸惑い »

民主党代表選の茶番/小沢代表でサッサと再建に取り組め!

 解党寸前のドン底状態で、形ばかりの代表選なんぞやっている暇はないだろうに。誰が考えても、ここは、小沢代表・菅幹事長でスパッとまとめて挙党一致で出直す姿を見せることが、せめてもの潔さの演出であったはずなのに、ここでもまた前原の判断が狂っていて、「密室談合と言われるのはよくない。菅さんが出ないなら枝野を出す」と菅に出馬を迫ったので菅が出ざるを得なくなったという。昨夕の鳩山の呼びかけによる小沢・菅の1時間半の会談は、鳩山の思惑としては菅の方から「出ない」と言わせ、それを受けて小沢に「2人で一緒に党を建て直そう」と言わせて一本化を図るということだったが、そうはならなかった。会談の後、音羽の鳩山御殿で前々から予定されていたお花見の会に2時間近く遅れて到着した鳩山は私に、「ここまで来たら選挙をやらざるを得ないが、その後もいい形で協力し合っていくことになったので、よかった」と語っていた。

 話し合いで人事を決めるのが「密室談合」で、選挙なら公明正大だというのがそもそも子供じみている。古代ギリシャの古典的な直接民主主義では、選挙という方法そのものがなく、市民が全員参加して納得いくまで話し合って物事を決め、公務に関わる役目は抽選によって全員が回り持ちで受け持った。共同体の全員が集まり、あるいはもっと広域で部族長全員が集まって全会一致になるまで何日でも話し合うという形は、ユーラシアの遊牧民や北米の先住民の間では今日でも部分的に残っている立派な民主主義の伝統である。両院議員総会を開いて小沢と菅が「2人で建て直しをしていきたいので全員の了承をお願いしたい」と同意を取り付け、どちらが代表でどちらが幹事長かについては皆の意見を求め、決まらなければジャンケンでもすればいいのである。話し合い一本化はむしろ民主主義の基本なのだ。

 それを選挙にこだわったりするから、またもやワイドショーの格好の餌食になって、「民主党代表選も迷走!?渡部恒三氏生出演!!ドタバタの舞台裏に何が」(テレビ朝日)、「代表選混乱…小沢&菅氏共同出馬会見が二転三転で突然中止の裏側」(フジ)などと、すべてをドタバタ劇として揶揄するかの扱いが何日間も続いて、一層の不信を掻き立てた。新聞も、表現は少しは上品だが、本質は同じ。私が前から言っているように、新聞も含めた「ニュースのワイドショー化」が進んでいて、小泉首相はそれを上手に利用して生きながらえたが、民主党は偽メール事件以後、逆にまさにその「ニュースのワイドショー化」の罠にはまって愚劣な材料を提供し続けて自傷し、そこから脱するための代表選びでもまた同じことを繰り返した。バカとしか言いようがない。

 しかしまあここから小沢で建て直すしか道はない。小沢の、東北人的と言うのが適切かどうか分からないが、人間をシロカクロか、服従か離反かで決めつけてしまって、いろいろな能力や特性のある人たちの良い面を上手に引き出しながら全員を協力させていくよう組織化が出来ないという致命的な弱点は今更どうにもならないけれども、そしてそこを菅が補うと言っても菅にも小沢と似たところがあるのでなおさら不安が残るのだけれども、ただ一点、小沢には本当の改革、すなわち21世紀のあるべき日本へ向かっての国家改造プランを描く力がある。彼が自民党を離党する寸前の93年5月に書出した『日本改造計画』は、政治家の著作としては異例なことに80万部も売れて、今も残る「一度小沢に首相をやって貰いたい」という待望論の基礎となった。当時の優秀な官僚などを集めて、私の言い方で言うと明治以来100年に及ぶ官僚社会主義体制とその従属物でしかない自民党政治からの脱却の方途を全面的に展開したもので、私は部分的には意見の違うところがあるけれども、その構想力を高く評価する。

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 彼がタカ派だという誤った評価もあるが、日米安保条約に基づく集団的自衛権の発動による自衛隊の海外派遣には断固反対、国連ベースの集団安全保障体制下での国際平和創出・維持活動への自衛隊もしくは別組織の積極参加は断固賛成という枠組みは私も基本的に同意見だし、民主党内の横路グループや菅グループとも一致していて、前原の集団的自衛権部分解禁論とは違う。

 私は96年旧民主党の結成のためのそれこそ談合に1年半、首を突っ込んで、とりわけ新党参加者全員によって行われた同年7〜8月の集中的な政策論議ではまとめ役を果たし、結党宣言の案を執筆した。その時に最も重視したことの1つは、自民党は“超現実的”で、目先のことから少しずつ変えていくのが精一杯であるのに対して、新しく出来る民主党は(当時から見て20年後の)2015年までに発展途上国的中央集権国家を完全に卒業して5兆ドル成熟経済に相応しい日本型市民社会を創り上げるためのトータル・ビジョンを描いて、そこから手前に向かって逆算するように個々の政策を立て、1つ1つの改革がどこに向かうための段取りなのかを常に明示するようにすることだった。その宣言には宮沢賢治の科白を借りて「我々は未来から吹きつける颯爽たる一陣の風でありたい」という表現でそれを盛り込んだ。が、出来たばかりの民主党はそのビジョンを描くことが出来ず、それを支援するために私が頼まれて作ったミニ・シンクタンクも、安保論では田岡俊次、小川和久、前田哲男など、情報論では松岡正剛、金子郁容など、面白い人たちがたくさん協力してくれたが、それも1年ほどで立ち消えになり、そのうちに旧新進党系の人たちが合流して“再結成”となったため、最初の宣言もその精神もお蔵入りとなってしまった。以後、民主党の最大の欠陥、そして小泉のエセ改革と対抗しきれない最大の原因は、依然としてトータル・ビジョンを形成できないことにあると一貫して主張し、そういうと幹部の誰もが「そうだ、そうだ」とは言うものの誰もそれを手掛けようとはしない。そこで、3年前に小沢が旧自由党を引き連れて民主党に合流したのを機会に、彼を党首にして日本の本当の改革とは何かを国民に分かりやすく提示して政権を獲りに行って欲しいと期待し、一昨年菅が辞めたときも、昨年岡田が辞めたときも、「小沢で行くべきだ」と関係者に言い回ったが、そうはならなかった。ようやくそういう巡り合わせとなったのである。

 私はお花見の帰り際に鳩山とこういう会話を交わした。
「これで小沢・菅体制になって、9月はどうするの? もう一度代表選をやることにはならないでしょう?」
「これで安定してしまえばやらないことになると思う」
「いずれにしても、小沢さんは『日本改造計画』の新版を9月までに出版すべきだと思う。全体の枠組みはあのままで十分だから、その後10年間の変化を踏まえて、前に執筆に協力した官僚とか周りの知識人の知恵を集めて書き直せばいい」
「それはいい案だなあ」
「鳩山さん、これで無役になって自由の身になるのだから、このことを小沢さんと相談して、人集めや会合の設定、出版の段取りなどを担当したらいいですよ」
「そうだね。いやあ、いい案を頂いてありがとうございます」

 これがうまく行って100万部も売れるベストセラーになれば、民主党再生の武器となるだろう。そのタイミングは、自民党総裁選でまたワイドショーが狂態を演じる前でなければならない。▲

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コメント (3)

私も高野さんの提案に賛成する。マニフェストが一時流行ったけれどあんなものではなく、もっと骨太のバイブル、あるいはプロトコール(議定書)、さらに言えばコーランにも匹敵するような歴史に残るようなものにして欲しい。タイトルは自民党の"改革"路線をパロって「日本"改革"計画」とする。もゔ時間がない。代表が決まり次第、党内はもちろん、党外のブレーンを募って話し合いを進めまとめたらいい。
私はたった今、ブログを更新したのだが、そこでは自民党の小泉チルドレンを紹介する本「UBUDAS」をもじって「UMIDAS」というパロディを作った。
この際、小沢一郎監修のもとで「日本改革 UMIDAS」を出版しませんか?

民主党代表に小沢一郎氏
表舞台に出てこざるを得なくなった。

前原前代表が「若さ」を見せてあっけなく辞任したあとの代表選挙。

小沢一郎 119
菅 直人  72

ということで、民主党延べ8人目の代表(結党10年で!)に小沢一郎氏が決まった。

小沢氏といえば、自民党竹下派のホープとして47歳で幹事長となり、竹下派の分裂とその後の政界再編劇では主導的な役割を果たして、93年には細川政権樹立を果たした。94年には二大政党制確立を目指した新進党を結成したが、自身が党首になったにもかかわらずわずか3年にして瓦解。その後は側近を引き連れて自由党を結成し、小渕内閣に参加。しかしこれもやがて離脱することとなり、自由党も分裂。数の力が失われた末、民主党に合流していた。

思えば近年の政治権力の交代や党派の分裂には必ず小沢氏がいた。その政治手法には反発する向きが強い。しかし、彼に期待する保守層が常に存在し続けているのも事実である。

野党第一党の党首を務めるのは2度目。年齢的にも今回が首相を狙うとしたら最後のチャンスだろう。あの田中真紀子・元外相や、旧社会党系の勢力の支持もとりつけたらしい。

まずは人事で「挙党一致」を演出できるかどうか。そのあと、自民党との違いを明確にできるかどうか。それが叶わなければ9月でまた終わってしまうだろうが、さすがに今回は何とかまとまろう、とするだろう。

9月に小泉首相が予定通り退任するとすれば、ポスト小泉は小沢氏との対決、をすることになる。小沢氏の現在の状況がどうあれ、一度は政権から蹴落とされた相手。容易な相手ではない、という雰囲気が自民党内には出てくるだろう。そのことは、ポスト小泉が誰になるか、にも微妙な影響を与えることになろう。
既に前原辞任は安倍氏に不利、という観測も出ている。

私としては、小沢氏が『日本改造計画』を著した頃とは時代状況もだいぶ変化しているので、現在の彼の政策がどうなのか、とりあえず様子を見てみたい。しかし現実には、民主党の政権奪取があるとしたら政界再編を伴うことなしにはなさそうだ。その点に注目し、期待したい。

自民・小泉型アメリカ傀儡政権では「和の国」日本は失われていきます。私たちの歴史の上に積み重ねられたDNAのような文化を自覚し、かけがえのない資産として大切にしていかなければなりません。そのために現時点での小沢氏登場ということで、私は懲りずに民主党に期待します。
小沢氏がメディアのおかしなノリやフリにスポイルされることなく、今までの自分のしてきたことの意義をしっかりとかみ締め、自信を持って堂々とした運営をしてくれればと思っています。失礼なメディアの人間や小泉氏の失礼な発言などに対しては叱り飛ばすぐらいで良いのではないですか。
小沢氏は変人と自認しているおかしな総理大臣との違いを、メディアの対応力のなさと卑下することなく、(そうすると自民の思うツボ)存在(表情が大事!)と言葉であらわして欲しいと思います。小沢氏がへんに作り笑いなどせずに誠意を持って政策を語り、横に並べばそれだけでいいのです。それだけで小泉氏の幼稚で軽い冷めた人間性が国民には伝わると思いますが。
それから、党内の松下政経塾の人々は国会議員という前に社会人としてもチンプンカンプンなので、社会経験を積ませるためにどこかに丁稚奉公に出したほうが良いですね。
高野さんも今まで以上に民主党にコミットして頑張ってください。私はもうこれ以上小泉、武部、安倍氏の顔をテレビで見たくありません。

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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