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« 米国の対日牛肉輸出問題がこじれる訳は?
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東京の「空」を返せ!

 昨日のサンプロでは、大詰めを迎えている普天間海兵隊航空基地の名護移転問題がテーマの1つだった。ジュゴンのいる珊瑚礁の海をブッ潰す旧来案から、キャンプ・シュワブの海岸線に密着した沿岸案になったのはまだマシとして、それでも飛行ルートが住宅地の上空を通るというので、それを10度ほど海側に傾けて住宅地を避けたらどうか、といったところで最終調整が進んでいて、それについて出演した専門家たちの議論があった。私は、交渉事としてそういうところに煮詰まっていくのはそれで仕方がないとして、そもそも、何で米海兵隊が沖縄にいなければならないのか、7000人だか8000人だかの海兵隊がグァムに移るというならなぜ全部がグァムに移らないのか、米軍も日本政府も日本の納税者が納得できるように説明責任を果たす必要がある、という趣旨のことを発言した。

 名護に限らず、座間への陸軍第1軍団司令部進駐、岩国への米艦載機移転、東京横田空軍基地の「横田ラプコン」一部返還などを含め、在日米軍再編問題が全体として解せないのは、冷戦が終わったというのになぜ在日米軍はそれまでの配置を基本的に維持しているばかりか、部分的にはそれを強化さえしようとしているのかということについて、その経費を負担させれらている国民にも、事故の危険や騒音やレイプ事件などの被害が甚だしい現地住民にも、きちんとした説明がなされていないことである。出演者の1人である石波茂=前防衛庁長官は、そんなことは当たり前だという調子で、在沖縄の米海兵隊が「抑止力」だと言ったが、誰に対するどういう抑止力なのか。

 在日米軍がいるから中国や北朝鮮が日本を攻撃しにくい? 中国や北朝鮮が何で日本を軍事攻撃するんですか。彼らは日本と友好関係を保って経済・技術協力を得た方がいいに決まっていて、日本を攻撃して占領したとして、こんな高度成熟社会をマネージ出来るわけがないし、そもそも日本を占領できるだけの渡洋戦力を持っていない。話は逆さまで、在日米軍がいるから日本が攻撃されるのである。台湾海峡や朝鮮半島が有事になって米軍が介入する、日本も「周辺事態法」というアホな法律を作ってしまったのその後方支援に出撃する。となれば、中国や北朝鮮としては、米軍及び自衛隊の出撃基地をミサイルで攻撃するのは当然で、それ以外に中国や北朝鮮が日本を攻撃する合理的な理由はありえない。

 つまり、在日米軍がいるから日本は攻撃を受けにくいのか、在日米軍がいるから攻撃を受けやすいのか、というのは自明の事柄ではなくて、その両面を国民がどう判断して、どこまでの基地負担を受容しようかという問題なのである。

 それにしても、日本国民は日米安保下の現実をあまりにも知らないか、知っていてもそのことに鈍感である。この図を見ていただきたい。

 これは私が東北旅行中にたまたま手にした12日付『河北新報』に載ったもので、共同通信配信であるかと思われるが、無断で搭載する。驚くべきことに、米軍は東京のみならず栃木、群馬、埼玉、神奈川、山梨、新潟、長野、静岡の一部を含む1都6県に及ぶ広大な空域を「横田ラプコン(Rader Approach Control=レーダー管制空域)」として占領し続けている。高度は、7000メートルから6100、5500、4900、4000、3700メートルまで段階になっていて、羽田や成田と西日本各地と結ぶ航空便は、往きは離陸後に急上昇してこの巨大な箱の上を飛び、復りは南に迂回して大島、房総半島上空から進入しなければならない。この急上昇や遠回りの影響を受ける羽田・成田の発着便は、最近初めて国交省が試算したところ、1日約470便に達し,09年から両空港の拡張に伴って便数が増えると約650便が影響を受けることになる。

 羽田発で西に向かう便は、急上昇のため飛行時間が3分余計にかかり、羽田着の便は遠回りのため約9分余計にかかり、ソウルや北京から成田着の便も遠回りで約7分余計にかかる。仮に東京都西部から伊豆半島にかけての現在5500〜3700メートルの空域を3000メートルまで返還させただけでも、年間約80億円の燃料節減となり、09年以降では約109億円となる。また単にお金の問題だけでなく、異常接近の危険も大幅に低減する。逆に言えば、我々は世界一高い国内航空運賃と超過密空域の慢性的な事故の危険性という大きな負担を払い、さらに横田米空軍基地そのものの維持・運営費を“思いやり予算”として税金から支出して、これを支えているのだが、それによってどういう“安全保障”を得ているのか。もちろん基地の機能は単体で評価することは出来ないが、横田は主として第374空輸航空団が運用する極東最大の軍事輸送のハブ空港であり、平時でも年間2万便の輸送機が離発着する。このようなものを独立国の首都に置いて広大な空域を外国軍に占有させておくことが合理的なのかどうかは、正面切って議論されなければならない。

 これまでも日本政府は、最初は全部が7000メートルだった横田ラプコンを、南側については少しずつ返還を求め、その結果、上述のように3700メートルまでの階段状になってきた経緯がある。日米安全保障協議委員会が昨年10月にまとめた在日米軍再編に関する中間報告では「横田空域における民間機の航行を円滑化するための措置を探求する」「米軍の管制空域の削減や横田基地への日本の管制官の併置を検討する」などとしており、さらに3月末をめどにまとめる最終報告では、もう一歩踏み込んで同空域の「航空管制業務の全面返還実現に向けて協議する」との内容を盛り込む方針である。しかし他方では、府中の航空自衛隊司令部をここに統合し、MD配備を含む日米共同作戦センターを設置するという計画があって、むしろ横田は、一部の空域を民間開放する替わりに日米両軍の統合の拠点として基地機能が強化されようとしている。

 米軍が航空管制するラプコンは、沖縄、岩国の上空にも存在する。沖縄の嘉手納ラプコンは沖縄本島をほぼスッポリ覆う巨大なもので、そのため那覇に離発着する民間機は米軍の誘導を受けて海面すれすれの低空で飛ばなければならない。が、嘉手納ラプコンは2007年に返還されることが決まっている。しかし横田についてはまだで、日本は首都圏の空を外国に売り渡してそれを主権侵害だと思わない世界唯一の呑気な国であり続けることになる。▲

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コメント (11)

このコラムを読むと
日本人として恥ずかしくなってきます。
あのWBCで盛り上がった ナショナリズムは何だったんでしょうね。
国民は もっと この様な問題をきっちと見るべきです。
また 高野さんはじめ サンプロでももっと取り上げていただき
国民問題にしていただきたいです。

在日米軍改め 進駐軍とすべきですね。

日本再考!

 高野さんのご指摘はもっともだと思います。戦後60年余り、そろそろ独立国としての主権の問題を議論しても良い時期ではないでしょうか。私はこの国にたまたま生を受けたというわけですが、それでも何らかの縁あってのことと考え、真剣にこの国の過去・現在・未来を思っています。
 率直なところ、日本は独立した国なのでしょうか。独立国の定義はともかく、指摘されている米軍の問題を始め、牛肉問題やイラクへの自衛隊派遣、金融、経済等、客観的にありのままの現状を見ると、全てアメリカの思惑に沿って決定し行動しています。このような国は到底独立国とは呼べないのではないでしょうか。
 日本は首都圏の空を外国に売り渡してそれを主権侵害だと思わない世界唯一の呑気な国、との高野さんの言葉は、裏を返せば、無条件降伏後、まだなおアメリカの占領下にあるということに他ならないのではないでしょうか。「アメリカの膝の上に抱きかかえられた天皇制をいただく日本国民」という構図は、一体、いつまで続くのだろうと思わずにはいられません。
 まずは過去から現在に至るまでの現状を認識し、認識することによって、国民を巻き込む形で未来のあり方を議論できるように、地上波メディアでもしっかりと取り上げて欲しいと思います。結果はどうであれ、国民が現状を認識し、判断することが大切だと思います。
 自分たちの国をどうするのか、このことを考えるときに、米軍の再編問題は重要なメルクマールのはずですが、そのような報道があまりなされないことは、なぜなのでしょうか。

くだらない 質問ですが、
石波茂=前防衛庁長官は なぜ まばたきしないのですか?
見てて怖いです。
戦争好きに思えて仕方がありません。
彼の 防衛感は どんなでしょうか?

まるで東京上空は鳥かごですね。喉元に匕首をつきつけられているようにも見えます。つまり米国の仮想敵国は中国でも北朝鮮でもなく、戦前から一貫して日本だと言うことなんでしょうか?首都圏の上空を完全占領されていながら独立国家と思っているのはお笑いぐさに思えてきます。新米反米とか言う前にこの鳥かごからどうすれば出られるのか考えたほうが良いようなきがします。

ポルコさんへ

  だから いまだ日本には進駐軍が居るのですよ。

真の独立を目指しましょう

日本文化も復活させましょう。

こもんず コラムの人たち読んでると アメリカという国は ひどいもんと思います。
なぜ こんな 大事な事をメディアは取り上げないのでしょうか?

 メディアではこのことについてはガス抜き程度の伝え方しかしないですよね。米軍再編問題は最も大きなものなのに、地上波メディアでは、むしろライブドア問題やメール問題、スギムラタイゾウ氏の結婚報道を流すことで、国民の関心から遠ざけてしまっていますからね。現在のメディアは政治権力に対し無力だからです。 
 タッチさんはアメリカはひどい国との感想を寄せられていますが、必ずしもそういうことではないと私は思います。どこの国でも戦争が起こって、勝った国、負けた国が生まれれば、ある程度、その結果にしたがった状況が生まれるわけです。私たちは60年前にアメリカと戦争をして敗れ、無条件降伏し、そのアメリカは今や世界唯一の超大国なのですから、残念ですけど、この状態は「ありうること」の一つの状態のかもしれないなと私は思います。つまり、戦争をするということは、極めて重大な決定であり、勝敗にかかわらず、何十年後、何百年後のそれぞれの国民に影響を残してしまうものだと思います。(時の権力者は常に素晴らしき叡智と適切な判断力、未来への予測力を求められているわけです)
 
 ですので、本質は自らの問題で、大切なのはこれからだと私は思います。60年という歳月が長いか短いかは分かりませんが、そろそろ自分たちの国のことは自らで決し、自立しなければダメですよね。このままだと、どんどんはしごをはずされて、自分たちでは何もできなくなってしまいますから。私が心配なのは、もうすでにそうなっているような気がするところです。
 政治家にも、官僚にも、メディアにも、無意識の、もしくは刷り込まれた「あきらめ感」のようなものが漂っているのを感じているのは、私だけでしょうか。

有難うございます。

まさに みんなの中に 諦め感があるのでしょうね。

だから 政治にも無関心になっているし だから 国際問題にも無関心で アメリカの横暴を許している気がします。

ただ 昔からのことわざで
奢る平家は久しからず の言葉があるように アメリカもこのままのはずがありません。

ただ 僕たちが生きている間に
それを見る事が出来るか否かは分かりませんけどね。

アポロンさん貴重な意見有難うございました。

最近左翼のバックラッシュってすごいんですね。

中国が日本を攻撃する理由なんて、冷静に考えればありまくりなんですけどね。

今回のバックラッシュは左翼をしてそこまで思考停止せしめる意味で非常に興味深い。

国家に友人無しですよ、高野先生。

あの国はこう思っている筈だからそんなことはある訳ないという思考は9.17以前の拉致否定論者と同じです。先生は拉致懐疑派でしたよね(笑

核保有国が相手の都市を攻撃する理由が無いなんてことは冷戦期の核戦略をちょっと調べてみれば単なる幻想であることが直ぐに分かります。現在でも米露中英仏の核ミサイルは互いの都市を狙っているでしょう。特に中国の弾道弾は基地をピンポイントで狙えるだけの誘導精度を持たないでしょう。日本を狙っていると言われるDF-3 (東風-3)はCEP(半数必中界)1,000から3,000mと言われる代物ですんで、横須賀のコマンドケープに直撃は無理でしょうし、液体燃料ですから何発まともに飛ぶか分かりません。

日本が米軍によって事実上占領されていることは、見方によっては日米はお互い最大の軍事的脅威から開放されていることを意味します。米国が対日軍備を持たざるをえなくなったら、米国経済は破綻でしょう。それは日本にとっても同様です。日本から米軍が去るのは米国が単なるローカルパワーに落ちぶれた時でしょうね。

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Profile

高野 孟(たかの・はじめ)

-----<経歴>-----

1944年東京生まれ。
1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。
通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。
同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。
80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任し現在に至る。
94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊したほか、PC-VAN・NIFTY-Serve・MSN、富士通ブロードキャストその他電子メディアのコンテンツ創造、講談社・小学館・集英社その他出版社のウェブサイト開設、『インサイダー』のメルマガ化、などを次々に手掛け、インターネット・ジャーナリズムの先駆的開拓者と呼ばれた。
現在、それらの経験を活かして、独立系メディアの総合サイト《THE JOURNAL》に取り組んでいる。
2002年に早稲田大学客員教授に就任、「大隈塾」の授業「21世紀日本の構想」、ゼミ「インテリジェンスの技法」、社会人ゼミ「ネクスト・リーダーズ・プログラム」を担当している。

-----<出演>-----

『サンデープロジェクト』
(TV朝日系、日曜10:00~)

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日系、最終金曜25時頃~)

『たけしのTVタックル』
(TV朝日系、月曜日21:00~)

『情報ライブ ミヤネ屋』
(読売TV系、月~金曜21時~)

BookMarks

東京万華鏡:TOKYO KALEIDO SCOOP
http://www.smn.co.jp/

INSIDER:インサイダー
http://www.smn.co.jp/insider/

大阪高野塾
http://www.osaka-takano.com/

-----<著書>-----


『滅びゆくアメリカ帝国』
2006年9月、にんげん出版


『ニュースがすぐにわかる世界地図(2006年版)』
2005年、ポスト・サピオムック


『最新・世界地図の読み方』
1999年、講談社現代新書

『情報世界地図 98』
1997年、国際地学協会

『地球市民革命』
1993年、学研

『21世紀への世界時計』
1991年、集英社

『入門世界地図の読み方』
1982年、日本実業出版社

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