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2009年4月25日

和歌山毒物カレー事件 死刑判決に異議あり

 1998年に4人が死亡した和歌山市の毒物カレー事件の裁判で殺人罪などに問われ、1、2審で死刑判決を受けた林真須美被告の上告審判決が21日、最高裁第3小法廷で行われた。林被告は無実を訴え続けてきたが、那須弘平裁判長は「まったく反省していない」と一蹴し、上告を棄却した。同小法廷の判断により、林被告の死刑が確定した。

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 林真須美被告は最後まで容疑を否認し続け、彼女がなぜ夏祭りのカレーにヒ素を入れたのかという動機は最後まで解明されないまま、裁判は終結した。また、ヒ素の科学鑑定の結果を含む状況証拠は約1700点にものぼったが、彼女が真犯人であることを示す確たる証拠は一つもなかった。

 批判を承知であえて言えば、本人が容疑を否認し、確たる証拠はない。そして動機もない。このような状況で死刑判決が確定してよいのだろうか。

 私は、1審、2審が死刑判決を下したときも、裁判所はその動機を解明する役割があると考えていた。高裁までで動機の解明ができなかったのなら、最高裁は高裁へ判決を差し戻し、動機を解明する努力をすべきだった。

 ここで気になるのが、5月からはじまる裁判員制度との関係だ。そもそも裁判員制度が導入された理由は、検察・警察・裁判所がなれあっているのではないかという批判があったからだが、そこで民間人が裁判に参加することになった。だが、民間人が裁判員になった場合、仕事や日々の生活があるので何十回も裁判に参加することはできない。そのため、判決までのスピードが早まるだろうと指摘されている。

 たしかに、和歌山毒物カレー事件では裁判に時間がかかった。逮捕から1審判決まで3年以上かかり、計95回もの公判が開かれている。裁判で生活しているわけではない民間人からすれば、これでは生活ができなくなってしまう可能性がある。

 今回、動機不明・状況証拠のみで上告棄却されたことも、そこに理由があるのではないか。つまり、裁判長は裁判員制度を視野に入れ、裁判を迅速化したいという狙いがあったと私は考えている。だが、動機不明の死刑判決が下されたまま裁判員制度がはじまれば、「動機なんて解明しなくてもいい、スピードアップが大事なんだ」ということになりはしないか。最悪の場合、裁判を短くするために事件のある一点だけに審理を絞り、全容解明を行わなくなるのではないか。これは危険なことである。極端に言えば、「犯人さえ決まればいい」ということになりかねない。

 和歌山毒物カレー事件はあまりにもセンセーショナルな事件であったため、このような問題点を指摘する人はあまりいなかった。だが、私はあえて問題提起したい。この判決は問題ありだ。

構成:《THE JOURNAL》運営事務局

2009年4月 4日

検察の言いなりになるメディア

 今回の小沢問題で、はからずもメディアはその欠陥を露呈した。

 たとえば、3月3日に小沢さんの公設秘書である大久保隆規氏が逮捕されたが、その日の夕刊から大久保氏に関する情報がどんどん流れた。そのほとんどは検察のリーク情報であり、事件発覚当初から、新聞やテレビは検察からのリーク情報にのせられて報道していた。

 ところが、ある時期から検察が情報の出し方にブレーキをかけるようになった。しかも、メディアに「書くな」という圧力をかけ、メディアもそれに従うようになった。

 なかでも典型的なのは、民主党の小沢代表の元秘書である石川知裕衆院議員(民主)が事情聴取を受けたときだ。新聞は、石川氏が事情聴取を受ける前から彼を犯人扱いしていた。ところが、その次に同じく小沢氏の元秘書である高橋嘉信元衆院議員(現在は小沢氏と仲違いし、岩手4区で自民候補として出馬予定)が事情聴取を受けたとき、メディアは何も報じなかった。事情聴取を受けた後、少し書いただけだ。石川氏と高橋氏は元秘書という同じ立場にあるにもかかわらず、である。

 では、なぜ新聞やメディアは報じなかったのか。私は、そのことについて報道関係者に「なぜ書かないのか」と問うた。すると、「圧力がかかったからだ」と言う。私が重ねて「そんなことで検察の言うことをきくのか」とたずねると、「きく」という。なぜなら、検察の言うことをきかなければ、記者は一切情報がもらえない。だから書かない。つまり、新聞やテレビは検察に「書け」と言われれば書き、「書くな」と言われれば書かないのだ。

 少し前までなら、検察のリーク情報でも自ら裏取り取材をしてから報じていたと思う。ところが、現在では裏取りのない情報がそのまま新聞やテレビで報じられている。今回の事件では検察の劣化が指摘されたが、メディアの劣化もすすんでいることは間違いない。

(構成:THE JOURNAL運営事務局)

Profile

田原総一朗(たはら・そういちろう)

-----<経歴>-----

1934年、滋賀県彦根市生まれ。
早稲田大学文学部卒。
岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。
テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。
2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

-----<出演>-----

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日、毎月最終金曜25時?)

『サンデープロジェクト』
(TV朝日、毎週日曜10時?)

BookMarks

田原総一朗 公式サイト
http://www.taharasoichiro.com/

田原総一朗のタブーに挑戦!(JFNラジオ番組)
http://www.jfn.co.jp/tahara/

株式会社アスコム
http://www.ascom-inc.jp/

朝まで生テレビ!
http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/

サンデープロジェクト
http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/

早稲田大学 大隈塾
http://www.waseda.jp/open/attention/ookuma/ookuma_curriculum_2005.html

早稲田大学 大隈塾ネクスト・リーダー・プログラム
http://www.waseda.jp/extension/okumajuku/index.html

-----<著書>-----


『市場浄化』
2006年10月、講談社


『テレビと権力』
2006年4月、講談社


『オフレコ!Vol.2』
2006年3月、アスコム


『国家と外交』
2005年11月、講談社、田中均共著


『日本の外交と経済』
2005年9月、ダイヤモンド社


『日本の戦後(上)』
2003年9月、講談社


『日本の戦後(下)』
2005年7月、講談社


『田原総一朗自選集 1?5巻』
2005年7?10月、アスコム

『オフレコ!Vol.1』
2005年7月、アスコム、季刊

『日本の戦争』
2004年12月、小学館文庫

『日本の政治?田中角栄・角栄以後』
2002年10月、講談社

『日本の生き方』
2004年11月、PHP研究所

『日本政治の表と裏がわかる本』
2003年5月、幻冬舎文庫

『連合赤軍とオウム?わが心のアルカイダ』
2004年9月、集英社

『「小泉の日本」を読む』
2005年2月、朝日新聞社

『面白い奴ほど仕事人間』
2000月12月、青春出版社

『日本のからくり21』
朝日新聞社

『愛国心』
2003年6月、講談社、共著

『わたしたちの愛』
2003年1月、講談社

『日本よ! 日本人よ!』
2002年11月、小学館

『田原総一朗の早大講義録(1)』
2003年9月、アスコム

『田原総一朗の早大講義録(2)』
2004年3月、アスコム

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(上)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(下)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『頭のない鯨?平成政治劇の真実』
2000年2月、朝日新聞社

『田原総一朗の闘うテレビ論』
1997年3月、文芸春秋

『メディア・ウォーズ』
1993年3月、講談社

『平成・日本の官僚』
1990年3月、文藝春秋

『警察官僚の時代』
1986年5月、講談社

『マイコン・ウォーズ』
1984年12月、文芸春秋

『原子力戦争』
1981年11月、講談社

-----<連載>-----

週刊朝日「田原総一朗のギロン堂」

SAPIO「大日本帝国下の民主主義」

プレジデント「権力の正体」

-----<映画>-----

『あらかじめ失われた恋人たちよ』
1971年、監督

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