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2009年1月28日

就任演説から読み解くオバマの“Change”

 過去の米大統領とオバマ大統領の就任演説を比べたとき、最も内容が似ているのはケネディでしょう。ケネディは就任演説で「米国民諸君、国があなたたちのために何ができるかではなく、あなたたちが国のために何ができるかを問いかけよ」という歴史に残る名文句を残しました。ところが、オバマはそういった名文句は最後まで一言もなかった。これは、選挙中はアメリカ国民へのアピールのためのパフォーマンスが必要でしたが、大統領は会社でいう経営者ですから、アピールよりも「私はこうする」という、理念よりも現実を重視したからでしょう。

 そのほか、オバマの演説で気になったのは、「歴史」と「先人」という言葉を繰り返すことで、アメリカの歴史を何度も何度も強調したことです。アメリカとは、「多くはその苦労が世に知られていない人たち」によって歴史がつくられたともオバマは語りました。独立戦争、第二次世界大戦、ベトナム戦争まであげてアメリカの歴史を語っています。

 なぜ、オバマは歴史を強調するのか。彼は44代目の大統領にしてはじめてのアフリカ系大統領ですが、彼が大統領になれたのはアメリカの突然変異ではなく、約230年の歴史のなかで必然的に誕生したものであり、当然の結果であることを言いたかったのでしょう。

 ところが、これは作家の佐藤優さんに教えられたのですが、就任演説の最後の部分に「首都は見捨てられ、敵が進軍してきたた。雪は血に染まった」と、非常に感情的な言葉を発しています。
 
 「敵」とはイギリスのこと。アメリカとイギリスは兄弟のような国ですが、そのイギリスに向かって「敵」という言葉を使った大統領は、おそらく過去にいません。

 なぜ、オバマはあえてイギリスに対して「敵」という言葉を使ったのか。佐藤さんの指摘では、これまでのアメリカは、メイフラワー号に乗ってきたピューリタンの人たちがアメリカのルーツであり、いわば白人(WASP)が中心になって国を造ってきた。これが自他共に認めるアメリカ常識でした。

 しかし、オバマはイギリスをあえて「敵」と呼ぶことで、これからのアメリカは白人も黒人も少数民族も民主党も共和党もみんなが一丸となって United States of America を造ることを強調したかったのだと思う。Changeとはまさしくこのことです。その意味では、野心にあふれた意欲満々の演説で、そこがとても印象的でした。

(文責:THE JOURNAL運営事務局)

Profile

田原総一朗(たはら・そういちろう)

-----<経歴>-----

1934年、滋賀県彦根市生まれ。
早稲田大学文学部卒。
岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。
テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。
2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

-----<出演>-----

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日、毎月最終金曜25時?)

『サンデープロジェクト』
(TV朝日、毎週日曜10時?)

BookMarks

田原総一朗 公式サイト
http://www.taharasoichiro.com/

田原総一朗のタブーに挑戦!(JFNラジオ番組)
http://www.jfn.co.jp/tahara/

株式会社アスコム
http://www.ascom-inc.jp/

朝まで生テレビ!
http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/

サンデープロジェクト
http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/

早稲田大学 大隈塾
http://www.waseda.jp/open/attention/ookuma/ookuma_curriculum_2005.html

早稲田大学 大隈塾ネクスト・リーダー・プログラム
http://www.waseda.jp/extension/okumajuku/index.html

-----<著書>-----


『市場浄化』
2006年10月、講談社


『テレビと権力』
2006年4月、講談社


『オフレコ!Vol.2』
2006年3月、アスコム


『国家と外交』
2005年11月、講談社、田中均共著


『日本の外交と経済』
2005年9月、ダイヤモンド社


『日本の戦後(上)』
2003年9月、講談社


『日本の戦後(下)』
2005年7月、講談社


『田原総一朗自選集 1?5巻』
2005年7?10月、アスコム

『オフレコ!Vol.1』
2005年7月、アスコム、季刊

『日本の戦争』
2004年12月、小学館文庫

『日本の政治?田中角栄・角栄以後』
2002年10月、講談社

『日本の生き方』
2004年11月、PHP研究所

『日本政治の表と裏がわかる本』
2003年5月、幻冬舎文庫

『連合赤軍とオウム?わが心のアルカイダ』
2004年9月、集英社

『「小泉の日本」を読む』
2005年2月、朝日新聞社

『面白い奴ほど仕事人間』
2000月12月、青春出版社

『日本のからくり21』
朝日新聞社

『愛国心』
2003年6月、講談社、共著

『わたしたちの愛』
2003年1月、講談社

『日本よ! 日本人よ!』
2002年11月、小学館

『田原総一朗の早大講義録(1)』
2003年9月、アスコム

『田原総一朗の早大講義録(2)』
2004年3月、アスコム

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(上)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(下)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『頭のない鯨?平成政治劇の真実』
2000年2月、朝日新聞社

『田原総一朗の闘うテレビ論』
1997年3月、文芸春秋

『メディア・ウォーズ』
1993年3月、講談社

『平成・日本の官僚』
1990年3月、文藝春秋

『警察官僚の時代』
1986年5月、講談社

『マイコン・ウォーズ』
1984年12月、文芸春秋

『原子力戦争』
1981年11月、講談社

-----<連載>-----

週刊朝日「田原総一朗のギロン堂」

SAPIO「大日本帝国下の民主主義」

プレジデント「権力の正体」

-----<映画>-----

『あらかじめ失われた恋人たちよ』
1971年、監督

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