自動車産業沈没
そもそも派遣社員は特別な技術がある人だけに許されていた。ところが、バブルがはじけ、不況になったことから小泉内閣のときにほとんどの業種で派遣社員が働けるよう法改正された。
これが問題だった。当時はたしかに不景気で企業が倒産する可能性があり、給料の高い正社員をリストラして派遣社員を増やしたのはやむをえなかった部分もある。
ただ、景気がよくなれば、企業は派遣社員を正社員化しなければならない。企業側に正社員と派遣社員の両方が存在していることは不健全であり、そういう意識を経営者が持たなければならなかった。
ところが、不況のときに派遣社員を多く雇い、多くの経営者がこの状態が当たり前だと思った。ここが間違っている。健全な状態とは、景気がよくなれば派遣社員を正社員にすることで、経営者自身がこういった意識を持たなければならなかった。この問題は、経営者の理念の問題でもある。
また、テレビの報道にも疑問点がある。テレビは派遣労働者の解雇問題をさかんに報道しているが、実は派遣労働の実態がもっともひどいのはテレビ局だ。
東京のキーステーションだと3500~4000人ほどが働いているが、その中で正社員は1200~1300人ほど。もちろん、正社員の給料は高い。これほど派遣労働者を使っている会社は他にないのではないか。メディアはちゃんと自分の足元をちゃんと見るべきだ。