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ビジネスと「突破力」

一時は時代の英雄として注目を集めた堀江貴文ライブドア元社長が、7月に東京高裁で一審と同じ懲役2年6ヶ月の実刑判決を言い渡された。

堀江氏については人によっていろいろな評価があると思う。「金で買えないものはない」と公言し、公の場でもネクタイを締めない。独特の社会を挑発するかのような言動や行動はつねに論議の的となり、数年前まではテレビや雑誌は彼の話題で持ちきりだった。

ただ、批判はいろいろあるにしても、彼が持つ「突破力」は素晴らしいものだと私は今でも思っている。

目の前にある障害や難題を克服する能力は、ビジネスのみならず、何事かを成し遂げようとする人間にとって必要不可欠なものだ。堀江氏はプロ野球という旧体制の象徴のようなところに果敢に突っ込み、世論の後押しを受けてプロ野球を牛耳るオーナー達と対決した。最終的にはライブドアがプロ野球に参入することはできなかったが、彼の行動がきっかけとなって楽天の三木谷浩史氏やソフトバンクの孫正義氏がプロ野球に参入することができた。この突破力は常人にはなかなか真似できるものではない。

しかし、今ではライブドア事件について、または堀江氏が与えた影響について評論する人間は少なくなった。逮捕後、マスコミは連日のように、堀江氏をあたかも“悪の権化”であるかのように彼の欠点や犯意を感情的に報道し、断罪した。堀江氏の栄光と挫折をまざまざとテレビの前で見せられたことで、いまや若い人で“第二の堀江”を目指す人間は出にくくなったのではないだろうか。私自身の勝手な感想では、この事件以後、若者に元気がなくなったような気がする。

堀江氏には何度も会ったことがあるが、実に面白い男だ。この国では、有名な大学を出て大きな企業に入ることが人生の成功と考えられている。だが、よく知られているように、彼は東大在学中にホームページ制作請負会社を設立し、それが後に近鉄バッファローズやテレビ局に買収を仕掛けるような会社にまで急成長させた。

ところが、彼のように目立つ人間は日本では煙たがれる。これがアメリカであれば、マイクロソフト社のビル・ゲイツやグーグル社のセルゲイ・ブリンのように、批判されることはあっても、ベンチャーで成功した人間として尊敬され、若者にとって憧れる対象となったであろう。だが、財界の年寄り達は、彼のような人間をあらゆる手段で潰しにかかる。彼は証券取引法違反というつまらない事件で、しかも検察による“国策捜査”の疑いが残ったまま実刑判決を受けた。最高裁の判決はまだ残っているものの、この出来事が日本社会に残した傷跡は深い。

ただ、その一方で新しい若者も出てきている。今年の夏、私にとって“第二の堀江”と思えるほどの突破力を持つベンチャー企業の女性社長に出会った。彼女の名前は山口絵理子さん。まだ27歳である。彼女は東京で『マザーハウス』という会社を経営し、バングラデシュ原産のジュートを使ってバッグを販売している。

山口さんの経歴を聞いて驚いた。山口さんは中学、高校と柔道に打ち込んでいたが、高校3年の9月に全国大会で7位になったことを区切りとし、それから必死に勉強して慶応大学に入学した。そこで彼女は「貧しい国のために働きたい」と決意する。大学在学中には途上国の援助を行うアメリカの国際機関のインターンに選ばれ、渡米した。しかし、インターン先で働いていた上司は実際に途上国に行ったことのない人ばかりだったことを知り、ショックを受ける。

ここで山口さんの持ち前の行動力が発揮される。「現地に行かないと意味がない」と考えた山口さんは、当時世界で一番貧しい国とされていたバングラデシュに行ってしまい、そのまま大学院に入学。そこで注目したのがジュートだった。

バングラデシュはジュートの産地だが、当時は原材料のまま先進国に二束三文の値段で輸出していた。そこで、山口さんはジュートを使ったオリジナルのバッグを現地で造り、先進国に高い値段で流通させ、バングラデシュを豊かにしようと考えた。

バングラデシュには、家がなくて道路で寝ている子供がたくさんいる。そういう人たちのためにバックを造る。山口さんの志に共感した人達間がたくさん集まり、売上げもどんどん伸びているという。

もちろん、山口さんと堀江氏ではビジネスのタイプも性格もまったく異なる。ただ、山口さんは「貧しい国を豊かにしたい」という一心で、堀江氏と同じ突破力をビジネスの現場で発揮している。この国の一番悪いところは、個々人としては優秀でアイデアのある人間が多いにもかかわらず、それを実現しようとする人間が少ないことだ。問題なのは、「やるかどうか」の決断と突破力である。

山口さんが日本でどこまで頑張れるのか。私は期待を込めて、彼女に注目している。

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コメント (8)

田原さんはここ数年言動が変ですよ。らしくもないというか、やっぱりそうだったのねぇー、というか?
もともとそうだけど、「第二の堀江」は論理のすり替えでしょう?自民党・公明党が使って使ってきた!

「hal2001さんと同感:私も変だと思います」
山口絵理子さんの話は“然り”と思います。彼女の取り組みには敬意を表します。
しかしながら、前段の堀江貴文ライブドア元社長へのコメントはいささか皮相的ではありませんか。彼のやったことは、証券取引法違反(風説の流布・偽計取引・有価証券報告書虚偽記載)であり、不正経理・粉飾決算・資金洗浄と脱税です。田原さんの言うように“つまらない事件”とはとても言えないでしょう。
すべてが金のためでもあり、「金で買えないものはない」とする彼の価値観が引き起こした事件でした。
自民党の支援を受けた立候補劇は笑って済まされますが、側近の野口英昭の死亡事件は闇の中です。(詳細に事実関係を見ていくと、堀江氏の関わりは別としても、謀殺だと思っています)。
品性においてビル・ゲイツやのセルゲイ・ブリンとは比較にならないと思います。
hal2001さんと同感、サンプロの発言等を聞いていて最近の田原さんは、やはり変だと思います。

堀江元社長が世の中に嫌われたのは、突破力だけが突出していて、「他に大事なものが欠けている」ということを国民が嗅ぎ取ったからではないでしょうか?
若者に元気がなくなった理由を、彼の失脚だけに求めるのは、個人的には首を傾げてしまいます。

私は田原さんが今回言いたいことはほとんど分かります。同意いたします。
田原さんが小泉支持者、竹中支持者である部分は全く理解できなくても。

田原さんと多分同じ観点から、私もホリエモンを支持します。お金で買えないものはないと言っている一部の価値観の揚げ足取りは、どうだっていいことと思います。
あの行動力はすごいです。
群衆から飛び出ても、バッシングを受けてもひるまない。

彼のやったこと全てを虚業とひとくくりに言ってのける人の価値観が私には理解できません。
虚業ですかね?何もなしていないんでしょうか?

…でも、田原さんが若者に求めていることは、こんな感想なんかじゃないんですよね。

堀江貴文氏と山口絵里子氏の決定的違いはその「品性」にあるのだと思う。

かたや「金こそがすべて」の哲学で、金になるならなんでもやろうという哲学、もう一方は持っているものを活かして金を儲け「貧しい人の為に役に立てよう」という哲学。

同じ金儲けでもこの二つは天と地の開きがある。堀江氏は得たお金を自らの快楽の為に惜しみなく使い、山口氏は底辺の人々の笑顔の為に使う。人間としての品性も対照的である。

田原氏は、その哲学・品性を見ないで、ただ金儲けする力がすごいと言っているにすぎない。

堀江氏の『突破力』は抜きん出ている。その事実は誰にも否定できるものではないでしょう。それがマイナスの形で現れたとしても、そのことによって彼の突破力が相殺されたわけではありません。
それが『犯罪』という形で現れたとしても、それは突破力がマイナス方向のものになってしまったというだけで、力の存在そのものを否定することはできません。

犯罪が許されるべきだとは思いませんが、この国は失敗や逸脱に対して、あまりに不寛容になっている気がします。一つ失敗をおかせば、過去の成功、業績、もろもろすべてが否定されます。
共同社会で生きて行く以上、その社会のルールから逸脱すればなんらかの形で批判や非難を受けるのは当然です。その逸脱が犯罪となれば、懲罰という形で償うのが道理です。
しかし、逸脱や犯罪を犯した人間を、その人間性までひっくるめて攻撃することが、妥当な制裁であるとは思えません。
堀江氏へ向けられる批判には、その失敗を教訓として未来へと活かそうという視点のない、感情論も多くみられます。
この社会が失敗に対してきわめて不寛容であることが、その根底となっているように思えます。
失敗への不寛容は、失敗への恐れを産み、その恐れは、行動の忌避と自己を正当化するための他者批判を産みます。
その先に待っているのは社会の閉塞です。
田原氏が危惧しているのは、じわじわと社会を蝕みつつある、この閉塞感でしょう。
小さな正義によって可能性の芽がつぶされる社会に未来はありません。

こみちやすお 様にひとつ質問があります。「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」も失敗や逸脱のうちなのですか?田原さんのいうそして貴兄が賛同する『突破力』トは何なのですか?
私が、論理のすり替えでしょう?というのはまさしくここにあるなです。

先日質問した相手のお名前を間違えました。こみちやすお 様、大変失礼いたしました、お許しください。不慣れなもので…。dogurin 様の間違いでした。

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Profile

田原総一朗(たはら・そういちろう)

-----<経歴>-----

1934年、滋賀県彦根市生まれ。
早稲田大学文学部卒。
岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。
テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。
2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

-----<出演>-----

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日、毎月最終金曜25時?)

『サンデープロジェクト』
(TV朝日、毎週日曜10時?)

BookMarks

田原総一朗 公式サイト
http://www.taharasoichiro.com/

田原総一朗のタブーに挑戦!(JFNラジオ番組)
http://www.jfn.co.jp/tahara/

株式会社アスコム
http://www.ascom-inc.jp/

朝まで生テレビ!
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サンデープロジェクト
http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/

早稲田大学 大隈塾
http://www.waseda.jp/open/attention/ookuma/ookuma_curriculum_2005.html

早稲田大学 大隈塾ネクスト・リーダー・プログラム
http://www.waseda.jp/extension/okumajuku/index.html

-----<著書>-----


『市場浄化』
2006年10月、講談社


『テレビと権力』
2006年4月、講談社


『オフレコ!Vol.2』
2006年3月、アスコム


『国家と外交』
2005年11月、講談社、田中均共著


『日本の外交と経済』
2005年9月、ダイヤモンド社


『日本の戦後(上)』
2003年9月、講談社


『日本の戦後(下)』
2005年7月、講談社


『田原総一朗自選集 1?5巻』
2005年7?10月、アスコム

『オフレコ!Vol.1』
2005年7月、アスコム、季刊

『日本の戦争』
2004年12月、小学館文庫

『日本の政治?田中角栄・角栄以後』
2002年10月、講談社

『日本の生き方』
2004年11月、PHP研究所

『日本政治の表と裏がわかる本』
2003年5月、幻冬舎文庫

『連合赤軍とオウム?わが心のアルカイダ』
2004年9月、集英社

『「小泉の日本」を読む』
2005年2月、朝日新聞社

『面白い奴ほど仕事人間』
2000月12月、青春出版社

『日本のからくり21』
朝日新聞社

『愛国心』
2003年6月、講談社、共著

『わたしたちの愛』
2003年1月、講談社

『日本よ! 日本人よ!』
2002年11月、小学館

『田原総一朗の早大講義録(1)』
2003年9月、アスコム

『田原総一朗の早大講義録(2)』
2004年3月、アスコム

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(上)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(下)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『頭のない鯨?平成政治劇の真実』
2000年2月、朝日新聞社

『田原総一朗の闘うテレビ論』
1997年3月、文芸春秋

『メディア・ウォーズ』
1993年3月、講談社

『平成・日本の官僚』
1990年3月、文藝春秋

『警察官僚の時代』
1986年5月、講談社

『マイコン・ウォーズ』
1984年12月、文芸春秋

『原子力戦争』
1981年11月、講談社

-----<連載>-----

週刊朝日「田原総一朗のギロン堂」

SAPIO「大日本帝国下の民主主義」

プレジデント「権力の正体」

-----<映画>-----

『あらかじめ失われた恋人たちよ』
1971年、監督

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