« 2007年11月 | メイン | 2008年1月 »

2007年12月25日

溶けはじめた自民党

タマタマ財布を拾った福田さん
数日前、中曽根康弘さんにインタビューする機会があったので、「福田さんはどのような政治家か」と尋ねました。

中曽根さんによると福田さんとは「道を歩いていた。タマタマ財布が落ちていた。その財布を拾った。それが総理大臣だった。まだ財布の使い道がよくわかってないんじゃないか」と。

どうも国民もそう見ている。安倍さんが急に辞任したから急場しのぎで首相になったわけですが、福田さんはそろそろ「この国をどうするのか」について語らないといけないのに、何も見えない。

国民のそういった苛立ちが支持率の低下につながっています。
そもそも、宙に浮いた年金の問題が来年3月までに解決できないことは最初からわかっていました。それは福田さんの責任でもなければ、舛添さんの責任でもない。これは社保庁の責任で、犯罪的行為と言ってもいい。この問題はすでに政治の話ではなく、警察・検察が扱うべき問題です。
C型肝炎の問題でも対応を誤った。血液製剤を打って病気になった人は全員賠償されるべきです。福田さんはそこをハッキリ言った方がいい。

ところが、年金問題もC型肝炎の問題もハッキリ言わない。ハッキリ言うことが良いことか悪いことかが判断つかない。それで支持率も激減しています。

内閣改造をして解散総選挙を
本来ならば、1月15日で国会が終わるのだから、福田さんは次の国会までに内閣改造をすべきです。

首相になってから福田さんは「私はこれをやりたい」と1回も言っていないのだから、内閣改造をして所信表明演説を行い、福田さんのメッセージを国民にハッキリ出す。そして、できるだけ早い時期に解散し、国民に信を問う。これこそが公約です。

今のままの内閣では、落ちた財布をタマタマ拾っただけですから、国民は信用しません。


溶けはじめた自民党
僕は、自民党が溶解しはじめたのではないかと思います。
この溶けつつある現象の一つが、石原伸晃さんが山﨑派に入ったことです。

多くの人が石原さんが山﨑派に入ったことを不思議がっていますが、ちゃんと考えると理由は一つしかない。

山﨑派には約40人の議員がいます。そうすると、総裁選に立候補する際に必要な20人を楽に集めることできます。石原さんは総裁選に出るつもりなんですね。それ以外に山﨑派に入る理由はありません。

それで今、石原さんが山﨑派に入ったことでアタマにきてる男がいます。
先日、山﨑派の総会で石原さんの入会が発表されたら、経済産業大臣の甘利さんが途中で怒って会場を飛び出しました。

甘利さんは山﨑派を継ぐのは自分だと考えていました。継ぐということは、総裁候補になるつもりだったのでしょう。そしたら石原伸晃が入ってきて、どうも次は石原さんらしいと。それで頭にきたのです。こういう事件がありました。

ここにきて自民党が溶け始めました。この状態をできるだけ溶かさないよう、誰が、どのように党を再建するのか。まだまだわかりません。

(協力:JFN 構成:《ざ・こもんず》運営事務局)

■田原総一朗の『タブーに挑戦』 http://www.jfn.co.jp/tahara/
JFNデジタル703chで好評放送中の『田原総一朗のタブーに挑戦!』では、「政治・経済の動向や裏側」、「注目の人物」、そして「ご自身の事」など、田原総一朗さんが鋭い論評を展開しています。
また、番組では、田原さんに聞いてみたいことや人生相談など、なんでも受け付けています。下記フォームからどしどし質問をお寄せください。
http://www2.jfn.co.jp/jfnwwwmail/mailform/mailform.cgi?ch=iradio_tahara

2007年12月14日

新テロ特措法の成立が確実になった理由

テロ特措法反対で一致団結できない民主党
民主党は表面では一致団結して新テロ特措法に反対していますが、内部での足並みは乱れています。

これが民主党の特徴で、もっと一体化して頑張ればいいんだけど、もともと「小沢」と「小沢以外」では考え方が違う。今回の新テロ特措法ではそれがハッキリと出ている。

一番大きな違いは、小沢さんの考えでは、インド洋での給油活動はアメリカの戦争に手伝うことであり、これは集団的自衛権の行使になると考えていること。つまり憲法違反にあたる。

ところが、民主党の多くの議員は給油活動を憲法違反だと思っていない。だから、ほとんどの議員は「憲法違反だ!」と言うことができず、自民党に対して強気に出れない。

実は、小沢さんがテロ特措法を憲法違反だと言ったのは、民主党に合流する前の自由党のときです。2001年にテロ特措法が審議されたとき、民主党はテロ特措法を憲法違反と言ってません。むしろ賛成していました。
ですが、法案を作るとき、自衛隊の派遣について国会で「事前承認にするか」「事後承認にするか」でもめて、民主党は「事前承認にすべき」ということで法案に反対しました。テロ特措法自体に民主党は反対してない。この時点から小沢さんと民主党の理屈が違うわけです。

で、民主党がいま反対している理由は、アフガニスタン戦争のために給油活動をしているというけれど、給油された油がイラク戦争に使われているということ。実際、転用されています。テロ特措法の趣旨と違った扱い方をしている。これがケシカランということで民主党は反対しています。

だから、反対の理由が「小沢」と「小沢以外」の民主党とで違う。そんなことから民主党内の足並みが乱れ、一致団結ができていない。結果的に、いま、民主党は自民党に対して弱腰になっています。

民主党はなぜ対案を出さないのか
それよりも問題なのは、本来であれば、民主党は自民党のテロ特措法案に対抗する対案を出さなければいけない。参議院は民主党をはじめ野党の方が多い。もちろん、次の総選挙で民主党は天下を獲ろうと考えている。

そういう政党ならば、たんなる野党ではなく、自民党のテロ特措法へ対案を出さないといけない。「俺達はこれで行くんだ!」と主張すべきです。ところが、対案がまだ出てきてない。

いちおう、対案らしいものを民主党も作りましたが、出すことをやめてしまった。なぜなら、対案を出すと民主党の内部がバラバラになってしまうから。つまり、対案を出し、自民党と論戦を交わす前に、民主党内部でいろいろ分裂が起きるから対案を出さない。これはおかしいと私は思う。

テロ特措法の可決は間違いない
テロ特措法はほぼ間違いなく可決されるでしょう。参議院で否決されても、または12日まで採決が行われない場合は60日ルール(※1)で法案が衆議院に戻されます。自民、公明の与党は衆議院で3分の2の議席がありますから、衆議院で再可決できます。

そこで、従来は強行採決した場合、民主党はじめ野党が参議院で福田首相に対する問責決議案(※2)を出すだろうと言われていた。

ところが、民主党はどうも問責決議案も出す気がない。なぜなら、先ほども述べたように民主党内がテロ特措法で意見が一致してないから。だから、テロ特措法は99%成立します。

これでは民主党はヤル気を失ったのかと思われてもしょうがないけど、じつはヤル気を失ったわけではありません。今の国会は1月15日で閉会しますが、18日か19日から新しい国会(通常国会)が始まります。次の国会の最大テーマは予算。この予算で、民主党は本気で自民党と戦おうとしています。

新テロ特措法では民主党内もまとまってないし、これで問責決議案を出すと逆に民主党の方が世論からの支持を失い、自民党に支持が高まるのではという不安を民主党は感じている。世論調査でもテロ特措法案に賛成する意見の方が少し多い。

だから、民主党は予算で勝負しようと考えています。

(協力:JFN 構成:《ざ・こもんず》運営事務局)

---------------------------------------------------------------

■田原総一朗の『タブーに挑戦』 http://www.jfn.co.jp/tahara/
JFNデジタル703chで好評放送中の『田原総一朗のタブーに挑戦!』では、「政治・経済の動向や裏側」、「注目の人物」、そして「ご自身の事」など、田原総一朗さんが鋭い論評を展開しています。
また、番組では、田原さんに聞いてみたいことや人生相談など、なんでも受け付けています。下記フォームからどしどし質問をお寄せください。
http://www2.jfn.co.jp/jfnwwwmail/mailform/mailform.cgi?ch=iradio_tahara

---------------------------------------------------------------

※1 60日ルール
衆議院を通過した法案を参議院が60日以内に採決しない場合、その法案は参議院が否決したとみなすことができる。その場合、法案は衆議院に戻され、3分の2以上の賛成があれは法案が成立する。新テロ特措法がこのまま採決されない場合、来年1月12日から否決されたとみなされる。

※2 問責決議
参議院には法的拘束力のある内閣不信任決議権が存在しないため、その代替手段として問責決議が相当する。衆議院の内閣不信任決議は、決議が採択された場合、10日以内に内閣を総辞職するか衆議院を解散しなければならないが、問責決議にはそのような強制力はない。ただし、国会の一院が内閣に対して不信任を表明する意味は大きく、現実的には審議拒否などにより国会が機能しなくなる可能性が高い。これまで参議院が問責決議案を可決されたのは1998年10月の額賀福志郎氏(防衛庁長官)のみ。議決後、額賀氏は辞任に追い込まれた。

2007年12月 6日

守屋氏の妻の逮捕は検察による“みせしめ”

■田原総一朗の『タブーに挑戦』
http://www.jfn.co.jp/tahara/

守屋前事務次官が逮捕されるのは当然ですが、「接待」だけでは犯罪として軽い。
時効になっていない接待された金額は約500万。500万が多いか少ないかはともかく、検察は大きな事件にはならないと見ているでしょう。

私は、守屋氏を逮捕したのはいいですが、奥さんも逮捕したことは、ちょっと行き過ぎだと思う。もちろん、守屋氏は元事務次官ですから彼には職務権限があります。例えば防衛省の発注について、事務次官が「発注しろ」と言うことはできるので、職務権限はある。当然、守屋氏を接待することは賄賂になります。

ですが、奥さんには何の職務権限もありません。守屋氏のゴルフに付いて行っただけ。守屋氏が行かなくても奥さん1人で行っていたそうですが、これはゴルフが好きになりすぎて行っただけの話であって、奥さんに職務権限があるわけではありません。

ところが、検察がこれを「身分なき共犯」として逮捕した。職務権限はないけれども、接待を受けたことが事実上の収賄にあたり、共犯関係にあたるということになった。

「身分なき共犯」が法律的に成立するのはどういうケースかについて何人かの元検事や弁護士にも確認しました。その話によると、たとえば今回の事件の場合、守屋氏が何の供与も受けていないのに奥さんが現金を貰っている。こういうときに「身分なき共犯」が成立します。

ですが、今回の事件では守屋氏がすでに接待を受けているわけですから、守屋氏だけの逮捕で十分。こういう逮捕は今まで例がない。これは検察の行きすぎであって、「守屋夫婦はこんなに悪いことをしているぞ」という一種の“みせしめ”だという気がします。

“みせしめ”というのはある意味で検察の焦りであって、検察がこの事件を大きくできないと考え、焦って逮捕したのではないでしょうか。私はそう思っています。

(構成:《ざ・こもんず》運営事務局)


■番組では、田原さんに聞いてみたいことや人生相談など、なんでも受け付けています。下記フォームからどしどし質問をお寄せください。
http://www2.jfn.co.jp/jfnwwwmail/mailform/mailform.cgi?ch=iradio_tahara

Profile

田原総一朗(たはら・そういちろう)

-----<経歴>-----

1934年、滋賀県彦根市生まれ。
早稲田大学文学部卒。
岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。
テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。
2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。

-----<出演>-----

『朝まで生テレビ!』
(TV朝日、毎月最終金曜25時?)

『サンデープロジェクト』
(TV朝日、毎週日曜10時?)

BookMarks

田原総一朗 公式サイト
http://www.taharasoichiro.com/

田原総一朗のタブーに挑戦!(JFNラジオ番組)
http://www.jfn.co.jp/tahara/

株式会社アスコム
http://www.ascom-inc.jp/

朝まで生テレビ!
http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/

サンデープロジェクト
http://www.tv-asahi.co.jp/sunpro/

早稲田大学 大隈塾
http://www.waseda.jp/open/attention/ookuma/ookuma_curriculum_2005.html

早稲田大学 大隈塾ネクスト・リーダー・プログラム
http://www.waseda.jp/extension/okumajuku/index.html

-----<著書>-----


『市場浄化』
2006年10月、講談社


『テレビと権力』
2006年4月、講談社


『オフレコ!Vol.2』
2006年3月、アスコム


『国家と外交』
2005年11月、講談社、田中均共著


『日本の外交と経済』
2005年9月、ダイヤモンド社


『日本の戦後(上)』
2003年9月、講談社


『日本の戦後(下)』
2005年7月、講談社


『田原総一朗自選集 1?5巻』
2005年7?10月、アスコム

『オフレコ!Vol.1』
2005年7月、アスコム、季刊

『日本の戦争』
2004年12月、小学館文庫

『日本の政治?田中角栄・角栄以後』
2002年10月、講談社

『日本の生き方』
2004年11月、PHP研究所

『日本政治の表と裏がわかる本』
2003年5月、幻冬舎文庫

『連合赤軍とオウム?わが心のアルカイダ』
2004年9月、集英社

『「小泉の日本」を読む』
2005年2月、朝日新聞社

『面白い奴ほど仕事人間』
2000月12月、青春出版社

『日本のからくり21』
朝日新聞社

『愛国心』
2003年6月、講談社、共著

『わたしたちの愛』
2003年1月、講談社

『日本よ! 日本人よ!』
2002年11月、小学館

『田原総一朗の早大講義録(1)』
2003年9月、アスコム

『田原総一朗の早大講義録(2)』
2004年3月、アスコム

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(上)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『田原総一朗の早大「大隈塾」講義録 2005(下)』
2005年5月、ダイヤモンド社

『頭のない鯨?平成政治劇の真実』
2000年2月、朝日新聞社

『田原総一朗の闘うテレビ論』
1997年3月、文芸春秋

『メディア・ウォーズ』
1993年3月、講談社

『平成・日本の官僚』
1990年3月、文藝春秋

『警察官僚の時代』
1986年5月、講談社

『マイコン・ウォーズ』
1984年12月、文芸春秋

『原子力戦争』
1981年11月、講談社

-----<連載>-----

週刊朝日「田原総一朗のギロン堂」

SAPIO「大日本帝国下の民主主義」

プレジデント「権力の正体」

-----<映画>-----

『あらかじめ失われた恋人たちよ』
1971年、監督

→ブック・こもんず←


当サイトに掲載されている写真・文章・画像の無断使用及び転載を禁じます。
Copyright (C) 2008 THE JOURNAL All Rights Reserved.

カスタム検索