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2012年11月19日

意外にバリアフリーな市場 ── 旅先でうれしい触れ合いも

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 風土がフードを生むと言うが、旅先で郷土料理を楽しむなら市場へ出かけてみることだ。重い荷物を短時間で持ち運ぶ市場の中は段差がなく、車いすでも移動可能な場合が多いからだ。

 海外も同様で、何かその国らしい場所はないかと尋ねられた時は、市場観光をすすめている。東京の築地市場も外国人に大変な人気だ。

 周辺には、そこで働く人のために食堂が並んでいて、さまざまな種類の料理を新鮮な食材で楽しむことができる。注意しておくのは、トイレのチェックくらいだろう。競りが終わり、人が少なくなった時間帯なら安全だ。

 那覇市の公設市場と周辺の商店街は地元の台所でもある。生鮮品からおばあ自慢の手作り料理まで所狭しと並ぶ。沖縄名物の豚料理や南の海で取れる魚が珍しい。公設市場の2階に上がるとゆったりした空間に食堂が並び、1階で買った食材を調理してくれるシステムがある。エレベーターがあって車いすを利用のお年寄りも来ている。入れ代わり立ち代わりいろいろな人が来るから、話し相手に困らないのもいい。

 大阪のシェフが運営している「バリアフリーレストランを考える会」というウェブサイトがある。お店に車いすで来た人の話を聞いたのが気付きで、全国の飲食店をデータベース化している。

 そうしたお店では、料理を小さくカットしてほしいといった注文にも応えてくれるはずだ。木製の車いすを貸してくれるホテルもある。晴れの場の雰囲気を大事にしてくれる気配りが有り難く、結婚式や記念日など相談してみるのがいい。

 食事もそうだが、旅先では居合わせた人同士が気持ち良く時間と空間を共有できるとうれしい。

 那覇市の国際通りに近い路地で、お年寄りが買い物用カートを押して歩いていた。「気を付けてくださいね」。土産を売る今風の若者がごく自然に優しく言葉を掛ける。お年寄りは、目の前のカートを押すことが精いっぱいなのか振り返ることもせず、当たり前のように、うなずきながら去っていく。やさしい言葉の響きだけが心に残り、思わずほほ笑んでしまった。

Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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