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バリアフリー進むバス ── 地域交通の担い手

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 介護施設に迎えの観光バスが到着すると、一瞬どよめきが起こり、待ちわびた参加者に笑顔が広がった。待ちに待った旅行出発の日だ。

 バスの入り口にあるステップは、車いすを使う人には大きなバリアーだ。旅はおろか、ちょっとしたお出掛けへの期待もしぼんでしまうという。しかし、リフト付き観光バスを利用することも可能な時代。重い電動車いすも乗降できる。介護度の軽い人ならヘルパーの介助があれば、少々の段差は乗り越えられる。

 小さな旅が好きなら路線バスがある。介護保険制度が始まった2000年の暮れ、交通バリアフリー法が施行された。以来、主要バスターミナルの整備が進み、半数以上のバスが低床型となり、段差の苦手なお年寄りも乗降しやすくなった。車いす用スペースも確保され、乗り合わせた人の理解も広がっている。

 ただ、普及している低床型バスは、スロープの出し入れをドライバーが行わなければならないタイプが多い。運行中に席を離れるドライバーの負担が大きく、安全上の問題もある。よりバリアフリーを進めるにはターミナルや停留所も改善する必要があるが、特殊車両と合わせて事業者には重い負担だ。地方のバス事業者は取り組みが遅れがちだと批判されるが、決して理解がないわけではない。そうした事情を客側も理解したい。

 また、手頃な価格で人気のバス旅行を支えているのは元気なシニア層だが、今後は、足腰に多少の痛みを抱えるようになっても参加しやすいバス旅行の企画も望まれるようになるだろう。

 自治体などが運行するコミュニティーバスは、交通弱者である高齢者らの生活の足としてもはや欠かせないものになっている。急速に進む高齢化でバスはますます重要になっていく。東北の復興支援ではボランティアツーリズムに地元のバス会社が活躍したが、地域に密着したバス事業は、住民の暮らしを支えるインフラそのものだ。公共サービスを担い、そこで働く人たちの暮らしを守る持続可能な企業として、新しい時代を切り開いてほしい。

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Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
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