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自由に動けて経済活動も ── 面で広げたい移動サービス

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 要介護状態になると「もう何もできない」と思う人は少なくない。しかし、体の不自由な人の外出を支援する仕組みとして、地域内で行われてきた移動支援サービスの活動がある。通院や通所、通学時などに福祉車両で送迎するものだ。

 徐々に活動の輪を広げ、ボランティアや有志に加え、行政の補助が出たり、社会福祉協議会が直接サービスを行ったりしている所もある。ただ、近隣への移動に限定され、旅行などは使えないことが多い。

 こうした現状に対し、NPO法人「全国移動サービスネットワーク」が、地域の移動支援団体をつないで、旅行など広域でもサービスの利用が可能になるよう働き掛けている。

 広域的な活動は、サービス提供団体の自立のためにも有益だ。行政からの委託を頼りに地域内でサービスを行ってきた団体は、予算削減で徐々に経営が困難になってきているからだ。

 既にこうした考えで起業した会社も生まれ始めた。奈良市のヒューマンヘリテージ社は、地域移動サービスに加え、観光で奈良を訪れる高齢者や体の不自由な人の旅を支えようと活動している。利用料金は、政府認可の介護タクシー料金にサポート料金を加えて明示。オプションで看護師同行などもできる。

 ユニバーサルデザイン研究の第一人者、国際プロダクティブ・エージング研究所の白石正明代表は、高齢者らの移動を確保する「タウンモビリティ活動」は、動くことで生じる消費活動も見逃してはならないと指摘する。自由に移動し、さらに経済活動ができて初めて、QOL(人生の質)も向上するのだという。

 移動サービス団体が広域で結ばれ、点が線となり、やがて面となって、サービスが利用しやすくなり質も向上する。そこから、社会性の高い活動を持続できる原資も出てくる好循環が生まれる。

 今、東北の仮設住宅で避難生活を送る人の中に、移動することができない人たちが多くいる。支援団体や自治体も日々の支えに追われ、自由な移動まで手が届かない。こうした支援活動も忘れてはならない。

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Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
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