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2011年12月29日

国営企業と民営化

 以前、鉄道会社や航空会社にお願いしていた要介護高齢者向け運賃割引制度の検討についてJR東日本と東海から答えが来た。

 回答は以下の理由で、NOだった。

 理由は、

(1)障がい者運賃割引制度は、旧国鉄時代に決めたものだから、民営化後の今はそうした制度は考えていない

(2)今も障がい者運賃割引制度を続けているのは、民営化の時の条件だから踏襲しているだけで、国が一定の措置を講じて継続しなくてすむならやめる

(3)JRとしては、こうした割引制度は、国の福祉政策=負担でなされるべきものでJRは考えない

 というもの。

 車いす利用者は乗車、下車に手間がかかるし、他の通行を妨げることもあり、一般客への逆差別にもなりかねないという意味で一理あるが、「はい、そうですね」と納得できるものでもない。

 理由は単純でJRを民間企業と思っている国民はほとんどいないからだ。

 今も進む整備新幹線やリニア構想などの事業には、多くの国税、地方税がつぎ込まれているし、これからも使われていく。JRが公益に尽くしているのは良く知るところだが、皆にとってなくては困る存在であることに違いはない。ただ、今問題となっている東電もそうだが、ほとんど独占事業であり、国との関係は非常に深い。

 それでも、一民間企業だからという理由で、NOがなりたつというのが不思議でならない。

 少子高齢社会が進み人口減少が始まった今、装置産業は、利用者減という構造的なマイナス要因を抱えることになった。住宅事業を筆頭に、鉄道も航空も空席がこれから増えていくだろう。実際、都心なら満員電車もあるが、30分も走れば列車はガラガラだ。民間企業になったというなら、カラで動かす位なら、二人で一人前でもいいから売って利益をあげて、国の補助を減らそうと努力してもいいのではないだろうか。

 一方の国に働きかけてもJRは民間のことだから国は問題として取り上げないという。たらい回し状況が続き埒があかない。

 JR2社の回答は残念ではあったが、はっきりしていてさっぱりした。

 未だなんら回答のない他社よりは、そうとうましだとも思った。特に東日本は担当課から実名で来たから、その人には立場を困らせてしまったなら、申し訳ないとも感じた。誠意の違いだ。

 先に検討をお願した内容は、障がい者同様に一人で列車に乗ることのできない要介護高齢者を運賃割引対象にするものだ。JRがこういう人の存在を認めれば、これが話題となり呼び水となって、閉じこもって身も心も財布の紐までシュリンクしてしまったお年寄りだけでなく、取り巻き家族の需要も取れるから福祉の向上だけでなく、鉄道や航空にとっても収入アップの材料になる。

 さらに高齢者が動き回ることで健康を維持し、お金を使うことで国家財政にも多少は寄与するものだから、検討位してみてはもらえないかというモノだったが、あっけなく却下された。

 だが、これであきらめる訳でもない。

 「ケアマネジメント・オンライン」というウェブメディアがあって、そこに協力しているケアマネが作成したケアプラン利用者の2割が障害者手帳を持っているという。要介護高齢者が、障がい者申請をすれば多くの場合、手帳は貰えるだろう。そうすれば、先の話は解決してしまう。考え方一つだ。

 しかし、そんな無駄なことをする必要がある時代なのだろうかと最近つくづく思う。
新しい公共とは何か、意識の課題がまだまだ多い。

 今年一年ありがとうございました。どうぞ、本当に良い年をお迎えください。

Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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