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2011年11月25日

義援金の使い道

 被災した地域の人が義援金でパチンコ屋に通い、そこで活動するボランティアが怒っているという。

 今日を暮すお金があっても、やることがない仕事がないから、こうしたことが続く。

 かつて北米のネイティブインディアンやイヌイットが、石油や天然ガスの為に先祖から譲り受けた土地を取り上げられ、保証料を受け取る代わりに居留区に移らされた挙句、やることがないから麻薬やアルコール中毒になっていく話を思い出した。

 福祉が手厚くなると、こうした影の部分が露出する。

 地元のハローワークを訪ねたが、相当な数の求人が出ている。しかし、自分にあった職を見つけようとすると、なかなかヒットしない。

 地方では新卒者の就職率が低く、まさに就職氷河期を実感する。ところが、ここでも求人がないわけではない。学生たちがよく知る大企業や有名企業の求人が限られているというだけだからだ。

 こうした学生の生活を見ていると大学四年間の内、まともに勉強するのは1年で、2年目にはサークル活動のためにアルバイトに精を出している。そして、3年には就職活動がはじまり、それからは学生時代の大半を就活に費やす子供らが少なくない。今のように氷河期が続くと聞けばなおさらだ。

 大学生たちが知り得る企業情報などたかが知れている。しかし、就活ビジネスが周到であるため、子供らがそのおかしさに気づくのはだいぶ後になってからだ。自分も経営者として責任を感じる。

 今、東北でトラベルヘルパーの育成を地元バス会社や介護関係者らと始めている。高齢で介護が必要なお年寄りは、これから都市部に集中して増え、その多くが日常以外の行き場を失うことになるからだ。

 原発による風評被害は、福島だけとどまらず東北全域が大きな影響を受けていることを知った。特に修学旅行が来る見込みがたたない。

 なぜか。関東から福島を通ると被曝するする、北海道から津軽海峡を渡ると被曝するという話が、まことしやかに先生の間で語られ、親の声に上がるそうだ。県の観光係は頭をかかえたまま、復興などほど遠いと顔を曇らせた。

 それでも内陸から被災した地域に向かう街道沿いの「道の駅」などは大盛況だ。

 たくさんのボランティアや復興活動を支える人たちのおかげで活気がある。中には一坪足らずの敷地で年に一億円も売り上げるだんご屋もあるのが驚きだ。

 岩手や宮城では少しずつだが漁も始まり、地元食材をもとに沿岸の民宿や観光施設も次々に再開しはじめている、観光はすそ野が広く大きな雇用を生む。もっと東北旅行に行こう。

 大きな災害に遭っても、多くの人がこの土地の離れようとしないのは、苦しいことばかりでなく、そこに楽しいこともあるからだと思う。

 人は記憶が確かで、ときに過去を振り返り思い悩むことがあるが、同時に未来を夢見る力もある。人は逞しく、そして智慧がある。だから、力を出せば一人一人が必ず復興すると思う。

2011年11月 1日

「新しい公共」サービスの一端に要介護高齢者の移動を

 公的介護保険制度には、まったく当てはまらない「介護旅行」を事業化しようという人には、民間でできる要介護高齢者向け運賃割引(親孝行割引)制度の検討を公共と名のつく取引先に協力を仰ぐようにお願いしている。

 日本には、「老後が心配だからお金は使わない」という人が少なくない。80才になっても90才になっても、である。

 毎日のように年金、医療、介護を三大高齢者問題としてメディアが扱うものだから、よくわからない人は、よけいに不安を煽られ、どんどん気持ちが萎縮してしまう。

 しかし、ここへきてこれまで我慢してきた人の様子が、少し変わってきたと感じる。

 そのきっかけとなった東日本大震災以後、介護旅行は一般旅行ほどに落ち込むことはなかった。むしろ、今だからこそ行っておかなければならないという雰囲気で、家族の後押しも積極的になったように感じている。

 介護旅行の中で、最近特に需要が増えているのが故郷への墓参りだ。中には縁のある寺をめぐる人もいる。それらを利用する人の声を聞くと、それがただの季節行事でないことがわかる。高齢で介護が必要な人にとっての墓参りは、故人との対話であるのと同時にご先祖とお迎えの準備を相談しているかのようだ。

 お墓参りは、日本人にとって大切な生活文化だと私は思う。

 介護が必要であるとかないとかに関わらず、誰もが行けて当たり前の世界にしなければいけないように感じる。だから、公共と名のつくものは、すべて利用できてあたり前にしなければいけないように思うのだ。

 今、高齢で介護が必要となった人は、普通に勤め上げ、普通に税金を払い、国を支え当たり前に暮してきた人たちだ。それが高齢や身体の不自由さを理由に、日本人が大切にしてきた生活習慣を続けられないというのはおかしいと思う。

 だから、公共と名のつく交通機関には、要介護高齢者の割引運賃制度を同じ移動に介助を必要とする人、障がいを持つ人に与えられた障害者割引運賃制度と同様に制度化してほしいとお願いしている。

 娘が父の死を記録した映画「エンディングノート」が話題だ。

 老後の心配をするより、死ぬまでに何をなし遂げるかを考える、父親の最期を記録したドキュメンタリーだ。若い人たちの中にも死を前向きにとらえようと考える人が増えているのだろう。

 高齢で介護が必要な人も、誰に気兼ねすることなく墓参りができる環境というのは、超高齢者社会を迎えた我が国の新しい公共とは、言えないだろうか。

 政権が変わる頃から、「新しい公共」という言葉に魅せられた議論が行われてきた。省庁の役人の中にも、何か自分たちで開拓できる新たな公共はないかと熱心だ。

 しかし、そこで語られるのは、税金を使った世界、公共制度の話であり、庶民の暮らしには及ばない。

 要介護高齢者の自由な移動を支える暮らしに目を向けるのは、民間目線での新しい公共サービスづくりだと思う。

Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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