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「新しい公共」サービスの一端に要介護高齢者の移動を »

この土地は誰のモノ?

 石巻港から渡船で1時間ほど揺られると、網地(あじ)という小島に着く。向かいの牡鹿半島にある鮎川港から渡る方が近いが、地震で港が沈下したままなので、今は学校へ通う子供たちを乗せたスクールボートが行き交うだけだ。

 島民は五百人ほどで、漁を営み暮らしをたててきた。金華山とともに震源地にもっとも近い島で、網地と長渡(ふたわたし)という二つの集落も大きな津波に襲われた。高齢な人が多い島だが、地震の時には機転を利かせ、漁師は船を沖に逃し、残った者は互いに声を掛け合い高台に避難したので死者は出さずに済んだという。

 丁度、お盆前だったので倒れた墓も修復したいというが、何よりも今を生きるために港の修復が先決という区長の言葉に胸が痛んだ。
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↑壊れた護岸にブルーシートがかけられた補修工事

 半島から送られるライフラインの水道管は仮補修されたが、今もむき出しのままで、ちょうど波をかぶる位置にある。潮の満ち引きで、波の当たる位置が変わるが、いつまた壊れてもおかしくない状態だという。
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↑沈下した港

 こうした護岸や沈下した港の復旧工事は、重機の無い島民では無理だ。岸壁のクレーンも壊れたままで、船は修理できても漁には出られないという。漁師でもある区長たちは、津波でたくさんの船を失くしているので、次に高波が来た時にはさらわれないように、安全な高台に船を保管できるようにしたいと訴える。ところが、その小さな高台の土地が国のモノで使えないというのだ。
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↑壊れたクレーンと船置場までの土地

 漁師が一人で荷揚げをして、船を陸に引き揚げるには、ローラーのついた貨車に船を乗せて運べるように地面にコンクリートを敷いて舗装しなければならい。砂地では貨車が埋まってしまい、とても一人では動かすことができないからだ。そこで区長は、そのわずか数メートルの小さな高台までの土地に、せめてコンクリ―ト敷かせて欲しいと市や県に頼んでいるが、管轄外の一言でずっととりあってくれないままという。
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↑かろうじて残った船の保管場

 ここに限らず地盤沈下で復興できない港や漁村は無数にある。だから修復までには時間がかかるのはわかる。一方で、被災した人たちは、「もし、また」に備えて、自衛しなければならないと考えている。ところが、国が所有する土地は行政管轄外という縦割り意識が、被災者の自立しよういう意志を挫き、先の見えない不安ばかりを募らせている事実がある。
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↑国が所有しているという小さな土地

 震災から早や半年。被災地では8月末にすべての避難所が閉鎖され、仮設住宅などへ移る予定と聞いていたが、今も実現できない地域が少なくない。何でも国任せ、行政任せでは、復興の道はすすまないと思うが、自立しようとする被災地に国の目が届いていないためにおこる不幸がある。

 ふと、クレーンや港湾工事のなかった時代、この島で海とともに暮らしてきた祖先は、どうしていたのだろうかと調べてみたくなった。

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当事者意識でと、当事者でない私が言うのも大変おこがましいのですが、3月下旬にかの地に立って私が感じたことは、虚無感でなかったかと改めて思う。何が起こったのか現実認識できず、ただぼんやりとガレキ一面の光景を眺めていた。不謹慎とも言えるが、デジカメやビデオ機材も持っていた。けれど、撮影する気にすらならない。謂わば現実逃避でなかったかと思う。(今から思えば、記録として残しておくべき面もあったかとも感じている)。
次に訪れたのは100日後である。粗方のガレキが片付けられた風景で感じたことは、絶望感である。何も無い。失ったものを認識し、これから先どうやってゆこうという思いである。
最近ようやく、仮設住宅や仮説店舗の建設などの話が聞けるが、まだ復旧の段階で、復興といえるものでないだろう。
けれど、その土地に対する思いは、失われていない。
自分達で、何とかしなければ、折れた心を取り戻すことは容易でないが、それが残された人々の責務だと思うのです。
今回の被災地は、仙台や石巻などの都市部と過疎が進む僻地が隣接すると言ってもよいし、悪い意味で閉鎖的、自分達の思いを内に秘める意識がある。集落内で助け合って生きてきただけに、外に向かって言葉を上げる術を知らないとも言える。
松島周辺の国有地の開放の声がいち早く上がる所もあれば、じっと我慢する土壌も考慮しなければならない。
国有地があることが問題でなく。こうした声をどの様に聞き取るのかも問われている気がします。その役割を担うのがメディアでもある。民宿など営む方々であれば、そうしたメディア利用にも長けているが、多くの集落は、それすらできない状況であるとも言える。
市町村、県、国の行政に携わる人々も、デスクでふんぞり返るのでなく、靴底を減らすくらいに細かく現場を回る努力をしているか?
介護の現場でも、声を上げたくても上げれない現場が数多くあると推察します。
こうした声をどうやって吸い上げるのかも提示していると思えます。

コラム主旨と外れていると思うのですが、同じ自然災害という観点からの投稿です。
まず、紀伊半島を中心とした、豪雨被害に謹んで哀悼の意を表します。
今回の被害で感じたことです。現在気象レーダーや地形情報などから、気象予測の精度が格段に上がってきています。数時間後の雨雲の動きすら予測が可能となりました。また、アメダスなど気象情報も瞬時に把握できる体制になっています。
ここで何故できないのかと思えることに気がつく。
河川の洪水予測である。
この地区にこれだけの雨量があれば、その流域の河川の増水予測も可能でないだろうか?
更に言えば、河川の形態(曲がりや土手の強度など)や周辺の地理情報(土砂崩れが起こりやすいなど)で堤防の決壊や鉄砲水(一時的な河川のせき止めで起こる)の発生予想も可能と思える。
今現在、降雨量で道路の通行規制が行なわれるが、河川に対しての警戒は、多くは人的な目視(地元消防警察)に頼っていると思われる。
これでは、避難警報がどうしても遅れる。河川の管轄が、国交省であり、地すべりなどの地理情報も同様である。
謂わば、縦割り行政がこうした予報警報に際して、障害となるのであれば見直しの対象ともなりえる。
スーパーコンピューターを活用し、雨量による河川の氾濫ハザードマップも作成できると思われる。
自然災害に対して、早期に決め細やかな警報予測を出すことができれば、仮に被害が起こらない場合があったとしても、【人的な被害を無くす】ことが可能でないだろうか?

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Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

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