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2011年9月 2日

この土地は誰のモノ?

 石巻港から渡船で1時間ほど揺られると、網地(あじ)という小島に着く。向かいの牡鹿半島にある鮎川港から渡る方が近いが、地震で港が沈下したままなので、今は学校へ通う子供たちを乗せたスクールボートが行き交うだけだ。

 島民は五百人ほどで、漁を営み暮らしをたててきた。金華山とともに震源地にもっとも近い島で、網地と長渡(ふたわたし)という二つの集落も大きな津波に襲われた。高齢な人が多い島だが、地震の時には機転を利かせ、漁師は船を沖に逃し、残った者は互いに声を掛け合い高台に避難したので死者は出さずに済んだという。

 丁度、お盆前だったので倒れた墓も修復したいというが、何よりも今を生きるために港の修復が先決という区長の言葉に胸が痛んだ。
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↑壊れた護岸にブルーシートがかけられた補修工事

 半島から送られるライフラインの水道管は仮補修されたが、今もむき出しのままで、ちょうど波をかぶる位置にある。潮の満ち引きで、波の当たる位置が変わるが、いつまた壊れてもおかしくない状態だという。
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↑沈下した港

 こうした護岸や沈下した港の復旧工事は、重機の無い島民では無理だ。岸壁のクレーンも壊れたままで、船は修理できても漁には出られないという。漁師でもある区長たちは、津波でたくさんの船を失くしているので、次に高波が来た時にはさらわれないように、安全な高台に船を保管できるようにしたいと訴える。ところが、その小さな高台の土地が国のモノで使えないというのだ。
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↑壊れたクレーンと船置場までの土地

 漁師が一人で荷揚げをして、船を陸に引き揚げるには、ローラーのついた貨車に船を乗せて運べるように地面にコンクリートを敷いて舗装しなければならい。砂地では貨車が埋まってしまい、とても一人では動かすことができないからだ。そこで区長は、そのわずか数メートルの小さな高台までの土地に、せめてコンクリ―ト敷かせて欲しいと市や県に頼んでいるが、管轄外の一言でずっととりあってくれないままという。
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↑かろうじて残った船の保管場

 ここに限らず地盤沈下で復興できない港や漁村は無数にある。だから修復までには時間がかかるのはわかる。一方で、被災した人たちは、「もし、また」に備えて、自衛しなければならないと考えている。ところが、国が所有する土地は行政管轄外という縦割り意識が、被災者の自立しよういう意志を挫き、先の見えない不安ばかりを募らせている事実がある。
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↑国が所有しているという小さな土地

 震災から早や半年。被災地では8月末にすべての避難所が閉鎖され、仮設住宅などへ移る予定と聞いていたが、今も実現できない地域が少なくない。何でも国任せ、行政任せでは、復興の道はすすまないと思うが、自立しようとする被災地に国の目が届いていないためにおこる不幸がある。

 ふと、クレーンや港湾工事のなかった時代、この島で海とともに暮らしてきた祖先は、どうしていたのだろうかと調べてみたくなった。

Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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