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判官贔屓の気概

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↑チンギスハーン像

 大相撲九州場所二日目、横綱白鵬の連勝が稀勢の里によって阻止された。

 体躯にも恵まれた稀勢の里は、早くから注目の若手と言われていたが、今場所は関脇から前頭まで番付を落としていた。追い詰められての大金星である。

 横綱が土俵を割った瞬間、場内は大きな拍手と歓声に沸き、テレビは速報を流した。

 無心だったという稀勢の里に対して、土俵下に転げ落ちた横綱は茫然としている。

 横綱は自分に「スキがあった」と潔く語る。この人柄だから日本にもファンが多く、今場所の連勝大記録への期待も高かった。

 しかし、一方では「いったい誰が白鵬を負かしてくれるのか」と、無敵の大横綱に挑む格下ばかりの日本人力士へ、判官贔屓の期待も高まっていた。

 歓声は、名横綱双葉山の連勝記録が守られた安堵と昨今、外国人力士ばかりが活躍する相撲界で、日本人が一矢報いたという感激が入り混じってのことだったろう。

 先日講演で訪ねた最上からの帰り、奥州に伝わる源氏落人の話を聞いたからか前にモンゴルへ旅した時のことを思い出した。

 日本語ガイドのモンゴル青年に義経伝説のことを聞きてみたくなった。むろん、冗談半分のことだった。

 日本には判官義経にまつわる逸話があって、その一つに奥州で死んだとされる人気者の義経が、実は難を逃れて樺太から大陸に渡り、チンギス・ハーンになってモンゴルを建国したという話があるが、どう思うか・・・と。

 すると、彼は血相を変えて「なにを言うか、チンギス・ハーンはモンゴルの英雄に決まっている」と不快を露わにして、強い口調で言い切ったのだ。

 なるほどモンゴルの男は誇り高いと聞いていた。しかし、携帯電話を巧みに操り、日本の若者ともさほど変わらぬ暮らしをしている彼がまた、牧民から国を統一した祖国の英雄に対して大きな誇りと深い尊敬の念を抱いているのがわかった。

 穏やかな青年の気迫に一瞬たじろいだが、無垢な愛郷心を肌で感じて嬉しくなった。

 首都ウランバートルには、チンギス・ハーンと並ぶ独立の英雄スフバートルの騎馬像がたつスフバートル広場がある。周囲を国会議事堂や政府宮殿、中央郵便局に囲まれ、正面には大きなチンギス・ハーンの像が鎮座する観光名所である。ここで目立つのが、大関昇進の時から飾られているという巨大な白鵬のポスターだ。

 そこには、「強いモンゴルをつくろう」と書かれている。モンゴル人は、今も強さを貴ぶ民族だと教えられた。

 その一角に美しい国立オペラ劇場があるのだが、この建物は、ソ連に抑留された日本軍兵士の強制労働によって建てられたというので複雑な思いがしたのを覚えている。

 昨今の尖閣諸島や北方領土問題に対する政府の対応はわかりにくく意志が見えない。

 あのたった一人のモンゴル青年の気迫にさえ及ばぬように思える。強行な態度をとればいいとは思えぬが、誰の話を聞いてもよくわからない。

 不祥事続きで場内には空席が目立ち、危険だからとこれだけの名勝負に座布団の舞うことが無くなった大相撲も盛り上がりに欠けて寂しいが、今の国会もそれと重なり空しく見える。

 後日、となりの中国ではチンギス・ハーンが偉大な中国人の英雄として語られているのを知り「強いモンゴル」では中国人には何と言うのか気になった。


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↑白鵬と「強いモンゴルをつくろう」

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↑ソ連に抑留された日本軍兵士が建設した国立オペラ劇場

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

私は双葉山の郷里宇佐市出身です。
しかし、白鳳が負けて少し残念な気がします。勿論私は郷土の英雄双葉山を尊敬して今すし、誇りにしています。私としては白鳳に69連勝で70勝目に負けてくれるのが一番良かったのですが。相撲は全く見ませんが、しかし63連勝はすばらしい記録ではないでしょうか。白鳳に大きな拍手を送りたいと思います。

私は判官贔屓という見方ではなく、日本人として外国人力士に二葉山の偉大な記録を越えて欲しくなかったという狭い心がありました。

以前、王選手の持つ年間ホームラン55本という日本記録に、西武のカブレラ選手・近鉄のローズが54本にまで迫り、記録更新は時間の問題かと思われた。

すると、対戦チームは敬遠を繰返し記録更新をさせなかった。その時も今と同じほっとしたものが心のどこかにありました。


愛国心とも違いますが、言ってみればW杯・WBC・オリンピックで日本人が勝つことを望む気持ちと同じなのではないのかな。

それを想えば、イチローの活躍をアメリカ国民は複雑な心境で見ているだろう。

もちろん、白鳳関の偉大な功績を評価し讃えるのは良い事であり、一人横綱の重責を背負う姿に敬意を表します。

それとは別に、日本人力士の発奮を期待したい。この相撲界でも日本力士のスーパースターが必要でしょう。

もしそんな力士が登場したら、一気に大相撲人気は復活するでしょう。

名だたる外国人力士に勝つ続けるヒーローの出現こそ相撲界を救うのですが・・・

ウー様

「それを想えば、イチローの活躍をアメリカ国民は複雑な心境で見ているだろう。」

という部分ですが、そのような人がいないとは言いませんが、
イチローのファンのほうがはるかに多いと思いますよ。
日本の基準にあてはめないほうがいいのではないでしょうか。

みなさんありがとうございます
70勝目に負けるというのは、いい感じですね

※後日談です
そこから双葉山は、3連敗。9日目にも4敗目を喫し、結局この場所は、9勝4敗で優勝を逃してしまった。
とのことですが、白鵬は今日も勝手優勝争いに残っています。本当に強いですね。

読売にありました・・・

木鶏を目指した双葉山
【昭和14年1月15日、春場所4日目、双葉山69連勝】
 相手は前頭3枚目の安芸ノ海。立ち合いの突っ張り合いで双葉山は、得意の右差しに持ち込んだ。しかし、両まわしを取れない双葉山は強引に右からすくい投げ、逆に腰が伸びた。その後、安芸ノ海の左からの外掛けにぐらついた。足を振り払い、右から下手投げを打ったが結局、体を浴びせられた。
 その日の夜、双葉山は師と仰ぐ陽明学者の安岡正篤に「イマダモッケイタリエズ(いまだ木鶏たりえず)」と打電したとされる。

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Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

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