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冒険を怖がらないで ── 受け入れ側も気持ちの余裕を

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 障がいを持つ子と親の会が計画したスキー旅行が、直前になって断念せざるを得なくなった。

 「良いサービスをする自信がない」と言ってきた旅館の主人に悪気があったわけではない。直前まで障がいのある人のグループとは知らされていなかったのだった。

 「わたしたちは、特別なことは何も求めていません」と親の会の代表が言うように、段差解消も、流動食への対応も今回は必要なかった。だから、旅行代理店も特別なことは言わなかった。

 サービスを提供する側にいたわたしには、旅館の主人の姿勢はまじめな性格が言わせたものに思えた。しかし、子供たちも親の会も傷つき、その話を聞いたわたしたちも暗い気持ちになった。

 旅はその後先も、人の心を明るい余韻につつまなければならない。そのため介護旅行では、誰かが双方の誤解や摩擦を減らし、互いの理解を深め、信頼関係を築き、それぞれの責任を確認し合う過程を"通訳"しなければならない。トラベルヘルパーを育てるのは、その過程をマネジメントする重要な役割を担ってもらう必要があるからだ。

 情報の伝達ミスから始まった悲しい出来事は、何を知り、伝えるか、新たな課題となった。

 そうした課題への対処方法が整理されれば、超高齢社会の到来は地方の温泉街など客足の減少に苦しむ観光地に大きなチャンスをもたらすと思う。

 ほとんどの観光地や宿泊施設は、行動に不自由のある人や障がいを持つ人の受け入れに二の足を踏んでいる。しかし、都市部の高齢化は、今後ますます勢いを増して進んで行く。これからも出かけたい、旅に出たいと希望するのは、高齢者が中心になっていく。

 旅は、どこか冒険的な要素がないとつまらない。少々のハプニングも笑って乗り越えられるよう、旅する人も受け入れる側も気持ちの余裕が必要だ。権利や責任ばかりを主張するような関係で旅を楽しめるはずはない。

 人生と一緒で、思惑どおりにいかないところに面白さがあり、その修正の中に知恵がでて、生きる意味を知るところがあるのではないかと思う。

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Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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