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« 見逃される「外出」という希望 ── 公的介護制度のはざまで
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必要なのは情報のバリアフリー ── 介護現場を変えるために

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 「新聞を見たのですが、わたしたちでも介護旅行なら行けますか」。初めてそんな相談を受けた時は、日付を勘違いしているのかと思った。新聞に載ったのはだいぶ前。老夫婦は小さな記事を長い間、大切にとってくれていたのだった。翌年もまた次の年も同じことが続き、介護旅行への思いとはそういうものだと悟った。

 ただ、わたしは高齢者や障がいを持つ人を一概に弱者と言うのには抵抗がある。そうした人の中にもスポーツやアート、専門知識や経営分野に置いて優れた人はいくらでもいるし、みんな普通の人として接することができる。

 むしろ、否定できないのは「情報弱者」だ。涙ながらに外に出たいと訴える人の存在は、生活環境が情報のバリアーを作り出していると知らせてくれた。体の不自由が原因で、必要とする情報がうまく得られない。「よらしむべし、知らしむべからず」の言葉が頭をよぎる。

 「働き方」や「生き方」での処世を知らない若者にも情報弱者の言葉が当てはまるかもしれない。医療や介護労働の現場では特にそうだ。看護学校やヘルパーの研修では、神業的な移動介助を教えてくれる。しかし、看護士も介護士も腰痛が職業病になっている。

 工場や運搬の仕事では重量物を持ち上げる際、作業ごとに何キロまでという制限が労働基準として示されている。ところが、医療・介護の現場ではそうした基準もないまま過重な肉体労働が常態化している。欧米では、どんな職場でも同様の就労条件を当てはめるのが当然で、機能的な介護機器や補助具が整理されている。超高齢化社会に向かっているにもかかわらず、この点でも日本は後進国の域を脱していない。サービスの担い手が安心して就労できる環境をサポートするための公共投資はまだまだ必要である。

 多少体が不自由になったとしてもお年寄りが気軽に温泉地に旅行でき、トラベルヘルパーは入浴介助が楽にできる。しかも、露天風呂では和の風情を壊さない美しいデザインの解除器具が備わっていたら、外国人にも尊敬されるだろうし、どんなにかいいだろうと思う。

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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

親父が病気になり衰えて寝たきりになり死んでゆく様を介護しながら見てきました。
人間とは経験しなければわからないことがいっぱいあることを知りました。
毎日、病院に通いながら看護の大変さを思い知りました。
老人の看護は死へどのように送るかということでもあります。
だからこそ楽しい時間を少しでも一緒にすごしたいと思う家族は現実社会との
ギャップに苦しみます。
このようなことが特別ではなく普通のこととして社会が受け入れるようになって
欲しいものです。
福祉というものを馬鹿にする自己責任論者が大きな顔をする社会は真っ平です。

鴨川さん コメントをいただき、ありがとうございました。人はどんな時にも、何らかの価値があるから生きているのだそうです。たとえ、寝たきりになった人でも他の人にできることがあるというのです。見舞いに来た孫を笑顔で迎えるお年寄りは、孫が来てうれしいという喜びや感謝の思いもありますが、優しい笑顔の祖父母だったという、温かい思い出を孫は感じ記憶にとどめます。そういった人間の態度的価値というのは、寝たきりになってからでも、なくなるわけではなく、受け止める側の感(受)性がきちんと働いていれば、十分感じることができます。私は訳あって父親をみとれませんでしたが、きちんと送って差し上げた鴨川さんのことは父上もよくわかっていたのではないでしょうか。大変だったと思いますが、大切な気付きを身を呈して教えてくれた素敵な思い出なのかもしれません。私も感謝しております。

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Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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