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2010年3月29日

篠塚恭一:たとえ小さな助けだとしても ── 介護の旅を支えるトラベルヘルパー

shinoduka100329.jpg

 若いヘルパーに身をゆだねるように抱かれたその人は静かに目を閉じ、胸もとから首のあたりまで湯につかったまま、気持ち良さそうにじっとしていた。何年か前に度重なる脳梗塞(こうそく)で倒れ、とうとう歩くことができなくなってしまったという。婦人のたっての希望で、元気だったころ、娘たちを連れてよく訪ねたという静岡県の熱海で、家族旅行を再現したのだった。

 かつては大企業の幹部として大勢の部下を率いて腕をふるったという。その年齢、経歴から察すれば、日本経済を引っ張った一人であることは間違いない。家族も驚くほど部下たちに慕われたその人柄は、むしろ倒れてからの方がよく伝わってきた。脳梗塞で何度も倒れながら、仕事を続けていた。その度ごとに、部下が病床にかけつけ、仕事の指示を仰ぎながら家族の看病を手伝ったという。熱海の思い出も家族とばかりではなかった。部下を引き連れて威勢良く酒を振る舞ったこともあったようだ。

 迎えの車内、まひの残る手で振った孫の手が「カツン」と音をたてた。娘の頭を勢いよくたたいたのだ。力の加減が効かない。悪気はなくても痛いものは痛い。「動けないから、いつもこれでやられるんです」。悪びれもせぬ態度が、娘のやり場のない気持ちに追い打ちをかける。

 家族介護の日々を戦いという人がいるが、トラベルヘルパー(外出支援専門員)として何度もそういう場面に遭遇したことがある。たたいた孫の手は、連れ出してくれたうれしさからきたのか、照れくささがそうさせてしまうのか、わたしには分からない。ただ、トラベルヘルパーが、そんな家族の役に立つのなら、それでいい。

 「介護旅行」を支えるトラベルヘルパーの現場から、誰でもどこへでも出掛けられることが当たり前となるユニバーサルデザインの社会作りを考えて行きたい。

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【プロフィール】 篠塚恭一(しのづか・きょういち)
1961年千葉市生れ。91年㈱SPI設立、代表取締役。観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。95年超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。2006年内閣府認証NPO法人 日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立 理事長。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援を行う。

2010年3月28日

篠塚恭一:ごあいさつ

 THE JOURNALの読者のみなさま、はじめまして。

 今日から、介護旅行を支えるトラベルヘルパーについて連載をはじめることになりました。

 トラベルヘルパー(外出支援専門員)とは、行動に不自由のある人の外出中に介護サービスをする人のことをさしますが、お墓参りや相撲観戦など、外出相談からはじまり、今ではさまざまなシーンで必要とされています。なぜ、こういったことが必要になったか、経緯や私の経験を通して感じたことなどを連載に書きますのでお気楽にご覧ください。

 THE JOURNAL主宰の高野さんとは居酒屋で出会い、私が馬の師匠と崇める関係ですが、里山保全などで一緒に汗をかいた時間は、その後の私の生き方に大きな影響を与えてくれた恩人です。

 障がいも高齢もあまり関係の無かった私が、高野さんの交友された方々との不思議な縁も重なり、助言や励ましを頂くことが度々あって、気付けば15年もこうした活動を続けて来ることができました。

 どうぞ、トラベルヘルパーの活動に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、各サイトを覗いてみて下さい。

●あ・える倶楽部(介護旅行)
http://www.aelclub.com
●NPO日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会
http://www.travelhelper.jp
●健康福祉文化大学 / 理想の暮らし研究所
http://www.risounokurashi-ac.net


 人口減少がはじまったいま、外需の取り込みを意識しつつも、生活様式のイノベーションによりQOL(人生の質)を保ち、内需の充実をはかる時代なのではないでしょうか。

 介護旅行とは、お年寄りに社会参画を続けて頂き、その半生で培われた生活の知恵から、次代の子供たちに何を伝え、残すべきかを教えて頂く学びの場でもあるのです。

 超高齢者社会の進展は、すでに決まった日本の未来です。街中のバリアが少なくなるということ・・・ 歩道がバリアフリーになって、喜んだのはスケボー少年たちでした。駅のエレベーターをたくさん利用しているのは、ベビーカーのママさんたちです。

 超高齢社会は、豊かさの現れですが、未だかつてどの先進国も体験したことの無い社会です。したがって、日本が世界に対してそのモデルを示す必要があります。

 そんなことも、お伝えできればと思っていますので、よろしくお願いします。

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【プロフィール】 篠塚恭一(しのづか・きょういち)
1961年千葉市生れ。91年㈱SPI設立、代表取締役。観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。95年超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。2006年内閣府認証NPO法人 日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立 理事長。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援を行う。

Profile

篠塚恭一(しのづか・きょういち )

-----<経歴>-----

1961年:千葉市生れ。
1991年:(株)SPI設立[代表取締役]観光を中心としたホスピタリティ人材の育成・派遣に携わる。
1995年:超高齢者時代のサービス人材としてトラベルヘルパーの育成をはじめ、介護旅行の「あ・える倶楽部」として全国普及に取り組む。
2006年:内閣府認証NPO法人日本トラベルヘルパー(外出支援専門員)協会設立[理事長]。行動に不自由のある人への外出支援ノウハウを公開し、都市高齢者と地方の健康資源を結ぶ、超高齢社会のサービス事業創造に奮闘の日々。
現在は、温泉・食など地域資源の活用による認知症予防から市民後見人養成支援など福祉人材の多能工化と社会的起業家支援をおこなう。

BookMarks

あ・える倶楽部
http://www.aelclub.com/

-----<著書>-----


介護旅行にでかけませんか──トラベルヘルパーがおしえる旅の夢のかなえかた(講談社)

問診による経営診断のすすめ方(共著)

大人の脳活性訓練ガイド(入門編)監修

トラベルヘルパー養成講座・教本
 
介護旅行でいきましょう(時事通信・連載)
 
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