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佐野眞一さんがノンフィクション賞選考委員を辞任

 詳しくは別の機会に譲るが簡単な報告だけはしておこう。

 2月1日(金)夜、都内で「週刊朝日」連載中止事件についてのシンポジウムが開催され、佐野眞一さんが、2つのノンフィクション賞の選考委員を辞任した。100人くらいの規模のシンポだったが、まだ公に募集をする前から口コミで参加希望者が殺到し、結局あまり募集告知もしないまま定員に達してしまったため、開催を知らなかった人も多いと思う。当日参加した共同通信その他の記者により、選考委員辞任の一報だけは多くの新聞に掲載された。私はこのシンポのコーディネイターを務めたのだが、この問題はなるべくオープンな場で、佐野さん自身も含めて議論すべきと思っていた。

 議論は「週刊朝日」の昨年の対応や、部落差別という難しいテーマをノンフィクションでどう扱うかといった話まで、高山文彦さんらをまじえて行われた。詳しい議論の中身は月刊『創』4月号に掲載予定だが、そのシンポの冒頭の佐野さんの発言だけ、ここで紹介しておこう。選考委員辞任は、その議論の冒頭、佐野さん自身によって表明されたものだ。

《この度の週刊朝日問題では、多くの方々に多大な迷惑をかけてしまいました。出自に触れる事が差別意識と直結する事は絶対あってはならないことです。それが分かっていながら、「ハシシタ」というタイトルが、橋下徹氏の出自と人格を安易に結びつける印象を与えてしまいました。加えて『週刊ポスト』の昨年末号に書いたように「化城の人」、これは創価学会論ですね。この無断引用問題も私に降りかかっております。二つの問題とも、自分の原稿チェックの杜撰さゆえです。自分の原稿チェックもできない人間に、他人の原稿のチェックが出来るはずはありません。
 よって私は今日今日を持って、早稲田大学記念石橋湛山賞、開高健ノンフィクション賞の選考委員を辞退いたします。》

 なお、佐野さん及び『週刊朝日』と部落解放同盟による確認糾弾会は1月22日に第1回が始まったばかりだ。この内容については、発売中の『創』3月号に掲載してあるのでご覧いただきたい。『週刊朝日』問題はもう過去の話と思っている人も多いのだが、本格的な議論はまだこれからだ。

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Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

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『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
2012年6月、創出版



『ドキュメント死刑囚』
2008年8月、筑摩書房

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