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2013年1月23日

『ヤングマガジン』回収騒動と児童ポルノ禁止法

 1月12日発売予定の週刊『ヤングマガジン』が発売中止になった事件が波紋を広げている。当初は発売延期と言われたが、実際は発売前日に販売中止が決まったため、発送まで行われていたものを回収したわけで、出版社にとっては大打撃だったといえよう。コンビニなどで販売されてしまったものもあり、ネットでは数倍の値段で売買されている。

 問題となったのは、AKB48メンバーの河西智美さんの写真で、2月4日発売予定の写真集の表紙を飾っていたものだ。ヌードの河西さんの胸を少年が手で覆っているのだが、これが児童ポルノ禁止法に触れるのではないかという騒ぎになった。10日に、写真集のパブリシティとしてスポーツ紙やネット書店の予約ページにその写真が大きく掲載されたことで、問題を指摘する声が出たらしい。

 講談社が1月17日に発表した文書によると、写真集は『ヤングマガジン』編集部の企画として昨年から進められていたという。今回騒動になるまでは児童ポルノ法と結び付けて考えた関係者はいなかったわけだ。

 乳首が写っていると問題ということで少年の手で覆ったのだろうが、児童ポルノ禁止法では「児童が他人の性器等に触る行為」で「性欲を興奮させたり刺激するもの」を禁止しており、乳首も「性器等」に含まれるということらしい。

 この騒動については既に『女性セブン』や『週刊文春』が記事にしており、専門家のコメントを見ると、問題の写真が同法に触れるかどうか意見は分かれているが、法に触れるという見方の方が多いようだ。

 今回の騒動をめぐっては、警視庁少年育成課が11日に講談社に連絡し、17日に事情聴取を行っていたことも話題になった。

『週刊文春』1月24日号は、同じAKB48の大島優子さんもかつて十代の時に水着でビデオに出演していたことを挙げ、「AKB大島優子 封印された『児童ポルノ』の過去」と問題にしている。

 児童ポルノ禁止法はもともと定義が曖昧な点があって議論になってきた経緯がある。今回の騒動を機にもっと社会的議論をしてはどうだろうか。

2013年1月 8日

ペニオク詐欺騒動が浮き彫りにしたネット社会のステマビジネス

 12月に連日、芸能マスコミを騒がせたペニーオークション詐欺だが、まだ一件落着とはいかないようだ。『週刊ポスト』1月18日号「ほしのあき『ペニオク詐欺』加担でレギュラー消滅の絶体絶命」によると、騒動で名前のあがったほしのあきは、テレビ局の自主規制で、出演を見送られる事態になっているらしい。

 もともと騒動は、昨年12月7日に、インターネット関連会社社長ら四人が詐欺容疑で逮捕されたのが発端だ。『週刊文春』12月27日号によると、主犯格の男は別の容疑で10月に京都府警に逮捕されていたが、その取り調べで今回のオークション詐欺への関与がわかり、内偵中だった大阪府警と合同で再逮捕に至ったという。詐欺グループは、ペニーオークションという、入札に手数料がかかるシステムを悪用し、実際には落札できない仕組みを作って参加者から手数料を吸い上げていた。つまりオークション自体は成立しない仕組みで、参加者から手数料を吸い上げるのが目的の詐欺だったのだ。

 この詐欺事件が大騒動になったのは、そのオークションを推奨するような書き込みをブログにして報酬を得ていたとして、タレントほしのあきの名前が報道され、その後、松金よう子、小森純、熊田曜子といったタレントの名前が次々と明らかになったからだった。詐欺事件に関与したタレントは20人以上という。

 ちなみにほしのあきが問題の書き込みを行ったのは2010年12月。突然報道されたので最近の話だと思っている人が多いのだが、他のタレントたちの書き込みも2011年にかけてのものが多い。1年以上前のことで突然事情聴取を受けたり、名前を報じられたりしたタレントたちもびっくりしたに違いない。

 単に報酬を得て書き込みをしただけでなく、実際にはオークションに参加していないのに商品が落札できたかのような虚偽の書き込みを行っていたというのだから悪質だ。タレントの名前が次々と報じられたのは、社会に警告を発しようという捜査当局の意図があったのだろう。報じられたタレントたちが次々とそれを認めてブログなどで謝罪を行ったのは、捜査の過程で事聴取を受けたり照会に応じていたからに違いない。

 20人以上ものタレントが関わっていたのは、松金よう子がほしのあきら友人に声をかけるという方法で仲間を誘っていたからだ。友人に勧められたのでつい気軽に、というわけで、もちろん推奨するオークションが詐欺だとは知らなかった。注目すべきは、友人に声をかけていた松金よう子のケースだけ、事務所を通したビジネスとしてそれを受けていたことだ。

 広告とわからないようにブログやツイッターなどで商品の宣伝を行う手法を「ステマ」(ステルス・マーケティング)というが、これが今ネット社会に横行しているらしい。『FLASH』1月1日号は「ブログ広告塔『高額芸能人41人』名簿」なるものを掲載している。

 残念ながらイニシャルなのだが、タレント41人のブログに書き込む際の報酬額の一覧だ。作成したのは広告代理店だという。ランキング上位タレントには200万円、300万円といった値段がついている。ブログに一言書き込むだけで300万円という報酬は、一般常識からすればありえない金額だが、記事にはタレントに200万円払って書き込みを依頼したと言う通販会社社長のコメントが登場する。その200万円払って書き込んでもらった商品は1週間で600万円の売り上げをあげたので十分元はとれたというのだ。

 こうした定価は、もちろんそのブログのPV(視聴回数)に基づいて決められるのだが、単純にそれだけでなく読者の男女比や年齢などのデータをもとに決められるのだという。ただ、表示されたのはあくまでも定価で、実際は値引きも行われているのだろう。ちなみに、ペニオク詐欺騒動で報じられたほしのあきの書き込みへの報酬は30万円、熊田曜子は50万円だった。『フライデー』1月4・11日号によると、出回っているリストでは熊田曜子は定価168万円となっているという。

 今回の詐欺事件に20人以上ものタレントが関与したというのは、芸能界にステマビジネスが横行していたという背景があるからだろう。ペニオク事件はオークションそのものが詐欺だったので刑事事件となったわけだが、そもそもステマビジネス自体も問題であるに違いない。いろいろな週刊誌が、タレントの定価表を紹介しているように、それをもって仲介している業者がいるというわけだ。

 前出『週刊文春』12月27日号「ほしのあきだけじゃない ブログ芸能人の"ステマビジネス"」は、芸能人のブログで知られる「アメーバブログ」を運営するサイバーエージェント自身がステマビジネスを行っていたのではないかという疑惑を報じている。いや、疑惑などというレベルではない。こんな実例が紹介されているからだ。

《例えば、元モー娘。の石黒彩が花王のデンタル商品を紹介した翌日に、同じモ―娘。出身の辻希美を妻に持つ杉浦太陽が同じ商品を「是非試してくださいね」と紹介している。両者のブログについて、デンタル商品のメーカーである花王は"広告記事"を発注した事実を認めた。発注先は「アメーバブログ」を運営するサイバーエージェント。

 同社が企業向けに作成したプレゼン資料を読むと、そこにはこう謳われている。

〈一つのメディアに匹敵するほどの人気ブログで商品を露出することで『認知拡大』や『ユーザーの誘因』、『ブランドロイヤリティの向上』ができる〉

 PV数によって六十万円から三百万円という"広告料金表"も記されていた。》

 発注した花王が認めたというのだから、これは否定しがたい事実だろう。

 『AERA』1月14日号「『ブログ広告』こんなに」によると、サイバーエージェントはこのビジネスを「アメーバ記事マッチ」と呼んでいるという。そして、今後は誤解を与えないように「記事マッチには広告であることを明確に示すマークを作り、記事につける予定」とのこと。広告であることを明確にしたら、たぶんこれまでのような効果は望めなくなるはずだが、いったいどんなふうに実行するのか。

 サイバーエージェントは今回のペニオク詐欺事件については全く関与していないとし、12月下旬にブログ運営のガイダンスを改定したり、ステマの撲滅を提唱するなど、火の粉を振り払うのにおおわらわだ。

 もともとネット社会は、情報と広告の区別を厳密にするという感覚が、新聞など既存メディアに比べて極めて希薄だ。だからサイバーエージェントあるいはその関連会社が、上記のようなビジネスを行っていたとしても不思議ではない。だからある意味では、ネットは、既存メディア以上に読み手のリテラシー必要なのだが、今回の騒動を機に、ステマビジネスの実態については、ぜひ全貌が明らかになってほしいと思う。

Profile

篠田博之(しのだ・ひろゆき)

-----<経歴>-----

1951年茨城県生まれ。
一橋大卒。
1979年より月刊『創』編集者。
81年より編集長。 82年同誌休刊に伴い、創出版を設立して雑誌発行を続ける。
現在は編集長兼経営者。
日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長、東京経済大学大学院講師など兼務。
東京新聞、北海道新聞などにコラム「週刊誌を読む」連載。
メディア批評のほかに、犯罪、死刑問題などについても新聞・テレビでしばしば発言。
著書『生涯編集者』(創出版)、『ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)。共著は多数

BookMarks

創出版
http://www.tsukuru.co.jp/

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-----<著書>-----


『生涯編集者──月刊「創」奮戦記』
2012年6月、創出版



『ドキュメント死刑囚』
2008年8月、筑摩書房

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